ミュウツー

むかしむかしの事でした。

ある島に、一人の研究者がおりました。

その研究者は、異国の地で見つけたある新種のポケモンについて研究しているところでした。

桃色で、キラキラと光を受けて輝いているそのポケモンを、彼は「ミュウ」と名づけました。

ミュウは知能が人間並みに発達していて、教えればどんな技でも覚える事ができました。

しかし、それでも彼は新たなる可能性を追い求め、研究を続けました。

ある日の事でした――。

彼は間違えて、ミュウの遺伝子と他のポケモンの遺伝子をかけ合わせてしまったのです。

その結果、まさしく戦闘用といった感じの、とても攻撃的なポケモンが出来上がりました。

ミュウの可愛く大きかった目は、凶悪な鋭い目に。

浮いていた体は人間のようになり、二本の足で立つようになりました。

彼は、そんなポケモンの誕生に喜び、そのポケモンを「ミュウツー」と名づけました。

…しかし、ミュウツーはあまりにも強すぎました。

そう、彼の手には負えないほどに。

そのポケモンは、研究所をさんざん破壊すると、外に出て行こうとしました。

彼は、必死でそれを止めました。自分の研究が外に害を与えるなんて耐えられない、と。

そして、ボロボロになった体で、ミュウツーをなんとか、洞窟に閉じ込めました。

最後に、その洞窟に誰も入らなくなるように、警備員を雇いました。

島の人々は、壊されてしまった研究所をできる限り直しましたが、完全ではありませんでした。

やがてその研究所は使われなくなり、三年後には新しい研究所が島に出来ました。

その研究所は今、ポケモンやしきと皆が呼ぶようになりました。

むかしむかしの事でした――。

ハナダの南西には、大きな洞窟がある。

凄腕のトレーナーや、偉業を成し遂げたトレーナーしか入れない洞窟。

誰もその正式な名を知らないので、人々はその洞窟を「ハナダの洞窟」というようになっていた。

その洞窟の奥深くで、何かが光った――。

……。

そのポケモンは、ただひたすら瞑想していた。まるで何かから逃げるように――。

最強のポケモン――ミュウツーがこの洞窟に入ったのは、今から三年も前の事だ。

「最強のポケモンがいる」その噂を聞きつけこの洞窟に来たトレーナーは数え切れないほどだった。

だが、その殆どはミュウツーを捕まえるどころか、洞窟を出る事すら出来なかった。

奥深くまで来れずに迷い、餓えて死んだ者。

最深部まで来れたはいいが、ミュウツーにやられて骨だけにされた者。

彼らのポケモンは、そのまま洞窟で野生化するのだった。

この繰り返しで、ハナダの洞窟はどんどんレベルの高いポケモンが増えていった。

それに伴い、洞窟へと足を踏み入れるトレーナーも居なくなり、洞窟はポケモンの巣と化していた――。

しかし、ミュウツーは退屈だった。

――知能の低い奴らと遊んでいたってどうもなりゃしない…。

そんな事を考えながらミュウツーは、静かに目を開き、歩き始めた。

…………。

ミュウツーは、何か――ポケモンではないものの気配を感じ、振り返った。

「あ!」

嬉しそうな声を出しながら、一人の少年が近づいてきている。

赤と白の地に、緑の稲妻型のマークが入った帽子には、ポケモンリーグ公認バッジが八つ付けられている。

「良かった、やっと見つけたよ〜」

とても嬉しそうにへたりこむ少年を見て、ミュウツーは少し動揺した。

今までミュウツーの元へと来たトレーナーは皆、青年だった。

しかも、ミュウツーを見たらただひたすらにボールを投げる者が殆どだった。

それなのにこの少年ときたら、ただひたすらにミュウツーを見つめている。

……………。

少年は立ち上がると、口を開いた。

「ミュウツー、覚悟!」

少年は、嬉しそうにモンスターボールを握り締めながら、なんとか洞窟から出てきた。

洞窟の入り口は崩れ落ち、もう入る事は出来ないほどになっていた。

ミュウツーの住処は、永遠に封印される事となった――。

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