ラグラージの釣り日和(3)

何だかぼくもくたびれてきました。

よくよく考えてみれば、ぼくってご主人が釣りを始めてからずっとこの体勢です。

体をほぐしにひと泳ぎしたいところですが、まさかご主人を乗せたまま潜るわけにもいきません。

仕方がないので、頭だけでも冷やしてサッパリしようと、ぼくは頭を水に沈めました。

それにしても、この川は本当に綺麗です。

水が澄んでいるのはもちろん、水質の良さもかなりのもので、ぼくのお肌もツヤツヤです。

水温は程よくひんやりと冷たくて、とってもいい気持ちです。

川底を見ると、ウロコをきらめかせながら、キバニアの群れが泳いでいました。

その数の多いこと多いこと。

これじゃあ、キバニアしか釣れないのも無理はないですねご主人。

キバニアの群れはコミカルに尾びれを振り振り、あっちへ行ったりこっちへ来たりを繰り返しています。

その様子が何だか面白かったので、ぼくはしばらくそれを眺めていました。

と、その時です。

キバニアの群れから少し離れた水草の陰から。

見たことのないポケモンが、一匹飛び出してきました。

もしや、あれがヒンバス?

一瞬そう考えたぼくでしたが、すぐに思い違いだと気付きました。

何しろそのポケモンときたら−−−ぼくがこんなことを言うのも図々しいんですが−−

−−−ひどく不格好なんです。

ウロコは砂漠の砂みたいに奇妙な色で、体もヒレも貧弱で弱々しくて、

そのくせ目だけはギョロッと大きいんです。

まるで、栄養失調のコイキングの成れの果てです。

あんなにみっともないポケモンが、美しいミロカロスに進化するわけありません。

そそくさと泳ぎ去っていくそのポケモンの姿を、ぼくは黙って見送りました。

…さて、ご主人はどうやら眠ってしまったようで、ぐーぐーといびきが聞こえてきました。

全くのんきな人です、ぼくのことどうこう言えません。

寝返りでもうって川に落ちられると困るので、とりあえず今日の所は岸に戻ることにしました。

荷物もご主人もしっかり乗せて、いざ発進。

川岸目指してまっしぐら、ラグラージ号は早いです。

川を下る途中で何匹かのキバニアとすれ違いながら、ふっとぼくは思いました。

そう言えば、あの不格好な見知らぬポケモンは、何という名前だったのでしょう?

…まあ、いいか。

〜おわり〜

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