某ホテル内、大宴会場。
「準備はできた。いいな?」
数十人の中心にいるリーダーらしき人物が部下達に聞いた。
「OKです」
「じゃあ、始めてくれ」
「はい!」
数十人はバラバラとなった。
数十分後。
「合格証を見せて下さい」
「これでいいですか?」
「はい、どうぞ」
さっきの会場にぞろぞろと人が入ってくる。
「なあ、今年は何人くらい入ったんだ?」
待機中の係員に青年は聞いた。
「さあな、ざっと60人、といったところじゃないか?あと、シンヤ、
仕事の準備しとけよ。どうせこんなことやったこと無いんだろ」
「へいへい、どうせ俺はただの任務バカですよ」
シンヤは少し無愛想に言った。
「いいことじゃ無いか。それはそれで。それにお前、
ボス直々にこの仕事やれ、って言われたんだろ、名誉なことじゃないか」
誉めたたえるように言われる。
「今のボスは狂ってるのさ。13年間、少しも変わっちゃないね。
先輩は分かってないから尊敬することができるんですよ」
「そうか?今までの中では最高だと思うけど。おっ、全員入ったようだな」
各扉の係員は両手で○をしていた。
「じゃあ、これはお前の分な、間違えずに全部配れよ」
シンヤの前にざっと100枚分の書類が置かれた。
「へいへい、先輩殿」
シンヤはその書類を荷台に乗せて、会場に持っていった。
「いつも通り、バラエティに富んでるな」
会場には年少では10代前半から、年長では20代後半まで揃っている。
シンヤが書類を配らなければならない場所は右端の列。
一番前はシンヤと同じ年頃の、帽子をかぶった少年だった。下を向いている。
「帽子、外したら?」
流石にこんな所ではマナー違反なのではと思い、 忠告した。しかし、
「あんたに言われたく無い」
いきなり静かにそう言い返してきた。すると、彼はハッと我に帰ったかのように
「あっ、えと、この書類を後ろに送ればいいんですね。やっときますから
帰ってて下さい」
と、下を向いたまま、彼は後ろに書類をまわし始めた。
-どっかで聞いたことのあるような・・・
「おっ、意外と早かったじゃないか」
もう先輩達は帰っていた。
「・・・あっ、まあな・・・」
シンヤはさっきの少年のことが気になっていた。
あの少年の声が、シンヤがもっとも嫌っていた声と似ていたからだ。
昔からさんざんおせっかいをかけてくる幼馴染みの声に。
もしかしたら、従兄弟か?と思ったがそれはありえない。
あいつには従兄弟なんていなかった。じゃあ、なんだ?
-ただ似てるだけか。
シンヤは大きく欠伸をした。朝5時に叩き起こされたのだ。まだ寝たりない。
シンヤは今日の仕事が終わったら、多分、爆睡するだろうな、と思った。
「それでは、只今より、入隊式典を行います」
スピーカーから放送が流れた。
「じゃあ、そろそろ出番だな」
先輩は両手をブルンブルンと回しながら外へ出ていった。
「 まず初めに開会宣言です」
部屋のモニターの電源がついた。先輩が前に立っている。
「ただいまより、特別治安維持隊の入隊式典を始めます!」
会場中から盛大な拍手が送られる。
「続きまして、治安隊長官より御挨拶をいただきます」
また盛大な拍手が送られ長官が前に出てきた。