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Blue Sky

1 :エンタ2005/02/09(Wed) 17:20:34 ID:itj68Ep2
はじめまして。
ポケモン小説だいすき
エンタ(15)です。
今まで僕は読む派だったのですが、
精鋭ぞろいのこの掲示板みて
書く側にチャレンジしようと思います。
皆さん応援してください。

51 :エンタ2005/08/28(Sun) 08:13:09 ID:gweX0z3E
第42話 ツツジの過去 前編

ツツジ「どぉちて?どぉちて勝てないんでしゅの!?」
ダイゴ「僕のダンバルが強いからに決まってるだろ〜?勝ちたかったら、出直してきな〜」
ツツジ「うぇーん、くやちぃヨォ…うえーん」

そこでツツジは目が覚めた。
ツツジ「…久しぶりですわ…うたた寝で夢を、しかもあんなうっとうしい夢を見るなんて…」
ユウキに負け、ハルカに教えを説いた日の午後のこと。ツツジは疲れて部屋で眠り、子供時代の夢を見たのだった。

ツツジは秀才だった。徹底した英才教育を受け、ポケモンも3歳のころから始めていた。
器用で飲み込みが早く、頭も冴えていた。そのため幼いころから武芸百般ありとあらゆる段位を取得していた。
ポケモンもその例外ではない。5歳でシングルバトル一級を、6歳でダブルバトル一級とポケモン検定一級をそれぞれ取得した。
天才少女と謳われ、町の名物にまでなったが、ツツジ本人はそれを嫌がることはなかった。
というより、嫌がることを知らなかったのだ。
ツツジはあらゆることを知っていたかわりに、あらゆることを知らなかった。
喜び、怒り、哀しみ、楽しみの他にも、疑うこと、感動すること…そして何より、負けること。
そんな彼女に負けを教えたのは、同じ町に住むひとつ年上の石蕗ダイゴ少年だった。
圧倒的な敗北だった。その日ツツジは今まで知らなかったあらゆる感情を知った代わりに、たくさんのものを失った。
信頼と愛情。天才の肩書き。無敗の戦績。
ダイゴは当時鼻持ちならない無礼な少年だった。努力をせずとも何でもできる、でも何もしないような嫌われ者だった。
おまけに家が金持ちなので、ツツジのファンたちはみんなへこへこと石蕗のところに流れた。
ツツジはその日から何も思い通りにこなせなくなった。親も愛想を尽かし口もきいてくれなくなった。
どん底の人生だった。ツツジはダイゴを恨んだ。
「あいつさえいなければ、こんなことにはならなかったのに…」
唯一、自分に優しくしてくれた祖父も他界し、ツツジは幼くして孤独になった。

家出したツツジは貨物船に忍び込み、ホウエン地方にたどり着いた。
そこはツツジにとって楽園だった。
誰も自分のことを知らない。天才と期待もされないから気が楽だ。
自分と同年代の子供ともたくさん仲良くなった。
ツツジは故郷のこと、親のことを忘れて幸せな日々をすごした。

だが、数ヵ月後…
ツツジの暮らしているカナズミシティに、最悪のニュースが入った。
あの石蕗家が、この町に会社を設立するというものだった。
いあいぎり男のおかげで土地ばかり広がっていたことに目をつけたらしい。親友のよしみということもあった。
そうしたらもちろん、ダイゴもこの町に来るはずだ。
「返り討ちにして、町から追い出してやりますわ!これ以上幸せを奪われてなるものですか!」
ツツジの頭には、雪辱を果たすことしかなかった。
ツワブキ一家が引越してくるまでの間、ツツジはポケモンの特訓に勤しんだ。
そして彼女は再戦に臨む。この地で手にした新しい仲間を携えて。

52 :エンタ2005/09/07(Wed) 18:12:01 ID:ZmjanPeM
第43話 ツツジの過去 後編

その戦いは、死闘と呼ぶべき凄まじさだった。
互いのポケモンがぶつかり合う度、嵐の吹きすさぶカナズミの広場に金属音がこだました。
負けたほうが町から出て行くという条件のもと、試合はダイゴが優勢かに見えた。
しかし、ツツジが彼に勝つために用意していた策は、一般人の常識を超越しえるものだった。
意表をついたほのおわざで敵を引き離すかと思えば、じりょくで引き寄せたりもする。
戦いは石蕗ダイゾウ(現在のツワブキ社長)の審判のもと、4時間に及んだ。
そして、お互いがとどめの大技にかかろうとしたそのとき…!

ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

突然の津波にさらわれ、両者は海に投げ出された。
ツツジは必死に手を伸ばしてダイゴの服の端をつかんだ。
このとき交わした言葉は、今もツツジの胸に残っている。

ダイゴ「ぷはっ…なんで…僕を助けるんだ!?お前は僕を憎んでいたじゃないか…ッ!」
ツツジ「クスクス…それは、まだ決着がついていないからですわ…
    このまま海の底に沈んでもいい…死ぬまで、いえ、死んで地獄に堕ちてからも、
    決着がつくまで戦い続けましょう…!!!」
ダイゴ「…ッ!」

結局、二人とも救助されて地獄落ちを免れ、
勝負は無効となり、両方町に残ることになった。
その後ダイゴは少しずつ性格が変わっていった。ツツジのように、一途でいて気ままな性格に。

ツツジ「0勝1敗、99引き分け…ですか。百戦錬磨とはこのことですわね」
彼女は今日の1ヶ月前、ダイゴと戦った。あの日以来ツツジは一度もダイゴに勝っていない。
もちろんダイゴもあの日以来一度もツツジに勝っていない。
つまりユウキは、ある意味既に師匠を超えているのだ。
ツツジ「クス…将来が楽しみですわ。」

あたたかい日差しが、新たな旅立ちを祝福していた。

53 :エンタ2005/09/11(Sun) 17:01:00 ID:UqgPLuFw
第44話 Hey!レッツあなをほる!

ユウキ「っかぁーーッ!!腹減ったァーーーッ!!もう42m67cmは上ったぞぉーッ!?」
りゅうせいのたきに向かう道、115番道路。
といっても、山道はものすごく険しいので、専ら下り道か修行などに利用され、登ろうとする愚か者などいない。
ユウキ「くっそォ…上から見たことは何度もあったけど、こんなに険しいとは…これ63度はあるな、傾斜…」
ちなみに、ユウキの現在地(地上42m地点)の傾斜角度はドンピシャである。
ユウキ「お前らも腹減っただろ…多分もうすぐ着くからな、りゅうせいのたきに。」
すると、岩壁から聞き覚えのある音が聞こえてきた。
「…Hey!…Wow!」
ユウキ「ま、まさか…」
ボコ―――――――――ン!
ヒサヤ「ィヤッホ―――!!!!着いたぞ、反対側!!イエス!イエス!!イエ――――――――ッス!!!!」
ユウキ「ヒサヤ!」
ヒサヤ「おう!久しぶりユウキ!アー丸、ご苦労さん」
さすがにこの岩壁に素手で穴を開けるのは無理があったのだろう。アーマルドに手伝ってもらっていたようだ。
今のヒサヤはごきげんモードだが、引きこもりモードのときはとっつきにくいのでユウキはあうたび警戒しているのだ。
ユウキ「…あれ?待てよ?お前がここにいるってことは…あの穴、掘りきったのか!?」
あの穴とは、ヒサヤが毎日掘っている家の裏側の穴のことである。
ヒサヤ「あれ?言ってなかったっけか?この穴はNo.026の穴だよ。」
ユウキ「26番?何だそりゃ?」
ヒサヤ「何ってお前…堀岡ヒサヤのディグダネットワークのネット番号だよ。
    あの穴を枝分かれさせて、ホウエンのあらゆるところとリンクさせる予定なんだ。」
ユウキ「でぃぐだ?」
ヒサヤ「おうよ!ディグダは穴掘りの神様だぞ!っつってもホウエンには棲んでないから僕が代わりに掘ってるんだけどな。
    そもそもディグダは…」
得意のうんちく発動直前に、ユウキがストッパーをかける。
ユウキ「お前、そんな穴掘ってどーすんの?まさか金稼ごうってんじゃ…」
素朴な疑問である。
ヒサヤ「ノンノンノン。そんなことはしないよ」
引きこもりモード時ならやりかねない。
ヒサヤ「これは今度のホウエンサミットの連絡用の穴だ。ちょっと高度がずれたけど、カナズミに近いし…」
ユウキ「ホウエンサミット…?」
ヒサヤ「今の時点で完全に通じてる穴はハジツゲのNo.000とフエンのNo.012、そしてこのカナズミのNo.026の三種類!
    最近は地震やら大雨やらでダメになる危険性があるから補強が必要だけど…」
ユウキ「ホウエンサミットって何だ?」
ヒサヤ「ん?ダイゴから聞いてないのか?」
ユウキ「みんなそれだよ!師匠は今どこにいるんだ?」
ヒサヤ「さっきうちに来たけど…まだハジツゲにいるかもな」
ユウキ「そうかな…なんか、行っても無駄な気が…それより、ホウエンサミットって何だよ?」
ヒサヤ「…面倒くさいから一回しか話さないぞ?よーく聞いておけよ」

54 :エンタ2005/09/11(Sun) 17:02:26 ID:UqgPLuFw
第45話 ホウエンサミット

ヒサヤ「ホウエンサミットってのは、緊急時にジムリーダーやらチャンピオンやらホウエンの有力者たちと、
    オダマキ博士やらツワブキ社長やらホウエンの有権者たちが執り行うポケモン最高機関のことだ。
    今度の会議の内容は、赤装束の軍団…つまりマグマ団の、計略の詳細とその対処法および超古代ポケモン復活の阻止…の検討。
    超古代ポケモンってのは要するにたいりくポケモン・グラードンのことだな。
    身の丈12尺、重さ250貫にも及ぶ超ド級重密度ポケモンだと言ってたが…どうだかな。
    なにしろ伝承の上での存在だからな。ポケモンが大地を築いただなんてにわかには信じられないっつーの。
    それで、そもそもホウエンサミットってーのは民間から独立した機関なわけで、
    今回もことを隠密に進めるためジムリーダーはパートナーを会議に出席させることになっているんだ。
    僕は一応フエンタウンのアスナのパートナーに抜擢されて…まぁ、こんなに詳しいってことだな。」
ユウキ「…オレは民間人だぞ?フツーに話しちゃっていいのか?」
ヒサヤ「は?何言ってんだお前、ダイゴのパートナー様がよっ。」
ユウキ「…え?」
ヒサヤ「…き、聞いてないのか、やっぱり…もしかして、とは思ったが…。」
ユウキ「聞き飽きたよ、チクショウ…」
ヒサヤ「…まぁ、お前も会議に出席することになってるからよ…とりあえず、今週の金曜日だから」
ユウキ「…師匠…何でもったいぶってたんだろう?」
ヒサヤ「さあなぁ。実力を測るためじゃないか?
    僕もなんだかんだ言って自分のトレーナースペックに気づいてるわけだし…
    それ相応の実力がないとマグマ団とは戦えないからなぁ。」
ユウキ「…お、オレはほぼ互角に戦ったぞ!…って、お前トレーナースペック使えんの!?教えろよ!!」
ヒサヤ「ん?言ってなかったっけか…?」
ユウキ「ツツジに見せてもらったのが最初だよ…いいなぁ、自分だけの能力…憧れるよ」
ヒサヤ「まぁ、きっかけなんてどこにでも転がってるもんさ。案外、もう開花してるかも」
ユウキ「…でも、何で師匠はオレの実力を認めてくれないんだろう…」
ヒサヤ「はは…マグマ団は相当な実力だからな。ほのおポケモンが主力とはいえ、他のタイプも見事に操るしな…」
ユウキ「敵ながら…確かオレの時もバルビートとイルミーゼを使ってきたしなぁ…」
ヒサヤ「バルビート…?お前、そりゃ紅蓮のホタルじゃないか!」
ユウキ「し、知ってんの!?」
ヒサヤ「この間の第一回の会議で話題に出たぞ…そいつは、下っ端のイレギュラーだろ?幹部にこき使われてる」
ユウキ「…あれで下っ端…!?」
ヒサヤ「掘れ見ろ、ぜんぜんダメじゃんか。」
ユウキ「さりげなく掘れとか言うなよ!そういうお前はどうなんだ?」
ヒサヤ「や、ヤバイ…お前が掘れとか言うから…フ、フフ、ウフフフフフフフフフフフ…」
ユウキ「げ…や、ヤバイ!」
ヒサヤ「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」
ヒサヤは元きた道をまっしぐらに帰った。
ユウキ「ひっぱるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁおええぇぇぇぇぇ」

55 :エンタ2005/09/13(Tue) 21:00:03 ID:SFTmMJow
第46話 誘拐

ユウキ「おぅぇぇぇぇぇぇえええええ」
ここはヒサヤの家の手洗い場。
ヒサヤ「ふぅ…危なかった…掘ってないときに掘れとか言うのタブーだって言っただろ?」
ユウキ「ズマン…」
ヒサヤ「…ワビは今日も出かけたか…どこで何やってるやら」
まさか今隣で吐いている男の親友に首都高レースの特等席で眠らされているやら何やら、とは思わない。
ユウキ「成り行きでついて来ちゃったけど、どうするんだ…?」
ヒサヤ「さぁ?ネットワークの情報化に付き合ってもらうかな…」
と、そこへ大空バンリ(おじさん)が慌しく入ってきた。
ユウキ「あれ?おじさん…」
おじさん「おぉ、ユウキくんも一緒か!!た、大変なことが起きたんだ…!!」

ユウキ・ヒサヤ「ええぇ〜!?誘拐!?」
おじさん「そうなんだ…朝起きたらマナカの代わりにこれが…!」

脅迫状

大地の巫女は預かった。
返してほしいと言われても返すわけにはいかないので
身代金とかいくら用意しても無駄ですので、そこんとこよろしく。

              マグマ団より

ユウキ「うっわ〜……何これ、いたずらメール?」
おじさん「な?ユウキくん、おじさんを助けると思ってマナカを助けにいってやってくれ!!
     あいつはまだポケモンも持ってないし、危険すぎる!」
ユウキ「…はぁ、わかりましたよ。行って来ます。」
ヒサヤ「僕はダイゴを探すよ。嬢ちゃんのことはまかせた」
彼は何故か同い年のはずのマナカを嬢ちゃんとよぶ。
おじさん「頼むよぉー?」

ダイゴはその頃、プテラで海の上だ。
ダイゴ「はぁ…ムロにおつかいか…ったく、ムロとハジツゲの距離がどれだけ遠いと思ってるんだ…そろそろ着くかな」
???「ダイゴちゃん、独り言ばっか言ってると禿げるよ〜?」
下のほうから声がする。プテラについてこれるポケモンなんて…
ダイゴ「え…? !! ハッ、ハヅキ先輩!?」
ハヅキ「はっはっは、久しぶり!変わったなぁ、ダイゴちゃん…
    あたしが卒業してから一度も会わないと思ったらチャンピオンになってんだもん」
ダイゴ「はは…すぐ降りちゃいましたけど」
ハヅキ「それはそうと、あのエアームドちゃんはどうしたの?」
ダイゴ「いやぁ〜、僕もはがね使いとして一躍有名になってしまったので…
    挑戦者に弱点を狙われるのは懲り懲りでして」
ハヅキ「それで乗り換えたわけねぇ…」
ダイゴ「プテラのほうが速いですしね。逃がしたわけじゃないけど、ちょっと現役引退してもらっちゃってるわけですよ」
ハヅキ「ふ〜ん…あんた、恋人すぐ乗り換えるタイプね」
ダイゴ「はは…それはそうと、先輩は何でここに?」
ハヅキ「あぁ、ちょっとおじいちゃんに用があるんで飛んできたんだけど…
    ダイゴちゃんを見かけたからつい…あたしもう行くね。じゃ」
ダイゴ「じゃあ、また」
ハヅキは超高速でキンセツ方面へと飛んでいった。

ユウキ「…にしても、大地の巫女って何のことだろ?まぁ、いいか」
現在ユウキはえんとつ山付近をうろうろしている。
例の噴火がマグマ団の手による人災だったので、この山の近くに本拠地があると踏んだのだ。
ユウキ「う〜ん、アジトどこかなぁ…ん?
    …あ!」
   「…あ!」
そこにいたのは…
ユウキ「ほ…ホタルッ!!」

56 :エンタ2005/09/15(Thu) 21:14:55 ID:A19Wa0EU
第47話 戦線協定!

ホタル「て…てめッ!よくもノコノコと現れてくれたな!?
    ここで八つ裂きにしてやるッ…て、そんな事してる場合じゃなかったんだ。
    ガキとじゃれてる暇はねぇ、オレの気が変わらないうちに失せろ!!」
ユウキはいきなりでもうわけがわからなかったが、とりあえずガキというのは聞こえたようだ。
ユウキ「ガキとは何だよ、ガキとは!オレと背7cmくらいしか変わらないのに!」
ホタル「うるせェ!お前、さっさと帰れよ!!ここに何しに来てんだよ、ガキの遊び場じゃねーぞ!?」
ユウキ「マナカを助けに来たんだよ、誘拐犯から!お前こそなんでここにいるんだよ!?」
ホタル「そりゃ、お前自分のアジトだからに決まって…ん?
    お前もあの小娘を助けに来たのか?奇遇だな、オレもだ」
ユウキ「は?お前たちがさらったんだろ?」
ホタル「そーだけどよ…粋じゃねェだろ、女さらいなんて。ダサいダサい。」
ユウキ「…マジで?」
ホタル「ほら、オレはこの間(お前のせいで)任務失敗して、(お前のせいで)こっぴどく叱られて、
    (お前のせいで)次の任務からはずされちまったからよ…腹いせに、
    ヤツらに一泡吹かせてやろうってんだよ」
ユウキ「…言葉の隅々に殺気が漂ってるのは置いといて…同じ目的なら、協力してくれるんだよな?」
ホタル「あ!?協力だぁ!?てめェ、ジャマしたら焼き殺すからな」
ユウキ「お前こそ!」
こうして、ナゾの戦線協定が成立した。

マユミ「海の巫女の情報がまるで無いですね。それよりも、アクア団とやらは今どうなってるのでしょうか?」
ミクリ「今のところ動きは無いが…ハルカくんの情報によれば、ヤツらは過去に
    宝珠の守人の一族の目を完全にくぐり抜けて、誰にも気づかれず…ここがポイントだ…盗みをやってのけたようだ。
    今この時も…どこかで影を潜めているかもしれん…」
マユミ「護衛は完全ですか?」
ミクリ「いや、今は手薄だ…ワビスケくんの協力が得られなかったからな。
    一応、おくりびやまのふもとに住む木の実名人ご夫婦に、協力を要請しているのだが…」
マユミ「あの二人は顔が広いですからね…あ、ミクリさん、メールが…名人からです」
ミクリ「見つかったかな?」
マユミ「孫娘のハヅキさんに直属の護衛を勤めさせるそうです。守人の一族の長にも、了解とってあるそうですよ。」
ミクリ「しかし…ユウキくん一人で彼女の救出は大丈夫だろうか?」
マユミ「そうですねぇ…ヒサヤを着いていかせたほうがいいでしょうか?」
ミクリ「事情を話したほうがいいな。ダイゴは今ムロタウンにいるんだから…」
マユミ「あ、何なら彼女を呼びますか?」
ミクリ「…?」

