死闘の楽園(2)

ダイはいきなり大変なことを言われたので少しお茶を吐いた。

「おい!嘘じゃないよな。今何処にいる!」

「クチバ港の電話ボックス!」

「くそっ、またなんで変なとこにいるんだよ。とにかく今すぐ行くから待ってろ!」

「来て、くれるの?」

「当り前だろ!じゃあな」

ダイは電話を切ることを忘れて、すぐに外に出た。

「おーい、タクシー!」

すると、近くのタクシーがダイの目の前に止まった。

「どこまでだい?坊や」

やさしそうな顔をしたドライバーがダイに聞いた。

「クチバシティまで、高速道路を使って。金はトキワ工務店に請求して!」

「あいよ」

今ではトキワシティとクチバシティをつなぐ道がある。高速道路を使えばすぐだ。

リンは親の離婚によって母親に引き取られ、2年前に母親が

シルフカンパニーの社長と再婚し、ヤマブキシティに引っ越していた。

つまり、大富豪の娘ということだ。強盗に襲われるのもおかしくない。

「到着したよ。坊や」

「ありがとう。はい、これ」

ダイが渡したのはトキワ工務店の電話番号だった。

「おーい」

近くから呼ぶ声がした。リンに間違いない。

「リン、大丈夫だったか?」

「大丈夫、大丈夫。心配しないで」

リンは何もなかったかのような微笑みを返した。

「それよりも、なんだよ。その荷物は?」

リンの背中には何故か大きなバッグがあった。

「緊急時用の荷物よ。さあ、それよりも早く行きましょ」

「行くって、何処にさ?」

「逃げるのよ。ここにシルフカンパニーの管理してる小型客船があるの。さあ、早く!」

「あっ、ああ」

ダイはふと、逃げるための船があるのならどうして1人で

逃げなかったのか、と疑問に思った。

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