異聞・三國志(1)

「父上、これは……なんですか?」

木造の倉庫から埃とともにそんな声が飛び出してきた。

父上と呼ばれた人は玄関から出てきた。

白髪混じりの頭をボサボサと掻いたその人の動作は、

あくびも足すと、面倒くささを体現している。

「何だ?それは」

父は息子の手から、厚い紙の束を受け取り、一人で頷く。

「こりゃあな、俺の親父さんの時代だか……それよりも昔だかの、戦乱の時代に書かれた本だ」

「なぜ父上の倉庫からこんなものが出てきたのですか?」

息子は訝って父親に訊ねてみる。

「おそらく、親父さんのやつだな。ちょうどいい、全巻揃っているみたいだから読んでみろ」

父親はそういうと、館の中に再度戻っていってしまった。

そう、これは、今より百年近く前の話。

まだこの国が群雄割拠の時代だったときの話。

物語の初めは、漸盛(ゼンジョウ)の反乱から始まる。

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