「で?」
「なんだ?」
「なんですか。これは?」
先輩らにシンヤは問いつめた。
「ディナーショーだけど?」
「つまり、俺を騙したってわけですね」
スパゲティを食べながら、シンヤは言った。
「まあ、細かいことは気にすんな」
くそう、まんまと騙された。飯ごときに引っ掛かった自分がバカだった。
ロケット団襲撃後は、ハッサムが放ったフラッシュの影響で、
入隊式典が10分遅れてしまった。まあ、別になんの支障もないのだが。
あのロケット団はどうやら、手柄欲しさに襲撃してきたそうだ。
だとしたら奴らはバカだろう。本部を狙った方が楽だったのに。
それか、式典にはエリートクラスの隊員が来ないとでも思ったのだろうか。
しかし、それもバカな話だ。まずは自分の力をみきわめろってんだ。
まあ、とにかく下っ端で良かった。おかげであまり体力を使わずに済んだ。
これ以上、眠たくなるなんて地獄だ。嗚呼、寝たい。早く寝たい。
でも、気掛かりが残っている。書類を配った時にあった少年だ。
シンヤは周りを見回した。いた。彼はすぐ近くにいた。
「ちょっと、来てくんない?」
シンヤは彼を誘った。
「えっ?あー、いいですよ」
何やら、投げやりな返答。
「じゃあ、あそこで話そうか」
シンヤの指は会場の右隅を差していた。
「で、早速なんだが、お前、何者だ?」
担当直入に聞いた。
「えっ?いや、何者でもないですけどー」
よくありがちな返し方。
「よくいるんだよなー。そういうドギマギした言い方。大体そういうのに限って、
いるんだよなあ。なあ、化けの皮、剥がしたらどうだ?ロケット団さん!」
ちょっとカッコよく決めようと、後ろを向きながらそう言ってみた。
「ちっ、ばれたか」
よし、ついに自白した。
「じゃあ、どうやってここに・・・」
そう言おうとした瞬間・・・
バシッ
「いっ!」
足を思いっきり踏まれた。しかも踵で。
「な〜んて、言うとでも思いましたか?」
「おっ、お前は・・・」
男じゃ無かった。女性だった。シンヤは彼女を知っている。
「お前・・・どうやってここに潜り来んだ!マキ!!」
嘘だと思っていたらそれが真実だったとは。しかし、今の彼には関係ない。
問題はどうやって彼女がここに入って来たかだ。
「何よその言い方!私はちゃんと試験に受かりました!」
「嘘つけ!どうせ俺の兄貴のコネとかなんかだろ!」
兄貴ならあり得なくも無い。
「おっ、いきなり喧嘩とはまた、相変わらずだな」
噂をすれば、やってきた。治安隊長官ことグレンが。
「兄貴!何こんな奴入隊させてんだよ。どうせコネだろ!」
「ノンノン。ちゃんと表から入って来てるよ。トップで」
「へっ?」
こいつが表から入って来た?しかもトップの成績で?
あり得ない。表から入ってくるのは分かる。でもトップはあり得ない。
自分も取ったことは取ったがギリギリだった。マキにとれるはずが無い。
「お前、カンニングでもしたんじゃないか」
やはり信用できない。
「するわけないでしょ。勉強とかもどっさりしましたよ。ゼンさんのところでね」
「・・・は?」
またおかしなことを言い始めた。ゼンさんと言えば、2年前、自分に
ポケモンバトル教えてくれた恩師。あの人はこの時期が一番忙しいというのに。
何故だ。明らかにおかしなことだらけだ。