――父さんが死んだのは、秋風が吹き始めた頃だった。
だから、俺は――秋の爽やかな風に、彼の面影を見い出す。
草原。小高い丘に、俺と父さんは立っている。
「ハヤト、鳥ポケモンのスペシャリストに必要な事が何だかわかるか?」
父さんが、口笛でピジョンを呼び寄せながら、俺に訊く。
「……優しさ……かな……?」
俺の曖昧な意見は、優しい秋風に吹き飛ばされる。
「そうか……」
父さんは、複雑な表情でそう言った後、オレンジ色へと近づいていっている空を見上げる。
「まだ、お前にはジムは任せられないな……」
「……ねえ、答えは――?」
俺がせがむ様に言っても、父さんは答えない。
「来年だ――来年、此処に来たときに、その答えを教えてやる。だから、それまではお前が探すんだぞ」
モンスターボールにピジョンを戻し、そのボールを弄ぶ父さん。
「来年、か――」
あれから一年して、秋風が吹き始めた頃、父さんは死んだ。
あの草原に来る前に。俺に、答えを教えてくれる前に。
それでも、俺は答えを見つけてみせる。
その答えが見つかった時、俺は父さんを越える事が出来るだろう。――そう信じて、答えを探し続ける――。
<Fin>