57 :エンタ2005/09/19(Mon) 15:28:49 ID:KGNxWDFo
第48話 ファインディング マナカ

ユウキ「おまえ本当に場所知ってるのか?」
ホタル「あぁ、確かこの先に…この角を曲がって…と、ホラあの牢屋だ。」
ユウキ「ホラあの牢屋って…空っぽじゃんか…」
ホタル「あれ?」
ユウキ「お前ッ、やっぱり騙したな!?」
ホタル「んだと!?ざけんな!!」
???「おいおい、仲間割れはその辺にしたらどうだ?」
とたんに二人は声のほうを振り返る。
巨大なフライゴンを従えた赤装束の女が立っていた。
ホタル「んだよ、ウスバカ。あのガキ逃がしたのもテメェか?」
ウスバ「私の名はウスバ。少なくともお前よりバカではない。」
ユウキ(確かに)
ウスバ「それにしても感心しないな。アジトに部外者を連れ込んで
    あげくに人質を逃がすとは…」
ホタル「オレたちは今ここに来たんだ!妙な言いがかりはやめろよ!!」
ウスバ「問答無用だ。リーダーのところに連れて行く。」
ホタル「なッ…おい、それだけは…」
ウスバ「…問答無用と言ったはずだ。お前も来い。」
ユウキ「オレもッスか!?」

実は、マナカは自力で牢を抜け出していたのだ。

今から30分前…

マナカ「はぁ…何でこんな事になってんだろ…」
牢屋の外には見張りがいた。ワンリキーとゴーリキー。いずれもマグマ団のトレーナーによって鍛えられているようだ。
マナカ「…でもきっと、白馬に乗った王子様が助けに来てくれる!…はず」
マナカは夢見がちである。実際助けにきたのは、いとこの新米トレーナーとマグマ団を裏切った下っ端。
どちらも王子様とは到底似ても似つかない。
マナカ「こんなときはゆびでもふってよう…」
ちっ。ちっ。ちっ。ボーっとしながらゆびをふっていると…
マナカ「うわぁっ!!ビックリした!!」
そとで見張りをしていたゴーリキーが興味津々にマナカの指を目で追っていたのだ。
マナカ「…これ、面白い?」
するとゴーリキーがうんうんと頷くので、マナカはゆびをふり続けていた。すると…

ドッカ――――――――――――――――――ン

遠くで爆発音が聞こえた。驚いた見張り番たちは、ゴーリキー一匹置いて原因を確かめに行った。
当のゴーリキーはゆびふりに夢中になって、いつしかその動きを真似ていた。
マナカはこれはチャンスと交渉に出る。
マナカ「ねぇ、キミ。このゆびをふるっていうわざ教えてあげるから、ここから出してくれない?」
ゴーリキーは少しためらったが、魅惑のゆびの動きをマスターできるならと同意した。
交渉成立!ゴーリキーはパンツから鍵を取り出し牢を開けた。
マナカ「人の言葉がわかったり、鍵が扱えたり…ポケモンって、頭いいんだ…」
とはいっても、鍵を使えるのはその教育を受けたからである。
ゴーリキーは、ゆびをふるを教えてもらいたくて仕方ない様子だ。
マナカ「やれやれ…ポケモンの世話も大変だねー…」

58 :エンタ2005/09/19(Mon) 15:33:02 ID:KGNxWDFo
第49話 ユンゲラー戦

マナカ「よっし、リッキーくん、次はどっち?」
リッキー「ガウッ!」
マナカ「右ね。わかった!」

マナカは、ゴーリキーにゆびをふるを教えたあと、ゴーリキーが道案内をしてくれる様子だったので、
ゴーリキーの示す道をひたすら邁進しているのだ。
もうすっかりうちとけて、「リッキー」なんてニックネームまでつけてしまった。

マナカ「あれ、何か広場に出たみたいだよ?」
煮えたぎるような地下牢からしばらくのぼった所だ。奥には光が漏れ、涼しい風も吹いている。
が、広場の真ん中に一匹のポケモンがたたずんでいた。というより、座っていた…寝ていた?
マナカ「なーんだ、ケーシィじゃない。一日の半分以上ねてるポケモンだよ。平気へいき」
が、ケーシィは寝てる間も常に念力を作動させている上、タイプ相性から言っても圧倒的に不利である。
マナカ「一気に突破しちゃうよー!」
と、その瞬間!!マナカのポニーテールに無数の何かが突き刺さり、壁に打ち付けられてしまった。
マナカ「いった〜い…、!!こ、これは…スプーン!?」
かなしばりの力がかかっているらしく、身動きが取れない。
ケーシィだと思っていたのは、さいみんじゅつで別の姿をみせていたユンゲラーだったのだ。
マナカ「…サジを投げたって事ね!相手は勝負を諦めてる.いっちゃえ、リッキーくん!!」
彼女の思考は常に楽観的である。
さすがにタイプ相性が悪いと戦闘は不利だ。
おまけにかくとうタイプの得意な近距離まで詰めても、テレポートですぐ間合いを取られてしまう。
広場をうまく利用した戦法だ。リッキーもなすすべなく押され続けてしまっている。
マナカ「…こ、こうなったら…リッキーくん、ゆびをふる!」
突然、マナカの指が光った。リッキーの指も光った。
マナカは、このゆびをふることでどんなわざが出るのか直感的に確信した。
マナカ「必殺アッパー、シャドーパンチ!!」
ユンゲラーはテレポートしてどんなわざも見送るつもりでいたのだろう。
だが、その一撃はユンゲラーの足元…影から放たれた。
こうかは…ばつぐんだ!
マナカ「自分の影から攻撃されれば、さすがによけられないでしょ!あたしの勝ちー!」

59 :エンタ2005/09/19(Mon) 15:36:14 ID:KGNxWDFo
第50話 ゴローン戦

でこぼこさんどうの反対側、ハジツゲに面した険しい部分に牢屋の出口はあった。
マナカ「すっずしーーーーーー!!さっきまでの火山の暑さがウソのようだね!」
とはいったものの、噴煙や火山灰のチリ等で視界は悪いため、涼しさは半減だ。
リッキー「ガウ、ガウガウッ!!」
マナカ「ん?何…?」
リッキーの指差す方向…えんとつやまの頂上には、なんと…
マナカ「イシツブテと…ゴローン!?」
猛スピードで転がってくる。その上、数が半端ではない。
マナカ「全部よけられると思う?リッキーくん」
リッキー「がう…」
マナカ「と、とりあえずゆびをふるーッ!!」
また指が光る。次のわざは…
リッキーのこぶしの一振りで突風が起こる。相手を強力な風で追い返すわざ、ふきとばし。
しかし、イシツブテは飛ばせたものの、ゴローンはそうはいかない。5匹のゴローンがマナカめがけて転がってくる。
マナカ「あぁぁぁ、どうしよっ、どうしよっ!?」
そのとき…リッキーの体が光った!
その腕は4匹のゴローンを一気に押さえつけた。
…カイリキーに進化したのだ!
マナカ「リッキーくん、すごーい!…って、まだ一匹残ってるし〜!?キャー!!」
しかし、その一匹も動きが止まり宙に投げ出された。
マナカ「あー!さっきのユンゲラーくん!?」
が、もうそれはユンゲラーではなくフーディンだった。
この二匹は通信交換により進化する。
遠くにいるトレーナーのもとから離れ、マナカを主人と認識したため、遠隔通信交換が成り立ったのだ。
マナカ「ねぇ、浮かんでるゴローンくん!どっちに行けば山を下りられるの?」
ゴローンは4つの手で別々の方向をさしたので、フーディンに痛めつけられた。
マナカ「フーくん、その辺にしておきなよ。」
フーディンは言葉に応じ、ゴローンをおろした。「フーくん」には順応できたようだ。
今度はゴローンがさした方向はひとつだった。
マナカ「…ねぇ、ゴロくん。キミも一緒に来ない?」
ゴローンは喜んで飛び跳ねた。いたずら好きだが、なかなかすなおな性格のようだ。
だんだん霧が深くなってきた。いかにも「出そう」な雰囲気だ。
マナカ「さてと、山を降りよう!ゴーリキー、ユンゲラー、ゴローンとくれば次は…」
???「ゴーストかしら?」
マナカ「そうそう、ゴース…と?」
???「残念でした。次はもちろん無いわ。正解はマグマ団の大群でしたー♪」
霧の中から迫る無数の腕で、マナカは取り押さえられてしまった。
マグマ団「さあ、今日は海がなくなる記念日だわ!リーダーの所へ行くわよ!」
マグマ団「イエッサー!」
マナカは無数の手に捕捉され、そのまま霧の中へと消えていってしまった。

60 :エンタ2005/09/24(Sat) 14:51:24 ID:P3er5ZTg
第51話 マグマ団本部

ユウキ「…おまえ、何でここにいるんだよ…まぁ、見つかったからいいけど」
マナカ「捕まっちゃったのよ…」
ここはえんとつやまの火口部分。ものすごく広くドーム上になっていて、噴煙がなければ空が見える。
ホムラ「…ホタルよ…とうとうURAGIRIやがったな…。」
ウスバ「もうすぐリーダーが来るよ。適当に裁かれな。」
ホタル「うっせぇ、ウスバカ!だいたい人質なんて時代遅れだぜ!」
ウスバ「あら、人質じゃないわ。本来の目的は身代金じゃなくてこの子本人…
    正確には、この子の力だもの。」
ユウキ「そんな事させるか!」
ホムラ「おぉっと、ここにはホタルよりも強いヤツラがZOROZOROしてんだぜ!?」
ユウキ「くっ…」

やがて、噴煙の中から一人の男が現れた。
ホムラ「あの方が俺たちのBOSS、マツブサ様だ。」
ユウキ「………」
そのマツブサという人は、炎の持つ凶暴性と破壊性だけを持ち合わせたような男だった。
マツブサ「…その少年は誰だ?」
ウスバ「はい、ホタルと共にアジトに侵入したものです。」
ホタル「リーダー、オレの処分を決めろよ。どーせ焼き殺して証拠隠滅、とかだろ?」
ユウキ(証拠…?何か知ってるのかな…)
マツブサ「ホタル、今回のところは見逃しておいてやろう。」
ホムラ「な!?NANでだよ、BOSS!?」
マツブサ「ボスではない。それと、その少年は大地の巫女とは隔離して幽閉しておけ。」
ホムラ「拷問は?拷問はしてE〜のか!?」
ユウキ「血の気の多いやつだな…リーダーが幽閉っていってんじゃん。
    そういうのは素直に従うべきなんじゃないのか?」
マツブサ「ほう…部下にしても悪くない精神だな。」
ユウキ「こんなショボイ組織、誰が入るか!」
マツブサ「クハハハ…元気な子だ。親父さんに似ているな!」
ユウキ「な…お前父さんのこと…」
突然、ユウキは太い腕に押さえられ、身動きが取れなくなった。
マツブサ「少しおしゃべりが過ぎたな…連れて行け。」
マナカ「ユウキッ!!」
マツブサ「大地の巫女は、そうだな…レッカの研究室にでも案内してやれ。
     あそこは逃げ場どころか、ピカチュウ一匹抜け出す隙もないからな」
ホムラ「うげっ…俺だったら、死んでも嫌だZE…」
マナカ「そんなの…嫌に決まってんでしょッ!!」
そのとき、再びマナカの指が光った。マナカは迷わずゆびをふった。
マナカ「どこでもいいから、知ってるとこへッ…テレポ―――――――――トッ!!」
シュン…
ホムラ「き…消えた!?ホタルも、小僧も、MINNA消えやがった!!」
ウスバ「…リーダー、どうします?“裏”に調べさせればすぐに居場所を特定できますが…」
しかし、当のリーダーは聞いていない様子だ。
マツブサ「素晴らしい…これが、大地の巫女の力…!!この力を持ってすれば…!!」
ウスバ「…ええ、忌々しい海を消し去り、大地だけの楽園を…
    人類の夢を叶えることができましょう。」
マツブサ「…?あ、ああ、そうだな…」
一瞬動揺しているかのように見えたが、彼はあくまで平静を装った。
マツブサ「“裏”は動かす必要はまだない。ホタルが帰り次第おくりびやまに向かうと第3グループに伝えておけ。」
ウスバ「!?し、しかし…!!」
マツブサ「心配ない。私が直々に出向く。ホタルも、下手な真似はできないはずだ…」
ウスバ「そうですか…。われわれはその間、何をいたしましょう?」
マツブサ「…アクア団が動き始めた。必ずヤツラより先に、超古代ポケモンを復活させる。
     お前たちはアクア団の妨害をするんだ。」
ウスバ「はっ。」
ホムラは、今の現象を不思議に思って目をパチクリしながらウロウロしていた。

61 :エンタ2005/10/10(Mon) 14:24:54 ID:XWBoWqAw
第52話 海の向こう、つかの間の休息

マナカ「…ちょっとこれどういうこと!?何で知らない場所に着くのよ!!」
ユウキ「まぁ、助かったんだからいいじゃんか…」
ホタル「…ったく、一時はどうなることかと思ったぜ。ヒヤヒヤさせやがって…」
・・・・・・
ユウキ「って、何でお前までいるんだよ!」
ホタル「しらねーよ!そいつに聞けよ!」
マナカ「あー、何か悪い人じゃないっぽかったから…えーと…」
ホタル「ホタル…通称、紅蓮のホタルだ。お前は?」
マナカ「大空マナカ。通称、ふしぎ少女マナカ!」
ユウキ「通称って…誰に呼ばれてんだよ…」
マナカ「パパに…」
ユウキ「ふーん…って、えええぇえ!?」
マナカ「別に驚くようなことじゃなくない?」
ユウキ「驚くだろ!ふしぎ少女だぞ!?聞かなきゃよかったぁぁぁ」
ホタル「おい…ここ、ムロタウンだってよ。看板に書いてある」
マナカ「こんな所来たことないよ…知ってるところにしかテレポートできないのに…」
ホタル「へーぜんと言ってのけるけどよ…何者なんだ、お前…?」
マナカ「言ったでしょ、ふしぎ少女って」
ユウキ「…まぁ要するにマグマ団が手を出すほどすごい力って事だろ」
ホタル「それより…どうやって帰る気だ?」
マナカ「あー、それなら大丈夫、あたしが…あれ?……」
ドサッ…

住民「いきなりぶっ倒れるたぁ、ぶったまげたなー。どっか悪いんじゃねーか?」
ユウキ「いや、大丈夫だと思います。部屋まで貸してくれてありがとうございます、ブッタロウさん」
ブッタロウ「いんやぁ、礼儀のぶっ正しい子だなー。何か用があったらどこにいてもぶっ飛んでくるぞ!」
ユウキ「それじゃ、また。」
ブッタロウ「おう!お大事に!」
ドアが閉まった。
ユウキ「気さくな人だったな…」
ホタル「はじめて聞いたが、あれが方言か…それよりお前、大丈夫って言ってたが…」
ユウキ「オレも同じようにひっくり返ったことがあるんだけど…
    そのときだけで、あとは全然問題なかったよ。」
ホタル「根拠ねェな…ま、お前が言うなら大丈夫だろう」
ユウキ「それより…マナカがこの様子じゃどうやって帰ろう?
    ヒサヤの穴もさすがに通じてないだろうし…」
ホタル「チッ、チッ。この町に来たからには、戦っておかなきゃなんねぇヤツがいるだろ?
    帰る方法はオレが考えといてやるから、思う存分やってこい」
ユウキ「あ…ムロジム…!!」
ホタルは黙ってうなずいた。
ユウキ「よーっし!!いってくるぜー!!」
ユウキは勢いよくドアを開けて部屋を出て行った。

・・・・・・

ユウキ(…あれ?何でオレ、アイツと仲良くしてんだろ?)
ホタル(…あれ、何で俺アイツにこんな親切にしてんだ?)

62 :エンタ2005/10/10(Mon) 14:25:23 ID:XWBoWqAw
第53話 どうくつの中で

ユウキ「ツツジ戦では一回負けちゃったからな…今度は自分で特訓して、一発KOだ」
そう思ってユウキがやってきたのは、ムロ島北部のいしのどうくつ。
そして、丈夫なツル状の植物数本にどうくつの岩壁と同じ色の流木。
ユウキ「よし…こういうカラクリを造るのは得意だからな…
    そういや、アニキと二人でよく造ったっけ…トラップ」
天井にはつらら状の突き出した岩。それに、持って来たツルを固く巻きつける。
ユウキ「よし!特訓マシーン完成ー!」
この特訓は、見えない攻撃を見抜くためのものである。
ムロタウンジムは暗いとツツジに聞いたので、ほぼ同じ環境のこのどうくつで特訓をすることにしたのである。
ユウキ「さっそく試してみるか…チー、つるぎのまい!!」
手元のツルを引くといっせいに丸太つきのツルが襲ってくる仕組みだ。
ユウキ「せーの…ッ」

ユウキ「あいててて…やっぱ、いきなりは無理があったか…
    29本中避けられたのはたった12本…29発のパンチを17発くらう計算になるな」
中国拳法ではこれを素手で撃ち落とすそうだが…
ユウキはプロの格闘ポケモンと拳で語り合う気はさらさらないので、避けることに専念した。
ユウキ「ココ、お前もやってみるか?」
ココ「…!」
ココはふるさとにやってきて張り切っているようだ。
ユウキはココをちょうどいい高さの岩の上に乗せた。
ユウキ「よーし、いくぞー…それっ!」
ココは避けようとしなかった。何が飛んできているのか見えないし、当たっても痛くも痒くもないからだ。
ユウキ「意味ねーな…そうだ!どうせ避けないなら避けなくてもいいように体を強化しよう!」
ココの纏うヨロイは強い衝撃に弱い。しかし、いわとはがねが完全に混合すれば
ちょっとやそっとでは分離しなくなり、弱点を克服できる上さらに強力なヨロイが出来上がる。
ユウキ「とはいってもどうしよう…いわとはがねって、どうしたら合体するのかな?」
???「食事は上質な石、そして鉄と鋼の合金にして、一度に食べさせるといいよ」
ユウキ「ふむふむ、なるほど…」
???「微弱な振動を長時間与え続ける運動をさせれば、かなりいいヨロイができるはずだ。
    素材にもよるけどね」
ユウキ「なるほど…勉強になりまし…って、師匠ォ!!?」

マユミ「そう…見逃してしまいましたか…」
ミクリ「光とともに消えたって?ふしぎな話だ」
マユミ「…でもまあ、おかげでいい情報が入りましたし…
    それに、彼女の行動範囲ならすぐに見つかるでしょう。」
ミクリ「しかし…次からは気をつけてくれたまえ。今回はよかったが、
    次の失敗が大惨事を招くかもしれないからな」
???「本当にすみません…これ、お返しします」
マユミ「あら?つまらない仕事だから失敗しても半分でいいって言いましたけど…」
???「これは私のプライドにかかわる問題です。お返しします」
ミクリ「いい心がけだね。この世知辛い世の中、マネーが要らないなんてのはキミくらいだよ」
マユミ「これからもよろしくお願いしますね。アオイさん」
アオイ「はい。こちらこそ」

