何かを探して

1 :Genocider2006/10/17(Tue) 21:19:46 ID:8xvlOUhw
こんにちは、初めまして。Genociderと申す物です。 ポケモン小説書きた〜い♪なんて思っているときにこのサイトに巡り合い、書きはじめることにしました。どうぞよろしくお願いします。

2 :Genocider2006/10/17(Tue) 21:21:16 ID:8xvlOUhw
それでは早速本編をドウゾ♪


 トランペットとトロンボーンが盛大にファンファーレを奏で、その響きは青くどこまでも澄んだ青い空と清く深い海の底へと吸い込まれてゆく。
 四方を海に囲まれた大理石の神殿の正位置。ライフル銃の兵隊たちが2列に並び一人の少年に道をあけた。
「柳田少年。君の足で千段を登りきるのだ」
軍の高官と思しき人間が少年の方に触れて諭すように言った。
「はい」
少年は眩く輝く白い大理石の床を一歩一歩踏みしめるようにして歩き出した。そしてその先には長く、そして急な階段が霞んで見えなくなるまで続いている。
 少年は最初の一段目に脚をかけた。何時の間にか音楽は止み、波の音だけが残された。
 トン……トン……。
 自分の足音、そして服のすれる音ですら妙に耳障りに感じられる。これから会う物のことを考え神経が逆立っているせいもあるのかもしれない。少年は思った。
 左右には最も美しいと言われるミロカロスの像が並びじっとこちらを、その瞳の無い目で見据えている。
 背後が気になるが、しかしこの儀式で後ろを振り返ることは許されていない。もし振り返ったら――最も今までそんな人間など居たためしは無いのだが――今までこのときのために歩んできた長い道のりがすべて水の泡になるのだ。
「……っ」
少年は玉の汗を額に浮かべて、階段を上りつづけた。海の神ポセイドンの像が左右に二体天を覆うようにして仁王立ちし、互いの神槍を遥か上空で交錯させて壮麗なアーチをなしている。
「もう少しだ……」
少年は呟いた。だがしかしこの階段を上り終えるとともに待っている試練のこともしっかりと知っていた。
 やがて、永遠に続くかのように思われた階段は終わり、日の光がまぶしい頂上へと辿り着いた。しかしそこにあった光景は想像を絶する物であった。
 神殿そのものから切り離されたような空間。壁は黒く焼け焦げ柱は砕けてあちらこちらに岩塊が転がっている。そして血痕……少年の神経は逆撫でされ、体毛が全て逆立つような感覚に襲われた。観客の無い古代のコロシアムのような……いや、それそのものであった。
 少年の目はやがてその奥にいる生き物に目が止まった。
『良くぞ来た』
その生き物は言った。いや言ってなどいない。直接的に聞こえたのだ。
「ルギア……」
少年は太古の闘技場の中心へと歩み寄った。
『そうだ。私がルギア……少なくとも人は私のことをそう呼ぶ』
ルギアはそう言い終えると闘技場の中心へ舞い降りた。
『勇気あるトレーナーよ。念のためもう一度ルールーの確認を行う』
ルギアは静かに言ったが、その言葉には計り知れない威圧感が合った。
『使用するポケモンは何でなくてはならないか?』
「互いに互いを必要とする、よきパートナーであるポケモン一体です」
『そう。そしてこの試練を無事に済ませることが出来たのならば……』
「私は外の世界に出していただける」
『そして試練に敗れた場合は』
「私の最も大切なパートナーの魂と体を……あなたに差し上げる……」
少年は言いよどんだ。
『そしてお前は』
「喰らわれる仲間の死を最後まで見届けなければならなくなる」
酷い。少年は改めて思った。今まで何年間も一緒に歩んできた仲間と死別する。それをなす術も無く見届ける……死よりも酷い儀式だ。敗れれば……二度と立ち直ることは出来ない。実際この儀式に敗れた者達の半数以上が自らを暗い死の淵に追いやってしまっている。
『よいだろう。少年よ名はなんと申す? 』
「賢……柳田 賢と申します」
賢はバトルのための間を取った。
『賢……か。いいぞ、来い! 』

