畜生、と俺はその赤帽子の奴の背中に向けて悪態をついた。
あんなに強い少年が居るだなんて、聞いてねえ……。
俺たち下っ端に与えられる仕事の中で、勧誘は一番難しい仕事だといわれている。
大体の強いトレーナーはロケット団の悪さを知っていて関わろうともしないし、下手に誰彼構わず誘うと、足手まといになりそうなのが引っ掛かったりする。もしもそうなると、組織全体のバランスが崩れてしまうのだ。
だからこそ、俺はこの橋で何日も待ったというのに。五人を突破するほどの凄腕トレーナーを待ったのに……。
幸い、持っていかれた金の玉は偽物だったから(といっても、殆ど見分けはつかない。売ろうと思えば本物と同等の価格でイケるだろう。ロケット団の技術は最高だ)、まだ損害は少ないが、残念な事に俺の正体がバレてしまった。
ハナダやクチバの警察に嗅ぎ付けられても困るし、場所を変えなくてはならない。
どの辺りが良いだろうか。サントアンヌ号の中とかが良いかもしれない。
まあ、そんなくだらない事はいつでも考えられる。
今、やる事はただ一つ。
「ヤな感じ……」
俺は小声で呟くと、アーボとズバットの入ったボールを懐に入れ、次の一歩をどちらに踏み出そうか、決断した。
<Fin>