さちは授業のあと、とても不安な気持ちでいた。最初の授業だったにもかかわらず、落書きが先生に見つかり職員室に呼び出されてしまったからだ。
どうして初めての授業で落書きなんかしてしまったんだろう・・・・・・。
授業が終わり、清掃の時間になったがさちはほうきを持ったままぼ〜っと立っていた。
「さっちゃん!」
クラスの友達に名前を呼ばれ、はっとしたさちはやっと掃除を始めた。
「ごめん・・・・・・。」
帰りの会はしないと先生が言っていたので、清掃が終われば放課後になる。放課後になったらもう、職員室に行かなければならない。清掃が終わるまで、あと10分・・・・・・5分・・・・・・。
あっという間に時は経ち、清掃の終わりのチャイムが鳴った。
さちは職員室の前の掃除。教室に戻らずに直接職員室に行くしかない。さちはこのまま帰ってしまおうか少し迷ったが、ほうきを元の場所に戻し、思い切って職員室に行くことにした。職員室のドアは閉まっていた。さちはドアをそっとノックした。
「・・・・・・失礼します・・・・・・。」
「さちさん、こっちだよ。」
奥のドアの近くで、佐藤先生がさちを呼んだ。職員室は、奥で別の部屋につながっているようだ。先生がいる所までは、かなり離れていたがいろいろな事を考えていたら、すぐに先生の前についてしまった。
「では、入って。」
先生はそう言うと、奥のドアを開けた。さちはドアの上に『校長室』というプレートがあるのを見た。
「えぇぇー!!」
小学校のときの校長室も職員室とつながっていたので、それについては特に驚かなかったが、校長室の中を見てさちは思わず声を上げてしまった。
そこには、ポケモンのぬいぐるみが飾られていた。
「先生!このポケモンのぬいぐるみは何なんですか?」
先生はその言葉を聞いて、にこにこしながら言った。
「そこに座って。」
先生はピカチュウの形をしたソファを指さした。
「あっ・・・・・・あの・・・・・・。」
「ん?何?」
さちはおずおずと尋ねた。
「先生は、私を怒るために職員室に呼び出したんじゃないんですか?」
先生は驚いて答えた。
「えっ!怒る?そんなつもりは全然無いよ。」
「じゃあ、どうして・・・・・・。」
さちは、不思議そうな顔で先生を見た。先生は急に真剣な顔になった。
「実は、さちさんに頼みたいことがあるんだ・・・・・・。」