戦い(2)

第一章 - プロローグ 第二話

やっと、終わった。長官のスピーチが。かれこれ5分は掛かってた。

前回より1分早かった。学習でもしたのかろうかとシンヤは思った。

いや、多分前回は通常のスピーチ+自分への中傷で6分だろう。

調子に乗ったらお構い無しの兄さんのことだ。間違えない。

「やっぱ最高だよ。ボスは」

スピーチを聞いていた先輩が言った。

「まともなことを言いながら、眠くならないように少しボケを入れてくれる、

今までのボスで、こんなにユーモアに溢れた人はいないね」

と、別の先輩。

「そうやってボス万歳とか言ってると、頭狂いますよ。先輩方」

「ははーん、お前は認めなくないんだろう。自分の兄の素晴らしさをさ」

「うっさいなあ、だから違うって」

やはりみじかで見てるシンヤには理解できない。

なんと言うか、飽きてしまったというかなんというか。

とにかく、シンヤには理解なんてできなかった。

「あっ、もしもし、待ち合い室ですけど?」

先輩が電話に出る。

「え、そうですか、分かりました。対処します」

先輩はすぐに電話を切る。

「ロケット団の連中が今、会場を襲おうとしてるってさ」

先輩は特に変わったことでもないように 言った。

「そういえば、警備なんて無かったな。今年」

「最近は忙しいから人手が足りないんだよ」

「ああ、そうだったな。じゃあ、会場内で仕留める、ってことで」

「賛成。じゃあ、その仕事をシンヤにやらせるってことでいい人、手をあげろ」

すると、部屋の中の全員(シンヤ除く)が手を挙げた。

「おい、そりゃないだろ。俺はやらないぞ」

あまりにも一方的だったので言い返した。

「やったら、新米隊員しかでれないディナーショーに出れるようにしてやる」

するとシンヤは、なにやら「・・・あ〜」などと言いながら、

「仕方ないな。やればいいんだろ。やれば」

シンヤはかったるそうなふりをしながら外へ出ていった。

「動くな!」

10人程、各扉から黒服の集団が入ってきた。

「ふわあ〜、それはそっちのセリフなんで」

舞台の上からシンヤの声がした。かなり眠たそうだ。

「あと、新米さんらはそのままにしといてくれよ。邪魔になるから」

「ふん、10対1の状況でよくそんなことが言えるな!」

「パワーだったらその逆ですけどね」

大分バカにするような言い方だった。

「うぬぼれるのも今のうちだぞ。総員、攻撃準備!」

集団は一斉にポケモンを出した。

「じゃあこちらも出すか」

シンヤもまたMBからハッサムを出した。

「かかれー!」

敵が一斉に襲いかかってくる。

「フラッシュ」

右腕から放たれる眩い光が会場を包み込む。

急激な光によって会場内の人全員(目を瞑ったシンヤを除いて)の視力が

一時的に失われる。

「あらあらー、俺はまだ攻撃なんてやってませんけど」

「こしゃくな奴め。調子に乗りやがって。次こそ仕留めてやる!」

「正しくは、今度こそ仕留めてやる、だぞ。おっさん」

あの光が晴れた。すると、ハッサムはまた光を溜め込んでいた。

フラッシュでは無い。オレンジ色の光だ。

「ゲームオーバー」

ハッサムの腕から破壊光線が放たれる。相手は視力が失われて、回避は不可能だ。

ドゴン、爆音が響き渡る。集団とそのポケモンは壁にめり込んでいた。

しかし、今、それが分かるのはシンヤとハッサムだけだ。

シンヤはまた「・・・あー」と呟いて、

「やりすぎた、かな?」

会場の人々を巻き込むのはやはり、やりすぎである。

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