時の旋律(2)

せめて、せめて助けることはできなくてもいい。だけど、謝りたかった。

別に死ぬつもりでは無いが、これだけでもいい。これだけはしたい。

姿が見えなくてもいい。過去へ戻れるなら戻ってみたい。

…戻ってみたい?

そうだった。もしかしたら可能かも知れない。

過去へと戻ることが…

ヨウは走った。その可能性に賭けるために走った。

賭けの場所はウバメの森の中心部にあるほこら。

昔、おじいちゃんから聞いたことがある。セレビィの伝説を。

人が何かを深く願うと現れて、その願いを叶える手助けをしてくれることを。

けど、失敗することもある。失敗すれば、時のはざまは一生彷徨うことになる。

しかし、今のヨウにとって失敗など考えてはいられない。

それに失敗したっていい。どうせもう、生きていく気なんてしないのだから。

ヨウはほこらの前で必死で拝んだ。どうなってもいい。あいつに謝りたい。

願った。一生懸命願った。もう一度あって謝りたいから。

…そして、セレビィは現れた。

気が付くと、木々の間から太陽の光が射し込んでいる。

成功だった。ヨウの願いは叶ったのだ。

しかし、喜んでもいられない。ヨウはまた走った。

ウバメの森をくぐり抜け、さらにコガネシティもくぐり抜ける。

めざすは35番道路の小さな川。そこだった。

ヨウは必死に走り、35番道路についた。そこには過去のヨウがいる。

「お前なんか、お前なんか捨ててやる!!」

過去のヨウはかなり怒りながらMBを川へ投げ込んだ。

そう、喧嘩をしたのだ。それで癇癪を起こし、彼を捨てた。

今思えば、トレーナー、いや、人間として失格だった。

しかし、今は悔やんでいる場合ではない。救ってやるのだ。

川を流れてくるMBをヨウはなんとか救い上げた。

やった。これで助けられた。ヨウは喜びに満ちていた。

これからの出来事すら忘れて。

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