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スレッド立てるまでも無い短編
- 1 :40号@副管理人 ★ :2004/12/03(Fri) 20:47:05
- POKE-NOVELでは1〜10レス程度(完結)の話を「短編」と定義しています。
「これだけでスレッドを立てるのもなあ」等と思ったら、このスレッドに書き込んでみてください。
もちろん、独自にスレッドを立てても構いません。
ちなみに投稿の際は、できれば一回に何レスかまとめて投稿してくれると見やすくて良いかもしれません。
☆ 中編、長編の連載物(11レス〜)はスレッドを立てて欲しかったり。
- 2 :子連れカンガルー :2008/12/20(Sat) 18:21:29 ID:mQFGOips
暗い、暗い空間に、私は一人たたずんでいた。
それはかつて私がこの手で勝ち取った場所。
私の『表』の顔、その栄光の象徴だった場所。
そして、『裏』の顔の全てをはぎ取られた私に残された、唯一の逃げ場所。
――トキワシティポケモンジム。
朽ちたタイル張りの床に、電源の落ちた照明機器、取り壊されるのを待つだけの外壁。
光の無い空気はその質量を増したかのように重く、粘質をもって皮膚にまとわりつく。
それを振り払う気も私には起らない。
肉体でも精神でもない、もっと根本的な何かが私の中では折れ砕けていた。
あるいは真紅の事実
暗く重い世界の中で、私は考えていた。
思えば私は何もかもを手にいれ、そして失ってきた。
金もあった。
力もあった。
名声が、権威が、部下が、そして何より野心があった。
従える部下の数には事欠かなかった。私に付いてきたがる人間はいくらでもいた。
人材と力があれば金はいくらでも手に入った。
手段を択ばなければ世間での地位や権力など楽に手に入った。
どれだけ手に入れても野心は枯れることはなかった。
だから私は手に入れて、手に入れて――気付けばR団などという大仰な組織の頂点にいた。
そして全てを失った。
金も力も名声も権威も部下も――そして野心さえも。
たった一人の少年の手によって、私が纏っていた装飾は全て剥ぎ取られたのだ。
「よぉ」
そのとき、一つの刺激が私の思考を遮った。
声だ。若い男、少年の声。
続いて固く閉じられたジムの扉が重苦しい音を立てて開け放たれ、
呼び込まれた外光は瞳を焼いて私を思考の中から引きずり出した。
「タマムシのゲームセンターも、ヤマブキのシルフも潰した。
となりゃ…あんたはここに来るしかねぇよなぁ?」
逆光の中に浮き上がった見覚えのあるシルエットに、私の心臓は縮みあがった。
そんな私を嘲るように、密閉されたジム内に少年の笑声が響く。
は はは はははははは
ははは は はははははははは
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!
ああ、ついに来た。来てしまった。
絶望に無意識に膝が落ち項垂れる私の視界に、私へと歩み寄る少年の靴が入った。
背丈では遥かに勝る私を見下す形で、少年の声が私の後頭部に降りかかる。
「あんたもジムリーダーだろ。…俺の挑戦、受けてくれるなぁ?」
死刑宣告と、同義だった。
- 3 :子連れカンガルー :2008/12/20(Sat) 18:28:55 ID:mQFGOips
- こんばんは、子連れカンガルーと申します。
このサイトを散策中に偶然このスレッドを発見いたしまして、
『短編かぁ、うーん』と考えた結果、
その場のノリでダークストーリーを展開してしまいました;
初代ポケモンをやったことのある方なら分かると思いますが、
トキワジム戦でのR団ボスサカキ様と、ジムに乗り込む主人公です。
…え?全然違う?おかしいですね自分の脳内を忠実に再現したはずなんですが(おい
短編というのは、この通り1レス投下も出来ますし、
これを皮切りに他の方も書き込んでもらえればなぁ…とスレ主でもないのに勝手に思っております。
それでは、失礼をして
…もしかしたら続投下するかもしれません…
- 4 :森羅 :2008/12/22(Mon) 22:34:45 ID:/DUCKfm2
- こんばんは。
『子連れカンガルー』さんのおかげでこのレスを発見する事ができ、せっかくなので
短編を考えてみました。では、はじめましょう。
「私の勝ちね・・。貴方の負けよ?約束、忘れてないわよね」
やわらかく彼女は微笑んだ。
僕は頷く。本当はいやだったけど。
「ああ、僕の負けでいいよ。ねぇ、でも、一つだけ聞いていい?」
なあに、と彼女は首をかしげた。
「なんで。なんで、どうしてヒトの所に行くの?」
彼女は嬉しそうに微笑んだ。良く聞いてくれたわね、とでも言うように。
「ヒトは弱いから、助けてあげないと。彼らは・・なんでかしらね?
