Bad Friends

1 :ika2005/08/25(Thu) 16:28:46 ID:jrRg2Kd6
はじめまして。
私がこんなところに居ていいのかわかりません。

ポケモン小説 Bad Friends
おそらく万人受けしない雰囲気になりそうです。
その時は、すみません(駄

2 :ika2005/08/25(Thu) 17:01:56 ID:jrRg2Kd6
暗い研究所内。
明かりは数時間前、何者かに消された。

――そして研究所の最深部

「ストライク、切り裂く」

相手のポケモンがゼロになる。
抵抗も出来ない相手を蹴り倒す。

ふと目をやるとわけのわからない機械が並んでいる。
これでポケモンの能力改変を行っていたのか。

「そこまでだ」

機械を適当にいじっていると声をかけられる。
研究所内の人間は全て倒したと思っていた。

だが、たった一人で来るって事は自信があるって事。
警戒して出したままのストライクを前に出す。

「ゆけっ、アブソル、火炎放射!!」

炎が凄まじい勢いでストライクに迫る。
素早い動きでそれを避ける。

しかし避けたので俺の方に炎が届く。
少しビビったがストライクが俺を突き飛ばす。

「ちっ、もうちょっとマシな助け方あるだろーが」

『戦闘中に余所見をするからだ』

俺にはポケモンの言葉などわからない。
しかし、長い付き合いだから何を言いたいかぐらいはわかる。

だからムカつく。

「どんな技を覚えてたって、相性ってもんがあんだよ、銀色の風!」

狭い研究所内での攻撃の為、逃げ場など無い。
攻撃はアブソルに当たり、そのスキをついて止めを刺す。

「後はここをぶち壊すだけだな」

ポケットからビリリダマの入ったボールを取り出す。
ポケモンを使い捨てるなど、やってる事は俺もかなり悪い。

「自爆しろ」

ストライクは既に壁を切り抜き外に出ていた。
それを追って俺も外に出る。

少し走ると後方で爆発が起こる。
これであそこは使えなくなった。

「それにしても、何時までイタチごっこするつもりだ・・・」

俺が壊して、あっちが建てて。
その度に無関係なビリリダマが犠牲になる。

『少し戻るぞ』

ストライクは逆戻りしてビリリダマ回収へと向う。
大体のビリリダマはあんな使い方に怒って逃げ出す。

あのまま放って置いても同じだろうに。

「・・・ま、いいか」

3 :ika2005/08/25(Thu) 17:21:22 ID:jrRg2Kd6
帰ってきたストライクは麻痺してたうえイラついていた。
おそらくビリリダマが激怒していたのだろう。

だから適当に放って置けばいいと言うのに。
あのお人好し・・・人?