63 :エンタ2005/10/25(Tue) 20:18:11 ID:sfhBhplE
第54話 修行再び

ダイゴ「はっはっは、久しぶり!元気してたかい?」
ユウキ「師匠ッ!探しましたよ、いろんな理由で…」

ダイゴ「ふむ…」
手紙を読み終えたダイゴの、ため息ともつかぬ声。
ユウキ「何が書いてあったんですか?」
ダイゴ「キミには、話しても平気かな…今度の会議には
    完全にサミットのメンバーを集結させろ、とある。」
ユウキ「つまり、ジムリーダーやチャンピオンを全員ってことですか」
ダイゴ「今度の会議は金曜日の午前10:00からデボンコーポレーションの地下会議室で行われる。
    …ところでユウキくん、ひとつ賭けをしないか?」
ユウキ「賭け?」
ダイゴ「キミはこれからムロタウンのジムリーダーと戦うつもりだろう?
    もしキミが一回目の挑戦で勝てたら、キミを正式にホウエンサミットに入会させよう。
    負けたらこれまでのことは一切忘れ、今後マグマ団とも関わらないこと。いいね?」
ユウキ「オレは負けませんよ」
ダイゴ「負けないのなら実力的にもありがたい事だ。しかし、もし負けたら…」
ユウキ「わかりました。さっそく負けないように特訓の続きをするので、
    師匠も手伝ってください!!」
ダイゴ「…え?」

ダイゴ「それじゃ、いくぞ…それっ!!」
支えが外れた。
ユウキ「…1、2、3、4…」
避けた数を声に出して数える。こうすると、同時に複数のことを考えられるようにもなる。
ユウキ「…23、24…1、25…2…」
今度は後ろから戻ってきた分も1から数える。
普通のトレーナーでは到底無理なことだが、ユウキにとっては得意分野だった。
ユウキ「27、28、29!!」
ダイゴ「よし、1往復!次は撃ち落とせ!」
今までは自分とチーに当たらないようにしていたユウキだったが、今度はチーを両手持ちに替えて構える。
ユウキ「一閃流…刹那の剣舞!!」
ダイゴ「…振りが遅い!!隙を見せるな!撃ち落としきれなければ片手持ちに替え、左手ではじき落とせ!」
ユウキ「…4、5、…つッ」
ダイゴ「どうした!すべて落としきれなければ取り残したわずかな拳が集中攻撃の火種となってしまうぞ!」
前の修行とはうって変わって厳しい。二人とも焦っているのだ。
ユウキ「…にじゅう、ろ…く」
ダイゴ「不合格だ。もう一度」
ユウキ「…お願いします!」

一日が、どうくつの中で過ぎた。
29個目を撃ち落とそうというとき、ユウキは目の前が白くなった。

64 :エンタ2005/11/01(Tue) 19:24:17 ID:JgU3XjAU
第55話 あいまみえる宿敵

ダイゴ「やはり、“リバース”か…」
まぶしい。いつの間にかどうくつの外にいる。
ユウキ「いてて…」
ダイゴ「少し、無茶をさせすぎたかな…すまない」
ユウキ「いえいえ、オレの精進が足りないだけですよ」
ダイゴ「…あれ?そういえば何でキミはここにいたんだ?」
ユウキ「ああ、それは…」

ダイゴ「ふむ…その子もリバースで倒れた、か…」
ユウキ「?…りばーす??」
ダイゴ「リバースって言うのは、無理にスペックを行使したときに起こる副作用のことだ。」
ユウキ「…スペックなんて、使った覚えないけど…」
ダイゴ「あのねぇ…剣に変身するポケモンなんて普通いないんだよ?
    キミの力が何らかの形で関係していると思うのが妥当だろう…?」
ユウキ「なるほど…」
ダイゴ「だからキミが自分のスペックの全容を知るまでは
    つるぎのまいを使うたびリバースは起こるものだと思うよ?」
ユウキ「えー、困ったなぁ…」
ダイゴ「つるぎのまいは、なるべく使わないほうがいい。修行の成果を出すのは、最後の最後だ。
    しかし…リバースはスペックが強力なものほど早く訪れると言われているんだが…。
    普通だったら、3ヶ月に一度とかそのぐらいのペースなのに…」
ユウキ「じゃあ、オレって強力なんですか!?」
ダイゴ「まあね。使い方を知れば大きな戦力になることだろう。」
ユウキ「…あ、そうだ!ジムリーダーに勝たなきゃマグマ団と決着をつけられないんだ!」
ユウキはとっさに起き上がってジムに駆け込んだ。

ユウキ「たのも―――――――ッ!!!」
トウキ「やぁ、よくきたね…オレがこのジムのリーダー、トウキさ。」
ダイゴ「…まったく、気が早いんだから…ん?」
固まっているユウキをみて、あとから入ってきたダイゴが声をかける。
ダイゴ「大丈夫か?いったいどうしたんだ…?」
とたんにダイゴも固まる。二人の視線の先には、見覚えのある影。
トウキ「紹介しよう。昨日このジムに入った新人の…苧環ハルカだ」

65 :エンタ2005/11/01(Tue) 19:48:24 ID:JgU3XjAU
第56話 師弟同士の対決!?その1

トウキ「さっそく始めようか。ホントは新人から順に戦ってほしいんだが…
    めんどくさいからタッグバトルってことでいいかな?」
ユウキ「あ…そうだ、入れ替え制でいいですか?」
ダイゴ「手持ちの数を合わせよう。そっちは合計何匹だ?」
トウキ「6匹」
入れ替え制のタッグバトルでは、両者の合計手持ち数が合わなければいけないというルールがある。
ダイゴ(ユウキくんが2匹だから…僕は4匹か)
トウキ「泥試合はごめんだ。手短に決着をつけようじゃないか?」
ダイゴ「望むところだとも…」
ユウキ(師匠とタッグ…燃えてきたーッ)
トウキ「そんじゃ、ま…試合開始といきますかッ!!」
ユウキ「ココ!」
ダイゴ「メタキチ!」
挑戦者チームは、ココドラ&メタング。
トウキ「ボブ!」
ハルカ「……。」
どう「ボブ」なのかわからないがアサナンと…無言のハルカはマクノシタ。
ユウキ「ココ、あなをほる!」
ダイゴ「メタキチ、すなあらし!!」
トウキ「Shit!そっちははがねが二匹か!」
ハルカ「…マクピー…」
ズドオォオォオォオォン!!!!
ユウキ「な!?じしん!?」
ダイゴ「くッ、メタキチ、戻れ!ドグキチ!!」
戦闘不能のメタキチのかわりに彼が新たに出したのはネンドール。ふゆうの特性を持つ。
ユウキ「ココはこの程度じゃへこたれねェッ!いけっ、ココ!!」
ハルカ「…マクピー」
地面から飛び出したココは簡単に投げ飛ばされてしまった。
トウキ「やるなぁ、ハルカ。あてみなげとは」
ユウキ「くっ、修行の成果…見せてやる!」
ダイゴ「ユウキくん、いくらなんでも次にじしんを食らえばおしまいだ。
    僕が援護する!!ドグキチ、スキルスワップ!!」
突然、ココの体が宙に浮き、逆にドグキチは地面に落ちた。
ユウキ「よし、ココ、ふみつけ!!」
空中からのふみつけは通常の何倍もの威力だ。
それなのにハルカは焦りの色ひとつ見せない。
ダイゴ「よし…とどめのじしんだ!!ドグキチ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
アサナンもマクピーも吹っ飛んだ。ネンドールはじめんタイプ。じしんは得意技なのだ。
トウキ「ははは…ダイゴ、お前もやるなぁ…次だぜ、アーネスト!!」
今度はヘラクロス。むしとかくとうの2タイプを併せ持つ攻撃的なポケモンだ。
ユウキ「ハルカは何を出すんだ…ッ!?」
またもユウキは驚いた。
なんと、ハルカのマクピーは…まだ、立っていた!!

66 :エンタ2005/11/01(Tue) 20:15:13 ID:JgU3XjAU
第57話 師弟同士の対決!?その2

ダイゴ「そっちも伊達に鍛えてはいないってことか…なら、これでどうだ!?」
サイケこうせんが炸裂する!エスパーの超技は筋力には阻まれない。
ハルカ「…マクピー」

サイケこうせんは、はたきおとされてしまった。
ダイゴ「…超技を無効化する唯一にして絶対の力…あくタイプ、か…!!」
ユウキ「あとでゆっくり相手してやる!トウキさん、まずはアンタからだ!」
トウキ「お?恐いね〜。お手柔らかに頼むよ。」
ダイゴ「ユウキくん、そいつはかくとうタイプの中でもかなりの素早さだ!油断するな!」
ユウキ「なら…ココ、ころがるでスピードアップだ!!」
ココが、空中でギュルギュル回転する。さわったら指のひとつでも吹っ飛びそうな勢いだ。
トウキ「大技でいくか。アーネスト、メガホ―――ン!!!!」
ヘラクロスがいったん後ろに飛び、羽を広げて猛突進してくる。
ダイゴ「…マッスグマは、ジグザグには走れないという。
    横に進もうとする力が働くと、直進のスピードは極端に落ちるからだ。
    …つまり、こういうことさ。ドグキチ、サイコキネシス」
がくんっ、とヘラクロスが横にそれる。
ユウキ「隙だらけだぜ!ココ、すてみタ――ッックル!!」
ドカッ、という鈍い音がして、ヘラクロスは一気に吹っ飛んだ。
トウキ「強いなァ〜。けど、強いことがアダになる場合もあるんだぜ!!」
ダイゴ「!!まずい、避けろユウキくん!」
トウキ「遅い!アーネスト、きしかいせい!!」
今度はココが吹っ飛んでしまった。
ユウキ「…!!ココッ!!」
ダイゴ「大技を僕に阻止されるとわかっていて…最初から、攻撃をこらえる準備を…」
ユウキ「ごめん、ココ!チー、頼む!!」
ダイゴ(さっきからハルカちゃんは動いていないが…何かやっているのか?)
ユウキは、ジムに入る前にダイゴが叫んでいたことを思い出した。
「つるぎのまいは、なるべく使わないほうがいい。修行の成果を出すのは、最後の最後だ」
ユウキ「…わかりました。チー、がんせきふうじ!!」
ツツジに教わったわざだ。すなあらしの影響で疲れているせいもあり、ヘラクロスは戦闘不能になった。
トウキ「ふふ、やるじゃないか。いけ、タイソン!!」
トウキの三番手は、カイリキー。いわずと知れたかくとうチャンピオンだ。
ダイゴ「いけ、クロキチ!4つの手を封じろ!!」
ダイゴはいつの間にかポケモンを替えていた。あの時ユウキと戦ったメタグロスだ。
ユウキ「チー、あまいかおりで動きを鈍らせるんだ!」
チーは口を大きく開けてあまい口臭を漂わせた。
トウキ「見事なチームワークだなァ!」
ダイゴ「よし、抑えたらサイコキネシスだ!」
トウキ「させるか!タイソン、じごくぐるま!」
捕まえたはずが逆にわざをかけられてしまった。クロキチは投げ飛ばされダイゴの元へ戻ってきた。
ダイゴ「くっ、こうなったら…クロキチ、4色パンチだ!」
ユウキ「?そんなわざあったっけ?」
ユウキと戦ったあのときのように腕がとれ、発射される。
トウキ「4色パンチ…そういうことか」
雷のごとき速さで最初にカイリキーのもとにとどいたのは、かみなりパンチ。
そしてたたみかけるようにコメットパンチ、れいとうパンチがヒットする。
最後に飛んできたパンチは、カイリキーに当たると同時に爆発した。ばくれつパンチだ。
トウキ「ワオ!」
ダイゴ「どうだい?命中精度の低いばくれつパンチでも、連続攻撃のとどめなら
    簡単に当てられるって寸法さ。ま、あまいかおりのおかげもあったけどね。」
トウキ「あっちゃー、やられちまったな。集中攻撃なんて、ひどいぜ」
ダイゴ「ん?それで終わりか?次のポケモンは出さないのか?」
トウキ「オレの3匹、ハルカの3匹。あわせて6匹だ」
ユウキ「ハルカの3匹って…マクピーと、アチャピーだけじゃないのか…?」
あのマクピーのような強いポケモンが、あと二匹いる。そう思うと、急に悪寒がしてきた。
ユウキ「勝てなかったらどうしよう…いや、勝つんだ。何としても!!」
ハルカ「マクピー…」
それまで動きがなかったマクピーが腕を振り上げ、ジムの床に振り下ろした。
ズズ――――………ン
轟音と共に、ジムの床はひび割れ崩れ落ち、岩場のようにデコボコになった。

ハルカ「勝てなかったら…どうする?」

67 :エンタ2005/11/03(Thu) 12:52:16 ID:xFVCo9to
第58話 師弟同士の対決!?その3

ダイゴ「…動きがないと思ったら…ずっと、力をため続けていたというのか…?」
トウキ「半分正解、半分はずれってとこだね」
ハルカ「半分で50点か。追試決定ね、ダイゴ」
ダイゴ「半分…どういうことだ?」
トウキ「強くなったのは攻撃力だけではないってことさ!」
ユウキ「ゴチャゴチャと…!」
ユウキが叫びざまマクピーに斬りかかった。
ユウキ「騒いでると…ッ」
声と同時に止められた。イッセン直伝の太刀を、片手で。
ダイゴ「筋力強化…ビルドアップ…!!」
トウキが拍手をした。
トウキ「けど残念だ、ダイゴ。問題は正解でも、勝負には勝てないな」
ユウキ「攻撃が防がれるのなら…戦闘不能にするまで!チー、場外に吹っ飛ばせ!」
チーがマクピーを挟み込む。
トウキ「いくらかいりきバサミとはいえ、限界まで強化されたポケモンだ。
    ハサミを押し広げるのなんて簡単だろうぜ?」
ユウキ「チー、がんばれ!そのままぶっつぶす勢いでいけ!」
力みすぎているせいか、だんだん口が上を向いてきている。対するマクピーは依然余裕の顔つきだ。
ハルカ「…マクピー、そろそろ」
マクピーが足も使ってチーの口を押し広げる。
ユウキ「今だ、チ――――ッ!!」
チーの口から射出された緑色の光が、マクピーの体を覆いつくす。
次の瞬間には、マクピーはいなくなっていた。ドボーン、という音が聞こえた。
ユウキ「待ってたんだよ、ガードがガラ空きになる瞬間をな」
トウキ「ソーラービーム!?マズイぞ、海に落ちたら筋肉は浮かないんだ!」
ハルカ「平気よ師匠、彼は自力で帰ってくる。何たってこのアタシのポケモンだもの。」
それを聞いて、ユウキが口だけニッと笑う。ハルカも眉はソの字のまま、口だけ笑った。
ユウキ(さて…こいつを敵に回すとこんなに恐ろしいとはな…。
    相手のポケモンも戦略もわからないんじゃ、一寸先は闇ってやつか…
    あれ、これ父さんの教訓だったっけ?えーと確か…こう言ってたよな)
ダイゴ「僕もがんばる番だな…ハルカちゃん、次のポケモンを出すんだ」
ユウキ(…何も見えなくて、何が起こるかわからないときは…)
ハルカ「…キノピー!」
ユウキ「…力ずくで突破するだけでいい、ってな!!」

68 :エンタ2005/11/06(Sun) 10:17:01 ID:DHJqCd.w
第59話 正々堂々!!

ユウキ「がんせきふうじッ!!」
ハルカが出したポケモンは、キノガッサ。くさタイプを併せ持つ。
ダイゴ「ドグキチ、はかいこうせん!!」
ダイゴは自らが的にされないと判断し、隙が大きく破壊力も大きいわざを集中的に使い始めた。
ダイゴ(キノガッサが倒れたら…一対一にさせてあげよう)
ユウキ「チー、伸びてくるパンチは右なら受け流す、左なら打ち返す!OK!?」
ハルカ「両手ならどうするの?」
キノガッサの伸縮自在の腕が二つ同時に飛んでくる。
ユウキ「(やっぱり…仲間になって日が浅いせいか、命令なしでは戦えないんだ!)
    チー、両方一緒にはさんで、そのままてっぺきだ!」
チーは言われたとおり角を回転させた。キノガッサの腕がねじれる。
ハルカ「…キノピー、腕を縮めて」
キノガッサが腕を縮めると、回転しながら突っこんでくる形になる。
ハルカ「…どくのこな!」
ユウキ「へッ、やっぱ小技がないとダメみたいだな!
    チー、はなしてから回転を続けるんだ!どくのこなを送り返してやるぜ!」
トウキ「そんなおおざっぱな方法でやったら、自分もどくを吸う羽目になるぞ!?」
ユウキ「…はがねポケモンの体には血の代わりにじりょくが流れている。
    だから循環系を媒体として体全体に回る毒は、はがねポケモンには通用しない。…だっけ?師匠」
ダイゴ「おー、よく覚えていたね」
トウキ「ダイゴの入れ知恵か…」
ハルカ「でもまだまだ勉強が足りないみたいね。キノピーのしっぽのどく胞子は呼吸系に作用するの」
ユウキ「げ!チー、はなれて深呼吸だ!!」
ハルカ「その通り…このどくの弱点は綺麗な空気を吸えば元に戻ってしまうこと。
    でも、このジムの中でなら関係ない」
トウキ「昨日一晩かけて考えた作戦さ!」
ユウキ「え…お前、気づいてないってことはないよな?まさかとは思うけど」
ハルカがはっとして上を見た。
ユウキ「…本当に気づいてなかったとは…一晩が無駄になったな」
トウキ「!?マクノシタが投げられたときの…穴!!」
ユウキ「もしかして、室内じゃこのわざは一回しか使えない、とも思ってたんじゃないのか?
    残念だったな!チー、ソーラービ――――ムッ!!!」

ダイゴ「(決まったか…じゃ、僕はこの辺で…)戻れ、クロキチ!」
ユウキとハルカはまたもにらみあい、笑いあった。
ハルカ「おたがい最後の一匹ね」
ユウキ「そうだな。正々堂々いこうぜ!」
アチャピーは、ワカシャモに進化していた。体中の傷跡からその努力がうかがえる。
ハルカ「……アチャピー!!」
ユウキ「チー、つるぎのまい!」
ダイゴ(使うとは思っていたが…今の体力の状況からしても…もって3分。
    その間に決着がつくといいが…)

69 :エンタ2005/11/06(Sun) 11:09:34 ID:DHJqCd.w
第60話 雲断の剣舞

誰の声もしない。鈍い金属音と、豪快な爆発音だけが狭いジムに響きわたる。
先にその静寂を破ったのは、ユウキだった。
ユウキ「てっぺき!」
しかし、防御わざとしてである。相手はどういうわけか命令なしですべてのわざが使える。
普通の人が見れば…いや、誰の目から見てもハルカが優勢だと思うだろう。
ハルカの顔色が悪くなっていることに、誰も気づかなかったからだ。
ユウキ(リバースの手前、長丁場は危険だ。早めに決着をつけないと)
とつぜん、無数のひのこが飛んでくる。あの特訓がなかったらユウキだって避けられなかっただろう。
ユウキ「…さすがに数えるのは無理か…つッ」
避けきれずに、左手ではじいたのだ。あまりの熱さにユウキが一瞬よろけた。
ひのこが、かえんほうしゃに変わった。避けきれない…負ける?
ユウキ「負けるかよ…ッ!!チーッ!!!」
チーの回転速度が上がった。風を起こし、瓦礫を巻き上げるほどに。
かえんほうしゃはその風に押され、威力も落ちた。
ジム内に充満した塵や埃、そしてすなあらしが集まる。吹き荒ぶ竜巻は、ジム天井の穴から天に向かって伸びている。
ユウキの手にかかる負担は並ではない。高速回転の遠心力は腕をひきちぎるくらい強い。
ダイゴ「フ…それでこそ、キミだ。大空ユウキくん」
ユウキが渾身の力で竜巻を振り下ろす。
ユウキ「…風の刃は雲を断ち、敵を仕留める。一閃流オレ式奥義!!雲断の剣舞ッ!!!」