そうね、どうしてかしら?あんなに弱くて、儚くて、群がる事しか知らないのに。
でも、ヒトは私たちより強いのよ。強くて、優しくて、でも怖くて。
私は惹かれずにはいられない。守ってあげらずにはいられない。それだけよ」
僕は納得する事が出来なくて、もう一度彼女に考えるように言おうとした。
けど、それを制すように彼女は言葉を紡いだ。
「言ったはずよ。私が勝ったら口出ししないって。さぁ、約束よ。
湖の外に出てもいいわよね?空の下に下りてもいいわよね?
貴方は行かないの?ヒトを守ってあげないの?」
質問の雨を浴びて僕はどれから答えようかと悩んでいた。
だけど、一つの質問にも答える時間を彼女はくれなくて、こう言った。
「じゃあ行くわ。外に面白いヒトの子がいるのよ。私にとっては少しの時でしかないけれども、
あの子と遊ぼうと思うの。あの、この湖の加護を受けた子供よ。
もしかしたら、貴方もあの子に惹かれるかもしれないわよ。
ギガティナ。また会いましょうね。私たちの時は良くも悪くも永遠なのだから」
そう言って彼女は行ってしまった。
僕は少しの間悩んでいたけど。
彼女は言った、惹かれずにはいられないと、守らずにはいられないと。
ならば、僕も少しだけ。少しだけ外に出てみよう。
この神殿の扉を開けるだけでいい。
もし、ヒトが僕の存在を信じるならばヒトはきっと僕を見つけることだろう。
「やぁ、はじめまして。僕は・・、キミを捕まえる者だよ。
やっと見つけた。ずっと探していたんだよ」
さぁ、小さなヒトの子。僕を捕らえてみればいい。
遊んであげよう。
- 5 :森羅 :2008/12/23(Tue) 11:41:15 ID:.WzEI0zE
- 改めまして、こんにちは。
上の短編を書き込んだ森羅と言う者です。
どうやら、短編を書くと抽象的になる傾向が自分にはあるらしく・・。
ここで、補足をさせていただきます。
この話の主人公はギガティナにしました。
・・・・い、いや。本当は違うかったんですけどね・・・。
最初はこの『僕』と『彼女』は人間かポケモンの予定でした。
書いていく中でどっちにかしたらいいや、とおもっていたんです。
最後もまあ書いている中で適当に思いつくだろうと・・・。
いや、本当に適当ですみません。
そして、書いていく中で「やっぱ、これは神話系の話にしてしまえ」
と思いつき、『僕』がギガティナで『彼女』がアルセウスになりました。
うろ覚えのシンオウ地方の神話を思い出してどうしてポケモンが人間といるのか、と言う
なんだか宗教的なのかそうじゃないのかわけがわからんような話で途中まで書いていました。
すると、脳内でダイヤモンド・パール・プラチナの男主人公がひょいとどこからか現れ、
そうなると彼を出さざるを得なくなり、話が現代に戻ってしまいました。(ラストのセリフは彼のものです)
そして、僕自身も「アルセウスを一回も見た事無いのにそれを出すのはなぁ〜」
と思い始め、結局『彼女』はエムリットになりました。
なので、ゲームじゃ絶対ありえないギガティナにエムリットが勝利するという事が、
・・・・成り立ってしまったんですよ!!(非常にマズい・・。)
というより書いていてここまで話がころころ変わったのは初めてですよ。(あわわわ・・)
まぁ、半ば自己満足の話なので、そんなもんなんだ、と思いながら読んでいただければ光栄です。
では、失礼して。
- 6 :司馬の八達 :2008/12/28(Sun) 17:41:57 ID:lyFAQ6WQ
- タマムシシティに設置されたゲームコーナー。カントー地方に根拠地を置いて活動していた秘密結社ロケット団が、運営資金の調達を行うために所有していた娯楽場兼、彼らのアジトの一つ。