おポケモン好しだと語呂が悪い。
しかし、人ではない、どう表現すべきだろうか。

「とにかく、俺は寝るから見張り頼むな」

ストライクは何も言わずに寝てる俺の首の横にカマを突き立てる。

「わ、わかったよ、ほら戻れ」

ボールにストライクを戻す。
仕方が無い、何時でも起きれるように眠るしかない。

次の街はフスベシティ。
といっても、チョウジタウンの方が近い。

あの研究所はロケット団が残したものの再利用だった。
つまり、あっちも新しく研究所を建てる事が難しくなってきたわけだ。

しかし全国に広がっているのが厄介だ。
色んな馬鹿な組織があるが、小規模な癖に範囲が広い。

最近は正義の味方みたいな子供が現れたそうだ。
そういう組織のボスを潰したうえ、四天王まで倒す子供。

「どんな化け物だよ・・・」

しかし所詮は子供。
ボスを倒せば、それで終わりなわけがない。

残党が残っているし、ボスの中にも再び野望に燃える者もいる。
だが一番困るのは新しい組織。

大きな組織がそうやって潰れる事で新勢力が現れつつある。
そういうのは何をするかが全くわからない。

「・・・寝るか」

それにしても、氷の抜け道が近いから、寒い・・・

4 :ika2005/08/25(Thu) 23:15:23 ID:vwr8ufjI
「寒い」

洞窟内へと足を踏み入れた。
しかし、こんな軽装で入る場所ではない。

「炎タイプがいればなぁ・・・」

我ながらポケモンが欲しい理由が捻じ曲がっている気がする。
仕方なく我慢して歩き出す。

嫌がらせにストライクを出そうとしたが、悪寒が走る。
いや、常に寒気がするのだが。

しかし、そうも言ってられない。
目の前にはゴルバットやズバットの大群。

寒くても暑くても、暗い所なら何処でもいる奴。
正直、コイキングとかと並ぶ凄いポケモンじゃないだろうか。

「ヨルノズク、サイコキネシス」

ストライクでは相性が悪いのでヨルノズクを出す。
俺は気合で相性がひっくり返るとは考えていない。

「ふー、蚊みたいにボトボト落ちてくな」

寒そうなのでヨルノズクをボールに戻す。
こんな調子では先に進めない。

「長距離の移動となると使えないしな」

足を持って少しの移動なら可能だが、山越えは難しい。
そもそも俺の腕が持たない。
背中に乗れるほど大きいポケモンでもない。

「ちっ、滑るな」

凍りついた足場が濡れて滑る。
壁伝いに進んでいるが、壁も凍っているので冷たい。

こんな所、普通の靴では歩けない。
しかし、このまま滑ってるわけにもいかない。

「ヨルノズク!!」

ボールから出すとすぐさま飛ぶ。
一瞬で地に足をつければ滑ると理解したのだろう。

「足貸せ、掴んでるから勝手に飛んでくれ」

ヨルノズクの足を掴む。
ヨルノズクは嫌な声を出しながら翼をばたつかせる。

滑らずに進めるヨルノズクを利用して滑りながら進む。

「あー楽だわこれ、このまま進んでもいいな」

ヨルノズクが高い声を出す。
嫌がっているらしい。

「仕方ない、ストライクにでも頼むか」

悪寒が走る。
いや、だから常に寒気はするのだが・・・

5 :ika2005/08/26(Fri) 21:01:30 ID:DwQQAoZ6
おそらく、ここが最深部。

「これが名物、溶けない氷か」

昔から祭られているらしく外に持ち出された事はない。
ポケモンが持っている事もあるらしいので珍しいものではないはずだ。

しかし、この氷だけは光り輝き別格の雰囲気を放っている。
その為か、この氷だけは祭られ守られている。

「でもなぁ、外に持ち出さないと溶けないかわかんないよな」

氷を見つめているとその氷が目の前から消える。
目で追うとニューラが氷を持っていた。

ぼーっと見ているとニューラが笑いながら逃げる。
これは俺がどうにかしなければいけないのだろうか。