トウキ「…見事だ」
ユウキも、ハルカもアチャピーもみんな気絶している。チーだけがジムに立っていた。
トウキ「ほらよ、ナックルバッジだ」
チーがバッジを受け取り、いそいそとユウキのかばんに入れる。
トウキ「ところで社長の息子さん。この弁償は誰がやってくれるのかねぇ…?」
ダイゴ「うっ…ぼ、僕の口座から…(怖いよ〜)」
トウキ「お、そうだ。パートナーの件だが…たった今決めたぜ。この子にな」
ダイゴ「な!?ダメだ、ハルカちゃんは賭けに負けた!約束どおりこの事件から降りてもらう!」
トウキ「誰を選ぶかはオレの勝手さ。それにお前、どーせ両方に賭けをさせて片方降ろそうって考えたろ?」
ダイゴ「…危険だと、判断したからだ」
トウキ「バカだな。二人ともこんなに強いじゃないか。もったいないぜ?
    それにこの二人の性格じゃ、忘れろったって無理な話さ」
ダイゴ「…わかったよ。父さんに伝えてこよう」

ユウキが起きたのは、金曜日の朝だった。
ホタル「…三日三晩寝やがって…心配するこっちの身にもなれっての」
マナカ「へぇ?ホタちゃん、心配してたんだ?」
ホタル「ばッ…バカ言え!誰がこんなヤツの心配なんか…!」
ユウキ「それよりホタル、帰る方法は見つかったのか?」
ホタル「お前ら二人はな。お前が寝てる間にマナカが穴掘り男に会ったってよ」
ユウキ「ヒサヤのネットワーク…本当に通じてたのか。あいつはあれで侮れないなー」
マナカ「ホタちゃん、ここに残るの?一緒に帰ればいいのに」
ホタル「アホか!捕まっちまうだろ!あとホタちゃんやめろ」
ユウキ「残ってどうするんだ?」
ホタル「さあ?帰るよりはましだと思ってな。ま、ほとぼりが冷めた頃戻るさ」
ユウキ「…ホタル…やっぱり、オレがマグマ団と戦う以上、お前はオレの敵なのか…?」
ホタル「…さあな。どっちでもねーな。迷ってる最中だからよ、今は。」
ユウキ「迷って…?」
ホタル「マグマ団に戻るか。金がなくても隠れて過ごすか…。大人にゃ難しいことがいっぱいあるんだ」
マナカ「やだぁ、ホタちゃんまだ18のクセに!」
ユウキ「マジで?そんなに若…」
言いかけたところで、ノックの音がした。
ヒサヤ「おーい、二人ともー。ここにいるって聞いたんだけどー」
ホタル「じゃ…ぶったオヤジにお礼、言っといてくれな。」
ホタルは窓から出て行った。
去り際に、何かつぶやいていた。しかし、その声は誰にも聞こえなかった。
ホタル「ユウキ…お前がマグマ団と戦う理由は何だ…俺への復讐か?」

ヒサヤ「おーい!早く帰らないと、サミット始まっちゃうぞー?」
ユウキ「あ…おう!今いくよー!」

ユウキ(マグマ団…本当に悪いヤツの集まりなのかな?)

70 :エンタ2005/11/06(Sun) 11:10:53 ID:DHJqCd.w
第2章はいかがでしたか?
次の61話からは第3章・ホウエンサミット編です。

いまさらky(略)番外編・手持ちポケモン編その壱

大空ユウキの手持ち
チー(クチート) Lv.25
つかえるわざ
てっぺき はさむ あまいかおり ちきゅうなげ ソーラービーム
 おどろかす くすぐる いわくだき がんせきふうじ つるぎのまい
(つるぎのまい専用)いあいぎり カウンター れんぞくぎり
一閃流・刹那の剣舞(いっせんりゅう・せつなのけんぶ)
一閃流オレ式奥義・雲断の剣舞(いっせんりゅうおれしきおうぎ・くもだちのけんぶ)

ココ(ココドラ) Lv.23
つかえるわざ
かたくなる あなをほる ずつき すてみタックル
 ふみつけ ころがる ほえる がんせきふうじ

まだ本編で使ってないわざもありますが、スルーしてください。

71 :エンタ2005/11/10(Thu) 19:57:01 ID:5vHwwWhM
第61話 サミットにて 其の一

ハジツゲでマナカと別れ、頭痛と吐き気に悩まされながらも、
ユウキはヒサヤと共にカナズミに向かった。
ヒサヤ「だいじょーぶ、そんなに堅っ苦しくないから!ガチガチだぞ、ユウキ」
ユウキ「でもさ…ホウエン滅亡の危機なんだろ?のん気に構えてる暇なんてないと思うんだけど…」
ヒサヤ「ヤツラもそんなに早くは動かないだろ…マナカ嬢のボディガードさえいてくれれば平気さ」
ちなみに現在のボディガードはバンリおじさんである。
ヒサヤ「ははは、やっぱりこの僕の技術は便利だなあ!
    第1回のときは片道40分もかかったのに、今度は徒歩5分!」
ユウキ「7分経ってるぞ」
ヒサヤ「…お前、やっぱすごいな…でもまあ、今回のサミットの結果しだいでどんどん穴を掘れるぞ!」
ユウキ「どんどん造るのは結構…吐かなきゃ便利なんだけどな…」

デボンの前には、地味な変装をしたダイゴが待っていた。
ダイゴ「地下第2会議室は、この先だ」
ヒサヤ「ふーん…半径100メートルほどかな。」
ユウキ「は?」
ヒサヤ「地下だから穴を掘って造ったんだろうけど、まだ地中の毒素が残ってるって言ってんの」
ユウキ「お前もお前ですごいな…」
ダイゴ「着いたぞ。みんなももう来てる頃だろう」
ダイゴが地下第2会議室の扉を開けた。
ユウキ「うわぁ…」
おもわず感嘆の声がでる。地下だというのに開放的な空間だ。
ダイゴ「みんな、集合時間になったら出欠をとる!それまで自由にしててくれ」
ある者は退屈しのぎにポケモンバトルをしたり、ある者は席に座って黙っていたり。
ユウキ「知ってる人がたくさんいる…良かった。そんなに緊張することもなかったな」
ヒサヤ「僕を含めて何人くらいだ?」
ユウキ「えーと…5人だな」
そこにいる人数=ジムリーダーの数だったので、わりと多かったようだ。
もっとも、ダイゴを含めて5人である。
ダイゴ「そろそろだな…みんな、席について」
席は自由だったので、ユウキはとりあえずヒサヤとダイゴの間に座った。
ダイゴ「出欠をとるぞー!大空ユウキ!」
ユウキ「はい(…って、何でオレが最初!?)」
ヒサヤ「(ダイゴ→ツツジ→トウキ→テッセン…って具合に、ジムリーダー番号順にだからな)」
ダイゴ「桐崎イッセン!」
イッセン「おう」
イッセンはユウキのほうを見ると、ニッと笑った。ユウキも安心した。
ダイゴ「苧環ハルカ!」
ハルカ「はーい」
ユウキとの戦いの後、ハルカは吹っ切れたように明るい感じになった。
ウジウジしていてもどうにもならないと思ってのだろうか。笑顔も増えたようだ。
ダイゴ「金田一ゲンキ!」
ゲンキ「はいッはいはいは――――いッ!!!!」
ダイゴ「返事は一回でいいぞ」
ゲンキ「はいはァーいッ!!」
名前の通りゲンキな少年である。この出で立ちは短パンこぞうか?
ダイゴ「堀岡ヒサヤ!」
ヒサヤ「はいよー」
ヒサヤはかなりリラックスした感じだ。
ダイゴ「桃花ミナヅキ!」
ミナヅキ「…ぃ…」
ユウキとイッセンにはかろうじて「はい」といっているのが聞こえた。二人はわりと耳がいい。
ゲンキ「おいッ姉ーちゃん、名前を呼ばれたら返事しろよ!」
ミナヅキ「…ぃ…」
やはりユウキとイッセン以外には聞こえていない。そのせいか、周りに悪い印象を与えてしまっている。
ダイゴ「…七瀬ツチオ!」
ツチオ「はい」
ユウキ「始めてみる人・二人目か…」
ダイゴ「銀シンジ!」
シンジ「……」
今度はユウキとダイゴにも聞こえなかった。口が開いてないので、何も言ってなかったのだろう。
ゲンキ「またかよ。あーあ、辛気クセえのが多いな、サミットってのは」
イッセン「あのテッセンが見つけてくるだけあって、口うるさいヤツじゃの」
ゲンキ「んだとッ、ジジイッ!!」
イッセン「失礼な!これでも45じゃ!」
ダイゴ「イッセンさん、あなたもだいぶ口うるさいぞ」
二人は顔を見合わせて黙りこくった。
ダイゴ「最後だな。天童寺…スグル?と読むのか?」
スグル「はい、優良と書いてスグルです」
ユウキ「何か言葉に挑発の色が…でも、何で師匠は名前が読めなかったんだ?前に一回、やってるんだろ?」
ヒサヤ「ああ、まだ説明してなかったっけ?前回は…」
ダイゴ「出欠を取り終わったから、上層部との通信を開始するぞ」
ユウキ「上層部?」
ヒサヤ「…まあ、今にわかるか」

72 :エンタ2005/11/10(Thu) 19:57:55 ID:5vHwwWhM
第62話 サミットにて 其の二

天井からモニターが降りてきた。
ツワブキ社長「みんな、おはよう」
ユウキ「あ!社長!」
ツワブキ社長「ユウキくん、手紙の件をありがとう。おかげでこうして実行部のメンバー全員がそろうことができた」
ハルカ「実行部?って?」
ツワブキ社長「そうか、ユウキくんとハルカくんは初めてだからきちんと説明しないといけないな」
ダイゴ「そうだった、すっかり忘れていたよ」
ツワブキ社長「まずこのホウエンサミットは、三つの部に分けられる。上層部、諜報部、そしてキミたち実行部だ」
ダイゴ「上層部のメンバーは各部のマスター、つまり責任者とジムリーダーたちで構成される。これが上層部の名簿だ」
ユウキ「へぇ、諜報部のマスターはオダマキ博士か…」
ハルカ「うそ!?ちょっと見せて」
ユウキ(あれ?ジムリーダーの数が足りないような…
    1、2、3、4、5、6、7…ちゃんと8人いる。気のせいか)
ツワブキ社長「各部にはそれぞれリーダーが存在する。
       ダイゴは実行部のリーダーだ」
ダイゴ「諜報部と実行部の仕事は、その名の通り諜報と実行。
    実行部は上層部の指令を実行し、
    諜報部はそれをサポートするための情報を探るんだ。」
ユウキ「諜報部にはどんなメンバーがいるんですか?」
ツワブキ社長「それが…」
ダイゴ「諜報部のリーダーの意向でね…名簿を見せてもらえないんだ」
ツワブキ社長「我々上層部の中でも、知っているのはオダマキくらいなのだ」
ハルカ「ふーん…パパがねぇ」
ツワブキ社長「そして、各部に分かれての会議は、今回が初めてとなる。
       前回は地下2階の大会議室でこういう説明会を行ったのだ」
ダイゴ「そういうこと」
ツワブキ社長「よくわかったかな?…おっといかん。人が来た」
ユウキ「人?」
ダイゴ「通信を切るよ、父さん。」
モニターが真っ暗になった。
ダイゴ「父さんたち上層部は持ち場を離れられないから通信参加をするんだ。
    ほら、社長室に入って誰もいなかったら大変なことになりかねないだろ?」
ハルカ「なるほど、だから実行部がこんな風に結成されたわけね」
ダイゴ「そういうこと」
ユウキ「面倒だな…秘密の活動ってのも」

73 :エンタ2005/11/10(Thu) 20:13:28 ID:5vHwwWhM
上層部の名簿

サミットマスター 石蕗 大蔵 ツワブキダイゾウ
実行部マスター 陸海 実栗 リクミミクリ
諜報部マスター 苧環 辛夷 オダマキコブシ

ジムリーダー(アイウエオ順)

アダン・W・カーツ
有刺 鉄線 アリサシテッセン
大空 千里 オオゾラセンリ
桜木 闘鬼 サクラギトウキ
神 楓 シェンフウ
神 蘭 シェンラン
日暮 椰 ヒグラシナギ
緋田 明日奈 ヒダアスナ

…あれ?ジムリーダーの数が足りないような…
ちゃんと8人いる。気のせいか…

というか、適当な名前多すぎ。何だ有刺鉄線って。
指摘があれば気軽に言ってください。

74 :エンタ2005/11/13(Sun) 12:22:48 ID:3aZgUw3Y
第63話 サミットにて 其の三

再びモニターに社長の姿が映った。
ツワブキ社長「いや、失敬失敬。秘書がお茶をいれてくれたよ」
ダイゴ「父さん、他のモニターも出して構わないかい?」
ツワブキ社長「おお、そうだ。今回モニター参加者はわたしを含め4名だ。よろしく頼む」
ダイゴ「わかった」
少し小さめのモニターが3つおりてきた。
そのモニターにオダマキ、ミクリ、センリの顔が映った。
ミクリ「実行部リーダーの陸海ミクリだ。
    ジムリーダーの欠席理由はトウキ以外は忙しいからだそうだ」
ダイゴ「トウキは?」
ミクリ「通信回線が通信機ごとぶっ壊れてしばらくは使いものにならないそうだ」
ユウキが気まずい顔をした。
ダイゴ「センリさんは、大丈夫だったんですか」
ハルカ「ってことは、ユウキのパパのジムは人気がないってことね」
センリ「…悪かったなッ」
ユウキ「そりゃなぁ…中に入れないんだもん」
オダマキ「諜報部のほうは、全員出席しているぞ」
ツワブキ社長「よし。では、本題に入ろう。」
ミナヅキが、隣で寝ていたゲンキをゆり起こす。
ツワブキ社長「先日、ハジツゲに在住の大空マナカ(13)が、マグマ団に誘拐された。
       これは、一部のメンバーはご存知のことと思う」
ユウキとヒサヤが目を見合わせて二ヤッと笑った。
ツワブキ社長「彼女は無事に戻ってきたが、今後も執拗に狙われるであろう。」
スグル「そもそも何故誘拐なんてされたんだい?そんなお金に縁のなさそうな名前の人がさ」
ユウキとセンリが鋭い視線でスグルを突き刺す。
その大空という名前が自分の所属するジムのリーダーの名だということを考えていないらしい。
だが、本人にはいたって自覚はないようだ。
ツワブキ社長「彼女は特殊な能力が使える。その能力をマグマ団は狙っているのだそうだ」
オダマキ「能力の正体が何なのかは、諜報部に調べてもらっている。
     もしかしたら、トレーナースペックかもしれないな」
ユウキ(ポケモンを持つ前から使えた力をトレーナースペックとは考えにくいんだけどな…)
ツワブキ社長「今は事情を知ってしまったハジツゲの人々が警護をしているが…なにぶん力不足が否めない。
       さしあたって彼女の警護を…イッセン、お前に任せたい。」
イッセン「一向に構わんぞ。何ならセツナを連れて行ってもいい」
ツワブキ社長「その事はお前に任せる。そしてもうひとつ重要なのが…」
ハルカ「重要なのが…?」
ツワブキ社長「…おっといかん。」
またモニターが暗くなった。身を乗り出していたハルカはあきれた拍子にひっくり返った。
ユウキ「緊張感無さすぎってのもどうかと思うけどな…」

75 :エンタ2005/11/13(Sun) 12:23:20 ID:3aZgUw3Y
第64話 サミットにて 其の四

ツワブキ社長「いやー、すまんすまん。専務が辞表を突き出してきてなぁ」
センリ「しっかりしてくれ…と言いたいとこだが、こればかりはどうにもならんな」
ダイゴ「父さん、さっきの続きを」
ツワブキ社長「うむ…最重要事項を話す前にちょっと確かめておきたいことがある。
       ポチッとな」
会議室の奥にあるゲートが開いた。
ツワブキ社長「実行部の実力テストだ。その奥には悪いことをしたり
       悪いトレーナーに手を貸したりしたポケモンが収容されている。」
スグル「ふーん…それを倒せばいいんだね?」
ツワブキ社長「うむ。制限時間は3分だ」
ダイゴ「父さん、この人たちの実力はジムリーダーのお墨付きだぞ?いまさら何でテストなんか…」
すると、社長が突然真剣な顔つきになった。別に今までふざけていた訳ではないが、
今まで話していたときよりもはるかに威圧感がある。
ツワブキ社長「…実行部のメンバーの中に、ホウエン出身ではない者が入っているからだよ…」
ゲンキ「!?」
ツワブキ社長「彼らはこのホウエンにはたして愛着があるのか?
       ホウエンを命がけで守り通す覚悟があるのか?わたしはそれを…」
ゲンキ「バカにすんなよ!別に巻き込まれたとは思ってねーよ」
ツチオ「…その通り。このサミットに協力するのも、自分の意思です」
出欠以来口を開かなかった青年が初めて自分の意見を述べた。
ツチオ「…それに、ジムリーダーも同意してくれました」
ゲンキ「アンタがどうだかしらね―が、こちとら実力者に認められてんだ!
    それがわからねーってんなら、今からわからせてやるよ!」
ツワブキ社長「最初に戦うのはユウキくんだよ」
また緊張感が途切れた。
ゲンキ「ふざけんな、オレが一番乗りだーッ!!」
ダイゴ「ユウキくん、奥に進むんだ」
ユウキ「はあ…これも、名簿順ですか」
ダイゴ「そういうこと。あと…」
ユウキ「? 何ですか?」
ダイゴが耳打ちする。ユウキが苦笑いした。
ユウキ「相手によりますよ」
ダイゴ「頼むよ…」

76 :エンタ2005/11/15(Tue) 18:54:02 ID:PDFgWP6.
第65話 サミット試験戦 其の一

ツワブキ社長「では、ゲートを閉めるぞ。KOできなければ、即脱退だ。心してかかれ」
ユウキ「相手はトドゼルガ一匹。大丈夫、勝てるさ」
ゲートの閉まる音がした。これが試合開始の合図だ。
ユウキ「行くぜッ、ココッ!」
出だしは順調だ。つるぎのまいを使わなければ、リバースの心配も無い。
ユウキ「ココ、ガンガンころがるんだ!!もうチーに頼りっきりは嫌だろ!!」
ココはスピードを増し続けた。四方八方からの連続攻撃。体力自慢のトドゼルガも押されている。
実は、ユウキはココの肩身の狭さに気づき、今回のバトルではチーを使わないことにしたのだ。
ユウキ「お前の力で倒すんだ!ココッ!」
しかし、トドゼルガに軌道を見切られてふぶきで吹き飛んでしまった。
さすがは悪の道を歩んだポケモン、ふつうのポケモンとは一味違う。
ユウキ「ココ、ずつきッ!」
かなりの防御力を誇るココには、小細工など必要ない。正攻法が最適だ。
ユウキ「がんせきふうじ!すてみタ――ックル!!」
…いつのまにか、トドゼルガは倒れていた。ココは、十分すぎる実力を既に備えていた。
ユウキ「おお!やったな、ココッ!まだ1分34秒だ!偉いぞココ!」
しかし、ココは不満そうな顔をしていた。
ツワブキ社長「おめでとう、ユウキくん。ゲートから出てきてくれ」
ユウキがゲートから出ると、ダイゴがとんできた。
ダイゴ「よーし、よくやったぞユウキくん!試合前の約束も守ってくれたし言うことなしだ!」
ハルカ(約束?気になる…!)
ゲンキ「社長のじーさん!早くオレにやらせてくれよぉ!」
ツワブキ社長「失礼な!まだ46だ!」
ダイゴ「父さん…」
イッセン「名簿順でいくと、次はワシか」

