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彼の緑、彼女の緑
- 1 :影龍 :2008/05/04(Sun) 21:55:27 ID:3Os88uKk
- どうも。初めまして。
一応さっきふれあい掲示板のほうで挨拶してきた影龍という者です。
いや、まぁ。
ポケモン小説と名乗ってる割に、初め数回ポケモンが一匹も出てきません(汗
なんだかアレな感じですが、できれば読んでくれると幸いです。
- 15 :影龍 :2008/05/31(Sat) 22:55:31 ID:iJE9Xxng
- 14.
(さっきの『準備しろ』でココまで動いてくれるのは、コイツだけだよな)
嬉しく思いながら、セイリュウにもっと指示しやすいように移動する。ポケモンバトルにおいてトレーナーの死角というのは重要なのだと教わった事からの行動。
スピアーとセイリュウは空中で体勢を整えることができないらしく、揉み合いながら落下した。
スピアーは体を回してセイリュウを振り払い、セイリュウは後方に飛んで体勢を立て直す。
両者は対峙し、睨み合った。
先に動いたのは、スピアーだった。両目を紅く光らせ、セイリュウに突進する。
セイリュウはぐあっと顎を開き、向かってくるスピアーに“かみつく”。
しかし、その攻撃は少々ピントがずれていた。
(セイリュウの攻撃のピントがずれてる…?待てよ、「両目を光らせ」…?まさか、“フラッシュ”か!?)
“フラッシュ”によって命中率を下げられたセイリュウの攻撃を、スピアーは体を捻りするりと避ける。
いや、避けるどころか、突撃してきているスピアーの頭にヒモ付きで付いてきたような針の一撃を、セイリュウの顔面に放っていた。
セイリュウは何とか体を仰け反らせ、某ハリウッド映画風な避け方をしてみせるが、タツベイという種族の体型上の問題でそのまま仰向けに倒れてしまった。
タツベイという種族以上の体型上の問題とは、二つある。
一つは身長に対し顔がでかいこと。二、三頭身しかないのに、CG技術を駆使したような回避は無理だ。やったところでコケるのがオチとなる。
二つ目はその頭部である。固く頑丈なことで知られているタツベイの頭部だが、逆を言えば固い分重い頭となる。60pほどの体に40s以上の体重があるのはそのせいだ。そんな頭で体を仰け反らせた場合、当然コケる。
まぁ、そんなわけでセイリュウは仰向けの、完全に隙だらけな状態になってしまったわけである。
コケた代償としてスピアーの攻撃は回避できた。
しかし、攻撃を振り切った後のスピアーはすぐに体を捻り、隙だらけのセイリュウに狙いを定める。
「セイリュウッ、“まもる”!」
狙いを定めたスピアーの攻撃は、ゲンの指示による防御で何とか防がれた。
が、そのまま針を突き出した状態から、スピアーは思いっきり両手を後ろに下げた。
次の瞬間、耳をつんざくような金属音が響く。歯ぎしりにも近い、連続した金属音。
ガトリング砲を放つようなスピアーの“みだれづき”は、鉄以上の高度を誇るセイリュウの“まもる”に対し、獰猛な乱撃を加えていた。
“まもる”と言う防御技は、ポケモン体内のエネルギーを放出し強固な壁を作る技で、そうそう連続でやったり長時間の発動はできない。
それを知っているかは分からないが、スピアーの“みだれづき”はその長時間の使用をせざるを得ない程の猛撃だった。
このままでは負ける…。いや、もう負けたか。
そう、ゲンが絶望した時。
ゲンの傍らに、一陣の風が吹いた。
- 16 :影龍 :2008/08/30(Sat) 20:44:39 ID:I1YYPxJs
- 15.