妙な責任感を感じているとニューラの叫びが聞こえる。
誰かに攻撃されたらしい。

「……手?」

変な手が浮いている。
氷を持っているところを見ると、これがニューラをやったのだろう。

その手はふわふわと移動して氷を元に戻す。
気になってので手に触れてみる。

相手もノリがいいらしく、握手をした。

「って、俺は何をやってるんだ」

意味不明の手を握っているのだろう。
自己嫌悪していると妙な笑い声が聞こえる。

壁からスッとゴーストが現れる。
つまりコイツの手。

「お前、トレーナーは?」

ゴーストは手を俺に向ける。
否、俺の後ろに向けている。

振り向くとすぐ後ろに人がいる。

「って、何時の間に」

「何時の間にかに」

見れば俺と同じく軽装で入ってきた愚か者。
女だけど、凄い愛想が悪そうだ。

「私はユキって言うの、貴方は?」

「男だ」

「名前」

「ゼロ、本名じゃないけどな」

そう言うとジト目で睨んでくる。
しかし俺も自分の名前など覚えていない。

ずっとゼロで通してきた。
確か、今は17歳なはず。

「俺が最初だから、ゼロなんだ。
俺はポケモンを悪い事に使う奴等と潰している」

「そう、今までそういう人はたくさん居たわね」

「俺は、組織のボスを倒す力は無いし、そんな勇気も無いけどな」

「変な人ね」

それは俺自身がよくわかっている、つもりだ。

6 :ika2005/08/26(Fri) 21:02:12 ID:DwQQAoZ6
「貴方は何処に行くの?」

とりあえずはフスベシティとなる。
しかし最終的にはマサラタウンまで行く事になるはずだ。

「マサラだ」

「船には乗らないのね」

「……まぁ、いいだろう」

「お金が無いのね」

遠いから、というのも理由になるが。
確かに金も理由になるので黙る。

「お前は、あの氷でも守ってるのか?」

「いいえ、でもマサラを越えて行かなければならないから一緒に行くわ」

「勝手に決めるな、俺は嫌だ」

「違うの、フスベの先で事件があったそうで、二人以上じゃないと通れないのよ」

それなら俺も困る。
少しならヨルノズクで飛ぶ事も出来るが、それは避けたい。

「仕方ないな、それにしてもお前は友達付き合い悪そうだな」

「居ないから、悪くはないわ」

「……それも、どうなんだろう」

俺は初対面のコイツが馴れ馴れしいのかどうかわからなくなっていた。
どちらにしても、邪魔だ。

「行きましょ」

「おい、そっちじゃないぞ」

「祠の様子を見る為に、新しい道が出来たのよ」

迂闊だった。
まさか、そんな便利な道があったとは。

コイツより俺が格下になるのは嫌だ。
しかし、既に手遅れのような気もする。

「……ここは?」

「龍の穴と呼ばれる場所。
ドラゴンタイプのポケモンが生息しているわ」

それは珍しい。
ドラゴンタイプのポケモンは水や空気の澄んでいる。
そして人気のない場所を好む。

ここは街に近いはずだ。
しかも、建造物まである。

「それじゃ、通行許可を貰ってくるわね」

「あ、そうか、頼む」

人付き合いの悪さは俺が言えるものではないか……

7 :ika2005/08/27(Sat) 03:09:03 ID:pilWSp.I
しばらくすると戻ってくる。
しかし、浮かない顔をしている。

「ジムリーダーが許可をしてくれるみたいね」

「……ジムリーダーか」

今まで、ジムなど行かなかった。
だからジムリーダーはあまり知らない。

「しばらくすれば、来るそうだから、待たせてもらいましょ」

「俺はここで待つ、人見知りする方なんだ」

ユキはスタスタを建物の中へと入っていった。
俺はそこら辺をぶらぶらと散歩する事にした。


水辺に佇んでいるとミニリュウが現れた。
ミニリュウは俺に何か伝えようとしているようだ。

さっきからワーワー鳴いている。