3 :Genocider2006/10/17(Tue) 21:23:34 ID:8xvlOUhw
ルギアは空高く舞い上がった。
「のぞみ、頼んだぞ! 」
賢が繰り出したのはメガニウムであった。
「のぞみ、ソーラービーム! 」
望と呼ばれたメガニウムは天空から降り注ぐ光を吸収し、エネルギーに変換する。だが。
「しまった! 」
望の体はルギアの陰に覆われた。今は午後2時。太陽はほぼ南中している。このままでは北にいる望は圧倒的に不利であった。
「望、飛退いてもう一度だ!! 」
望はルギアの影からさっと身を引いた。しかしその動きを大方予想していたルギアは、望が着地したその場所にエアロブラストを仕掛けてきた。
 ギリギリのところで発射されたソーラービームが最高位の飛行系攻撃を跳ね返し、ルギアに向かって突き進んだ。しかしルギアもさるもの。超能力と呼ばれる力だろうか、ソーラービームは捻じ曲げられ、虚しく青空へと吸い込まれた。
「アイアンテール! 」
望は地面から飛び上がり、ルギアに向かって硬質化した尻尾を叩きつけた。これは決まったらしく、ルギアのうめき声がかすかに聞こえた。
『おのれ……』
ルギアは空中で無防備な状態の望を狙って再びエアロブラストを発射した。数多もの真空波が望の体を捕らえずたずたに引き裂いた……かのように見えた。
『身代わりか』
ルギアは少々関したように言った。望みの本体はアイアンテールの反作用を利用して更に空高く飛び上がっていたのである。
「もう一度、アイアンテール!! 」
重力加速度も加わり更に強力な一撃がルギアの頭蓋を直撃した。
 いくら伝説ポケモンとは言えど急所である頭を鉄パイプで殴られたら痛いだろう。それにも増して位置エネルギーに望の全体重をかけた一撃を喰らってはひとたまりも無い。
 ルギアは暫くふらついた後に望の着地に少し送れてドシッ……という地響きと共に地に落ちた。
『……よく動きの鈍いメガニウムをそこまで育てたな……。よろしい、賢少年。お前の実力、このアシスク・ムンディの国の名を背負って世界に旅立つ物にふさわしい。よってこの国の外へと出ることを許可する』
ルギアは起き上がっていった。自己再生の力だろうか、もう傷跡は見受けられない。
「……ありがとうございます」
賢は恭しく礼をした。
『それと……そこのメガニウム。望と言ったか……お前は本当は喋れるのだろう』
望は内心驚いた。しかしルギアにはそれが読めるらしい。
『互いに驚くことは無い。現に私だってこうして喋っている』
ルギアに心を読まれていることを知り、望は観念して口を開いた。
「はい。私は喋れます。2歳のときから少しずつ教わりました」
望は賢に寄り添うようにして立った。
『ほう……』
ルギアはそれ以上問わなかった。最も問う必要は皆無だったのだろうが。
『では、賢少年よ、右手を出しなさい』
賢は言われたとおりに右手を出した。
『よろしい……痛いかもしれないが我慢するのだ』
その途端、腕に何か熱い物が押し付けられているような感覚に襲われた。実際はジーンズの上着に覆われているのに、だ。
『これで儀式は終わりだ。家まで送る。目を閉じて家を強く念じろ。弱いと次元の狭間に取り残されるからな』
ルギアの言うとおりに、望と賢は目を閉じて家を思った。するとなにやら頭の芯を貫くような痛みに襲われて、賢達の意識は闇に溶けた……。



