Pang-PongのSS置き場。

5 :Pang-Pong2006/09/13(Wed) 00:05:14 ID:6xKUFMLE

 第零話――僕の気持ち。


 少年の《100万ボルト》によって果てたワタルは、糸の切れた操り人形のように、静かに静か

に落ちてきた。
「ここまで……なのか……」
 呻くようにそう呟くワタルを、僕は優しく背中に乗せた。

 思えば、あの時。
 住処が廃液によって汚され、仲間が何人も死んだあの時から……僕は人間を憎んでいた。だ

からこそ人間を悪だとして排除しようとするするワタルの考え方に賛同できたし、彼に忠誠を

尽くしたんだ。
 けれど、それは……間違っていたのかもしれないと、ようやくそう思えた。
 僕の望んでいた理想郷。ポケモンと、一握りの優秀なトレーナーだけで構成された世界。し

かし、ようやく気付いた。そんな世界よりも……必要なのは、人間達との共存なのだと。

 ワタルと同じくトキワ出身だというあの少年の気持ち――僕にも少しだけ、伝わってきた。
 人間はポケモンの敵じゃないんだ、と言っていた彼。
 人間は身勝手だけど、だけど……ポケモンとの共存も望んでいるんだ、と。
 正しい気持ちを持っていれば、ずっと仲間で居られるんだ、と――そんな気持ちで、彼は満

ち溢れているようだった。
 ワタルは僕達ポケモンの為だけに行動してきてくれたけど――あの少年は違う。あの少年は

、ポケモンは勿論、更には人間達の事も考えて行動しているんだ。
 人間とポケモンが仲間で居ることを前提に、住みやすい世界を作ろうとしているんだ。
 廃液の中で苦しんだ僕でも……また、人間と共に生きていけるんだ。

 と――背中のワタルから、少しだけ思いが伝わってきた。
 彼もまた……気付いたようだ。
 人間とポケモンとが共存できる世界を作るべきだという事に。
 それならば――それならば大丈夫だ。
 ……君も僕も、生きていけるから。

 人間とポケモンとの共生は、確かに容易い事じゃない。

 だけど。

 僕と共に苦しんでくれた君ならば。
 僕の心を読取ってくれた君ならば。

 君ならば、僕と一緒に生きていけるよね?

 <Fin>

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