しかし、俺にはまったく理解できない。

すると後ろから爺さんが歩いてくる。
そのミニリュウをジッと見つめると、ミニリュウは帰っていく。

「なにか、起こりそうじゃな……」

「わかるのか、爺さん」

「ポケモンと長く付き合えば、何を言いたいかぐらいわかるものじゃ」

それは俺も思う。
実際、この2匹ならば何を求めているのかわかる。

「お主にとって、ポケモンとはどのような存在なのかな?」

「仲間というには物足りないし……」

俺は考え込む。
爺さんは俺を見る。

「友達ってほど、仲良しじゃない」

楽しく遊ぶなんて事はした事も無い。

「相棒だと、信頼関係が足りないだろうな……」

偶に喧嘩もする。
お互いを信じられなかった結果だ。

そう。

一緒に居るが、なんかわからない。
真面目にやったり不真面目だったり。

ただ、そこに居ればいいみたいな関係。

「悪友ってトコで勘弁してくれ、生憎ボキャブラリー乏しいんだ」

「……つまり、どういうコトかな?」

「一緒に居れば、それでいい……か?」

「ふむ、面倒な答えじゃの。
しかしポケモンを道具と思うよりはマシかの」

当たり前だ。
そういう奴等を潰して回っているのだから。

そういう無駄な事をしているのも。
悪友ってのがふさわしいかもしれない。

「爺さんはポケモンをどう思うんだ?」

「……聞き返されたのは初めてじゃ。
そうじゃのう、同じ時を生きた者じゃな」

「えーと、つまり?」

「わからん」

俺はガクッと頭を落とした。
自分が聞いてきたのに、自分はわからないなんて。

「ワシにとってポケモンが何か……それを探してるんじゃよ」

「見つかるまで生きれるのか……」

「不謹慎じゃぞ、まぁよい、わからずともよいのじゃ。
同じ時を生きた、思い出さえ残っていればの」

8 :ika2005/08/27(Sat) 03:52:17 ID:mN.8i0Jw
爺さんと話しているとユキが来た。
俺は話を切り上げ立ち上がる。

「イブキさんが来たわよ、長老さん」

「そうか、戻ろうかの」

「えっ、長老?」

爺さん、否、長老は振り向き笑う。

「そうじゃ、ただの爺さんではない」

ユキも寒い寒いと言いながら戻る。
俺は少しポツーンと突っ立っていた。

「俺、マジで不謹慎だな」

怒ってないみたいだから大丈夫だろう。
少々、強引な自己完結をして俺も龍の飾りの建物に入る。


そこは重々しい空気に包まれている。
荘厳な儀式でも行われそうな雰囲気だ。

「こんな中なのに私服の俺達とイブキさんらしき人は良いんだろうか」

「服も普通で、マントもしてない。
しかも初対面で何という暴言だ!」

とりあえず、怖くてプライド高そうな人だな。
一応、年上のようだ。

「とにかく、通行許可さえ貰えれば消えるように去りますので」

俺はさっさとして欲しかったが、こんな場所で大きな事も言えない。
というかユキが全部やってくれれば楽なものを。

「そうか、それならまずはバトルだな」

「え、いや俺はそんなにバトルは得意ではなく……」

「うるさい! 侮辱した罰だ!!」

いや侮辱してない、罰っておかしい。
とにかく既に怒っている気がする。

その時、ユキが横に来て呟く。

「イブキさん、最初から機嫌が悪かったわよ」

それだったらおとなしく事が進むのを待つべきだった。
つまり俺はジムリーダーと戦わなければいけないのだろうか。

「……いいですけど、俺、2匹しか持って無いですよ?」

「私も同じ数で戦おう、外に出ろ!!」

駄目だ、押されている。
既に押されている。

こういう状況に弱い俺。
情けない、まったく。

9 :ika2005/08/29(Mon) 02:17:58 ID:mDqB95VQ
寒さなど忘れてしまうほどのピリピリした空気が張り詰めている。
別に怒られる事はしてないはずなのに。

