「う…っ」
突然、体が縛られ、息苦しくなった。
だが、目には見えない。
見えないその『何か』が、麻衣子を苦しませていた。
数分その『何か』を拒絶し続けていたが、
次第に疲れ、一瞬体から力が抜けた。
(しまった!)
気が付いた時にはもう遅く、その『何か』は着実に彼女の体内へ入り込んでいった。
(苦しい…)
声を出す間も無く、抵抗出来ず『何か』が突き進んで行った――。
「麻衣子ちゃんや!」
意識が途切れつつあったその時。
見慣れた老婆が目に映った。
――――大先輩の小梅さんだった。
助けを求めようとするが、声が掠れ出なかった。
小梅はすぐさま数珠片手に経を読み始めた。
不規則なリズムが体内を駆け巡り、次第に体が楽になった。
『何か』の正体は、ポケモン、ゲンガーだった。