夜だけ夢の配達人(1)

「……?…」

 マズッ…

「…!…サンタさ……」

 子供が叫ぶ前に、俺は彼を夢の世界へ誘って――いざなって――やった。

無論、俺がやったわけではない。傍らにいる“催眠ポケモン”がやってのけた。

「メリー、クリスマス…」

 小声で囁くと、俺は厳重に包装された箱を彼の枕元へ置いた、夢という名のそれを…

「…スリーパー、窓、開けてくれ」

 疲れきった声で俺は言った。サンタという俺の職には、全くイメージできないような声で…

スリーパーは、無言で大きめの窓を開けた。念力という力で…

…ビゥゥゥ……

激しい風の音が聞える。そして、身を切り裂くような冷たさが走る。

風に乗り、雪が舞う。そう、今夜は何年かぶりの大吹雪なのだ。

全く…都合良くこんな日に大雪とは…愚痴を言っても仕方ないが。

俺は窓枠を跨いだ。先に出した右足が凍てつく。

…ザクッ…

雪に足を埋める。膝の辺りまで雪が積もっていた。正直、冷たいという感覚させなくなったかもしれない。

続いて左足も積もった雪に埋める。左足は、まだ辛うじて冷たいという感覚を感じた。

「…スリーパー…閉めてくれ…」

 スリーパーは外へと出ると、念力で窓を閉めた。

…ギィィィ…バタッ…ン……

雪のせいで聊か閉めが悪かったが、とりあえず窓は閉まった。

俺はそれを確認すると、重い足取りで“橇”に向かって歩いていった…

「デリッ!」

 元気な鳴き声で、俺とスリーパーを向かえてくれる者が…

所持している大きな白い袋からは、“サンタ”を連想するが、一見してその違いは明かとなる。

黄色い嘴と、飛び出ている二本の角――かどうかは不明だが――が特徴的だ。

“運び屋ポケモン”デリバード……赤い橇の上で飛び跳ねている。

「…よし、次は最後の一軒だぞ」

 俺はそう語り掛けながら、赤い橇へ乗り込んだ。少し雪が積もっていた。

スリーパーが俺の後ろへ乗り込む。案外広々とした橇である。

「オドシシ、最後の家まで、お願い」

「…ドシッ」

 橇に繋がれたロープがピンと張る。そして摩擦力と重力が、引っ張る力より劣った時…橇は動き出した。

橇を引くのは、二匹の“大角ポケモン”。その名の通り、二つの大きな角を頭に生やしている。

意外に小柄なのだが、その身体の力はご覧の通り。二匹で軽々とこの橇を運んでいる、雪道の中…

最後の目的地まで頑張ってくれ。

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