虹の出る丘

1 :ヂーブ2005/07/22(Fri) 23:35:12 ID:ciE075Oc
どうも、ヂーブです(またかよ、とか言わないでね(ぇ)

ここは、長編小説第2段、『虹の出る丘』スレッドです!
勿論、『ミュウツーと共に…』スレッドも同時に連載するんで、ご安心を…
では、楽しめるかどうかわ疑わしいですが、どうぞごゆるりと…

2 :ヂーブ2005/07/22(Fri) 23:37:49 ID:ciE075Oc
 虹の出る丘


 初日 日の沈む山


 第一話

 幼い子供は…あるはずのない物を追いかける…

 そう、虹さ…

 だけど、大人は虹を追いかけない…

 何故だと思う?…

 それは、光が創り上げている妄想だと知っているから…

 でも、もし…

 虹が、本当に実在する物であるのなら……

 虹の出る丘が、存在するのであれば……


 眩し過ぎるほど紅の色彩を放っている太陽。それは今や、敵なのか味方なのか分からない…
ただ、言えるのは…今、その色彩に見惚れているほどの余裕はないということだけだ。

 対峙し睨み合う二匹。勿論、片方は僕のポケモン。そしてもう一方…全身黒い体毛で被われている。
鋭利な眼光。そして、全てを噛み砕かんばかりに大きい口。“噛み付きポケモン”の名に相応しい。
さて、相手はどう出るのか…

「…グラシユ、突っ走って!」
 その指示を聞き入れた“グラシユ――グラエナ――”。僕には一瞬、グラエナが頷いたように見えた。
そしてその直後、グラエナは姿を消した。素早い動きだ。
「クレセント、周りを見渡せ!」
 僕は指示を出した。無論、僕のポケモンに。クレセントは首を忙しなく動かし、周りを見渡した…
が、グラエナは見つからない…何処へいった?…

「ハル、もらうよ!」
 敵…つまり、“サツキ”の声が聞えた。どういう意味だ?…まあ、大体見当はつくのだが…
「グラシユ、クレセントの上を飛び越えて!」
 意表を突かれた。飛び越える?…いや、そんなこと……させない!
「クレセント、相手を充分引きつけろ!そして一気に…」
「無駄!」
 えっ?…僕は訊き返そうとした。が、訊き返す暇なく、クレセントは倒れることとなった…
「シャドーボール!!」

…ズガァァン…

 時既に遅し。僕はクレセントを見た時…クレセントの顔面は地面にのめり込んでいた。
左頬の辺り…少し凹んでいた。パンチが当ったわけではない…グラエナの、シャドーボールの破壊力。
グラエナはクレセントを見下していた。
「…フーディン戦闘不能。よってこのバトル、サツキ先輩の勝利です」
 審判…いや、アキヒトの声。戦いの終了を伝えた。

 僕は仕方なく、“クレセント――フーディン――”をボールに収めた。彼女…サツキもグラエナをボールへ収めた。
「こめんごめんハル!ちょっと派手にやり過ぎたかも?」
 慰めにならないサツキの言葉。
「…ったく、分かってるなら少しは手を抜いてくれ」
「手を抜いたら、抜かれるじゃない」
「…まあ、ね」
 この言葉の意味…すぐに分かると思う。

「…アキヒト、ポケセンまでひとっ走り、頼む」
「アッキー!私のも!」
 ボール三個を、先ほど審判をしていた少年、アキヒトに預けた。サツキも続いて、ボールを三個アキヒトに預けた。
後輩を扱き使う先輩…あまり関わりたくは無い…アキヒトはそう思っているであろう。
「…えぇ?」
「ランニングだよ、ランニング!近くだからいいだろ?」
「近くだったら、ランニングにならないじゃないですか」
 屁理屈を言うアキヒト。そこで口を挟んだのが…
「いいでしょう?…お願い!アッキーなら信頼できるから!」
「……いってきます」
 走り去るように駆け抜けていったアキヒト。やっぱアキヒトはサツキに弱い。

「…行け!コウチュウ!」
 響いた声。その声の主…僕はグランドの隅を見た。

 一人、僕とほぼ同じ身長の青年が佇んでいる。片手にモンスターボール。
彼も、先程までの僕の立場と同じ。ポケモンバトルをして…負ける運命…

 彼の目の前…赤いポケモン。その大きさ…“虫”にしては大きい。
いや…寧ろあのポケモンは虫の領域ではない。尋常でない、その強さ。両手に大きな鋏を持っている。攻撃の要となる鋏を。
背中には羽が生えているのだが…飛べない。重すぎる故仕方ない。
“コウチュウ――ハッサム――”は勝てるはずのないの相手を睨みつけていた。勝てない…何故僕が分かるのか…相手が悪いから。

