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Blue Sky 第二部
- 43 :エンタ :2008/06/21(Sat) 23:39:00 ID:BUHs/.jc
- 第39話 黒空の神子・其の一
「ヒスイ…君……?」
そこにいたのはヒスイのはずだった。
だが、その瞳は曇り空のように黒く淀み、恐ろしいほどに感情を持たなかった。
「ふむ。久しいな、この身体は」
「貴様……!! ヒスイ君ではないな!?」
「そうだ。あの穏和で臆病なか弱い少女が、このような大胆な行動を取るとでも?」
冷たい床に横たわるホタルを足蹴にし、ヒスイだった少女は変わらぬ声音で言い放った。
「…っ!!」
イーブイが、ボールから放たれ、ヒスイだった少女の脚に体当たりをかます。
「ホタルさんから離れてください!!」
「…天罰を受けるか、巫女よ。こことて聖域の一部。足を踏み入れし者がたとえ巫女であっても容赦はかけぬぞ」
ネイティオがイーブイに向き直る。
「…キミは、何者だ…?」
「わたしは空の意志を伝える者。何と呼ぼうが、貴様らの勝手だ」
言うが早いか、ネイティオがイーブイに向かってくちばしを突き出しながら突進した。すんでのところでそれをかわす。
「く…レ、レジアイス!!」
たとえ相手がヒスイの姿をしていようと、傍観はできない。ミクリは受け取ったばかりのレジアイスを出した。
「…貴様らと戦う理由はわたしには無いが…空がお怒りだ。貴様らが聖域を傷つけ、宝珠を破壊した以上…手加減する理由も無くなった」
宝珠を破壊した、ということに対しての態度を見て、ミクリは異変を感じた。
「空の神ではない…?」
「無知とは愚かしいな人間。空の神とわたしの言う空は、別の空だ」
「どういうことだ…。貴様が言っている『空』とは、そらいろのたまの先にいる何者かとは…レックウザのことではないのか?」
「貴様に何を話しても、解することもできまい。おとなしく空の裁きを受けよ」
ネイティオがレジアイスに向かって突撃してきた。イーブイが体当たりで迎え撃とうとするが、高く飛ばれては届かない。レジアイスのれいとうビームも、照準がまるで定まらないようだった。
「くそっ……!!」
「遅いな」
「な、なぜですか!? なぜネイティオが、あんなに早く動けるのです!!」
「人間のお前たちにはわかるまいが…偉大なる空の暗示を受ければこの程度の速度上昇はわけも無い」
無茶苦茶な、とミクリは思ったが、今相手にしているのは正体不明の存在だ。何を持ち出されても不思議ではない。そう自分に言い聞かせ、心を凪ぐ水面の様に落ち着けた。
「…撃て!」
掛け声と同時に、レジアイスの両手から太めのれいとうビームが射出され見事にネイティオに命中した。
「…ふん」
モンスターボールにネイティオを戻し、新たにトゲチックを繰り出す。
「…手持ちを全滅させれば、とりあえず攻撃はやめてもらえそうですね」
「彼女の手持ちは…ネイティオとトゲチックだけのはずだ」
レジアイスが再びトゲチックに狙いをつけた。しかし、そこにすでにトゲチックの姿は無い。
「なっ…!?」
途端に、轟音が巻き起こった。レジアイスが、四方八方から連射されたシャドーボールに襲われたのだ。
センリの使用するシャドーボールとは違い、空気中から影のカタマリを作り出して撃ち出すタイプのものだ。命中率はセンリのものに劣るが、速射性に長けている。
「いつの間に…!? くっ、素早い!!」
ミズホは、頭を抱えながらブツブツと呟いていた。
「こんな…イーブイがサンダースのままだったら…。私が未熟じゃなかったら、はかいこうせんは喰らわなかったはずなのに…」
「過ぎたことを悔やむな!! 頼むぞ、ヒンバス!!」
ふらつくレジアイスをサポートするため、ヒンバスをボールから出す。
「雑魚が。この巫女の育てたようなポケモンにも後れを取るとは」
しかし、ミクリは知っていた。ヒスイはセンリの教えを受けたトレーナーであること、トゲチックとネイティオはもともとジムリーダー所有クラスのポケモンであることを。
「速さで勝てないなら…ほかの何か…何でもいい、勝てる力が欲しい!!」
「落ち着けミズホ君!! 願っても戦況は覆らない!! ヒンバス、ミラーコートを半球状に!!」
シャドーボールが次々に跳ね返される。しかしその全てを、トゲチックは飛びながらかわしていた。
「かわす…回避…? そうです、それなら…!!」
ブツブツと呟いているミズホをよそに、ミクリは苦渋の決断をする。
「ミズホ君、イーブイの回復を怠らないでくれ! いささかスマートでない手段をとる!! 戻れ、ヒンバス。レジアイス、あられ!!」
レジアイスが両手を振り上げると、吹雪のように激しいあられが巻き起こった。伝説のポケモンだけあって、力の大きさは並大抵ではない。
「……!!」
ふと、イーブイの身体に変化が現れ始めた。光り輝く体。これは、進化の兆しである。
「…まさか…この条件下でイーブイが進化することがあるというのか…!?」
ミクリの予想は当たった。
イーブイが進化した。
今までにない、新たな姿へと。
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Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。