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Blue Sky 第二部
- 41 :エンタ :2008/06/21(Sat) 23:38:18 ID:BUHs/.jc
- 第37話 宝珠を破壊せよ
「さぁ、皆自分の宝珠を手に取ってくれ」
3つの台座の中心に立ったミクリが指示をする。
マナカはべにいろのたまを、ミズホはあいいろのたまを手に取った。
「まずは、それぞれの神の意志にアクセスしてくれ。彼らの意識を眠らせるんだ」
言われたとおり、彼女らは宝珠に向かって念じ始めた。が、マナカは集中できないのか、すぐに息を切らしてしまった。
「はぁっ、はぁっ、これ、案外キツイね…」
「無理をさせてすまない。私は何もしてやれないが…、頑張って、くれ」
「…OKっ」
再び、汗に濡れた額を宝珠にぴたりとくっつける。
「ヒスイ君、きみはレックウザの意識にアクセスしてくれ」
「えぇっ!? こ、ここからですか?」
驚くのも無理はなかった。ヒスイがレックウザの意識にアクセスできるのは、そらのはしらなどレックウザの付近のみである。
2匹の意識に最も近い場所、つまりホウエン最深部であるめざめのほこらからの神通は、困難をきわめるであろうことは分かりきっていた。
「…無理は承知だ。しかし、2匹が完全に眠ったのを感知できるのはおそらくレックウザだけ。マナカくんとミズホくんには、干渉する力はあっても感知する術はない」
べにいろ、あいいろのたまとそらいろのたまでは、そもそもの由来が異なる。
前者の二色は、かつてレックウザがグラードン、カイオーガの意識を封印した楔。対してそらいろのたまは、レックウザが人の心を繋ぐための宝として人間に預けた物である。そう、ダイゴは言っていた。
「きみがレックウザと意識を共有することで、2匹が完全に眠るのを感知することができる。そのタイミングで、宝珠同士をぶつけ合わせ破壊する…。3人の巫女の力が揃わないと上手くはいかないんだ」
ヒスイが躊躇いがちに台座に置かれた宝珠に目をやる。確かに、記憶が戻ってからは宝珠に触れても意思を支配されることは無くなった。危険は、きっと無いと思う。
「…わかりました。やって…やってみます」
「ありがとう。頼んだ…」
そらいろのたまを手に取る。色は変わらない。向こうに拒絶の意思は無い、ということだろうか。
そっと目を閉じ、力を込める。
「ッ!?!?」
両の腕に、雷が迸ったような衝撃を受けた。危うく宝珠を取り落としそうになる。
「ヒスイ君!?」
「す、すみま…せ、ぁぐっっ!!」
なおも電撃はバヂバヂと薄気味の悪い音を立てながらヒスイの腕に流れ込んでくる。
「拒絶の…意思が…!? 宝珠から力が逆流しているのか! ヒスイ君ッ!」
「こっちに来んじゃねぇ!! テメーはミズホとガキんちょの面倒見てろ!!」
はっ、と振り返ると、マナカは今にも倒れそうなくらいにふらつき、肩で息をしていた。慌ててミクリが身体を支える。
「…すまない! ヒスイ君を頼む!!」
「へっ。それでいーんだよ」
ホタルが懐からキラキラと輝く何かを取り出す。
「それは…?」
「こうえんのはね。不死鳥ファイヤーの羽毛だ。こいつをこうして、使うんだよ!!」
燃えるように煌く羽根を、ヒスイに向けてかざす。すると、心なしかヒスイの顔から疲労の表情が薄らいだように見えた。
「外傷が無くて助かったぜ。こいつは命に灯す不死の炎。怪我さえなけりゃすぐさま全快よ」
かつての友を解毒したファイヤーの炎を思い出す。浄化と回復に長けた、生命の炎だ。
電撃によるヒスイの身体へのダメージを、受けたはしから回復していく。これにより、ヒスイはレックウザの意識にアクセスし続けることができた。…少なくとも、身体的には…だが。
「…驚いた…。生命の導者以外にも、逆流衝動を防げる者がいたとは…」
その煌きに魅入られたように、ミクリはただホタルのかざす羽根を見つめていた。
「何だよ、見とれやがって。そんなに不思議か? 伝説の炎だから無理もねぇけどよ」
「いや…。今まで私は、炎など、略奪し破壊するのみの野蛮な力に過ぎないと思い続けてきたのだが…与えることも、できるのだな…。そう、そんなことを考えていた」
「ヴァーカ。破壊するためにやってんだろ」
「それもそうだ」
やがて、そらいろのたまに変化が起きた。電撃がより一層激しくなったのだ。それとほぼ同時に、ヒスイが声を振り絞って叫んだ。
「今ですっっ!!!」
「ホタル!!」
「任せろッ!!」
マナカとミズホのもとに駆け寄り、宝珠を両手に取る。途端、マナカがドサッと地面に倒れた。
「ミズホくん、伏せろ!」
渾身の力を振り絞り、両手に持った宝珠を思い切りぶつける。ビシッ、ピキッ、と軋るような音がした直後、ひび割れた箇所から突風のような衝撃波が巻き起こり、宝珠が弾け飛んだ。
そっと目を開くと、霧は晴れ、宝珠のカケラが洞窟の壁面中に突き刺さっていた。
ホタルの着けていた手袋はズタズタに破れ、血が滴り落ちている。それを見ながら彼は、笑っていた。
「ははっ…。ははは。ははははっ! やった!! やったぞ!! ざまァ見やがれ、マツブサァ!!!」
ドスッ。
「…っ!?」
背中に走る激痛。
「ホタルさんっ!!」
ネイティオの、ドリルくちばし。
「ま、まさか…!?」
「…………」
そらいろのたまを手に、ネイティオを従えた少女が、ただ無言で佇んでいた。
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Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。