トキワシティのジムリーダーサカキが解散命令を下して以来ロケット団は各々散り散りに別れていった。その中には出身地である他の地方に戻っていったものや、悪事からは足を洗って普通のトレーナーとして活動していたものなどがいた。
だがしかし、やはりというか、解散しても段々と元居た場所に戻っていこうとする者もあった。サカキ亡き後もロケット団を続け、再び世界の征服を目指す。カントーを再びわが手中に入れる。そんな共通の思想を持った者達が再び集い、捲土重来を誓う場所。
現在のタマムシゲームコーナーはそのような位置づけになっていたのだ。無頼の者達は再び地下のアジトに身の置き場所を求め、そうした雰囲気がまた同じような身の上を持つ元団員を集めていく。
まだまだ大規模な行動は起こしていないが、着実に、一歩一歩と、ロケット団は新たな指導者を仰ぎ再起への力を溜め続けていた。
だがそれを止める者はまだいなかった。行動を起こしていないがゆえに、ゲームコーナーの地下に集まる人間どもを捕まえる口実のような物も無い。
たびたび近隣の住人から、不審な人間がどんどん増えていっているという報告はあるものの、実害がまだ出ていないために、カントーの警察も定期的にタマムシの警備を増やすくらいしか出来る事は無いのだ。
だがしかし、このロケット団の目論見は見事に潰される事になる。それも、彼らよりも遥かに強大な悪によって。
一二月二四日。世間はクリスマスに沸き立ちカントーの街も、どこを見ても冬のイベントを前にして穏やかな雰囲気を放っている。
それはこの街タマムシとて例外ではない。いや、むしろ、カントーの大都市であるこのタマムシこそ、クリスマスという特別なこの二日間を享受している。
本日は特に客の数が多いタマムシゲームコーナーの地下一階、ゲームコーナーの隠し扉を開き階段を下りてすぐの所にある、地下アジトの中でも最も広い空間。
普段はロケット団員がダラダラと時間を潰す、弛緩した空気の流れる場所であった。だが今は異変を放つ存在が二人に、周りに倒れ伏す数人の団員。常と今の大きな差を感じさせていた。
すると鳴り響くけたたましいベルの音。少し後に続いてリノリウムの床を叩く靴音。一〇人ほどのロケット団員が異常の発生源に到達する。
そこに、二人のタキシード姿の男。一人は二〇歳中盤程で、もう片方は二〇歳に到達するかしないかといった年齢に見える。
その若さと、二人という人数に多少安堵はしたのか、他の団員とは仕様の違う服をまとった男が前に出る。その服は恐らく幹部服で、それを着用するという事はこの中では最上級とも言える立場にいるのだろう。
「貴様ら何者か名乗ってもらおうか」
怜悧な口調で幹部風の男は告げる。すると、二人の中の少年の方がボールを放つ。中から現れるはフライゴン。その翼を大きく羽ばたかせ団員達を威嚇する。すると、その少年は告げる。
「何者かなんて、これから知ることになりますからねー」
そして端正なその顔に無邪気な笑顔を浮かべて、
「とりあえずこのアジトいただきますから。出てってくれると嬉しいんですけど」
プレゼントでもねだる子供の様な屈託の無い笑顔と声音でさらっと少年は無茶苦茶な要求をつきつけた。
「意味が分からない。だがもしも我らに危害を加えようと言うのならば……」
幹部風の男はボールを構え、気を発し臨戦態勢に突入する。周りを囲む団員も自らのボールを同様に構え、戦いが起きればすぐにでも乱戦に持ち込もうとしているような、一触即発の雰囲気を形成した。
「全員来ちゃっていいですよー。僕一人……じゃなくて、この『黄泉』一体で十分ですからね」
微笑をたやさずに宣言するその少年に対して、