「うっ……う〜ん」
賢は自宅の布団で目を覚ました。
「あ、やっと目がさめたみたいね! ほら、早くしないと船出だよ、船出! 」
望がいつものリュックを咥えて持ってきてくれた。
「船出……? 」
賢ははっきりとしない頭を振るい、頭の中のもやもやを取り去った。
「……」
賢はジーンズの上着の袖をまくってその腕を見た。すると丁度二の腕のあたりに奇妙な紋章が焼き付けられていた。それと共にそのときの痛みが思い出され……そして。
「あぁ! そうか、ルギアに勝ったのか!! 」
賢は飛び起き、慌ててモンスターボールとノートパソコンを持って自宅を飛び出した。
 その後を望が追う。
「ちょっと〜リュック忘れてるよ〜! 」
望は海の上にかけられた梁の上を駆けた。梁はギシギシ言って歪んだが、もう金輪際こんな海上都市に戻ってくるつもりは無かったため余り気にせずにすんだ。
「あ〜ゴメンゴメン! 」
賢はそう言いつつも立ち止まる気配が無い。
「も〜!! 」
望は彼の後を追って“船着場”へと向かったのであった。

4 :Genocider2006/10/17(Tue) 21:24:50 ID:8xvlOUhw
「ねぇ賢」
客室で望が聞いた。
「何でこの国から出るにはこんなに試練が必要なのかしら。激しい戦いに勝ち抜いた挙句ルギアに勝利しなければならないなんて……」
「……さぁ……俺には分からん。ただこのアシスクムンディ帝国が外部との交流を極力拒むのには何か訳があるに違いないだろうね……。ま、そんなことはどうでもいいとして……出ておいで、文香(アヤカ)、亜美(アミ)! 」
賢はそう言いながらモンスターボールを二つ投げた。彼の手持ちは望を含め三体しかいない。
 片方のボールからは金色の体毛を持つキュウコンの亜美が現れた。そしてもう片方のボールからは――この部屋ではちょっと狭すぎたかも知れないが――ミロカロスの文香が姿を現した。
「みんな、ついにあのアシスクムンディの都市を脱出したぞ! 」
ミロカロスからもキュウコンからも歓声が上がった。
『それで、もう帰る気はないわけね』
亜美が心の声で聞いた。さすが化け孤である。
「無い。あの国は何でも軍隊、権力だ。俺の両親だってその危険な政治手法の犠牲者だ」
賢は吐き捨てるように言った。
『美しいのは見た目だけの国でしたね』
文香も同じくして心の声で話し掛けた。
「中身が腐ってるだけで十分だね」
賢はそういって備え付けのベッドに横になった。
『そういえば、武器は?』
キュウコンが聞いた。
「あぁ、持ってるよ。旅に出るんだからそれぐらいは必須だと散々注意されたからね」
賢はそういって漆黒のリボルバーをバッグから取り出して見せた。
「まあいざとなったら銃なんぞ役に立たんと。そしたら君達を頼るよ」
賢は二匹を順に見て、それから望みを見た。
「どうする、このまま外に出てる? 」
賢は二匹に聞いた。
『私は狭いのでボールに戻ります』
こちらを気遣ってのことだろうか、文香はその長い体をボールの中に収めた。
「亜美は酔わないよね? 」
それを聞いて亜美の表情が返事をした。船酔いのことは計算外だ。
『……多分……平気』
亜美はそういってねっころがる賢の隣に座り込んだ。
「あ、船が動き始めたみたいよ! 」
望が叫んだ。それと同時にさっきより揺れが大きくなる。
「……みたいだな」
賢はそういって目を閉じた。心地よい揺れが彼を眠りへと誘っていった……。

