ここはホウエン地方、ハジツゲタウン。
えんとつやまの北に位置する農村だ。
この何もない田舎町から、物語は始まる。
「おーい!おじさーん!ケムッソの駆除おわりましたよー!」
声をあげたのは、緑色の半そで服を着て白い変てこな帽子をかぶった
14歳くらいの少年。
名前は、ユウキ。
カイスの畑を担当する少年だ。
マナカというのは、おじさんの娘、つまりユウキのいとこだ。
歳に似合わない高い笑い声をあとに、
ユウキはもと来た道を戻っていった。
彼の父親の名はセンリ。
ここ、ハジツゲからははなれたトウカシティで、
ポケモンジムを営むポケモントレーナーだ。
ここしばらく帰ってこないので、
ユウキと母はおじさんの家で暮らしている。
ユウキ(ポケモントレーナー、か…)
彼はポケモンを持っていなかった。
センリ自身が禁じていたのだ。
ポケモンは人の友達にもなれば、
ときに人をおそう怪物と化す。
センリは、ユウキの心が成長するまで
彼にポケモンを持たせることをしなかった。
しかし、ユウキは忘れていた。
今日が彼の14回目の誕生日であること、そして…
彼の兄もまた、14歳でポケモンを持ち
旅にでたことを。
この日が、彼が初めてポケモンを持ち
親のもとを離れる日だと知るものは
一人としてこの村にはいなかった。
灰がゆっくりと降り始めた。