「あ……」
久々の日曜日。
人気のDJであるアオイは、思わず立ち止まった。
溢れんばかりの人の中に、見覚えのある顔を見つけたような気がしたからである。
しかし、向こうは、こちらに気付く様子もなく向こう側へと歩いていく。
「クルミ……だったのかな……」
そう、アオイが見たのはクルミだった。
「クルミ……」
アオイは、ポケットに入ったハンカチを握り締めた。
クルミは、アオイにとって良きライバルであり、尚且つ、良い友達でもあった。
以前は、よく二人で遊びにいったりもしていた。
百貨店の屋上で安売りがあると聞けば無理してでも予定を空けたし、休みは、たまにゲームコーナーへも行っていた。
それが今は――。
今やクルミは、10作以上の映画、テレビ番組を掛け持ちしていると聞いた。
「困る事も色々ある」と言っていたが、そう言う目はキラキラ輝いていた。
アオイは、それと同時にクルミからのメールを思い出した。
最後にメールを貰ったのが、もう数ヶ月前。
アオイから出した遊びの誘いの返事だ。
しかし、そのメールさえも、「ごめん、忙しいんだ」の文面が踊っていた。
その前のメールも、その前の前のメールも……。
気付けば、受信トレイの半分はそんなメールで埋まっている。
――仕方ないよ。仕事だもんね。
毎度、そんな風に返信してはいた。けれど――。
やりきれない気持ちになったアオイは、コガネゲームコーナーへと向かった。
方向音痴のアオイでも、ゲームコーナーの場所は忘れていない。
あの良く出る台、空いてるかな……。そんな事を考えると、足が速まる。
「久しぶりだな……」
そのつぶやきと共にゲームコーナーの扉を開けたアオイは、目を疑った。
あの良く出る台には、クルミが陣取っていたのだ。
クルミは、アオイに気がついたようで、驚いたような顔を見せた。
「どうしたの、一体?」
「久しぶりに休みを取ったの。アオイちゃんにも連絡しようと思ったんだけど……」
「そうなんだ……」
今日は日曜日。特別な事が起こる日――。