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Blue Sky 第二部
- 1 :エンタ :2007/08/04(Sat) 21:25:44 ID:nMqzbP/M
- ごぶさたです、エンタです。
お待たせしました(待ってない人も)、第二部の書き込みを
カメのようにトロい更新頻度ながらもやっていきたいと思います。
本日某メッセに行って、改めてポケモン人口の多さを知り…少しでも多くの人に読んでもらいたいと強く思いました。
応援よろしくお願いします!
P.S.あなたは某メッセでタッチペンを口にくわえた不審者を見かけたりしましたか?笑
- 44 :エンタ :2008/07/06(Sun) 19:48:02 ID:Bk1mNjCo
- 第40話 昏き微睡・其の二
「おい、いくら何でも遅すぎねぇか?」
岸で待機しているナミキが、仲間たちに呼びかけた。
彼の帰りが思っていたより遥かに遅い。何かあったら呼びに来てくれと言われていた以上、このままのんびり待っているままというわけにもいかない。
「心配性なんだよ、ナミキさんは」
「そうそう。何かあったら合図のひとつやふたつくらい出すだろ」
ドーン、と大きな音がしてあたりが光に包まれた。
「ほら、あんな風に……って!?」
「合図だ!!」
森の中心から上がった号砲、いや花火というべきか、その「合図」があった方向を、船乗り達が一斉に振り向いた。
「行くぞ、お前ら!!」
「お、おう!」
方向感覚には自他共に評価できる技能を持つ船乗り達は、寸分の狂いもなく合図のあがった場所へと揃って駆け出した。
――暗い。
ここはどこだ?
俺は確か、あのポケモンと戦っていたはず…。いや、戦えてすらいなかったかもしれない。気がついたら攻撃を受けていた。
その後、どうなった? 眠った――のか? いや、そんな生易しいものではない。
あいつも言っていた、与えられるのは永眠だと。
俺は、死んだのか? …ならここは、地獄か。見くびりすぎていたな、伝承のポケモンとやらを。
しかし、それなら何故この世界はこんなにも穏やかなんだ?
あのポケモンは、付近で眠る者に悪夢を見せるとあいつは言っていた。だとしたら、俺は何故悪夢に苛まれていない?
考えられる理由は……ヤツが、俺から離れた?
バカな。
せっかく技を当てた相手に、何もせずに去る? 馬鹿げている。敵意がないのなら、最初から攻撃などするはずもない。
ならば、誰かがヤツの気を引き、俺から遠ざけている…?
まさか船乗りの皆が?
まずい。彼らは戦闘手段と呼べるものを持っていない。太刀打ちするには、あまりにも無力だ――!!
……ん?
なんだ、この光は。つきのひかりに似た、淡い光だ。
どういうことだ? ここは地獄、いやヤツの作り出した暗闇ではないのか?
この、闇の切れ間から差し込むような微かな、しかしハッキリとした光は――何なんだ?
!? くっ、眩し…これでは、目を開けるほか…!
…目を、開ける?
道理が間違っては、いない…か……?
「気がついた!!」
シンジは、眠りから覚めた。周囲には、明かりを持った船乗り達が囲むように立ち尽くしている。ナミキが月のような輝きを放つ羽根をかざしながら言った。
「クレセリア様のご加護だな。昔、せがれが眠ったきりになってうなされ続けてたときも、旅人に譲り受けたこの羽根で起こすことが出来たんだ」
「あいつの言っていた特殊な方法とは…これのことか」
シンジは、よろめく身体を無理に起こした。
「ここへはどうやって…?」
「号砲さ。こいつが撃ったみてぇだな」
見ると、背後でサイドン…いや、ドサイドンが、心配そうにシンジを見下ろしていた。横になった状態から見上げると、かなりの迫力だった。
「一足先に目覚めていたと、そういうわけか…」
シンジが感謝の気持ちを込めて弱々しく微笑みかける。それから、草の生い茂る地面に手をつき、飛ぶように起き上がった。
「お、おい!! まだ…」
「俺が森に入ってから、どれくらいの時間が経った?」
「え? い、1時間くれぇか…な」
「なるほど。まだ大丈夫だ。夜は長い」
「おいおい、リベンジしに行く気かよ!?」
「その羽根とやらがあれば、何度でも起こしてもらえるんだろう?」
「一回くらっただけで疲労が半端じゃねぇんだぞ!? 何度もこいつで起こしたって、兄ちゃんの体力がもつかどうか」
「なら、起きなくなるまでの戦いだ。伝承に挑むんだ、ちょっとやそっとで済まないことは理解している」
「んなこと言ったってよ……!!」
ナミキの言葉を無視し、シンジは再びダークボールを手に取る。
「ヤツの居場所は、こいつが答えてくれる。『魔球(ボングリック・リベレイト)』!!」
闇色をした力強い光が、森の奥へと伸びてゆく。光は、しんげつじまではなくダークライを目指していた。
「皆はここで待機だ。ついでにこいつは借りていく。来い、ドサイドン!!」
「あ、おい待ちやがれ!! 俺のたいまつ!!」
船乗り達の制止も聞かずに、シンジとドサイドンは光が示す方へと走って行ってしまった。
「ドサイドン、大丈夫か?」
図体がでかいくせに、走ってシンジについていこうとしたものだから、息が上がっている。ドサイドンの歩幅ならば、普通に歩いていれば引き離されることもないだろうに、とシンジは呆れる。種としての頭の弱さは、サイホーンの時から変わらないのだろうか?
