ミュウツーと共に・・・(4)

第一章: ミュウツーとの逆転 - 第三話: 争い

「どうした?ヒサシ君?頭が爆発したか?」

ミュウツーが、嫌味ぽくそう言った。

「・・・・・・」

ヒサシが、急に笑い声を止めた。部屋は静寂に包まれた。

とは言っても、外では小鳥、というよりは、ポッポ達の囀りが絶え間なく聞えている。

完全な静寂が訪れることは、まずない。

「・・・ありえねぇ・・・ありえねぇんだよ!」

不意に、叫ぶようなヒサシの声が、その静寂を打ち破った。

そしてヒサシはそう言った瞬間、右手の拳を作り、ミュウツーに向かっていった。

そう、ヒサシはミュウツーに殴り掛かっていったのだ。その、白い腕で・・・

だがヒサシは、無力、そして、無知だった。

 その時、ヒサシの殴りかかった右手が、急に空中で止まった。いや、正確には、何かの力が作用し、止めさせられている。

「・・・なっ・・・何だ?」

叫ぶヒサシ。ミュウツーは両手を組んで、それでも、殴りかかってきた“自分”の腕を眺めつつ、こう言った。

「・・・残念だが、ヒサシ君。心移しで体を入れ替えても、心以外は全て元のまま・・・つまり、私はサイコキネシスを使えるのだよ!」

ミュウツーがそう言った瞬間、ヒサシが宙に浮かび上がった。空中浮遊するヒサシの身体、いや、“ミュウツー”の身体。そして・・・

・・・ドンッ・・・

ヒサシは床に叩きつけられた。狭い室内。そんなにヒサシとミュウツーとの距離はない。

しかしヒサシは、自分の無力さを感じたのか、もうミュウツーに殴りかかろうとはしなかった。

 ヒサシは不意に、時計に目を移した。時計の針は、七時四十分を指していた。その時、ヒサシの脳裏にあることが過った。

・・・ジム戦・・・

「おや?どうした?」

「・・・今日、俺の初のジム戦があるんだよ!」

「・・・なんだ、そんなことか」

ミュウツーは興味ナシ、と言わんばかりに投遣りに言った。

「俺・・・ミュウツー一匹で戦うって言ったんだぜ!」

そう、ヒサシはミュウツーを捕まえた時、ミュウツー一匹で戦うと宣言してしまっていたのだった。

今更それを撤回するわけには行かない。しかし、今の身体では・・・

「・・・お前が、ミュウツーとして出ればいいじゃないか」

「へぇ?」

ミュウツーの爆弾発言。ヒサシも聞き流す訳にはいかなかった。

「お前が、ミュウツーとして出ればいいだけの話だ!」

ミュウツーのその言葉を聞いて、ヒサシは目の前が真っ暗になった。

ミュウツーとして、俺が戦う。つまり・・・俺がポケモンと戦うということ・・・

朝に日差しは、窓の隙間から止めど無く光を送り続けていた。

 これは、まだほんの序章。だが、これは今のヒサシにとって、全てであった。

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