一陣の風の正体が先程木にもたれかけさせていた少女だと気付いたのは、その少女が豪快に大型スピアーに突進したときだった。
突進した、と言うよりは、飛びついたとか抱きついたの方が正確かもしれないが、とにかくその予期せぬ一撃でスピアーはバランスを崩した。
そのバランスを崩した状態からも、少女の突進の衝撃は掛かっており、スピアーは大量の土埃を上げながら豪快に転んだ。
ゲンも“まもる”を解いたセイリュウも、唖然とその方向を向くだけで。
「て、何だそりゃあ…」
としか言えずに。今起こった一瞬の出来事を何とか頭の中で整理しようとしていた。
そのまま、土埃が晴れるまでの数分…いや、一秒にも満たない時間まで、その状態は続いた。
土埃が晴れた先にあった光景は、先程のスピアーの雄志と比べると滑稽そのものだった。
じたばたと暴れて、それを抑えるように少女が必死に覆い被さっている。
いや、スピアーの動きは、暴れると言うよりは何とかして少女を引き剥がそうとしていると言ったところか。
どちらにしてもこのままでは少女は危ない、と思い、ゲンはセイリュウに指示を飛ばした。
「セイリュウ!回り込んで“ずつき”だ!」
その指示を受けセイリュウが駆け出し、少女の正面、つまりスピアーの頭部を狙える方向に移動する。
そのまま助走をつけて飛び出し、その“ずつき”はスピアーの頭部に当たる…直前に、
「痛っ…!」
少女の背に当たった。
ゲンも、セイリュウも、そしておそらく、スピアーも驚いたのだろう。
少女がスピアーを守るように庇っていた。
その場の少女以外の全員が、予想もしなかった事態に混乱した。
言葉を発するとか、行動を起こすとか、そんな器用なことはできなかった。
- 17 :影龍 :2008/08/30(Sat) 20:45:33 ID:I1YYPxJs
- 16.
「何なんだよ、オイ…」
やっと絞り出せた…。そんな安堵の息をもらしながら、ゲンは少女に駆け寄った。
「おい、大丈夫か!?何やってんだよ、何で庇ったりするんだよ!」
とぼとぼと、ゆっくりと、早足になって。少女に駆け寄って、ゲンは少女の両肩に手をかけた。
少女は歯を食いしばり、呼吸を荒くしながらまだ去らぬ痛みに耐えていた。
「ちょっとオイ…。待てよ…!」
少女がゴロンと転がる。
それは少女自ら転がったわけではなく、下になっていたスピアーが起きあがったからだった。
ばっと、ゲンが身構える。同時に、いつの間にかとぼとぼと近づいてきていたセイリュウがゲンの前に飛び出す。
が、そんな二人を無視して、スピアーは少女の近くで屈んで、心配そうに少女を見ていた。
彼女がスピアーの持ち主というわけではないのだろうが、おそらく庇ってもらったからか、また違う理由か。
とにかく、そんな事はゲンにはどうでも良かった。
自分の判断で怪我を負わせてしまった少女なのだから、助けなければ。
それしか、ゲンの脳の中には無かった。
少女の服に手をかけ、一気に捲り上げる。
透き通った白い肌には、明らかに無粋な青あざができていた。
「…っ!!」
汗が噴き出す。
もし、彼女の体が弱かったら?旅に出るのに憧れて家族のポケモンを盗み出し、夜に家を出てこんな事態に巻き込まれただけの、ポケモンの技を受けてショック死するような少女だったら?
それが妄想と言っても過言ではないことなのはいつものゲンなら分かっていた。
が、冷静さを欠いたゲンには、その「最悪の設定」がやけにリアルに思えていた。
とにかく、急いで自分と少女の荷物をひっさげ、セイリュウをボールに戻す。そして彼女をおぶろうと屈んだ時、空のモンスターボールを拾った。
一連のトラブルの元凶…と、言うのもズレている気がしたが、大型スピアーの入っていたボールだと言うことは直感的に分かった。
その時だけ、イヤに冷静になった。
今までの慌てっぷりはどこに消えたのか聞きたくなるほどに、冷静になった。
屈んだまま、大の大人のような大きさのスピアーを見上げる。
睨み付けるのとは違う。しかし、願う眼でもなく、彼は覚悟を決めた時の眼をしていた。
「スピアー。正直お前のことは分かんない。更に言えばこの女の子のこともさっぱり分かんない。でも、俺はこの子を救いたい。」
スピアーはピクリとも動かない。
ボールの先端を突きつけ、ゲンは一息置いて言い放った。
「だから、認めてくれ。」
- 18 :影龍 :2008/08/30(Sat) 20:47:14 ID:I1YYPxJs
- 17.
