キーンコーンカーンコーン・・・・・・
チャイムが鳴り、生徒達が席に着くと担任の佐藤先生がプリントを持ち、教室に入ってきた。
「起立!気をつけー、れい!」
「お願いしまーす!」
全員が座ったあと先生はゆっくりと話し始めた。
「今日は中学校に入学して初めての授業だけど、このプリントをやってもらおうと思う。この時間を全部使っていいから、自分で真剣に考えて書いてみて。」
先生は優しく落ち着いた声でいうと、プリントを配り始めた。
前から4番目のさちの席にプリントが回ってきた。さちはそのプリントを目で読んだ。
―あなたが生まれてきた理由は何ですか?―
プリントにはそれだけが印刷され、下のほうは真っ白だった。教室はこの不思議な質問にざわめき始めたが、さちは一人で考えていた。
少し考えてから、さちは自分の考えをゆっくりと紙に書き始めた。
―私は冒険するために生まれてきたんだと思う。1人1人、自分にしかできない冒険があって、周りの人々と協力して生きていくんだと思う。―
さちは授業が始まってから15分ほどで書き上げてしまった。先生は教卓の近くに立っている。さちはひまになってしまったので、余白に落書きをし始めた。
普段さちはあまり落書きはしないが授業はあと30分近くあるので今日家に帰ってからパソコンで描こうと思っている絵の下書きを描いてみることにした。さちはシャーペンで「オオタチ」を描き始めた。
先生は授業が終わる少し前に生徒の机の間を歩き始めた。さちはオオタチを描くのに夢中で、先生が近くまで来ていることにまったく気づかない。
先生はとうとうさちの隣まで来た。さちはやっとオオタチを描き終わり、顔を上げた。先生が喜んだような顔で、さちのプリントを見ていた。さちは慌てて紙を隠した。先生はさちの目を見て言った。
「放課後、職員室に来なさい。」
キーンコーンカーンコーン・・・・・・
そのときちょうどチャイムが鳴り、授業の終わりを告げた。