「理解した。であれば容赦するわけにはいかない。総員戦闘準備。向こうがお望みだ、手持ち全てを一気に使おうともかまわん、叩くぞ!」
- 7 :司馬の八達 :2008/12/28(Sun) 17:43:41 ID:lyFAQ6WQ
- 「さーっていただきましょうかアジト。っていうか、まっさんお求めの司令室ってどこっすかー?」
幹部風の男の肩に腕を回して抱きつくような姿勢で訊ねる少年。だがこの幹部風の男は、今のところ一番この少年の恐ろしさを分かっているだろう。
結果的に言ってしまえばフライゴンの破壊光線一撃のみで、幹部風の男や他の団員のポケモンすべてがまとめてやられてしまった。そしてこうして奪い取られたアジトの案内をさせられているのだ。
「司令室はここだ。お望みの、映像を流す施設も十分に入っている」
一室の前で男が止まり、部屋の扉を指し示し鍵を開ける。そして自分がまず中に入って電気をつけると、二人を招き入れた。
「全く物好きなものだ。一応あるが使わないという程度の設備であるのに……」
とは言いながらも手馴れているのか、機器の電源を手際良く入れて全てを立ち上げる、そしてそれが終わって二人に向き直った。
「我らが敵う相手では無いと理解した。だが話くらいは聞かせてもらってもいいだろう。目的を教えていただきたい」
訊ねると、初めのほうから全く言葉も発していなかった、年上のほうの男が前に進み出て答える。
「細かくは今伝えるよりも、これからの状況を見ていただいた方が伝わる。だが――」
そこで男は一言区切り、少年とは対照的な、底冷えのする笑みで、
「本質的には全く変わりはありゃせんよ、俺達とお前らは、な」
そして、モニター群の前に置かれているイスに座る。
「さて、ここで話せばその映像が流れるのか?」
少年の方に訊ねる。だが、少年は呆れた様子で
「ちょっと待った、さすがにそんなに簡単には流れませんよ……。ねぇ団員さん、テレビ局につなぐ事は出来るよね?」
「あぁ、問題無く行える。やるのであれば俺がつなごう。そうすればとりあえずテレビ局のモニターには映せる」
んじゃ、お願い。少年が席を空けると幹部風の男は座って、手元の機械を操作していく。画面を見ながらの調整のような作業を幾度か繰り返し、立ち上がって告げる。
「大丈夫だ。これでとりあえず無理やり流し込める」
「うん、ありがとねー。んじゃちょっと待っててよ。……そーだね、時間的にはそろそろちょうどいいよ。そろそろ連絡取って良い?」
少年が訊ねると、もう片方は静かに首肯した。すると少年が電話をかける。
「そろそろOK。そっちは準備出来たかな? うん、なら良いね。予定通り一二時ちょうどから、いくよ」
そうとだけ言って電話を切り、OKだってと腕をぶんぶん振りながら報告する。幾分か見た目よりさらに幼く見える動作だ。
「見れば分かると言ったが、まぁ少しは教えておこう」
男がイスを回転させて向き直る。
「俺の仲間達は現在、テレビ局とこのアジトを奪い取った。ここからテレビ局につなぎ、そこからカントー全域の、電波を受け取る物全てに俺達の宣言を受け取ってもらおうというわけだ。
まぁ、何を宣言するかはお楽しみだな」
「お楽しみも何も……いとも簡単に、テレビ局を奪ったなんて言える奴らがやることなんて想像できる。我らだってテレビや大会社など奪って見せた事もある」
もちろん、昔の話だ。自嘲するように幹部風の男は吐き捨てた。
「そんなお前達でさえ現在はこんなに没落している。即ち、俺達に同じ道を歩くなと言いたいのだろう」
「全く、察しが少し良すぎやしないか。まぁ俺が忠告できる立場でも無いが」
すると少年が声を掛ける。
「まっさーん、そろそろ時間っすよ」