「まったく…ん? なんだ、この音は」
ドサイドンをハイパーボールに戻しながら、シンジは微かな音を聞いた。
風ひとつない森の奥、ダークボールの光が指し示す方向から、甲高い旋律が流れてくる。
暗黒と静寂を好むであろうダークライが、自ら音を出しているとは思えない。
なら、考えられる答えはただひとつ。
(俺からダークライを遠ざけた張本人、もうひとりのトレーナーが…この先にいる!!)
確信とともに駆け出し、草を掻き分ける。
道なき道を行き、やがて、最初にダークライと出くわした場所とよく似た、開けた空間に出た。
たいまつで照らし出した、その顔は……シンジも知る人物のものであった。
「お、お前は……椿木ワビスケ…!?」
- 45 :エンタ :2008/07/06(Sun) 19:48:24 ID:Bk1mNjCo
- 第41話 黒空の神子・其の二
「こ、この子は…?」
「イーブイの、新たな進化形だというのか!? しかし何故…」
困惑する2人をよそに、ヒスイの身体を乗っ取っている何者かは、状況を理解しているかのように呟いた。
「ちっ。『永久氷壁』の影響か。この状況下で進化を遂げるなどと、まったくもって悪運の強い巫女だ」
言ってから、『彼女』はしばし自分の言葉を反芻する。
「いや…『海幸(ラッキー・カード)』の能力のうちなればこそ、その進化も必然…か」
途端にトゲチックが背中の羽根を輝かせ、空を飛びまわるスピードをさらに上昇させる。
(このポケモンは筋がいい。さっきのやつに比べて、さほど強い暗示を与えなくともかなりの速度を誇る)
命令無しで、シャドーボールを四方八方から乱射する。
トゲチックの体力も徐々に削られ、完全に不利となり始めた『彼女』に、もはや全力を出さない理由は存在しなくなった。
「さぁ、影に果てろ!! 愚かな人間どもよ!!」
撃ち出された全てのシャドーボールが、ほぼ同時にミズホたちに襲い掛かった――。
「……なぜだ」
ヒスイではない何者かは、憎々しげに呻いた。
「なぜ一発も命中していない!?」
全てのシャドーボールをその身に受けたかに見えたミズホとイーブイの進化系は、『彼女』の予想に反してまったくの無傷だった。それどころか、状況が理解し切れず立ち尽くすミクリと、そのポケモン、レジアイスまでもが。
「ふふふ……。ラッキー、でした」
「全て…回避した!? バカな、そんなことが!!」
「そこに1%でも確率が存在しているなら、私の望み方次第でその確率を引き当てることができる。どうやら私の能力は、そういうものだったようですね」
さっきまでとはうって変わって得意げに、ミズホが微笑を浮かべる。
「巫女の能力は、生まれた時から発現している。私の場合は自覚無しに使っていたですが、先ほどの攻撃の中で、確かに声を聞いたです。ラッキー・カード…とね」
「レジアイスを自分のもとに『運良く』流れ着かせたのも、遥か海底から『運良く』生還できたのも、その能力か…。し、しかしトレーナーの経験から考えて、今のシャドーボールが外れる確率は0%だったはず。どうやって回避率を生み出したんだ…?」
戸惑いながらも冷静な意見を述べるミクリに、ミズホは笑って答えてみせた。
「この子の能力みたいです。砂に隠れて敵を討つ砂漠のポケモンに似た、あられに紛れ、敵の攻撃を回避するとくせい――そう、言うなれば「ゆきがくれ」ですね」
「そんな僅かな確率から、全てのシャドーボールを回避するという恐るべき事象を引き当てたというのか…」
「くっ…。この私が、敗北…だと? おのれ…!」
本来の目的――『彼女』の言う、空の裁きを与えられず敗北したことに、『彼女』は怒り、震えていた。
意識を回復しはじめたホタルがよろよろと立ち上がり始める。
「さぁ…きみは負けた。おとなしく、ヒスイ君の身体を返してもらおうか」