ヒサヤ「あれは、ニドキングですね」
ユウキ「ホウエン以外のポケモンもいるのか…オレはタイプがわかる相手でよかった」
ヒサヤ「おーっと、対するイッセンさんも海外のポケモンだ〜!」
ハルカ(勝手に実況&解説やってるよ…)
イッセン「異国のポケモンには異国のポケモン!旅の果てに出会った相棒の太刀を受けてみよ!」
ヒサヤ「さぁ、今ゲートが閉まった〜!…ストライクVSニドキング、熾烈な熱戦の始まりですな」
ハルカ(何か変なキャラになってるよ…)
イッセン「シップウ!!ゆくぞ!!」
ストライクが飛び上がる。とたんに、ストライクが7匹に増えた。
ヒサヤ「おーっと、かげぶんしん!イッセン選手、まずは様子見です!」
イッセン「ふ…様子見ではない。これがとどめじゃ」
ストライクのぶんしんが次々に増えていく。10匹…30匹…70匹…100匹。
イッセン「喰らえぃ!真一閃流・百眼の剣技!」
ニドキングのつのがすべて切り落とされ、身体中に無数の傷ができ、血が火炎のごとく噴き出した。
イッセン「…安心せい。一閃流は命を絶たぬ」

ヒサヤ「迅い!迅すぎる〜ッ!!わずか10秒KO−ッ!!」
ユウキ「9秒だ…9秒48」
ユウキはあらためて一閃流の強さを知った。
ユウキ「オレももっと精進しないと!」
イッセン「その意気じゃよ、ユウキ。」
ツワブキ社長「イッセン、文句なしの合格だ。次はハルカちゃんだな」
ハルカ「………」
ハルカがバトルモードに入った。

77 :エンタ2005/11/15(Tue) 18:55:14 ID:PDFgWP6.
第66話 サミット試験戦 其の二

ヒサヤ「さぁ、雄雄しきバトルガールと対峙するのは
    海の荒くれ者!ならずものポケモン・シザリガーだ!」
ハルカは無言でポケモンを出す。そのポケモンはなんと…
ヒサヤ「つっっぱりポケモンッ!!ハリテヤマァ〜!!」
ユウキ「この短期間のうちに…進化を遂げたってのか…!」
ゲートが閉まる…

ダイゴ(どうする?ハルカちゃん…ビルドアップの戦法は時間が無くて使えないぞ)
ハルカ「…攻撃力だけなら…一発で上げられんのよね。いくよ、マクピー」
今はハリテヤマだがマクピーは、自分の腹をドンドコたたき始めた。
ヒサヤ「お〜っと、一見狂ったかに見えてあれははらだいこというわざだ!
    解説の堀岡さん、どうぞ…はい、あれは自分のはらをたたくことによって
    自らの痛みと引き換えに最凶の破壊力を得ることができるわざですね〜、
    解説の堀岡さん、ありがとうございました!」
ハルカ「(ツッコミたい…!!)くっ!マクピー!」
ヒサヤ「出た〜、つっぱりつっぱりつっぱりつっぱりつっぱり〜ッ!!
    …威力の低いわざでもはらだいこのあとでは格別の破壊力ですね〜、
    あーっと、ここで決まった〜!!シザリガー、ダウンだ〜!!」
ユウキ「うそ…1分33秒…つっぱりだけであの巨躯を…」
ダイゴ「彼女も…今までとは違うか。戦力になるな」
ダイゴのその言葉にユウキははっとした。
ユウキ(そうだよ…今はライバルじゃなくて、仲間なんだ…変に意識することなんてない、ハルカは…)
ハルカ「どうかしら?」
ゲートはすでに開いていた。ハルカが歩み寄ってくる。
ハルカ「言っておくけど、アタシはまだアンタを倒してないの。
    マグマ団だの何だのを潰すのも、邪魔者を消すためよ」
ゲンキ「な…おい、じーさん社長!こいつが目的はきちがえてんじゃねーか!
    オレたちよりコイツを先にしかれよ!」
ツワブキ社長「彼女は、素直じゃないだけだ。誰よりもホウエンを想っている。
       テストが終わったら、その証拠を見せてやろう」
ゲンキ「…ちぇッ、何だよそりゃ!ま、いいや。次はいよいよオレ様の番だな!」
帽子のつばの向きを変える。某アニメの真似だそうだ。
ゲンキ「オレの実力、見せてやるぜ!」

78 :エンタ2005/11/23(Wed) 16:37:41 ID:m6i00Q1Q
第67話 サミット試験戦 其の三

ヒサヤ「さァー注目のカード!実力未知数の超元気少年に対するは
    カントーを代表するとりポケモン!ピジョットだ!」
ハルカ(どこがどう注目なのかしら…どーでもいいけどさ)
ゲンキ「ヒノまる!いけっ!」
ヒサヤ「ゲンキ選手のポケモンはマグマラシだ!レベルの差が歴然、どう戦う!?」
ゲンキ「オーバーヒートと…かげぶんしん…」
何やらぶつぶつ呟いている。
ゲンキ「喰らいなっ、影狼(シャドウヴォルフ)ッ!」
ヒノまるが何体にも増えた。おまけにじめんからふきあげる熱気で相手の体力をも奪う。
ヒサヤ「おっと、ここでマグマラシのわざ炸裂!一体何なんだ、シャドウヴォルフ!?」
ゲンキ「見ての通り、コイツがオレのスペックさ!二つのわざを合成して新しいわざを創る能力!」
ユウキ(トレーナースペック…!!)
だが、ピジョットの視力にかかっては、そんな小細工など通用しない。
ピジョットはわざが成功して油断しきっているヒノまるをツメでわし掴みにすると、そのまま上昇した。
ゲンキ「え?あ、何とかしろ、ヒノまる!」
しかし命令なしに何とかできるはずも無い。
すると、ピジョットの身体に光が集まってきた。
ヒサヤ「おっと、ピジョットが大技にとりかかったようだぞ!?しかし、あの光は…」
すると、ツチオやミナヅキよりも口数が少なかった(ゼロだった)シンジが、
ユウキにしか聞こえないような声で呟いた。
シンジ「…忌々しいわざだ…ッ!」
ユウキ「な、何だ!?忌々しいって、何のこと…!?」
シンジの声が一段と大きくなったが、みんなはピジョットに気をとられているので
やはり聞いているのはユウキ1人だった。
シンジ「…昔はあったんだよ…限られたポケモンしか使えないわざを
    無理やりポケモンに教え込ませる忌々しいわざマシンがな…!!」
ヒサヤ「うーん、これはもしや伝説のゴッドバードでは…しかし、
    あのわざはピジョットには習得できないはずですが…
    以上、解説者席…って、光が激しくなってきましたッ!!
    あっ、眩し…オレ穴暮らしだから…」

激しい光がおさまった。
ヒサヤ「ふう、やっと…あれ?ゲンキ選手、どうした?入れ替え制だしまだ一分はあるぞ?」
ゲンキ「持ってねーんだよ…コイツ以外、ポケモン持ってねーんだよ!
    なのに何で負けんだよ、コノヤロー…ッ」
ゲンキの叫びが会議室にこだまする。しばしの沈黙の後…
ヒサヤ「…げ、ゲンキ選手まさかの敗北ーッ!
    ここに来て初の脱落者です…って、ふざけてる場合じゃないか…。
    …ダイゴ、どうするつもりだ?」
ダイゴ「処分は、サミットマスターである父さんが決める。僕にはその権利は無いよ…」
ゲンキは顔がこわばっている。
ツワブキ社長が、ゆっくりと口を開きかけた…その時。

センリ「何故負けたかわかるか?」

79 :エンタ2005/11/24(Thu) 13:48:02 ID:ydk0CPVo
第68話 サミット試験戦 其の四

しばらく沈黙が続いた。
ゲンキ「…そ…そんなの、わかんねーよ!!前の3人は強いわざを使って勝ったんだろ!?
    オレのだって強いわざなのに…何でだよ!何で負けたんだよ!」
センリ「…わたしがそっちにいたら、ぶん殴っているところだ…誰かそのバカに敗因を教えてやってくれ」
すると、ミナヅキが高く手を挙げた。センリが名指しすると、彼女はユウキに耳打ちした。
ユウキ「え?そういえば…なるほど、そういうことか…よくわかった」
ゲンキがユウキに掴みかかった。
ゲンキ「何がわかったってんだよッ!!」
すると、ハルカがゲンキの服をつかんで引っ張り(持ち上げ)、ユウキから離した。
ユウキ「戦いのはじめを思い出してみろよ。今までの3人と、お前と。どこが違うのか比べてみろ」
ゲンキははっとした。
「行くぜッ、ココッ!」「シップウ!!ゆくぞ!!」「いくよ、マクピー」

「ヒノまる!いけっ!」

センリ「…ポケモンの信頼を得ることができなければ勝利は見えてこない。
    力でねじ伏せることよりも、ポケモンとの信頼関係のほうが何百倍も大事だ」
ダイゴ「なるほど…ゲンキくんの戦法は初めて僕とユウキくんが戦ったときのそれに酷似しているね。
    使えるわざだけ使ってみて、困ったらポケモン任せにする…もっとも、ユウキくんは
    ポケモンを責めたりなんかしなかったけどね…」
ツワブキ社長「金田一ゲンキ…負けは負け。ルールはルール。男なら…何をすべきかわかっているな?」
ダイゴ「今のこの時間ならロビーには誰もいないはずだ」
ゲンキは最後に捨て台詞をはいた。
ゲンキ「お前さえ…お前さえもっと強ければ!!」
この言葉に、そこにいた多くの人が振り向いた。だが、一番最初にゲンキの前に行ったのは…
バチ――――ン!!

…ミナヅキだった。

ミナヅキ「…最低です」
みんなにもハッキリ聞こえる声で、一言だけ、そうつぶやいた。
ゲンキ「…てっ!てめェ!!よくも!」
シンジ「よせ。今ここで拳をつくることが何を意味するか分かっているのか?」
ゲンキ「く…ッ」
シンジ「もっとも…バカのお前には、分からんだろうがな」
ゲンキ「んだと、シンジ…」
シンジ「気安く呼ぶな。それと、お前といるとバカがうつる、さっさとホウエンから出て行け」
ゲンキ「くっ…どいつもこいつも…ッ、覚えてろ!誰よりも強くなって、見返してやる!!!」
そう叫ぶとゲンキは会議室から出て行った。…そして、もう戻っては来ない。

80 :エンタ2005/11/24(Thu) 13:48:38 ID:ydk0CPVo
第69話 サミット試験戦 其の五

オダマキ「スペックが使える優秀な人材だったのに…良かったのかい?」
シンジ「これでいい。ヤツはバカだがこんな事でくさる男ではない。」
ユウキ「お前…アイツのこと何か知ってるのか…?」
シンジがにらみつけるようにユウキのほうを見た後、ゲートの奥で飛んでいるピジョットを見ながら言った。
シンジ「…知りたくも無いことばかりだがな…」
ヒサヤ「まったく…こんな中でやれっていうのか…」
かなり気まずく、重苦しい雰囲気である。
ヒサヤ「…あのピジョットを倒せばいいのか?」
シンジ「…待て。あのピジョットは俺が葬る。」
ツワブキ社長「どっちにしろ少し弱っている。ハンデを与えるつもりは無い。」
シンジ「俺のときは2体でも3体でも構わん。とにかくあのピジョットとやらせろ」
ユウキ「何でそこまで…」
シンジ「…最初に、ここのポケモンの事を聞いてまさかとは思ったが、本当に生き残りがいたとは思わなかった。
    忌々しい過去の犠牲者は俺の手で抹消させてもらう」
ヒサヤ「ワケありってとこか…どうする、社長?僕はどいつが相手でもいいけど…」
ツワブキ社長「葬るのはいいが、試合の中でやられては困る。テストが終わってからにしてもらおう」
シンジ「ヤツを葬れるのなら何でもいい」
ヒサヤ「決まりだな。さて、僕の番だな…」

ヒサヤ「選手が実況するのもどうかと思うが、仕方ない!
    …さぁ〜やって参りました5回戦!!」
ハルカ(どうかと思うならやらなきゃいいじゃない)
ヒサヤ「相手はボーマンダ、ヒサヤ選手どう戦う!?
    …こう戦うんだよ!」
ダイゴ(お、あれはあの時のユレイドル!)
ヒサヤ「よし、こないだ考えた作戦で行くぞ、レイド!!」
ボーマンダがゆっくり詰め寄ってくる。
ヒサヤ「今だ、レイド!まずからみつく!」
レイドの触手(?)が伸び、ボーマンダを押さえつけた。
ヒサヤ「さぁヒサヤ選手、まず手足と翼を封じた!一体どういう作戦なのか!?
    こういう作戦だ!レイド、あやしいひかり!」
ボーマンダの目があらゆる色に変わった。あやしいひかりの影響でラリっているのだ。
ヒサヤ「相手がやせいじゃなくて助かったぜ!訓練されてればここで…」
ボーマンダが大きく息を吸い込んだ。
ヒサヤ「バカ正直に力わざは使ってこないはずだからな!!レイド、ミラーコート!!」
ボーマンダが激しい火を噴く。そのほのおは見事ミラーコートで跳ね返った。
ヒサヤ「直撃〜ッ!!おっと、まだ体力が残っているようだぞ!?
    …しかし、ヒサヤ選手のいっていたとおり相手は訓練されたポケモンですから、
    同じ戦法には引っかからないでしょうね〜」
ボーマンダが再び息を吸い込むが、さっきのような熱気は感じられない。感じられるのはむしろ、冷気。
ヒサヤ「こいつは好都合だ!二度目も放出系のわざできてくれるとは…
    レイド、タイミング合わせるぞ!…いち、にの…さん!たくわえる!!」
ボーマンダの吐き出したハイドロポンプをレイドが口のような部分にたくわえる。
ヒサヤ「いいぞ、レイド!!」
ダイゴ「なるほど…相手の攻撃をたくわえる…そんな使い方もあったか」
ヒサヤ「そして、このわざも使い方はひとつじゃない!ミラーコート!!」
ボーマンダを囲むようにしてドーム状のミラーコートが展開された。正面に隙間がある。
ヒサヤ「とどめだ!隙間に向かってはきだす!そして、密閉だ!」
鏡のドームに入り込んだみずは反射を繰り返しボーマンダをいためつける。
ヒサヤ「これぞ必殺・水鏡!」
みずでいっぱいになったドームの中に、ボーマンダが倒れこんだ。
ヒサヤ「勝負あったーッ!!ヒサヤ選手が一晩かけてこの間完成させた作戦!
    必殺水鏡が炸裂ーッ!!…二つのわざを組み合わせるというのは
    ゲンキ選手の流れをくんでいますね〜」
ユウキ「確かに…あのシャドウ何とかって、スペックなしでもできるんじゃ…」
ダイゴ「ヒサヤの水鏡は、みずをたくわえておけるからできたんだ。
    ゲンキくんの使っていたわざは、まったく新しいものだったよ」
シンジ「要するに、オーバーヒートとかげぶんしん、能力なしで組み合わせるのと
    ありで組み合わせるのでは、完成する技が違うということだ。
    まあ、常識人では組み合わせることもままならんがな」
ユウキ「ふーん…あ、そういえばヒサヤ、2分26秒もかかってたぞ!」
ヒサヤ「別に1分台じゃなくてもいいだろ!!一応3分以内に勝てたんだから…」
ダイゴ「はっはっは、でも実戦じゃ同じ考えは通用しないよ」
ヒサヤ「うげっ、厳しッ」

81 :エンタ2005/11/24(Thu) 13:51:17 ID:ydk0CPVo
第70話 サミット試験戦 其の六

ミナヅキ「……」
ミナヅキはゲンキが出て行ってからまた黙りこくってしまった。
ユウキ「(自分のせいだと思って、気にしてるのかな…)
    ミナヅキ、気にすることないよ。ゲンキが出て行ったのは、誰のせいでもないんだし」
ミナヅキ「…!…ぁ、ありがとうございます…」
ユウキ「え?ああ、どういたしまして」
ミナヅキ「…ユウキさんは…優しいですね…」
その言葉にユウキがまっ赤になった。
ユウキ「そっ…そりゃどうも…」
今度はミナヅキも赤くなった。
ミナヅキ「いえ…」
ヒサヤ「何イチャイチャしてんだよ、そこッ!!早く始めるぞーッ!」
ミナヅキ「…しっ、失礼します…っ」
ミナヅキはゲートのほうにかけていった。
ユウキ(……何でだろ…なんか知らないけど、妙にドキドキする…)
ハルカ(……何でだろ…アイツの『声』が聞こえない…さっきは聞こえたのに)
センリ「…フン、青いな…」

ヒサヤ「さぁ、こちらのミナヅキ選手の実力も未知数!!
    ボスゴドラを相手に、いったいどんなドラマを見せてくれるのか!?」
ユウキ「ココ、お前も進化したらあんな格好になるのかな?かっこいい、とは思えないけど…」
ゲートが閉まった。
ミナヅキ「ラフリン…」
ヒサヤ「ミナヅキ選手のポケモンはラフレシアだ!!
    …うーん、何だか眠くなってきましたね〜…堀岡さんもですか?実は僕も…ZZZ…」
ただ単に眠かったわけではない。
ラフリンが場に出た瞬間、目に見えないねむりごなが会議室に充満したのだ。

ヒサヤ「…おっと?いけない、寝てしまったぞ?
    バトルはどうなっているのか!?…あ〜っと!終わっている〜ッ!!ボスゴドラKO〜ッ!!」
ユウキ「ムニャ…しまった、時間…!!」
センリ「2分ジャストだな。」
ダイゴ「…そうか、モニター参加の上層部は寝ないですんだのか…」
ユウキ「でも何でミナヅキは平気だったんだ?」
ミナヅキ「…毎日、花粉吸ってますので…」

ツチオ「俺の番ですね」
ヒサヤ「ツチオ選手、相手はマグカルゴ!!小型だがほのおわざが侮れないこの相手、どう戦う?」
ツチオ「フライゴン!」
ヒサヤ「その名にふさわしくじめんタイプ!」
ダイゴ「ん…?ジョウトの出身なのにホウエンのポケモンを使うのか…」
ツチオ「もともとじめんに加え、ゴーストタイプなんかも扱ってましたが…
    俺がここに来る前滞在していた町の影響で、ドラゴンタイプにも慣れていたので」
ダイゴ「なるほど…それで二つのタイプを併せ持つフライゴンを選んだのか」
ツチオ「でもまだ俺はあの人のいる高みにたどり着けない…けど、いつかきっと追いついてみせる」
ダイゴ「そうか、目標があるのか…頑張ってくれ」
ゲートが閉まった。
ヒサヤ「あーっとマグカルゴ、ゲートが閉まって1VS1になったとたんに激しい猛攻!」
ツチオ「フライゴン!そらをとぶ!」
ヒサヤ「いい対処ですね、ツチオ選手。これならマグカルゴのわざも届きません」
ツチオ「フライゴン、よく狙って…はかいこうせんだ!」
はかいこうせんがマグカルゴに直撃した。
ヒサヤ「何と!はかいこうせんを撃ってもまだ空中姿勢を保っています!
    マグカルゴはまだ立っていますが、依然フライゴンは射程範囲外!」
ツチオ「なら…これでいくか。みなさん、耳をふさいでおいてください」
ヒサヤ「ツチオ選手、耳をふさげとの合図です。一体何をしでかす気なのか?」
ツチオ「地上の敵相手にはこのわざが一番。…いやなおと!」
ヒイイィィィィィィィィィィィィィィィン…
ユウキ「ぎゃああ〜ッ!?」
ヒサヤ「こ…これはッ、耳をふさいでいても振動が感じられます…!!
    …?ほ、ホントに振動しているぞ!?」
ダイゴ「本当だ…これは…じしんに良く似た…」
似通った作業になれている二人は、体内震度計を持っているらしい。
ツチオ「高速のはばたきにより起こる音の振動…そいつを、限界まで強化して引き起こす…じしん!」
音だけでマグニチュード5強の揺れが起こる。マグカルゴの殻がボロボロ崩れ落ち、そのままダウンした。
ヒサヤ「ツチオ選手勝――利ッ!!…まだ耳がキンキンする…」
ゲートから出てきたツチオに、ダイゴが声をかける。
ダイゴ「相当な訓練が必要だろう、あんな強力なわざは…」
ツチオ「いや、まだまだ改良の余地はあります。それに…」
ダイゴ「それに?」
ツチオ「このわざでは、あの人は倒せないから…」