うむ、と一言返すと咳払いをして、まっさんと呼ばれた方は姿勢を整えた。
「団員さん、ここ押せば出来るんだよね?」
あぁ。幹部風の男は返答してスイッチを指し示す。
「と言ってたらそろそろだ。いくよー、まっさん。すりー、つー、わん、ごー!」
「信行さん、浩市さん、そろそろ準備出来たそうですよ」
ヤマブキシティテレビ局内、放送機材の揃った部屋の、大量のモニターの前に座り、携帯電話をしまい込む少年が、後にいる二人の男の方を振り向く。
「ではスイッチを押してくれ」
「はい、了解です」
信行と呼ばれた方が令を出すと少年は再び機材の方を向いて、あらかじめ決められていただろうスイッチを押し、出来たーと、ふっと息を吐く。
「信行、敬介、もうすんだんだろ? だったら俺はちょっと見回りにでも行ってくるぜ。こんなとこにずっと居ても、な」
先ほど喋らなかった浩市と呼ばれた男が、二人に提案する。
「別に問題無いんじゃないですかね、むしろ、一階を見張っててくれたら他の方とは比べられないくらい頼もしいですからねー」
「俺も良いとは思うが、松さんの晴れ舞台だ、見なくて良いのか?」
「別に一階にだってモニターは腐るほどあるだろ。別にここでしか見れないわけじゃ無いしな」
んじゃ、ちょっと行ってきてくれよ。信行がおどけて、別れる時のように手を振った。
おうよ、と答えて浩市が部屋を出て行く。
多少の沈黙が部屋の中を制する。と、敬介がモニターの方を向いたまま信行に話しかける。
「どうなんでしょう。上手く行きすぎな気もしますけど」
危惧したような敬介の声音。だが、信行は何の事は無しに答える。
「ばーか、平和ボケしてるんだよ、ここは。全く、警察まで簡単に捻られるとかだらしなさ過ぎる……」
カントーの防備が弱いのか彼らが強いのかは判断がつき辛いものの、実際問題としてこのヤマブキとタマムシで彼らとその仲間達は全ての施設を押さえ込み街の住人全員を一所に押し込めていた。
即ちカントーの二大都市は彼らによって制圧され封鎖されていたのだ。
「よし、そろそろだぞ」
そして一言呟く。
「カントーに地力があるというのなら、止めてもらおうか。だがそれが出来ないのであれば全てを握らせていただく」
モニター類に一斉に、彼らの見知った顔が映る。ここを通じてカントー全域に同時に宣言が放送されるのだ。
- 8 :司馬の八達 :2008/12/28(Sun) 17:48:11 ID:lyFAQ6WQ
- 『カントー地方に住まわれている皆様、初めまして。そしてメリークリスマス。我らはマグマ団、そして私は、そのマグマ団の、カントー方面侵攻部隊隊長松谷啓治と申します』
ヤマブキシティテレビ局の一階で、浩市は、一斉に同じ映像を流しだしたモニターに、お、始まったなと呟きながら目を向ける。縛って放置してあるテレビ局職員達からざわめきの声が上がる。
いきなり何が起こるのだと多少は気になっていることだろう。
『現在一二時。早速ではありますが、あなた方に残された時間はおよそ六時間。今この宣言から始まり、一八時までに、我らマグマ団によるカントー侵攻作戦を終了させる。
セキエイを除く全ての街の全ての施設を奪い取り、都市機能を完全にストップさせてもらう』
ざわめきが一層強くなる。今の自分達が置かれている状況を見れば、この宣言が荒唐無稽な絵空事などとは全く思えないだろう。
『抵抗する者は容赦なく叩き潰す。だが我々に恭順の意思を持とうとするならば受け入れようと思う』
一言区切って再び言葉を続ける。
『精鋭揃いと歌われるセキエイのポケモンリーグ諸君。素晴らしい戦いを見せてくれると期待している。さぁ止められるならば止めてみせたまえ。
不意討ちの作戦を執り行う中でこう言うのも矛盾するかもしれないが、正々堂々、我がマグマの強者が受けて立とう。