「使用ポケモンは2体、全て戦闘不能になった時点で負けでいいな!」

「……いいですよ」

「ハクリュー!!」

相手はハクリュー。
龍の穴と呼ばれる場所でこれなら、ドラゴンタイプの使い手だろう。

どちらにしろ効果抜群は期待できない。

「いけっ、ヨルノズク」

ハクリューは飛行能力を持っている事が最近わかってきた。
それなら、飛べるコイツの方が無難だろう。

「ハクリュー、冷凍ビーム!!」

「右だ!」

ヨルノズクは避けるとそのまま下降しながら加速する。
ハクリューの攻撃後の隙をついて後ろに回りこむ。

「サイコキネシス!」

「潜れ!!」

ハクリューは水の中へと消える。
しかしその水ごと宙へと放り上げる。

「サイコキネシス!」

空中で金縛りを受けたように苦しむハクリュー。

「くっ、電磁波だ!!」

ヨルノズクは広範囲に渡る電磁波を避けきれず水面へと落ちる。
だが、すぐに再び飛び立とうと翼を羽ばたかせる。

「させるかっ、まきつけハクリュー!!」

ヨルノズクを水中へと引きずり込む。
まさか、水中戦になってしまうとは。

空での戦いだと決め付けた俺のミスだ。

「ヨルノズク、リフレクター!!」

「ハクリュー、10万ボルト!!」

凄まじい電撃が迸る。
ヨルノズクとハクリューは浮かび上がる。

両方、動けないようだ。
相打ちになっただけマシだと思うしかないか。

「戻れ、ヨルノズク」

「ハクリュー、よくやった」

お互いのポケモンをボールに戻す。

「苦し紛れのリフレクターだったな、打撃技だと思ったか?」

「逃がすつもりはないようでしたから、とにかくって事です」

しかし、水中で自らのポケモンともども電撃を放つとは。
かなりの覚悟がなければ出来ないはずだ。

「……自滅覚悟の技を使うのはどう思う?」

「それなりに、経験と覚悟と勇気がないと無理だと思います」

「そうか、さぁ、次のポケモンを出せ」

俺はボールを手に取る。
ストライク、お前だけだ、頑張れよ。

俺はボールの開閉スイッチを押した。

10 :ika2005/08/29(Mon) 02:43:20 ID:oREsRTws
「キングドラ!!」

大きな雄叫びをあげる。
ストライクは怯みもせず立っている。

「ストライク、切り裂け!!」

その太刀筋は咄嗟に潜ったキングドラには届かない。
ストライクは少し下がり様子を見ている。

水の中まで届く遠距離攻撃は持ち合わせていない。
銀色の風をフルパワーで繰り出せばもしかしたらぐらいだ。

水中の為、相手の位置もわからない。
かなり無理があるだろう。

「ストライク、気配を読むんだ、何か来たら突っ込め!」

ストライクは構えて目を閉じる。
俺はジッと次の行動を待つ。

イブキさんは何をしかけるつもりだろう。

「フフ、ジムでは水中戦も空中戦も出来ないからな。
本来の実力は発揮されない、だがここなら!! 竜巻だ!!」

大きな渦が突如現れる。
気配を察知したストライクが突っ込むが流石に怯み吹き飛ばされる。

水を巻き込んだその竜巻に流され、ストライクは空中へと放り出される。

「そこだ、龍の息吹!!」

攻撃はストライクに直撃する。
再び、空中から水中へと叩きつけられる。

「もう一回、竜巻だ!」

「ストライク、飛べ!!」

ストライクは麻痺まではしてないようだ。
素早い動きで竜巻をかわし、俺のところに戻ってくる。

しかし、かなり体力を消耗しているようだ。
あと、半分というところか。

「煙幕!」

考え事を止めてストライクとともにそれを避ける。
しかし、何個も連続してくる煙幕が虫の大群の様に迫る。

「銀色の風だ!!」

咄嗟の思いつきでその煙幕を吹き飛ばす。
気合のこもった銀色の風と煙幕を喰らったキングドラはダメージが大きいようだ。

ストライクの動きも少し素早くなっている。
これはもしかしたら能力が上昇しているかもしれない。

「……これなら、もしかすれば」

「何か策を思いついたか? それなら真っ向勝負と行こう」