「ちっ…覚えていろ。空は必ず、再び貴様ら人間を潰す! これは土産だ、とっておけ!」
鬼のような形相が一瞬にして崩れ、眠るように目を閉じたヒスイが冷たい床へと倒れ込んだ。
「ヒスイさんっ!!」
あられが止み、それでも寒さの残るほこら内の状況に混乱したホタルが、ミクリに向かって悪態をついた。
「寒ッ!? おいどういうことだアホミクリ、状況説明しやがれ!!」
「…悪いが、どうやらそんな悠長なことを言っている暇はないらしい。ミズホ君、ヒスイ君を急いでこっちへ!!」
「えっ!? は、はい!!」
ミズホがヒスイの身体を抱きかかえて、ミクリの傍へと移動した。青い水晶のようなものがところどころ床に刺さっている。これはあいいろのたまの破片なのだと思い出すのに、そう時間はかからなかった。
「おい、どうなってんだよ!!」
「こっちへ来るな!!」
「…あァ? 意味が…」
いまだボールに戻していなかったレジアイスのパンチが、ホタルを反対側の壁へと突き飛ばしていた。
「っ痛!! おいテメェ、何しやが」
ズズゥゥゥゥゥゥウウウウウン……
「………は?」
罵倒しようとした相手は、すでに視界の先にいなかった。
あるのは、黒い水晶のちりばめられた壁だけ。
「み、ミズホ!? ミズホっ!!」
壁の向こうと思しき場所から、声が聞こえる。
「だ、大丈夫ですぅぅ」
「無事なのか!? 良かった…」
心からの安堵。すでにホタルにとって、ミズホはここまで大きな存在になっていたということらしい。
「ホタル、聞こえるか?」
「ああ、聞こえてるぜ。何なんだよこれぁ」
「どうやら、我々を良く思わない黒空という者が、このほこらを出口ごと埋めてしまったようだ。分断されたのも、計算のうちだったのかもしれないが…」
「…下らねぇごたくはいい。こっから脱出する方法を、さっさと教えやがれ」
「そのつもりだ。…なに、由緒正しくとも地下施設だ。緊急時の経路は用意されている。…しかし、そちら側にだけだ」
「何だと!? テメェ、それじゃミズホはどうなるってんだ!!」
「少しは私やヒスイ君の心配もしてほしいものだな…。しかし、手段はちゃんとある。まずは私の指示に従うんだ」
厳かに告げるミクリの声に、ホタルはむすっとしながらも押し黙った。
- 46 :エンタ :2008/08/07(Thu) 15:12:47 ID:fOjkhMwI
- 第42話 昏き微睡・其の三
暗闇の中で、ダークライと激しい戦闘を繰り広げるハブネークと、そのトレーナー。
シンジのかわりにサミット実行部に入った、椿木ワビスケであった。今は、大人の姿をしている。
「なぜお前がシンオウに…!?」
ワビスケも、ようやくシンジに気づいたのか、攻防の中話しかけてくる。
「ほう、もう目が覚めたでござるか。笛の音で起こせるのはポケモンだけと思っていたが…」
彼女の手には、あの有名な「ポケモンのふえ」が握られていた。ひとたび吹くだけで、どんなに深い眠りに落ちたポケモンも目を覚ますといわれる代物だ。言うなれば、その力をさらに強力にしたものが、ヒサヤの『呼笛(シンフォニック・アラーム)』である。
「兄者の見よう見まねでござるが、そのサイドンもどきの目を覚ますのには十分だったでござろう?」
言いながら、足元に次々放たれる球体を、身軽に飛びかわしていく。シンジはその光景に、ただただ感嘆した。
「って、何をボーッとしているんだ俺は」
自分の目的は、ダークライの捕獲だ。もしかするとワビスケは、ここにダークライを捕まえに来たのかも知れない。いや、しんげつじまの存在を知り、そこに潜入する以上、目的は確実に同じなはずだ。
ならば、渡すわけにはいかない。シンジにも、トレーナーとしてのプライドというものがある。
「ダークライは渡さん」
「!? お主、邪魔立てするか!?」
