彼女は少し苦いコーヒーがお好き(2)

第一話

「不吉な黒蔑まないで

今あたしは黒いワンピース

すこし育ちが悪いだけで非難?馬鹿にしないでよ」

――また君は唄っていた。

確か昨日はポプラの木の枝に乗って唄っていたよな…。

今日は、どこだ?

やっと起きたばっかりで冴えない視界を袖で擦る。

そして、辺りを見回した。

「……屋上?」

ぼくは気張って立ち上がる。

オレンジのパーカーを素肌の上に、黒い半ズボンを着ている。

どうやら怪我は無いみたいだ。

彼女の方へ視線を移すと、その廻りにはヤミカラスの群れが集っていた。

「真昼間からヤミカラス、か……どうしたもんだろうなあ、ヨヅキ」

ぼくは傍らのヨヅキ――ぼくのポケモン、レディバだ――に問い掛ける。

彼は「ディ…?」と小さな首を傾げた。

まあ、言葉を理解できるポケモンなんてラプラス位だけか。

ぼくはヨヅキに笑みを向け、彼女の方へ歩き出した。

「綺麗な黒いツバサを持っている

羽ばたいてみても力が足りないのかしら

助けはいらない助けてくれない」

――慰めの唄。

「詩々」

ぼくは彼女の名を叫ぶ。詩々(しし)。

「哀しくはないの寂しいだけ――……何?」

詩々は唄うのを止めて、こちらに頭を向けた。

続いて、ヤミカラスが彼女の廻りから飛び去ってゆく。

「……唄いながら喫茶店にでも」

「今はまだ嫌」

――胸元を殴られた。

次は、どこに行くんだろう。

傷を負って、1つ。

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