キングドラは動かない。
いや、力が集束している。

「……信じろ、ストライク、今度こそ突っ込め」

ストライクは微かに頷き、構える。
キングドラの叫びが轟き、それが合図となる。

「キングドラ、破壊光線!!」

ストライクは風を切り裂くように突っ込む。
光で辺りが見えなくなる。

辺りが眩い光に包まれる。
爆音だけが響いている。

視界が真っ白になっていく……

11 :ika2005/08/29(Mon) 04:14:58 ID:NOs8hMn6
爆音が消えた後。
妙な静けさが空間を支配する。

「……風が聞こえる!!」

煙を切り裂きストライクが現れる。
反動で動けないキングドラへと距離を詰める。

「切り裂く!!」

勢いに任せた攻撃はかなりのダメージを与える。
ストライクは止まれず壁に激突する。

俺は駆け寄り様子を見る。

「大丈夫か?」

『心配ない』

ストライクはボロボロになっても意地を張っていた。
これなら大丈夫だ。

安心して、ボールに戻す。

「……破壊光線を耐えるだと」

イブキさんはキングドラのボールを持ちながら俺の後ろに立っていた。
悔しさを堪えながらそこにいる、そんな感じだった。

「私も知りたいわね……」

気が付けば、ユキも長老も何か偉そうな爺さんも見ていた。

「全能力が上昇したと気付いたんだ。
リフレクターの効果も残ってたようだし」

「そうね、あのリフレクターも無駄じゃないわね」

ユキは無関心のように淡々と言った。
拍子抜けする俺だが、イブキさんは納得したように俺を見ていた。

「コレを受け取ってくれるか。
正式なジム戦ではなかったが、いいだろう」

ライジングバッジ。
しかし、全く興味が無い。

「俺はバッジ集めてるわけじゃないので……
どうせ8個も無理ですし、ひとつ貰ったところで」

「受け取らないわけないな、ないだろう?」

イブキさんが珍しく笑顔だ、しかし怖い。

「あ、ありがたく受け取っておきます」

「……だがな、抜け道を抜けたポケモンで戦うのは止めたほうがいい」

「そっちこそ、ジム戦で負けて気分が悪かったんじゃないですか?」

俺はかなり驚いたが、イブキさんも驚いていた。
そう、お互いのポケモンが本調子じゃなかった。

本来なら、どうせ俺が負けてるはずだ。
まぁ、それにしても。

「イブキさんを負かせるトレーナーって誰なんですか?」

「名乗りもせず何処かへ行った。
金髪の目立つ男だった、まったく、腹立たしい!!」

再び怒り始めてしまった。
イブキさんは沸点が早すぎる。

「とにかく、薬でも買ってこないと」

「ポケモンセンターがある、こんな過疎地域だから空いている」

人付き合いが苦手な俺には縁のない場所だ。
しかし、金がないのを思い出し諦める。

「まぁ、仕方な……ん?」

さっきのバトルでミニリュウ達はどっかに行ったと思ったのだが。
水辺で物音が聞こえる。

それも大きな唸り声も聞こえる。
大型の、それも凶暴なポケモン。

12 :ika2005/08/29(Mon) 04:15:18 ID:NOs8hMn6
盛大な水しぶきとともに現れたのはギャラドス。
しかし、違う。

「……赤いギャラドスだと!? 確か、こんな事例が前にも」

「例の少年が関わった事件ね、ロケット団の進化実験……」

ユキが詳しく知っているのに疑問があるが。
俺もよく知っている。

「だけどアレはもう居ないはずだろ」

「異種として生き残っている可能性もあるわ」

「とにかくだ、アレはここに居るべき存在ではない」

イブキさんは前に出る。
しかし、また俺とユキの隣に戻る。

「かっこ悪いですね」

「黙れ! 動けるのが1匹、しかも体力はほぼ無いんだ!!」

「……ユキ」

俺はユキに助けを求める。

「私はゴーストとさっきのニューラだけ」

そう言ってゴーストとニューラを出す。

「ギャラドスだからなぁ……」

そこで何か音が聞こえる。
ギャラドスの破壊光線だ!

