ダイはいきなり大変なことを言われたので少しお茶を吐いた。
「おい!嘘じゃないよな。今何処にいる!」
「クチバ港の電話ボックス!」
「くそっ、またなんで変なとこにいるんだよ。とにかく今すぐ行くから待ってろ!」
「来て、くれるの?」
「当り前だろ!じゃあな」
ダイは電話を切ることを忘れて、すぐに外に出た。
「おーい、タクシー!」
すると、近くのタクシーがダイの目の前に止まった。
「どこまでだい?坊や」
やさしそうな顔をしたドライバーがダイに聞いた。
「クチバシティまで、高速道路を使って。金はトキワ工務店に請求して!」
「あいよ」
今ではトキワシティとクチバシティをつなぐ道がある。高速道路を使えばすぐだ。
リンは親の離婚によって母親に引き取られ、2年前に母親が
シルフカンパニーの社長と再婚し、ヤマブキシティに引っ越していた。
つまり、大富豪の娘ということだ。強盗に襲われるのもおかしくない。
「到着したよ。坊や」
「ありがとう。はい、これ」
ダイが渡したのはトキワ工務店の電話番号だった。
「おーい」
近くから呼ぶ声がした。リンに間違いない。
「リン、大丈夫だったか?」
「大丈夫、大丈夫。心配しないで」
リンは何もなかったかのような微笑みを返した。
「それよりも、なんだよ。その荷物は?」
リンの背中には何故か大きなバッグがあった。
「緊急時用の荷物よ。さあ、それよりも早く行きましょ」
「行くって、何処にさ?」
「逃げるのよ。ここにシルフカンパニーの管理してる小型客船があるの。さあ、早く!」
「あっ、ああ」
ダイはふと、逃げるための船があるのならどうして1人で
逃げなかったのか、と疑問に思った。