ダークライとワビスケの間に、シンジが割って入った。
「どうやってここに来たのかは知らないが、ダークライは俺が捕獲する。お前は引っ込んでいろ」
「さっきまで眠り呆けていたくせに、傲慢な…ッ!!」
「黙れ、来るぞ!!」
ダークライが手をかざした一瞬に、ワビスケのハブネークがダークホールをくらい、眠らされてしまっていた。
「く……!!」
「ハブネークをボールに戻せ! 悪夢を見せられるぞ!!」
「何ッ!? くっ、戻るでござる、ハブネークッ!!」
ビクビクと痙攣し始めたハブネークを、すぐさまボールに戻す。
「モンスターボールの安息効果が、ハブネークをヤツの悪夢から遠ざけてくれる」
ボールに戻せば回復する異常には、いくつも種類がある。ポケモンの精神を安らげることにより、混乱したり興奮したりといった状態を回復することが出来るのだ。
(ふみんのとくせいを持つドンカラスがいてくれれば、多少は楽になったかもしれないが…贅沢は言っていられん)
ハイパーボールからドサイドンを繰り出し、戦闘態勢に入る。
「椿木ワビスケ、ヤツの行動パターンに特徴は?」
少し戸惑いながらも、ワビスケは先ほどまでの戦いで得た情報を、冷静に口にする。
「…この森にはいくつも似たような広場が点在する。黒い球体を10発ほど撃ち終えると、ヤツは隣の広場に移動するでござる」
「なるほど。では、俺がここで残りのダークホールを耐え切る。その間に、お前は次の広場へ行ってヤツを待ち伏せろ。休む隙を与えずにじわじわと弱らせるんだ。お前の得意の手法だろう?」
「協力して捕まえよう、と…そう言いたいのでござるか」
「むろん、最終的にどちらが捕獲することになろうとも恨みっこ無しだ」
少し沈黙をおいてから、ワビスケはゆっくりと頷いた。
「さぁ、早く行け!!」
言うまでもなく、といったところか。凄まじいスピードで、ワビスケは森の奥へと消えた。
「…また会ったな、ダークライ」
蒼白の眼は、いまだこちらに敵意を投げ続けている。黒い手をかざし、再び球体を作り出す。
「ドサイドン、かえんほうしゃだ!!」
手の砲口から発射された熱と光を伴った攻撃が、容赦なくダークライのフィールドを奪い取る。広場に円状に放たれた炎が照らし出したダークライの姿は、それでもなお闇より濃い暗黒色だ。
「これで互角だ」
シンジが不敵な笑みを浮かべた。
「さあ、根比べといこう! 伝承のポケモンよ!!」
- 47 :エンタ :2008/08/07(Thu) 15:13:16 ID:fOjkhMwI
- 第43話 黒空の神子・其の三
「まず、お前の背後の壁に、色の違う一角があるだろう」
ホタルは、ミクリの言葉に従いそれを探すが、そんなものは見つからない。
「んなもん無ェぞ!」
「よく見ろ。わずかにくすんだ色の壁があるだろう」
目を凝らしてそれを探すと、やがてこれか? と思うものが見当たった。しかし、ひとたび目を離せばまた見失ってしまいそうなほどのわずかな違いで、とても意図的なものとは思えなかった。
「見つかったか?」
「いや、よくわからねぇ」
「押してみろ」
言われたとおりに、その部分を手で押してみる。…とたんに、音を立ててホタルの足元の床が無くなった。
「どわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
ホタルとその傍に横たわっていたマナカは、いきなり無くなった床の下の奈落に、なすすべなく自由落下していった。
派手な水音とともに、身体に激痛が走る。
「ゴボゴボゴボ…………ぶはっ、いっでぇぇぇえええ!!!」
理不尽なまでの痛みにホタルは心の中でミクリに悪態をついたが、すぐに「もし下が岩だったら」と思い立ち、身震いした。
「そ、そうだ! ガキんちょは!?」