シンジ「俺の番か。悪いが、さっさと終わらせてピジョットを…」
スグル「どーでもいいから早く始めてくれよ〜。待ちくたびれて眠くなったよ…」
シンジ「フン…始めるのではない。終わらせるんだ」
ゲートが閉まった。
ヒサヤ「相手はまたもニドキング!!人気があるのか〜?」
シンジ「(なるほど…ニドキングはあの男のお気に入りだからな…もちろん、あのわざも使えるはずだ…葬る)
    …ニューラ!相手はニドキング、わかっているな!!」
ヒサヤ「シンジ選手が繰り出したのはニューラ!あの小ささでどう渡り合うつもりか!?」
シンジが静かに呟いた。

シンジ「ニューラ…ダークラッシュ」

82 :エンタ2005/11/25(Fri) 16:05:36 ID:3fKIjGtE
第71話 サミット試験戦 其の七

ダークラッシュ。そのようなわざは、どんなわざ図鑑にも載っていない。
ヒサヤ「正体不明のわざに恐れをなしたか、ニドキングが逃げ腰だ!」
シンジ「逃がすか!ダークホールド!!」
謎のエネルギー波がニドキングの逃げ道をふさぐ。
ヒサヤ「またも正体不明のわざ!ニドキングを阻んで逃げられなくしたぞーッ!?」
ハルカ「違う…足がすくんで、動けないのよ…相手は悪いポケモンなのに…」
ユウキ「知らないわざ自体に脅えてるんじゃなくて…あの不気味なエネルギーに脅えてるのか…?」
シンジ「ニューラ、一気にきめるぞ。ダークフリーズ」
会議室の温度が下がる。これは冷気ではなく…
ハルカ「寒気がする…いや、ただの寒気じゃない。これは悪寒…」
ニドキングが悪寒で凍りつく。実際凍ったわけではないが、完全に動けなくなったのだ。
シンジ「…ダークエンド」
不気味なエネルギー体の気配が最高潮に達した。そして、文字通り潮のようにひいていった。
ヒサヤ「…不気味なオーラの気配が無くなっていくぞ!?成すすべなくニドキング、ダウ〜ン!!
    ニドキングは戦闘不能…いや再起不能!?これが『葬る』ということなのか!?」
シンジ「その通りだ、メガネ。俺は悪の道にそれたポケモンをこうして葬っている」
シンジがゲートから出てきた。
ユウキ「55秒…師匠が初めてオレを倒したときより速い…」
ハルカ「まだ寒気がするよ…それもスペックなの?」
シンジ「いや…これは特訓によるものだ。俺のスペックはこのような戦いでは意味をなさない」
ユウキ「特訓…?特訓であれを使えるようになったのか?」
シンジ「…すこし喋りすぎたか。俺には構うな」
すると、スグルが大きなあくびをしながら言った。
スグル「やぁーっと僕の番か。みんな、見てても退屈だからすっかり寝ちゃったよ。」
ユウキ「いちいちカンに触るヤツだな…ッ」
ハルカ「同感。あーいうキザオに限ってたいしたことないもんよ」
初めて二人の意見が合った。

スグル「ふーん…メガニウム一匹かい?物足りないね」
ヒサヤ「余裕しゃくしゃく、アゴもしゃくしゃくのスグル選手。ルネジムリーダーのパートナー、その実力やいかに?」
ゲートが閉まった。
スグル「すこし寒いね。キュウコン、頼むよ!」
キュウコンのかえんほうしゃがメガニウムを襲う。しかし、ひかりのかべがそれを阻む。
スグル「へェ…なかなかやるじゃないか。キュウコン、どくどく!!」
ダイゴ「まずは補助か…」
スグル「キュウコン、アイアンテール!!」
ひかりのかべを突破してアイアンテールが炸裂する。
ユウキ「ひかりのかべって、物理攻撃には効果ないんですか?」
ダイゴ「なら逆に聞くけど、キミは素手でひかりに触れられるかな?つまりは、そういうことさ」
スグル「どんどんいくよ!キュウコン、にほんばれ、そしてかえんほうしゃ!!」
ユウキ「基本のコンボじゃないか…古臭い戦法」
ダイゴ「キミのは新しすぎるんだよ」
スグル「ひかりのかべでもここまでは防げないだろ!!キュウコン、だいもんじ!!」
メガニウムが、大きな音を立てて倒れた。
ヒサヤ「と、とりあえず決まった――――ッ!!」
ユウキ「わりと古い戦法だったけど…結局たいしたことあったのか?」
センリ「よく気づいたな、ユウキ。スグルのポケモンは彼の祖父から7年前授かったものだそうだ。
    彼は、ごく最近発見されたポケモンやわざを一切使わないといっている。
    古い戦法でも十分強いんだから、たいしたものだ」
ヒサヤ「ってか…入れ替え制なのにみんな最初の一匹で勝ってんじゃん」
スグル「1分34秒か…最初の何とかって人と同じだ。偶然だね〜。
    さて、これで全員終わったね。さあ、何なんだい?最重要事項って」
ユウキ「あ、忘れてた」
ツワブキ社長「うむ…」
ハルカがゴクッ、とつばを飲んだ。
ツワブキ社長「…アクア団」

83 :エンタ2005/11/25(Fri) 16:05:59 ID:3fKIjGtE
第72話 折り重なる謎

ユウキ「…何すか?そのパクリ丸出しな名前は?」
ツワブキ社長「ハルカくんがそのアクア団の情報を必死になって探してくれたよ。
       送ってくれた情報をもとに、諜報部に詳しく調べさせたところ…」
オダマキ「そのアクア団は、マグマ団と同じ日に結成されたらしい」
ヒサヤ「で?そのアクア団がどうしたって?」
ツワブキ社長「うむ…まずは二つの組織が結成された理由を説明しなくては…」
ユウキ「理由…」
ちらっとハルカを見た後、ユウキははっとした。
ユウキ(そっか…誰よりもホウエンを…想ってくれているんだな)

オダマキ「…諜報部の調査の結果、驚くべき結果が出た。
     二つの組織はそれぞれ人類とポケモンの求める最高の世界を造ると宣言して結成された…
     マグマ団の目的は、減り行く森…ポケモンのすみかを増やすため、
     そしてさらなる工業化のために、大地を増やすと言った。
     アクア団はその逆で、工業化による環境汚染が海に及び
     海に澄むポケモンのすみかがなくなることを危惧し、海を増やすことを考案した。
     そして、両者の意見は相容れず、ついに両者は恐るべき計画を打ち立てた」
ミクリ「…それが、ルネに眠りし伝説…超古代ポケモンの復活」
ユウキ「ルネに眠りし…?」
ミクリ「そう。歴史が眠る神秘の街…ルネ。その場所こそ、
    太古におけるグラードンとカイオーガの激戦の地」
ハルカ「もう一方はカイオーガって言うのね」
ツワブキ社長「その両者の復活のためには、それぞれ必要な物がある」
ミクリ「グラードンの復活には、べにいろのたまとあいいろのたま、そして大地の巫女の力。
    カイオーガの復活には、あいいろのたまとべにいろのたま、そして海の巫女の力が、
    それぞれ必要らしい。」
オダマキ「そして、ハルカのみつけた古い航海日誌に、アクア団は
     すでにあいいろのたまのエネルギーをカイオーガに吸収させた、とあった」
ダイゴ「けど、べにいろのたまに関しては、ハヅキ先輩たちの許可を取って
    僕が探してきたニセのべにいろのたまとすり替えてあるからご安心!」
センリ「そうか…おくりびやまの警護にはハヅキや名人があたっているんだったな…
    アイツの実力なら大丈夫だろう。」
ミナヅキが嬉しそうにうんうんと頷いていた。
オダマキ「…しかし、問題は海の巫女。こちらは諜報部の力をもってしても
     未だ確定的な情報は見つかってないんだ…分かってるのは、女性ってことだけ」
ヒサヤ「そりゃ巫女なんだし…」
オダマキ「次はマグマ団に関してだが…諜報部から最新情報が入った。
     どうやらマグマ団はメンバーの一人に逃げられたらしく、
     そいつが戻ってくるまでは動きはないということだ。」
ユウキ(そうなのか…ホタル、しばらく戻らないって言ってたし…好都合だな)
オダマキ「なぜそんなメンバー一人にかまっているかと言うと、
     諜報部のカンによればその男は重大な秘密を知っているようなんだ。マグマ団に関しての謎を」
ユウキ(やっぱりな…あの対応はただ事じゃないと思ってたけど)
オダマキ「それと、その男に関してだが…マグマ団の本部でユウキくん、マナカさんと一緒に
     消えてしまったそうなんだが…ユウキくん、何か知らないかい?」
ユウキ「え!?いや、知ラナイデスョ!!」
声が裏返っていた。
ユウキは、ハジツゲでマナカと別れる際に、ホタルのことは誰にも言わないと約束したのだった。
オダマキ「…そうか…」
ツワブキ社長「ならば、伝えるのはそのくらいかな?」
オダマキ「…ですな、社長」
ツワブキ社長「…おほん!では、本日の第二回ホウエンサミット、これにて滞りなく終了!
       次回までは桐崎イッセン以外総員待機!二つの組織が動き次第緊急招集をする!以上!」
ヒサヤ「滞りだらけだっただろ…」

84 :エンタ2005/11/27(Sun) 10:53:26 ID:poSFTq82
第73話 それぞれの道

皆がデボンから支給されたポケギアを持って外に出た頃、シンジは一人ピジョットの姿を見据えていた。
シンジ「社長、それでは約束どおり…」
ツチオ「…モニター通信は切れているが…」
シンジ「…そうか。ならいい」
ツチオ「ピジョット退治…俺も手伝おうか?いい特訓になりそうだ」
シンジ「さっき、俺には構うなと言ったはずだが」
ツチオ「もちろん、聞こえていたさ」
シンジ「ならさっさと行け。近づくと貴様のポケモンまで再起不能になる」
ツチオ「…そうか」
ダイゴが何も言わずツチオのところに来た。
ツチオ「あの鳥は…今から飛べなくなるんですね…」
ダイゴ「…キミは、これからどうするつもりだい?」
ツチオ「まず実家に連絡を…もう少し待ってほしい、って」
ダイゴ「しかしキミは、とんでもない約束をしてしまったな」
ツチオ「少し後悔してますが…それでも、あの人に出会えたから」
ダイゴ「それにしても…なんでよりによって彼女なんだ?」
ツチオ「俺の無理な願いを受け入れてくれたのは、あの人だけですから…ま、条件付きですけどね」
ダイゴ「はは…ま、頑張ってくれ」

ヒサヤ「桐崎イッセンさんだっけ?ハジツゲまで送りますよ」
イッセン「おお、悪いなメガネ君。助かるよ」
ヒサヤ「(さっきもメガネって言われたような…)そういえば、ユウキはこのあとどうするんだ?」
ユウキ「そうだな…とりあえずハジツゲまで戻って、そこからフエンまで行くよ。お前は?」
ヒサヤ「僕は穴掘りとしゃれ込むかな」
ユウキ「ちっともしゃれちゃいねーぞ」
ヒサヤ「打倒アスナか…ま、頑張りな。僕でも倒せない相手じゃないし」
ユウキ「お前は意外と強いだろ…でも、今回は師匠にもイッセンさんにも頼らず、一人でやってみる」
イッセン「よく言った!その意気じゃ、ユウキ!」
そしてデボン社を出ると、イッセンがセツナを連れてくると言ったので
二人はしばらく待っていることにした。
ヒサヤ「…そろそろ発作、起こりそうだな…」
ユウキ「何ィ!?今朝掘ってから2時間ちょっとしかたってないだろ!?」
ヒサヤ「…うそだよーん」
するとそこへ、ハルカがきた。
ハルカ「……」
ユウキ「…ん?何?」
ハルカ「アタシは今度アンタに会ったとき、もう一度アンタに勝負を挑む。その時はよろしくね」
ユウキ「何だよ急にあらたまって…勝負ならいつでも受けるぜ!何なら、今からでも!」
ハルカ「いや…アタシ、トウキ師匠と今度一緒に修行の旅に出ることにしたんだ。
    何かあったらすぐホウエンに戻ってくるけど…しばらく会えない」
ユウキ「海外に行くのか…頑張れよ、ハルカ。強くなって、また勝負だ!…あと、お土産もよろしく」
ハルカ「…相変わらず…バーカ、アンタにあげる分なんて無いよ」
すると、イッセンとセツナが走ってくるのが見えた。
ハルカ「それじゃあね」
ユウキ「もう行くのか?」
ハルカ「親切な船乗りの人が、船を出してくれたんだよ。今日中に目的地にたどり着く」
ユウキ「目的地?オレはまた修行の旅なんていうもんだから、てっきりあても無いもんかと…」
ハルカ「何でも、かくとう仲間と待ち合わせしてるんだって。
    …って、いけない、話し込んじゃった。そんじゃ、バイバイ」
そういうとハルカはトウカの森のほうへ走っていった。
ヒサヤ「慌しい別れだったな…」
ユウキ「次に会うときまでにオレももっともっと強くならなくちゃな!」
セツナ「切磋琢磨、だね」
ユウキ「あ、そういえば他の人に挨拶してないけど…ミナヅキとか、アゴしゃくとかシンジとか」
ツチオ「俺を忘れないでくれよ…」
他のメンバーたちがぞろぞろと出てきた。
ダイゴ「ユウキくん、修行は必要ないそうだね?これで僕も、しばらく石集めに集中できる」
ユウキ「はは、そりゃ良かった」
ミナヅキ「……」
ユウキ「え?あ、うん。バイバイ」
スグル「僕はジムに戻ってのんびりするかな…」
ユウキ「いいのか?父さんのジムでのんびりしてて…」
ダイゴ「ま、何はともあれこれで一時解散なわけだ。諜報部が有力な情報を見つけてくるまでは自由だ。
    あ、それとユウキくん…」
ユウキ「何ですか?」
ダイゴ「父さん…つまり社長の提案なんだけどね、キミは実力もあるし名簿順で1番だし、
    それを見込んでキミを実行部のトップに抜擢することにしたそうだ」
ユウキ「トップ?」
ダイゴ「具体的には、リーダーのサポートや、積極的に前面に出て戦うような…そんな感じ」
ヒサヤ「すごいな、ユウキ!」
ユウキ「あ…どうも、ありがとうございます!!」
ダイゴ「頑張りたまえ。それじゃあ、また会おう。さらば」
そういうとダイゴはプテラで飛んでいった。
ユウキ「さて…オレたちも行くか!!」

85 :エンタ2005/11/27(Sun) 19:05:42 ID:poSFTq82
第74話 ハルカの修行・其の一

森を越え、ハルカは海にたどり着いた。
ハルカ「お待たせー!!」
トウキ「いや、そんなに待ってないぜ。なあ、ハギさんよ」
ハギ「かっかっかっ!!男が細かいこと気にしてちゃいけねぇってコトよ!なぁ、ピーコちゃん」
その、ピーコちゃん(キャモメ)をつれた長身の男が豪快に言った。
ハルカ「あなたが、ハギさんですか?」
ハギ「かたっくるしいのは抜きにしようや!」
トウキ「さすがは海の男、でっかいね〜」
ハギ「がーっはっはっはっ!!伝説の船乗りをなめてもらっちゃ困るぜぃ!!」
ハルカ「ま…みんなにお別れもすんだし、そろそろ行く?」
トウキ「お…もう昼過ぎたか。そんじゃま、行くとしますか」
ハギ「おーっしゃ!!目指すはカントー、7のしま!!おもかじいっぱい、ヨーソロー、ってか!」
ハルカ「カントーか…どんなポケモンがいるのかな?」

ハギ「そろそろホエルコも少なくなってきたな…こっからはいよいよジョウト海域だぜ!」
ハルカ「ジョウト?まだカントーじゃないの?」
トウキ「カントーとホウエンの間、ってとこだな。どれ、
    ハギさんが飛ばしてくれたおかげで時間もだいぶ早いし、ちょっと寄ってくか?」
ハギ「よっしゃ、進路変更だな!!」
急に向きを変えたので、ハルカは思いっきり水をかぶった。
ハルカ「しょっぱーッ!!?っていうか、苦ッ!」

トウキ「タンバシティ…おい、見ろよハギさん!ハルカ!
    ここのジムリーダー、かくとう使いだってさ!会って来ようかな…」
ハルカ「あ、じゃあアタシも…」
ハギ「おいおい、ヤツにみやげを買うんじゃなかったのか?」
トウキ「ハギさんがやっといてくれよ!そのへんに売ってるだろ」
言うが早いか、二人の足はタンバジムに向けて走り出していた。
ハギ「けっ、ちったぁ老人をいたわれってんだ…なぁ、ピーコちゃん」
ピーコちゃん「ぴー…」

トウキ「あんたがジムリーダーかい?」
トウキがジムの奥で筋トレをしている中年の人に声をかけた。
シジマ「いかにもそうだが…挑戦者か?それとも、兄妹でジム見学かい?」
ハルカ「兄妹じゃないッス…」
トウキ「あいにくだが、どちらでもない。オレはトウキ、ホウエン地方ムロジムのリーダーだ。
    こっちが弟子のハルカ」
シジマ「ほう…なるほど、アンタもかくとう使いだな?」
トウキ「そうだ。今は手合わせしてる時間が無いんだが、同じかくとう使いってことで挨拶に来たのさ」
シジマ「ほう、トウキといったな。今後ともよろしく頼むぞ」
トウキ「はは、時間があるときにお手合わせ願いたい」
シジマ「いつでも構わん」
ハルカ「(かくとう使いどうしの挨拶って、こんな感じなのか…)って、
    トウキッ!!時間時間ッ!!」
トウキ「え…うわっ、もうこんな時間か!すまない、これで失礼する」
シジマ「慌しいヤツだなぁ」
そういうと、二人はダッシュで出て行った。

ハギ「おら、遅ぇぞ!マッハで行くから振り落とされんなよッ!!」
ハルカ「うっひゃァ…ッ」
外は夕焼けだった。船があげる水しぶきが虹を映しだした。

やっと目的地に着いた頃には、もうすっかり日が暮れていた。
トウキ「すまん、シバ。遅くなって…」
結局、タンバからでも間に合うはずがハルカが振り落とされてしまい、
そのときにハギ老人が買っておいたおみやげも水浸しになってしまった。
シバ「待ち合わせに遅れるとは言語道断、時間にルーズな男は強くなれんぞ!!
   って、女もいたか。まさかお前が女を弟子にとるとはな」
トウキ「実力は保証済みさ。なっ、ハルカ」
ハルカ「よろしく…お願いします!」