5 :Genocider2006/10/20(Fri) 21:45:25 ID:tihivVAI
「お〜き〜て〜! 」
望は賢の上に圧し掛かった。
「ぐえっ! く、苦しい……ちょっと……起きるから退け! 」
平均体重100.5kgのメガニウムの体重が臓器を圧迫する。
「は〜い」
望は賢の上を降りた。
「まったく……女の子ならもう少し慎めよ」
賢はぶつぶつ言いながらバッグを手に取った。
「……だって賢は寝起き悪いじゃん。だから生半可な攻撃じゃ目覚めないかと思って……」
望はメガニウムなりに考えた……のか?それが最良の手段とは余りおもえないが。
「……で、まだ海の上みたいだけど何故起した?」
賢は船の揺れ方からそう察したのであろう。それも、先ほどより激しい揺れが感じ取れる。
「賢に会いたがっている人がいるって。デッキで待ってると」
賢は大きく伸びを一つして、そしてバッグからコートを取り出して着込んだ。
「恐らく外は大雨だろうね」
賢は、こんな大雨なのにデッキなどで待っているものがあってなるかと言う意味をこめて言ったのだろう。
「……亜美はここで待ってて」
賢は船酔いで床に伸びているキュウコンを見て、一応言ってやった。
「さて……望、行こう」
賢はドアを開けた。それと同時に船は大きくゆれ賢と望は部屋の外に吐き出されその背後でバンと扉が閉まった。
「……重力ってのは役に立つもんだね! 」
賢は皮肉っぽく吐き捨てて歩き始めた。船は右に左に大きくゆれ、そのたびに賢と望は本来壁であるはずのところに背中や肩、時には腹をぶつける羽目になった。
 それでも何とかデッキに辿り着いた頃には賢も望みも大小さまざまなたんこぶを作っていた。幸いにも歯が折れるようなことは無かったけれど。
 甲板は数多もの水の王冠が現れては消えるというような物ではなく、絶えず宝石が地面に衝突し砕け散っているかのような大雨であった。
「そんで……俺を呼んだ奴は誰さ」
賢は甲板に立っている人影に近づいていった。このときも揺れはしたが、体が揺れを覚えてきたのか荒海に放り出されることは無かった。
「私がその人」
その人は振り返った。まだ15か16ほどの、それでいて強い意志の類を感じさせるような顔立ち。黒く長い髪は雨に濡れて肩から背へと着ているコートに同化するようにぴたりとついている。
手足はすらりと伸び、黒いコートは彼女の細身の体を更に引き立たせた。身長は女性の方では割かし高いほうだろう。
「へぇ……俺と同い年ぐらいか……」
賢は彼女のたたずまいを見やった。それにしては色々と乗り越えてきました感のあるオーラが感じ取れたのだろう。
「そういうことになりそうね」
彼女は雨で額についた髪の毛を左右に分けていった。
「そんで、俺に何のようだい? 」
賢は彼女に聞いた。
「アシスク・ムンディ帝国から抜け出ることが出来たって言うのは貴方ね? 」
彼女は確認するように聞いた。
「その通り。しかしそれに何か問題が? 」
何か問題が? といいつつも賢は茶色のコートの下にある銃に手をかけた。アシスク・ムンディ帝国はありとあらゆる面で危険な国で、
誰に恨まれていてもおかしくないと賢は思ったのである。しかしこの華奢な少女がそんなことをするとは思えなかったため、その手の力は多少抜かれた。
「……いえ。ただ私の挑戦を受けていただけないかと」
彼女は言った。荒波が船首に当たって砕け、そして彼女の髪から雫となって滴り落ちた。
「……なんで俺じゃなきゃいけないのか知らないが……いいだろう。ここまでくるのにも一苦労だったしな。ちゃっちゃと終わらせよう」
そういって賢はモンスターボールを投げた。中から出てきたのはミロカロスの文香。
「形式はダブルバトルで、使用ポケモンはお互い2匹。道具の使用は一切なしでいこう」
賢は言い終えると5メートルほど後ろに下がり望に「頼んだよ」と言って彼女の頭を撫でてやった。
「行けっ、メタグロスとラプラス! 」
少女はモンスターボールを投げた。中から現れたのは人を食う鉄脚ポケモンと、絶滅の間際に追い込まれた哀しみの海獣であった。

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Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。