「うへえ〜、こんなの自由に使っていいわけ?」
驚くのも当然だった。たがか小型客船だとは思っていたのだが、
外装から見る限り、とてもダイのような一般人には乗れないような船だった。
「これは元々V.I.P用の船だからね。早く乗りましょう」
「あっ、そうだな・・・」
勝手にこんなものが使えるとはさすがだな、と思いつつダイは船に乗った。
「やっぱり、内装も豪華だなあ」
この客船はどうやら長期航海にも対応しているらしく、いくつかの部屋があった。
「そんなこと無いって」
ダイの反応を見たリンのは何故か少し憂鬱そうだった。
「ところで、この船、何処に逃げるのさ?」
少し疑問に思ったから聞いた。
「ホウエン」
リンはきっぱりと答えた。
「おいおい、遠すぎるだろ!せめてグレン島ぐらいにしてくれよ!」
「駄目。強盗が何処まで追ってくるか分からないんだから」
「少し考えすぎだと思うけど・・・」
「いいの、いいの」
コンピューターが発達したこの時代、車はもちろん飛行機、船などの
ほとんどはコンピューターに制御された自動運転だった。
もちろん、この船もそうだ。船は動き始めた。
「さてと、ちょっと落ち着いたからさ・・・」
やっといいたいことを言える雰囲気もなってきた。
「大体分かってる。手紙のことでしょ」
リンは静かに言った。
「ああ、送ってくるとか言っておいて、全く送って来なかったじゃないか」
「それには理由があったの!」
急にリンの口調が厳しくなる。
「私ね、引っ越しが普通なものだと思ってたから、手紙出すとか言ったけど、
無理だったの。甘かった。何処にもいけなくなった。社長の娘に
なっちゃうと『誘拐されてはいけない』とか言われて外に出られなかった。
最初は別にいいと思った。その代わりどんなことでもできると思ったから。
でも、何もできなかった。毎日毎日、難しい勉強とかさせられて、
無理やりピアノとか茶道とかやらされたり、来たくもないのにドレス着せられたり、
誰かに手紙を送ろうとしても、『一般人と仲良くなるな』なんて言われて、
書かせてもらえなかった。まるで檻の中に入れられてたようなものよ」
リンはいっぱい喋ったからか、深いため息をついた。