水に浮かんだままキョロキョロとあたりを見渡すと、すぐに人の手らしきものが波音を立てて助けを求めているのに気づいた。
「お、おい!!」
慣れない手つき足つきで水を掻き、なんとか音の近くに寄って手を引っ張りあげる。
「ぷはぁっ、はぁ、はぁ、はぁ…い、いやぁぁああ!!!」
「おっ、落ち着け!!」
引っ張りあげた手にしがみ付きながら、マナカが泣き叫ぶ。顔は暗くて見えないが、明らかに泣いているとわかる声だった。
さっきまで気絶していて、目が覚めたら水の中にいて息も出来ないのだから、パニックになるのは至極当然だが。おまけに周囲は真っ暗で、ホタルから手を離すことの恐怖はまさに倍加していた。
「あ、あた、あたしっ、泳げないのぉ!! いやっ、死んじゃうぅ!!!」
「死にゃしねぇよ、ヴァカ!! 黙って身体の力抜け!! でねぇと沈むぞ!!」
「はぁっ、はぁっ、で、でも…!」
逆効果と思ったのか、ホタルが両手を押さえつけるのをやめても、マナカはホタルの服にしがみついて離れない。おかげで身動きが取りづらく、一緒に溺れてしまいそうだった。
「つかお前、みずポケモン持ってんだろ!! そいつ出せそいつ!!」
「えっ、あぅ、あ……。と、とって〜!!」
「はァァ!?」
マナカはどうやら、片手でも離すのが嫌らしい。ホタルにぴったりしがみついたまま、腰のボールを取ることをホタルに要求した。
「は、はやくぅぅ…」
哀願するような声音。
バルビートを出して明かりをつけることも考えたが、マナカの泣き顔が目と鼻の先にあることを思い、取りやめる。…別に俺はガキにゃ興味ねぇが、この状況で明かりをつけるのはいろいろとヤバイ気がする。
「仕方ねェな……っと、この辺か?」
「っきゃあ!? どど、どこ触ってんのッ!!」
「うるせェクソガキ!! 暴れんなボケ!!」
「ひゃわっ!?」
やや強引に腰からボールを引ったくり、中のポケモンを繰り出した。
「ったく、面倒かけさせやがって……よ!!」
ボールから出てきたのは、ミロカロスではなく…カイリキーだった。
「ガ、ガウッ!? ブクブクブク」
「あァァもぉお何でだぁああああ!!?」
やっとのことでミロカロスを出し、その背中に乗ることに成功した2人だったが、ホタルの疲労は半端ではなかった。
「…で、何でまだくっついてんだよ」
「だって、落ちるの怖いもん……」
「だぁぁあウゼェ!! 離れろ!!」
ミロカロスの体長は6mもあるので、人が2人背中に乗ったところで何ら問題はなかった。今はバルビートが2人を照らし、イルミーゼとファイヤーが出口を探して飛び回っている。
「もーっ、可愛い女の子が密着してるんだからもっと喜びなよっ」
「…今すぐ突き落としてやろうか」
「そしたらミロロちゃんがホタちゃんのこと振り落とすもん。みちづれだもーん」
「あぁムカつく!! ガキってムカつく!!」
マナカほどではないが、ホタルもカナヅチの部類に入る男だった。振り落とされてはたまらない。
「畜生め…ここ出たら、覚えとけよ」
「え? 何か言った?」
「ここ出たら、ルネの湖に頭から突き落としてやるから覚えとけッつったんだよ」
「えぇ!? …じゃあずっとここにいる」
「ざっけんなクソガキ!!」
そんな不毛なやり取りを繰り返していると、ファイヤーが何かを見つけたのか、2人に向かってくえーっと鳴いた。
「お? 何かあったのか、ファイヤー!」
「ミロロちゃん、あそこまでお願いっ」
マナカの命令にミロカロスはこくりと頷き(この動作で2人とも落ちそうになった)、高スピードでファイヤーのもとへと泳いでいくのだった。
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Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。