86 :エンタ2005/11/27(Sun) 19:06:20 ID:poSFTq82
第75話 ゲンキの戦い・其の一

サミットを追い出されたゲンキは、あの後まず最初にテッセンに挨拶をしにいった。
ゲンキ「テッちゃん、オレみたいなのを拾ってくれてありがとうよ。
    ひとまずオレはジョウトに戻るぜ。家には、帰らねーけど」
テッセン「そうか…ゲンキでな、なんちて…」
ゲンキ「あっはははは、大爆笑だぜテッちゃん!!おもしれー、ギャハハハ!!!」
実は、ゲンキはテッセンのよくわからない冗談を唯一おもしろいと言ってくれた人物なのだ。
テッセン「おまえがいなくなると、さびしくなるの…」
ゲンキ「まあ、実力をつけたらいずれ戻ってきてやつらを見返してやるさ!
    …じゃあ、そろそろオレ行くわ。あばよ、テッちゃん」
テッセン「…待て。こいつは、ワシからのせめてものお礼じゃ。」
ゲンキ「これぁ…レアコイル?」
テッセン「ただのレアコイルではないぞ。なんとコイルが4体連結したひじょ―――――に珍しい変種なのじゃよ」
ゲンキ「すっげぇ、いいの?いただいちゃって」
テッセン「そいつを見て、ワシのことを思い出してくれぃ…」
ゲンキ「テッちゃん…」
テッセン「ゲンキ…」
ゲンキ「…、名前はレアまるだな。」
テッセン「4体まとめてか?コイル4体と考えて、一匹一匹にも名前をつけてやってはどうじゃ?」
ゲンキ「そうだな…」
ゲンキはレアまるをボールから出すと、じーっと見つめてから言った。
ゲンキ「ネジが左右大きさが違うお前がアルファ。目がデカめのお前はベータ。
    よく動くお前がガンマで…最後、頭のネジが三角ネジのお前が、デルタ!」
テッセン「コイルにも、いろいろ違いがあるもんじゃなぁ…お前のその観察眼にはびっくりさせられるぞ」
ゲンキ「そうなのか?オレはぱっと見で決めたんだけど」
ゲンキがレアまるをボールに戻しながら、ふしぎそうに聞いた。
テッセン「…ともあれこれでお別れじゃな…」
ゲンキ「随分しらけちまったがよ、あばよテッちゃん」
ゲンキはそういうと自分のボートが置いてあるというカイナシティに向かった。

数時間後…
ゲンキ「あぢぃ…」
いざボートを漕ぎ出したまでは良かったが、途中で嵐に見舞われ見知らぬ島にたどり着いたのだ。
ゲンキ「ジョウトなのか…?っていうかどこだよここ…?」
???「ここはグレンタウン…ジョウトじゃ無くてカントーだが…」
ゲンキ「誰だ…?」
熱さでめまいがしているゲンキには、やや銀に近い白髪しか見えなかったが、
その声の主が自分の正体を教えてくれた。
   「俺の名は桂ホタル…人呼んで、紅蓮のホタルだ」

87 :エンタ2005/11/27(Sun) 19:06:38 ID:poSFTq82
第76話 シンジの行方・其の一

シンジはあの後、キンセツ北に広がる111番道路の砂漠を歩いていた。
シンジ「ちッ…すなあらしがやまないな…ヤミカラス、もっとダークウェザーを頼む」
ダークウェザー…例の謎のエネルギーでシンジの周りを包み込み、襲い来るすなあらしをすべてはねのける。
シンジ「…、ヤミカラス、もういい」
ヤミカラスが力を出すのをやめ、降りてきた。
シンジ「砂漠を…越えたか」
今まで砂漠の人にシンジの異変が気づかれなかったのは、謎のエネルギーは肉眼では見えないからである。
もちろんシンジ自身にも見えない。
シンジ「ヤミカラス、戻れ」

シンジはあてのない旅を続けていた。最初の頃はハッキリした目的もあったのだが、
今となってはもはや忌々しきポケモンを葬ることしか考えていなかった。
シンジ「あの男から与えられた力で…あの男自身を滅ぼしてやる」
そう誓ったことだけは覚えている。
だが、『あの男』が誰なのか、自分が何者なのか、何故葬らなければならないのか、
全ては時がたつと共に記憶の奥底へと封じられていった。
今残っているのは誰へともつかぬ復讐心のみ。その復讐心だけが彼を突き動かしていた。

シンジ「…誰だ?いるのは分かっている」
突然シンジが岩陰の茂みを見て言った。
???「…流石ですね。ますますあなたに興味がわいてきました」
シンジ「気色悪い。失せろ」
相手が女だということは分かっていた。声を変えているようだが、そんなものでシンジの耳はだまされない。
???「冷たいですね…そんなんじゃ、モテませんよ?」
シンジ「失せろと言ったのが…」
シンジはおもむろにボールを取り出した。
シンジ「聞こえなかったかッ!?」
ボールから飛び出したニューラは茂みをきりさいた。
???「あらあら、怖い」
シンジ「その軽口ごと切り裂いてくれるッ!!ニューラ!」
ニューラがその声のもとへ詰め寄り、のどもとにツメを立てた。
シンジ「言え。警告を無視してまで俺に近づいた理由を」
???「……」
シンジ「何も答えなければニューラのツメが貴様ののどを貫くだけだ。…答えによっても、その命は保障できないがな」
???「驚きました…実行部の人は、やっぱり強いですねぇ…」
その言葉にはじめてシンジの顔色が変わった。
シンジ「…何故知っている!?サミットのことは一般の民間人には…」
そこまで言って、シンジははっと気づいた。
???「私が、一般の民間人に見えます?」
シンジ「貴様…まさかとは…思うが」

マユミ「ええ、そのまさかです。わたくし諜報部トップの、銀杏マユミと申します」

88 :エンタ2005/11/27(Sun) 19:06:56 ID:poSFTq82
第77話 ツチオの挑戦・其の一

ツチオは、フライゴンにのって東へ飛んでいった。
ものすごい突風を顔に受けながら一言、呟いた…
ツチオ「今日こそは…!」

30分前…
ツキコ「ちょっと、聞いてるの?ツチオ!」
ツチオ「わかってるよ!今日で最後にする…」
ツキコ「そのセリフは、もう4回は聞きました!だいたい、
    自分に勝てたらなんて条件出す時点で怪しい人に決まってるじゃない」
ツチオ「怪しくなんか無い!あの人はすごくいい人だ!勝つまで戦わせてくれるって言ってたし…」
ツキコ「あなたねぇ、そんなこと言ってたらおじいちゃんになっちゃうわよ?
    バカな夢見るのはやめて、はやくこっちに戻ってきなさい!!」
ツチオ「うるさい!姉さんに何が分かるもんか!」
ブツッ ツー ツー ツー…
ツキコ「…ツチオ…」

ツチオ「今日こそは、負けられない…いつまでもみんなに迷惑はかけたくない…」
フライゴンはさらに速度を増していった。
ツチオ「待っていてください…!」

ダイゴ「…具体的には、どんな条件なんだい?」
ツチオ「興味ありますか?実は、至極簡単な条件なんですよ」
ダイゴ「ほー…?」
ツチオ「ポケモンバトルに勝てたら」
ダイゴ「ははは…そりゃ簡単だ。
    ポケモンバトルに勝てたらお嫁さんとしてもらわれてくれるのかい」
ツチオ「ちょっ…声が大きいですよ!」
ダイゴ「しかし、彼女がそんなお願いをうけいれるとはね…まあ、それなら全部納得いくかも」
ツチオ「? 何の納得ですか?」
ダイゴ「キミをパートナーに選んだ理由だよ。おそらく彼女は、キミの事を…」
ツチオ「俺のことを…?」
ダイゴ「…いや、やっぱり言うのはよそう。僕が言うべきことじゃないし」

ツチオ「…着いた。ヒワマキシティ…フライゴン、ありがとう」
フライゴンをボールに戻すと、ツチオは木に囲まれた立派な建物に足を進めた。
ツチオ「ごめんください…七瀬ですが」
トレーナー「おー、待ってたぞ。さ、中に入れ」
そこはポケモンジムだった。ツチオは奥に向かって叫んだ。
ツチオ「七瀬ツチオ!8度目の正直に参りました!ナギさん!今日こそ勝たせてもらいます!」
奥からジムリーダーらしき人物がやってきた。
ナギ「…そんな、もらいますだなんて…どうぞお手柔らかに、お願いしますね」
トレーナー(なんか…面白いことになりそうだな、また)

89 :エンタ2005/11/27(Sun) 19:07:20 ID:poSFTq82
第78話 ユウキの出発

ユウキ「そんじゃ、ここでお別れだな」
ヒサヤ「何だよ、慌しい…もう少しゆっくりしていけよ」
ユウキ「はは…ゆっくりしようにも家はつぶれちゃったし…っていうか
    家があったところに変な建物ができてるし」
セツナ「あれがうわさに聞くバトルテントか」
イッセン「相変わらずセツナはうわさ好きじゃの…」
ヒサヤ「マナカ嬢ちゃんに挨拶は済ましてきたんだっけ?」
ユウキ「あ、ああ。ついさっき」
ヒサヤ「それにしても…あん時は驚いたな」
ユウキ「どん時だよ?」
ヒサヤ「ムロタウンで嬢ちゃんに会った時だよ!何でいるんだ?って感じで」
ユウキ「まあ、ムロタウンに着いたときはオレもびっくりしたけど…」
ヒサヤ「マグマ団から逃げてきたんだろ?結局助けに行くつもりが助けられてやんの」
ユウキ「うん、まあ…でも、二人だけじゃどうにもならなかったけどな…」
ヒサヤ「ん?三人目もいたのか?」
ユウキ「え?ああ、いや…」
ユウキはホタルのことをまだ誰にも話していない。
ムロでの一件を知っているのはユウキとマナカ、そしてブッタロウおじさんだけだ。
ユウキ(ホタルは…あの後どうしたんだろ…なるべく長いことどこかへいってくれてるといいんだけど)
ヒサヤ「しかしお前も冷たいヤツだよな…嬢ちゃん一人ムロの人に預けて自分はジム戦なんてよ」
ユウキ「う…(言い返せない…)」
ユウキがジム戦に安心して挑めたのも、ホタルがマナカの世話一切を引き受けてくれたおかげだ。
だが、そのことを口にすればたちまちホウエン中に警戒網が張られ、ホタルが捕まってしまうかもしれない。
ユウキ(悪いヤツじゃないんだけど…でもあの時ポケモンでオレたちを殺そうとしたのは事実だし…)
ヒサヤ「おい、どうした?」
ユウキ「え?ああ…どうもしてないけど」
セツナ「おい、ユウキ。アタシたちはこの辺でお別れとしよう」
ユウキ「そう?じゃ、これを持ってってくれよ」
ユウキはカイスのみを三つ、セツナに手渡した。
セツナ「おっ、サンキュー。これおいしくて気に入ってたんだよね」
ユウキ「ハジツゲの畑は全部ダメになっちまったから…これからは
    火山灰にも強くて、溶岩が流れてきても平気なやつを作るらしいよ。
    護衛がてら、畑仕事でも手伝ってあげてくれないかな」
ヒサヤ「僕の仕事は耕すだけだから…というか、ネットワークを完成させないといけないしな」
イッセン「しかし…この村の人々は大丈夫なのか?」
セツナ「何が?」
イッセン「いや…マグマ団のことや、サミットが秘密にしていたことを全部知ってしまったじゃろ?」
ユウキ「大パニックには慣れっこだからね。ここの人は」
ヒサヤ「まあ、地震の日から人災だって気づいてた人も多かったみたいだし…
    社長も大丈夫って言ってたから大丈夫だろ」

ユウキ「それじゃ、もう行くわ。そろそろ夜になりそうだし」
ヒサヤ「しっかりやれよ!アスナは強いけど、お前ならきっと勝てるさ!」
ユウキ「へへ…聞いたところじゃほのお使いらしいからな、しっかり対策立てないと」
ヒサヤ「そっか…お前、はがねが2体だっけ…うーん、2体じゃキツイんじゃないか?」
ユウキ「オレもそう思う…正直ナックルバッジは師匠のおかげさまでもらえたようなものだし」
ヒサヤ「何より、お前のライバルちゃんも3体持ってるしな」
ユウキ「師匠からもらったこの『ぜんこくはがねポケモン図鑑』を役立てて、頑張ってみるよ!」
ヒサヤ「おう。頑張れよ、ユウキ!!」
そして、それぞれの思いが交錯する中で、静かに日は暮れた。

90 :エンタ2005/11/28(Mon) 21:46:29 ID:NwC1Enok
章の区切りがだんだんあやふやになってきている…!

みんながそれぞれの道を歩き始めました。
というわけで次の79話からは第4章・それぞれの道編です。

おまけその一

実行部の名簿

実行部リーダー 石蕗 大悟 ツワブキダイゴ
トップ 大空 勇気 オオゾラユウキ

メンバー(ジムリーダー番号順)

桐崎 一閃 キリサキイッセン
苧環 遥香 オダマキハルカ
金田一 元気 キンダイチゲンキ  ×××脱退×××
堀岡 楸哉 ホリオカヒサヤ
桃花 水無月 トウカミナヅキ
七瀬 土男 ナナセツチオ
銀 神士 シロガネシンジ
天童寺 優良 テンドウジスグル

※桐崎 刹那 キリサキセツナ は、
 苧環 遥香 オダマキハルカ 加入時に×××脱退×××

91 :エンタ2005/11/28(Mon) 22:42:50 ID:NwC1Enok
おまけその二

あえて二つに分けたのは、50行オーバーしないためだったのですが…無理でした。はい。
どうか全部読んでやってください。

いまさらキャラ紹介・その何だったか忘れた サミット編

金田一ゲンキ
言わなくても解るかもしれませんが、一応金版の主人公です。
年齢は、13歳。でもわりと背は高いほう。ユウキと同じくらい。
家はジョウトのワカバタウンにあって、すごい金持ちなのですが、
75話で「家には帰らねーけど」と言っているのは彼が家出少年だからです。
ゲンキは資産家・金田一ツトムとその妻・マキエの間に生まれました。
3歳のときにマキエが亡くなり、翌年父ツトムが知り合いの小坂サナエと再婚。
そしてゲンキが6歳のときに父ツトムが殺され、以来二人だけで生活してきました。
ツトムが死んでからはゲンキの性格も暗くなる一方で、学校でもいじめられていましたが、
ある出会いをきっかけに彼の人生は大きく変わっていきます。
そう、ポケモンとの出会い。
ゲンキのスペックは「二つのわざを合成して新しいわざを創る」能力。
影狼(シャドウヴォルフ)は、漫画で言ったらフリガナ付き文字です。
つまり、影 狼 と書いてシャドウヴォルフと読む、といった感じ。

銀シンジ
はい。ライバルです。16歳です。
パーティはあくタイプがメイン。ニューラ、ヤミカラスなど。
76話でのマユミとの出会いが、今後の彼を大きく変えます。
いったいシンジはどこへ行ってしまうのか?
そういう意味での、『シンジの行方』です。
シンジはダークわざを使うポケモンを連れていますが、ダークポケモンではありません。
ちゃんとシンジの言うことも聞くし、勝手に暴走(ハイパー)したりもしません。
『あの男』から通常のわざと引き換えにダークわざを覚えさせる技術を伝授されたのです。
多分、『あの男』の正体は皆さん予想がつくと思いますが、
物語的にも今はふせておきます。
けど、肉親ではないことだけは言っておきます。
肉親なら『あの男』呼ばわりはしませんからねぇ。多分。
さて、シンジのスペックですが、71話で彼が
「俺のスペックはこのような戦いでは意味を成さない」と言っています。
あのバトルのルールは、
・3分以内に決着を着けること
・入れ替え制シングルバトル
・消費アイテム・装備アイテム共に使用禁止
です。これはあくまでヒント。

七瀬ツチオ
ジョウトからの参戦が多いですね。ジョウト曜日兄弟・三男のあの人です。
年齢は18歳。当然ですね、18歳未満の男は結婚できません。
手持ちはフライゴン・ムウマの2体のみ。
彼は自分のスペックの正体をきちんとわかっていますが(ジョウトの人は大体がそう)、
発動に必要な条件が厳しいので今は使えません。
ツチオのエピソードはちょっと解りにくいのでここで説明します。
まず彼は、ちょっと前にお嫁さんを探しにと言って家を出、ホウエンにやってきます。
しかしホウエンには、なかなか彼のお嫁さんになってくれそうな人がいません。
そこで出会ったのが、ヒワマキシティジムリーダー・日暮ナギでした。
ナギはツチオの申し出(お嫁さんになってください!)に
条件(ポケモンバトルで自分に勝ったら、お誘いを受ける)をつけ、
そして決着が着かぬまま今に至っているのです。
78話で8回目です。普通の人なら断ってます。諦めてます。
実際ツキコも愛想尽かしてます。
ちなみにナギは18歳、ツキコは25歳です。

天童寺スグル
この話には珍しいオリジナルキャラ。強いて言うならエリートトレーナー。
初めて話に出てきたのが31話です。
彼がセンリではなくアダンのパートナーなのは、あの後マユミがミクリに彼のことを話したからなんですね。
手持ちはバランス重視。今のところ出ているのはキュウコンだけですが。
ちなみに年齢は15歳。コウキと同じ。
彼はいい家に生まれたこともあるのか、友達は少なく、あまり社交的ではありません。
性格もセンリいわく「あまり物事を深く考えない」タイプ。
その上、その馴れ馴れしい言動から少しムカつく印象を相手に与えてしまうのがたまにキズ。
でも、本当は寂しがり屋なんです。
31話で『新人』と言われてましたが、トウカジムに入る前はミナモの実家にいました。

92 :エンタ2005/11/29(Tue) 19:15:06 ID:Ohqm312E
第79話 ミツルの目的

ミツル「やっと着いた…もう、すごい時間だよ」
シダケタウン、ミツルの故郷。生まれ故郷はカントーだが。
ミチル「あ、ミツルくんー!こっちこっち」
ミツル「ミッちゃん!!大声出さないでよ、こんな遅くに」
彼女はミツルのいとこで、名前はミチル。
ミツルがおじさんの家に連絡を取ったとき、渡したいものがあるからシダケに寄ってくれといった本人である。
ミツル「それで、渡したいものって…?」
ミチル「旅をするにしても、いろんな物が必要でしょう?」
見ると、地面に大きめのリュックが置いてある。
ミチル「ミツルくんがこの家で使ってた物全部、整理してこれに入れておいたわ」
ミツル「あ、ありがとうミッちゃん!」
ミチル「そうそう、あとこの子も連れて行ってあげて」
ミチルはおもむろにモンスターボールを取り出すと、ミツルに差し出した。
ミツル「えぇ!?これって、ミッちゃんのお気に入りの…」
ミチル「チルチルも、この家でじっとしているよりもミツルくんと一緒にいろんな所に行きたいだろうと思って」
ミツル「でも…ラルトスの病気が…」
ミチル「ラルトス?あぁ、コウキさんと捕まえたあの子?あの子がどうかしたの?」
ミツル「実は…」