「しまった!?」

しかしその光線はゴーストのシャドーボールとぶつかる。
だがシャドーボールが跳ね返され、ゴーストが倒れる。

「今ので破壊光線が相殺されたのか……」

普通なら破壊光線なんて通り抜ける。
俺達を守ってくれたと言う事だ。

「あの動きさえ止めれば何とかなる」

イブキさんがボールを取り出す。

「カイリューだ」

それなら何とかなりそうだ。
しかし疲れてるようなので一発が限界だろう。

「どうやって動きを止める?」

「これを使いなさい」

長老が話しに割り込み俺に手渡す。
受け取るとあまりの冷たさに放り投げる。

ユキがそれを取る。
さっきの氷だ。

「それは確実に相手を氷壁に閉じ込める、恐ろしい道具。
それなら相手は動きが止まるじゃろう」

「つまり、絶対に凍るって事か!?」

そんな恐ろしいものだったとは。
普通の溶けない氷とは違う事がハッキリとわかる。

「そう、ニューラ……凍える風!」

氷を持って氷技を繰り出す。
本来は凍らせることは出来ないがギャラドスは氷壁に閉じ込められた。

「……よし、カイリュー、破壊光線」

既に出ていたカイリューの破壊光線はギャラドスを一発で倒す。
それをイブキさんがボールを投げて捕獲する。

「放っておけば暴れるかもしれない。
これは調査する必要がある」

「これ、お返しします」

長老に氷を返すユキ。
俺はそんな中で思う。


何かが、起こり始めている。

13 :ika2005/09/06(Tue) 22:59:56 ID:yOUnbuTY
その晩。

俺はポケモンセンターの宿泊施設を利用していた。
しかし他人と寝るなどできるわけも無く。

闇夜に紛れてその場から逃げ出すのであった。






「ちっ、見張りがいるな」

フスベから続く道路へは、やはり二人以上ではないと通れないようだ。
ヨルノズクでは少しの飛行が可能だが、羽音がうるさい。

「……どうにかして通る方法はないか」

「正攻法でいいじゃない……」

何時の間にか横にユキがいた。
驚くタイミングすらくれずにユキは話し始める。

「ゴースト、適当に驚かしてきなさい」

ゴーストが見張りに近づき騒ぎ始める。
見張り達は混乱しているがボールに手をかけている。

「今よ、行きましょう」

「ゴーストは?」

「すぐ戻ってくるわ」

テキパキとした行動で呆気に取られていた。
しかし、俺は疑問に思い呟く。

「……正攻法か?」






夜の道は歩きやすい。
洞窟などは関係ないのだが、暗くなればポケモンは大体眠る。

あまり遭遇する事も無く、バトルに発展する事も無い。

「だけど事件が起きたと言ってたな」

「……ポケモンが人を襲ったの。
前に遠い地方で起きた事件を酷似わね」

「ダークポケモンって奴だろ、大きい組織は潰れたみたいだけどな」

しかしアレは今も大変な事件を誘発している。
誰もが皆、スナッチマシンを狙っている。

本来ならマシンを壊してしまえばいいのだが。
まだダークポケモンが残っている可能性もある。

「……世の中には悪い奴がいっぱい居るなぁ」

「そうね、例えば夜道の追い剥ぎ」

目の前にはポケモンを繰り出す男。
面倒な事に巻き込まれるものだ。

トラブル体質ではなかったような気がするのだが。

14 :ika2005/09/14(Wed) 00:11:41 ID:F/bHZc/Y
「夜だからな、ヨルノズクしか出せないな」

「あら、何で?」

「アイツは起こすと怒るんだ」

一応、主従関係にあるはずなのだが。
ポケモンと人間が生身で戦えば勝てるはずは無い。

「大丈夫よ、そろそろ戻ってくるわ……ほら」

ふと見上げると夜空に影が蠢いている。
そのまま男へと向っていくと拳を振りかぶって殴る。

「……おい」

「トレーナーを狙った方が早いわよ」

ユキは男のポケモンに近づくと様子を確かめる。
俺は手にかけたボールを戻して考える。

………。

「これって事件の一部だって事で片付くか?」

「そうね、それで済めば全て誰かの所為になるわ」

男のポケモンは野生に戻ったようだ。

「勝手に逃がしていいのか?」

「えぇ、あの子は野生でも暮らせるわ」

何故、そんな事がわかるのかと思ったが
今は特に訊く必要も無いので無視する。

「それより、コイツが事件の原因だと思うか?」

「知らないけど、見る限りただのチンピラね」

「こーゆー場合って組織の犬ってパターンだな」

「……それはそれで嫌ね」

さっきから無責任な会話をしていると自分で思う。
しかし、真面目に事件を解決しようとしているのは事実だ。

そこで俺はふと疑問が頭に浮かぶ。

「お前、事件に何となく乗り気じゃないか?」

「貴方こそ……いえ、貴方はそれが旅の目的だったかしら?」

逆に問われるが、あまり答えたい質問ではない。
確かに事件を調べておきたいところではある。

「もう同じ行動をする理由は無いんだ」

「でも目的地は同じだわ」

俺は少し呆気に取られたが内心笑っていた。
久しぶりに会話らしい会話をしたからだと思う。

「よし、なら目的地を探らなきゃいけないな」

俺は男の背中を思い切り踏みつける。

「ぐっ……」

「寝起きで悪いが、洗いざらい話してもらおうか?」

15 :ika2005/09/30(Fri) 17:21:09 ID:TLV4SQDU
非常に気分が悪い。

「木に吊るさなくてもいいだろ」

「趣味よ、気にしないで」

俺は吊るされた男が一刻も早く、誰かに発見される事を願った。





結局、わかった事はコイツがただのチンピラだったと言う事だ。
しかし、収穫はあった。

この辺りで最近、ポケモンの盗難事件が多発している。
その為、小さな事件は起こしても不問になるらしい。

「フスベの事件というのは、そういう小さな事件ね」

「とは言っても、盗難も追い剥ぎも同じだろ」

こうやって夜道を歩いて。
男のポケモンを逃がした俺達。

「……あぁ〜っ、犯罪の片棒を担いでしまった」

「今更よ」

何でもサラッと流すユキに俺は呆れて何も言えなかった。
どちらにしろ、もう後には退けない。

「朝にはワカバに着くだろ、そしたら寝たい」

「朝に寝る客はポケモンセンターでも初めてでしょうね」

「……俺はそこら辺で寝ようかと思ったんだが」

「貴方はもう少し協調性を学ぶべきだわ」

ユキに言えるセリフなのだろうか。

「とにかく、寝たい」

寝たいと思うと眠くなる。
そんな自己暗示にかかりながらも歩くのだった。

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Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。