もう何が何だか分からなかった。
冷静なはずなのに、混乱している。矛盾だらけだ。
何を認めろと言っているんだ。主語の存在しないワケの分からない言葉だ。
でも、人間なんて矛盾ばっかのワケ分からない生物だ。
どうでもいい。どうにでもなれ。
言い放った後、ゲンは上記のように、見事に混乱していた。
外見では分からないが、内面は外見を微塵切りにしてプレスしてすりつぶしたような、言ってしまえばぐちゃぐちゃの精神状態だった。
そして、対峙するスピアーは動かなかった。
ボールから放たれる赤い光がスピアーに触れる。
そのまま抵抗の素振りも見せず、スピアーはボールの中に収まった。
「…っよし!」
スピアー入りのボールを強く握り、決意を新たにする。
そして彼は少女をおぶって、残された力全てで駆けだした。
- 19 :影龍 :2008/08/30(Sat) 20:55:11 ID:I1YYPxJs
- えー。
テストやら文化祭やら応援団やら忙しかったという見苦しい言い訳をひっさげて、3ヶ月ぶりに登場。な影龍です。
とりあえずこの小説のプロローグは上記の通りです。
長い上に内容ぐちゃみそな点は無視してください。
ついでに言うと、こんな雰囲気の小説がだらだらと続いていきます。覚悟してください。
まぁ、「自分が書いた小説を誰かに読んでもらえる」なんて自己満足の上で書いておりますので無視してくれて結構です。
そんな感じで駄文を書き連ねます。読んで気に入ってもらえると幸いです。
- 20 :影龍 :2008/08/30(Sat) 20:56:33 ID:I1YYPxJs
- 18.
さて、リンネが家出してから3日、シンリが家を出てから2日経った。
二日前まで半分呆れながら妹探しに乗り出したその兄、シンリは焦っていた。原因は昨日にある。
「この女の子なら、昨日ココを通ったよ。」
「…え。」
予想だにしない答えに、シンリは口をポカンと開いた。
場所はトキワの森の休憩所。言ってしまえば、トキワの森の出口だ。あくまで、新米トレーナーの通る道で、の話だが。
トキワの森は広大だ。道によってはセキエイ高原や、ニビやハナダに出ることもある。
当然そんなところにいる野生ポケモンは新米トレーナーの手には負えないので、森には新米トレーナー用の道がある。
大概はそこを通るのだが、正しいルートを通らないと遭難の可能性は跳ね上がる。新米トレーナーなら特に。
どうせリンネのことだから間違ったルートから突っ込んだのだろう。
トキワの子でありながら、家の近くにあった木の根本で寝てばっかで、森ではほとんど遊ばなかった。そんなリンネが、正規のルートから入るとは思えない。
それに、正規のルートを通っても、旅に慣れない者なら最低二日掛かる道のりだ。
よって、シンリはリンネが森の中にいて、最悪遭難していると踏んだ。
が、森の中に捜索に行くとしても、リンネが森を抜ける可能性もなくはない。
その為、トキワの森の休憩所…つまり出口の管理人のおじさんに妹を見つけたら足止めしてくれと言ったのだ。
トキワの森に10年近く出入りしているシンリにとっては、休憩所のおじさんは信頼できる人物の一人だ。何度か依頼…と言うよりは頼まれごとを受けたり受けてくれたりしている中なので、裏切られることもない。
そんな人が放った一言が、「ココを通った」だ。
「…え。ホントですか?」
「私がキミに嘘を付いてどうする。何の特もないだろう。」
「妹から賄賂とか。」
「私は金では動かんよ。一万もらうと揺らぐがね。」
「随分とラインが低いんですね。」
「はっはっは。ポケモン教会からの収入じゃ少々生活が苦しいからね。」
「ほぼ24時間体制の監視員に薄い封筒は渡さないと思いますが。まさかたまにいなくなるのはタマムシに行ってるからですか?」
「…ま、そこはおいとこう。そんなことより、キミの妹探さなくてイイのかね?」
「ふむ。…それもそうですね。今の話はなかったことにしましょう。」
「うん。案外知らなくて良いことも多いんだよ。」
「貸し一つですね。」
「嫌な子供だね君も。」
「もう成長期です。大人の仲間入りですよ。」
「そんなこと言ってる内はまだ子供だよ。」
そしてその後わっはっはと笑い合い、シンリはいきなり真顔になってニビに向かった。
「…あ、そう言えば、何か怪我してたって事を話し忘れてたな。」
トキワの森の監視員は、翌日その事に気付いた。
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Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。