 相手…現在のポケモンは…ソルガネル。ハッサムに対して大き過ぎるそのポケモン。全身強固な鋼の被われている。
故、全身灰色。現在は太陽の光で薄く赤み掛かっているが。そして…見るからに強力そうな口。見るからではない。強力だ。
ハッサムを見下す“ソルガネル――ハガネール――”。
どう表現すればいいのか…冷ややかだが、勝利を掴み取ったような闘志をも宿しているその目…
怯えている様子は全くない。いや、そんな様子見たことない…トレーナーしてもそうなのだが。

 本日最大のビックバトル。これを制するのは…“二ノ宮 由妃――にのみや ゆき――”…

 続く…

3 :ヂーブ2005/07/29(Fri) 21:25:16 ID:Ij9PWni.
 第二話

「…コウチュウ、剣の舞」
 ハッサムに指示を出す青年。その語気には勢いがない。勝算を分かりきっているから…
勝てないバトルと、戦う前から分かっていたはず…でも何故、彼はユキに立ち向かうんだ?…
そう訊くと、一つの答えしか返ってこない…

…強くなる為…

 力を溜めているハッサム。攻撃力を高めている。次に出る行動…だがあの巨体を切り崩せるのか?
「…ソルガネル、大爆発!」
「何…!」
 彼の感嘆な声が響いた。だがその声は直後、物凄い爆音で消し去られた。
「…ガネー!!」

…ドガァァァァァン!!…

「…あ〜あ、やっちまったな…」
 背後から聞えた声。この爆音でもこの一言。いかにも先生らしい。
「…というと?」
「グランド整備代。毎月あいつのお陰でどれだけ消えてると思う?まあ、いいんだけどね…」
 “大神田 拓哉――おおかんだ たくや――”…と飛び捨てにしたら命がないであろう。
タクヤ先生…彼は再びグランドの隅を見直した。黒い煙が、ほとんど闇に染まりかけている空に消えていく。
勝負はついた…わけではない。

「鋼タイプにノーマル技とは…どういうつもりだ?ユキ」
 倒れているハガネール。そして…ふらつきながら立ち尽くすハッサム。
それを横目で見つめながら…彼は…“播磨 茶粋――はりま さいき――”はユキに問い掛けた。
その答えとは…僕も、サイキも予想していなかったこと…

「やっぱ私、この子で終りにしたいの」
 二つのモンスターボールを両手に握り締め、右手のボールを高々を掲げるユキ。
左手のボールはハガネールに向け、スイッチを押す。赤い光が、あの巨体を一瞬にしてグランドから消し去った。
「…ソル…」
「サンダ!」
 サイキの言葉。それに続いて、ユキが叫んだ。と同時に、右手のボールをフィールドの真ん中に投げ込む。
ボールから光が放たれ、暗くなったグランドを一時的に照らした。
そしてその直後…“ソルサンダ――サンダー――”の全貌が明らかとなった。

 全身黄色で統一されているが、その不統一に形取られた羽の後ろ、円を作り、これまた不統一にジグザグとなっている尻尾の真ん中は、黒色。
足はというと、少し色の薄い茶色の太股から、黄色、というよりは、茶系に近い色の足先が顔を覗かせている。
勿論、左右一つずつあるが、そのつま先は三本、踵からは一本の鋭い爪を携えた指が伸びている。
そして最大の特徴が、鋭い眼光の下から、全てのポケモンの身体を貫かんばかりの、大きな嘴が、威嚇するかの如く生えている…
「…無駄だ!」
「どっちが…」
 ハッサムが動き出した。ユキの言葉を皮切りに、両ポケモン対峙が続く。
先に仕掛けるのは…ハッサムか…サンダーか…
…いや、どちらにしろ、勝敗は…

「雨乞い!」
「燕返し!」
 先に仕掛けたのは…ユキ。サンダーに雨乞いを指示した。
そしてサイキは…燕返しを指示。助走をつけ、両足を使い、思いきりハッサムは跳んだ。
サンダーは空中で向かってくるハッサムを見据えている。全く、動こうとしない。
このままいけば…燕返しは直撃…と…

 雨が降り出した。雨乞いの効果。そして一瞬だった。
「ソルサンダ、雷!!」
「…サァ…」
 サンダーに飛び掛ろうとしていたハッサム。だがサンダーへの攻撃目前…天の裁きを食らった。

…ゴォォォ…ズサァァァン!……

 黒く焦げたまま、ハッサムが地面へと落下していった。
ドサッ…という音とともに、ハッサムは両手を広げ、グランドに倒れ込んだ。
「……流石だ。戻れ、コウチュウ」
 唖然…としてはいられない。サイキはボールをハッサムに向けた。
勝負はついた。本日の戦い、これにて終了。
「終了!」

 サイキの声掛けと共に、グランドの部員達は慌しく後片付けを始めた。
僕もまた、サイキのところへ走り出した。

 播磨 茶粋…おそらく漢字を見ただけでは名前は読めないではないだろうか。
僕もたぶん、読めなかった…というのも、僕と彼が知り合ったのは幼稚園の頃だったと思うからだ。
でもいつから…こんなに遠くになったんだろう…彼の存在が…
「サイキ、お疲れ」

 続く…

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