せめて、せめて助けることはできなくてもいい。だけど、謝りたかった。
別に死ぬつもりでは無いが、これだけでもいい。これだけはしたい。
姿が見えなくてもいい。過去へ戻れるなら戻ってみたい。
…戻ってみたい?
そうだった。もしかしたら可能かも知れない。
過去へと戻ることが…
ヨウは走った。その可能性に賭けるために走った。
賭けの場所はウバメの森の中心部にあるほこら。
昔、おじいちゃんから聞いたことがある。セレビィの伝説を。
人が何かを深く願うと現れて、その願いを叶える手助けをしてくれることを。
けど、失敗することもある。失敗すれば、時のはざまは一生彷徨うことになる。
しかし、今のヨウにとって失敗など考えてはいられない。
それに失敗したっていい。どうせもう、生きていく気なんてしないのだから。
ヨウはほこらの前で必死で拝んだ。どうなってもいい。あいつに謝りたい。
願った。一生懸命願った。もう一度あって謝りたいから。
…そして、セレビィは現れた。
気が付くと、木々の間から太陽の光が射し込んでいる。
成功だった。ヨウの願いは叶ったのだ。
しかし、喜んでもいられない。ヨウはまた走った。
ウバメの森をくぐり抜け、さらにコガネシティもくぐり抜ける。
めざすは35番道路の小さな川。そこだった。
ヨウは必死に走り、35番道路についた。そこには過去のヨウがいる。
「お前なんか、お前なんか捨ててやる!!」
過去のヨウはかなり怒りながらMBを川へ投げ込んだ。
そう、喧嘩をしたのだ。それで癇癪を起こし、彼を捨てた。
今思えば、トレーナー、いや、人間として失格だった。
しかし、今は悔やんでいる場合ではない。救ってやるのだ。
川を流れてくるMBをヨウはなんとか救い上げた。
やった。これで助けられた。ヨウは喜びに満ちていた。
これからの出来事すら忘れて。