ミチル「ふーん…そんなことがねぇ…でも、チルタリスはこれ以上進化しないポケモンだから、感染しても平気よ」
ミツル「え…そ、そうか!!進化しなければいいんだ!!」
ミチル「そうそう。それにチルタリスは回復能力に優れたポケモンだから、
    きっとラルトスのいいパートナーになると思う」
ミツル「これで仲間が増やせる!何で今まで気づかなかったんだろう!!」
ミチル「フフ…嬉しそうね」
ミツル「…あ!そうだ、僕もう行かないと…」
ミチル「?そういえば、ミツルくんは何で旅に出ようなんて思ったの?」
チルチルの背にまたがろうとしているミツルに、ミチルがもっともな疑問を投げかけた。
ミツル「僕の旅の目的?それはね…」
チルチルが大きく羽ばたいた。
ミツル「ひとつは、ユウキさんやコウキさんに会ってしっかりお礼を言うことと、
    もうひとつは…ホウエンのいろんなきれいな景色を見るために…」
ミチル「えぇ!?何も聞こえないよ!?」
チルチルの羽ばたきと高らかななきごえで、ミツルの声はほとんどミチルに届いていない。
ミツル「父さんにもらったカメラで…いろんな景色を…うわっ!?」
離陸。ミツルとチルチルは瞬く間に上へ上へと昇っていく。
ミツル「とっ…とにかく、僕はこれから東へ…うわああぁぁぁぁ…」
あっという間に、ミツルの姿は見えなくなってしまった。
ミチル「結局、何も分からずじまい…か」
ミツルが消えた空から、朝日が昇り始めていた。

93 :エンタ2005/11/30(Wed) 17:05:22 ID:VV4GPlBI
第80話 対決!ユウキVSスグル

えんとつやまにできた自然のトンネル…ほのおのぬけみち。
その入り口で、二人の男が対峙している。
スグル「準備はいいかい?」
ユウキ「いつでもどうぞ」

そもそも何故こんな事になったのか?時間はその日の朝に遡る…
ハジツゲを出てしばらくしてから、ユウキは火山付近のやわらかい土の上で夜を過ごした。
ユウキ「うーん…もう朝か?」
起きると、チーがボールから出て何かを見ていた。
ユウキ「…お前、たしか…天童寺スグル、だっけ…」
スグル「ん?キミはいつぞやの…何とかかんとか君」
ユウキ「わざとにしても、もっとマシな名前にしろよ!!オレは憶えててやったのに」
スグル「それで…僕に何か用かい?」
ユウキ「お前こそ、何で人が気持ちよく寝てるそばで派手なトレーニングやらかしてんだよ?」
スグル「へ?あ〜、そこに転がっていたのはゴミじゃなかったのかい?」
このセリフでカチンときたユウキは、その後いろいろあってバトルすることになったのだった。

スグル「こちらから行かせてもらうよ!キュウコン、だいもんじ!」
ユウキ「ココ、地中へ逃げろ!あなをほる!」
スグル「地味なわざだなぁ…キュウコン、あぶりだしてしまえ。かえんほうしゃ!!」
土がやわらかいのはユウキに有利な要素だ。ココは軌道を悟られること無く深く深く掘り進んだ。
スグル「…?キュウコン、どうした?」
キュウコンの鼻にも限界はある。ましてほのおで焦げ臭くなった土の中から標的を見つけ出すのは至難のわざだ。
ユウキ「そろそろだな…」
地中にいる間は指示が出せないので、最初にタイミングを指定しておいたのだ。
どうやらポケモンは飼い主に似るらしく、ユウキの体内時計はココにもコピーされつつあった。
ユウキ「ドッカ―――――ンッ!!」
その叫びと同時に、地中から飛び出してきたはがねの塊がキュウコンの急所を打ち抜いた。
スグル「おっと!キュウコン、大丈夫か?もどれ」
このバトルは入れ替え制だが、スグルはクセでキュウコンを戻してしまった。
まあ、続けられる状態でもなかったのだが。
次に繰り出されたのはゴルダック。
ユウキ「ココッ!がんせきふうじ!」
滅茶苦茶な量のいわがゴルダックを取り囲んだ。
スグル「フフ…ゴルダック、サイコキネシス!」
特殊な方法で習得できるエスパーわざで、取り囲むいわをココのほうへはね飛ばす。
ユウキ「ねんりきじゃない!?何だよそりゃッ!!ココ、ころがってよけろ!!」
ココがいわを巧みに避けながらスピードを上げてゴルダックに近づく。
そして、最高のスピードで地面を蹴り飛び上がった、
その刹那。

スグル「よくやった、ゴルダック。」
ゴルダックのクロスチョップがココに炸裂した。
スグル「これでココドラは戦闘不能だね。次はなんだい?」
ユウキは無言でココをボールに戻し、無言でチーを出した。
スグル「ふふ…プクリン」
スグルもポケモンを替えた。ここでユウキは気づいた。
ユウキ(そうか…こいつココ以外オレの手持ちを知らないんだ。だから見かけで判断ってワケかよ)
だが、その読みは残念なことに外れていた。
スグル「キミ、空のボールが4つもついてるけどさ…こんなことされたらどうするつもりだい?」
プクリンがうたを歌い始めた。子守唄などという生易しいものではなく、
まるで永遠の眠りに引き込むかのような、それでいて断末魔の叫び声のような不気味な響き。
ユウキ「ほろびの…うた!?」
スグル「何もできないよね。それじゃさっきの飛べない鳥みたいに役に立たないね」

ユウキは自ら負けを認めた。そして持っていたアイテムでココの傷を癒すと、
スグルに背を向けてほのおのぬけみちに入っていった。
ユウキ「負けた…やっぱり、手持ちの少なさのせいか」
『ぜんこくはがね図鑑(あいうえお順)』を片手にため息混じりに呟く。
すると、どこからかきんぞくおんが聞こえてきた。
ユウキ「この音は…!図鑑を!」
一番最初のページに載っていたきんぞくおんの主が、ユウキの前に歩いてきてその顔を見据える。
よろいどりポケモン・エアームド。

94 :エンタ2005/11/30(Wed) 17:05:37 ID:VV4GPlBI
第81話 ゲンキの戦い・其の二

ゲンキ「紅蓮の…ホタルだぁ?どっかできいたよーな…ま、いいや…」
その男がマグマ団だということなど、ゲンキは思いもしなかった。
出会った場所が場所だし、何より赤装束を着ていなかったからだ。
その男…ホタルは、目の前で倒れた少年をひとまず近くの建物まで連れて行った。

ゲンキ「むにゃむにゃ…無理らって、テッちゃん…もう食えにゃい…ZZZ…」
夢の中でご満悦している様子のその少年を見て、ホタルはため息をついた。
ホタル「ったく…まずったぜ、こんなアホみたいなヤツに名前教えちまった…
    あいつの話だと、俺の名前は結構知れ渡ってるらしいからな…」
ゲンキ「むにゃ…何か言ったか?あいつって誰?」
不意をつかれて、ホタルはいすから転げ落ちた。
ホタル「おッ…起きてるならそう言え!!」
ゲンキ「むにゃむにゃ…ここ…どこ…?」
いかにもボロっちいつくりの小屋の中。今はもう使われていない研究施設である。
ホタル「待ってろ、いま水持ってくるから」
ゲンキ「あんた誰…?何で、オレにそんなに良くしてくれるんだ?」
そういえば、とホタルも立ち止まる。もっともな疑問だ。
ホタル「何でだろうな?まあ、何だっていいだろ」
ゲンキ「はぁ?ッと待て、オレも行く」

ゲンキ「ひとっこ一人いねぇな…あんた、いつからここに住んでんの?」
木のバケツを担ぎながらゲンキが尋ねた。
ホタル「んー?昨日」
ゲンキ「きのうッ!?」
思わず声を張り上げる。
ホタル「別に、驚くようなことじゃねーだろ?人の世は移り変わるもんさ」
ゲンキ「そういう問題じゃなくて…なんで昨日きたヤツが水のありかまで熟知してんだよ!?」
ホタル「はァ?まだ寝ぼけてんのか、お前?水のありかなら、お前も知ってんだろ」
しばらく歩くと、ホタルが腰を下ろして水を汲み始めた。
ゲンキ「おいコラ…おもっきし海じゃねーかよッ!?塩水飲ます気か!?」
ホタル「うるせぇな…いいだろ、ちょっと位しょっぱくても」
ゲンキ「いいわけあるかッ!!」
ホタル「しょうがねぇな…あの方法でやるか。ちょっとついて来い」

次にやってきたのは、古びた建物。ここも研究施設だろうか、割れた窓から原子力マークが見える。
ゲンキ「何だよここ…」
その中から、ホタルが何かを担いで出てきた。
ゲンキ「エイチツー…って何だっけ?ああ、水素か。って水素!?」
ホタル「水素に火を近づければ水が…」
ゲンキ「大惨事になるだろッ!!もういいよ、水無くて…アンタどうやって一日生き延びたんだ?」
ホタル「ん?ああ…俺、海なしで生きられるかって思ってな…ちょっと、試してたんだ」
ゲンキ「無理に決まってんだろ…」
ホタル「はは、そうだよな…は、は…」
急にホタルの雰囲気が変わったので、ゲンキは何事かと思いたずねた。
ゲンキ「大丈夫かよ?…海に、ワケありか?」
ホタル「ん?ああ、ちょっとな…」
しばらく沈黙が流れた。

ホタル「聞きたいか?」

95 :エンタ2005/11/30(Wed) 17:05:56 ID:VV4GPlBI
第82話 シンジの行方・其の二

シンジ「その、諜報部のトップ様とやらが、俺に何の用だ?」
相手の正体を知ってからも、シンジの対応は冷たいものだった。
シンジ「だいたい、諜報部は外部の者に正体がばれてはまずいんじゃなかったのか?」
マユミ「……」
シンジ「答えたくないというわけか。それなら用件を告げてさっさと消えろ」
マユミ「用件は伝えますが…」
途端にマユミの声が不気味な響きを帯びた。シンジは怖気がして思わず後ずさった。
マユミ「…さっさと消えるわけにはいかないんですよ…」
1歩、また1歩とマユミが詰め寄ってくる。それにつられるかのようにシンジも後ずさりした。
シンジ「…止まれ」
マユミ「はい」
あっさりと止まってくれた。シンジは安心し、かつ動揺した自分を戒めるかのように更に厳しい態度になった。
シンジ「…用件は」
砂嵐の吹き荒れる音が耳に響く。やがてマユミが口を開いた。
マユミ「…諜報部に転向しませんか?」
驚きの一言。さすがのシンジも動揺を隠せない。
シンジ「な、何を突然!?」
マユミ「あなたは表舞台に出るべき存在ではありません。
    諜報部はあなたにとっていい隠れ蓑になると思ったのですけど」
そこまで言った時点で、砂嵐の音が聞こえなくなった。止んだのではない。
シンジのニューラが一瞬にして音を遮る例のエネルギーの壁を作り出したためだ。
シンジ「貴様、俺の何を知っている…?」
マユミ「そう興奮なさらずに…」
シンジ「諜報部というのはハイエナのような連中だな。人の秘密を荒らしまわるなど…」
マユミ「あら、人聞きの悪い…でも、度が過ぎればそれも仕方の無いことかもですね」
シンジ「…俺が何かの役に立つと思ったか?悪いが俺は誰にも手を貸さないし、
    誰かに守ってもらうなんてことも決してしない」
マユミ「ええ、でも…諜報部にはあなたが必要なのです。どうしてもと言うのなら、少々強硬手段に出ますよ?」
シンジ「ほう…そこまで死にたいか?」
マユミ「フフ…確か、ポケモン盗難は15万円以下の罰金か、15年以下の懲役でしたね?」
とたんにシンジの顔色が変わった。
シンジ「なッ…貴様…!?」
マユミ「ワニノコは、アリゲイツに進化したそうですねぇ?
    今はニューラがダークわざを教えているのですかぁ〜?」
形勢逆転。マユミの口調がからかう感じになった。シンジは何も言い返せないでいる。
シンジ「…まず諜報部の活動拠点に連れて行け…それからじっくり話を…」
マユミ「まぁ話はしますけどぉ、シンジ君がワニノコ盗んだのは事実ですしぃ〜」
シンジ「わ、バカ!あまり大声で…」
マユミ「失礼ですねぇ、バカはシンジ君です〜。響絶壁(サウンドバリア)張ってるの忘れたんですかぁ〜?」
こうして、バカのシンジ君は諜報部に入ることになってしまった。

96 :エンタ2005/11/30(Wed) 17:06:17 ID:VV4GPlBI
第83話 セツナとイッセン

セツナ「どした、おとーさん。仕事してよ」
イッセンは、畑の隅でボーっとしていた。
セツナ「おいッ、おとーさんッ!!」
イッセン「…おお、セツナ。どうした?」
セツナ「コッチのセリフよ!一体どうしたのよ、昼中ポケ――――――――っとして!」
イッセン「…海が見えんと…落ち着かなくてなぁ…」
セツナ「十分すぎるほどに落ち着いてんじゃない!?もうほとんど瞑想よ、無我の境地よ!」
イッセン「…海の藍色は…いつもワシを癒してくれた」
父親が回想モードになったと悟って、セツナはますますあきれた。。
セツナ「…母さんが死んじゃってから、ずっとその調子…海が見えなければ元気が出ないなんて」
イッセン「ワシはいつも昼の海と夜の空に支えられておる…15年もずっと」
セツナ「…もう忘れようよ。思い出に引きずられて生きてほしくないよ」
イッセン「だが…一度愛した者を忘れるなどできようか。お前にも今に分かる」
セツナ「はは…男の名前を覚えるのは苦手なの。強いヤツの名前しか覚えてない」
イッセン「そうだ。彼女は強かった」
セツナ「ええ、そうね。死んでも海に空に、生き続けてるんだもの。…藍色の髪、藍色の瞳」
イッセン「藍色の剣」
セツナ「でも、海に空に映るそれはすべてまやかしよ。本物の母さんじゃない」
イッセン「だが…」
セツナ「おとーさんはいつもそうなのよ。あたしと話をしてても、藍色の瞳を見つめてる」
イッセン「…すまぬ」
セツナ「そうよ…あたしが剣をはじめたのもそれがきっかけ」
イッセン「…こんなにも上達するとは思っていなかったがの」
セツナ「あたしは努力したわ。二人の血は流れてなくても、あたしは桐崎セツナだもの」
イッセン「そうか…そうじゃな」
セツナ「ま、剣の道を志して、何の因果かあいつと同じ釜の飯を食うことになったけどね」
イッセン「…運命とは、いつも残酷なものじゃ…誰が望むでもなく勝手に現れ、奪う…また、与えてゆく…」
セツナ「出た、『ワシ曰く』。ま、言うとおりだとは思うけどね」
イッセン「ワシは、運命に逆らってしまったのかも知れぬ…」
セツナ「別にいいじゃん。『ワシ曰く』運命は神様の紡いだ糸…ならそんな神様くそ喰らえ、ってなモンよ」
イッセン「はァ…もちっと女らしく振舞ったらどうじゃ…そんなだから、17になっても男がブッ!?」
セツナ「血ってのはいい肥料になるのかな〜?」
イッセン「待て、ワシが悪かった!頼むから…ああッ、真剣!?そんなモンどこから…」
セツナ「…一応、峰だから」

ズガッ。

セツナ(神様とやら…逆らえる限り逆らってみせるよ。人間はもっとも自由な生き物さ)

97 :エンタ2005/11/30(Wed) 17:06:35 ID:VV4GPlBI
第84話 ハルカの修行・其の二

ハルカ「あの〜…何で海を渡ってるの…?」
トウキ「お土産を海に落としたからだろ…あれ、シバの大好物なのさ」
ハルカ「甘い物はアタシも好きだけど…だからって隣の島まで泳ぐ?」
トウキ「そういうヤツなの」

シバ「い…いかりまんじゅうが…ない…」
今にも殴りかかってきそうな客だったので、店員はあわてた。
店員「す!すみませんお客様!!当店では取り扱っておりませんので…!」
シバ「売り切れならともかく…取り扱ってすらいないだと…?」
今にも『ゴゴゴゴゴ…』という擬音が実際に聞こえてきそうである。
シバ「取り扱ってすらいないだと…!?」
同じセリフ、同じアクセント、桁違いの迫力。ただならぬ殺気を感じたトウキがシバを取り押さえる準備をした。
シバ「…では、どこに行けば売っているんだ…!?」
店員「(ホッ…)ええ、それでしたらつい最近ジョウトからやってきた5のしまの商人を訪ねると良いでしょう」
シバ「5のしまか。ここはどこだったか…?」
店員「ええ、それはもうとびっきりの6のしまです」
ハルカ「は?」
店員「そうそう、その商人ですが…何でもトレーナーの役に立つ物を取り扱っているとか。
   まだ若い娘ですが、しっかりしていますよ。家族を養うためにお金を稼いでいるとか…
   くぅっ、なんて健気な」
シバ「名は?」
店員「ええと…たしか、七瀬カネコ」
ハルカ「七瀬…?どっかで聞いたような」

トウキ「そういえば、ハルカは海を渡れるポケモンは持ってるのかい?」
ハルカ「ううん、かくとう・ほのお・くさだけだし…」
シバ「む?そうか。それなら…」
彼が徐に取り出したハイパーボールから、ポケモンが飛び出してきた。
シバ「このニョロボンをやろう。みずタイプは何かと役に立つ」
ハルカ「ええ?…でも…いいんですか?」
トウキ「遠慮せずにもらっときなよ。どーせ捕獲はできないんだろ?」
ハルカ「う、うるさいなッ!」
トウキ「ポケモン博士の娘ともあろーものが、手持ち全部もらいものじゃな〜…」
シバ「挑発してどうする…安心しろ、ハルカよ。人にはそれぞれ得意不得意がある」
ハルカ「うぅ…悔しいけど、二人の言うとおり…それじゃ、お言葉に甘えて」
シバ「ああ、こいつはみず・かくとうの2タイプを併せ持つニョロボンだ。名前をつけても構わんぞ」
ハルカ「そうね…じゃ、ニョロピー!」
トウキ「結局それかよ…もっとかっこいいのにしようぜ」
ハルカ「名前くらいかわいくたっていいでしょ〜!」
ボブやアーネストも、人によってかっこいいかどうか微妙だが。

3のしまに到着した。しまの大通りはバイクの人で混んでいたが、
みんなシバを避けてくれたのでわりと通りやすかった。
シバ「もし、ちょっといいか?モヒカン少年」
モヒカン少年「あの…俺19なんスけど…少年は嫌なんスけど」
シバ「そうか。まあいい。この辺に七瀬カネコ、という商人がいると聞いたのだが」
モヒカン少年「ああ、あのカワイコチャンっスか?そのコなら、この通りを…」
ハルカとトウキが囁きあった。
トウキ「さすがシバだよな…不良をものともしてねーぜ」
ハルカ「どうでもいいけどあのバイク、どうやってもってきたんだろ?
    カントー連合とか書かれた旗を持ってたから、地元の人じゃないんだろうけど」
トウキ「ところでさ、七瀬っていう名前、どっかで聞いたことなかったっけ?」
ハルカ「んー…あたしも思ってたのよね、それ。なんだっけ?」
シバについていきながら、二人は首をかしげていた。
シバ「おお、あの店か?」
髪を金色に染めた17,8くらいの女の子が中から出てきた。
カネコ「いらっしゃいませ〜。どうぞごゆっくりね〜」
なぜかぴんと来たのだろう、ハルカとトウキが一緒に叫んだ。
「あぁ――――――――!!!」
カネコ「な、なに…?」

98 :エンタ2005/11/30(Wed) 17:06:58 ID:VV4GPlBI