それでは、紅き世界の黎明のために、今この時より侵攻作戦を始めさせていただこう』
映像が切れ、元流れていた物に戻る。それとともに怒号のように、捕まった人間達の声が大きく、重なって響きわたる。
「黙っていろ、死にたいか」
冷たい声を発する団員、傍らに居たもう一人とともに手持ちの短機関銃を縛られた人間達に向ける。
「全くうるさいねぇ、静かにしてもらおうか」
浩市が二人の方に近づき、冷ややかな視線を前方の人の群れに向ける。
「銃器の類を使ってももったいないし、ミスもある。どれどれ俺が見張っててやるから、お前らは玄関口の方で外見張っててくれるか?」
「了解しました、では浩市殿にここは任させていただきましょう」
二人が銃を下ろしてこの場を離れる。浩市は、さて、と呟き、
「ちょっと黙っててもらわないと爆発しちゃうぜー。カッモーン、奈落」
放ったボールからはウインディが現れ、威嚇する唸り声を上げる。
「殺しはしないけど、人を撃つのは躊躇わないからな。もし火傷で死んでも責任は持てないので悪しからず」
一言も上げないように全員が静まる。一様に顔には恐怖の表情を浮かべている。浩市の表情から、本当に全く躊躇わずに攻撃命令を出すだろうと察したからだ。
当初の六時間という目論見よりもだいぶ素早く、三時間、一五時までにマグマ団はカントー全域を手中に収めた。マグマの幹部団員をあらかたつぎ込んだと言われる攻撃部隊は、
ポケモンリーグからの指令で動いた各地のトレーナーやジムリーダー達を歯牙にもかけず討ち破り、全てのモンスターボールを奪い、その街ごとのポケモンセンターに閉じ込めた。
そしてマグマ団はテレビやラジオは勿論の事、発電所などのライフラインも全て瞬く間に制圧して、カントーの都市としての機能を完全に死滅させたのだ。
ポケモンリーグに残っていたトレーナー達はこの事態に、ジョウトの自治体に連絡を取り、カントー奪回への作戦を練っていた。そこに、予定の時刻とされていた一八時、再び電波に乗って松谷啓治の言葉が流された。
『ポケモンリーグの諸君はまだセキエイに残った者もいるだろう。どうであろうか、我らの実力を思い知っていただけただろうか。恐らく今残った者達は他の地方と連携しこちらを奪い返そうと思っているだろう。
間違ってはいない。だが、万が一そんな事を実行すれば躊躇わずに、現在虜囚としている全ての人間を、平等に殺し尽くそう。そうだな、街に突入する前に入り口に死体で壁でも作ろうか?』
これにはさすがのセキエイポケモンリーグも色めき立った。しかし松谷は、一つの提案を出す。
『現在我らは本国より工作部隊を呼び寄せてある。明日の二四時までにカントーの各地にアジトを建設するためだ。それらを建造したら街は全て解放しようと思っている。
だからそれまでは待っていただこうと。勿論選択の余地は無いだろう? 受けていただけるのであれば、ヤマブキのテレビ局に連絡していただこう』
そして最後に、
『最後に言っておこう。我らはセキエイや他の地域にはまだ手を出さないでおいておく。だが、“あのクリスマスパーティー”を、一年三六五日毎日開催するだけの力を持っていると自負している。
我らに手を出すのは得策ではないと忠告をしておく。無論脅しと受け取っていただいて構わない』
結局一二月二六日の早朝に街は全て解放された。だがしかし、これによって、マグマ団の駐屯を許す事になってしまった。
悪事は何も行わないものの、逆にそれが不気味に感じ、カントーの人間は皆日々恐怖に襲われながら過ごすようになった。
- 9 :司馬の八達 :2008/12/28(Sun) 17:53:24 ID:lyFAQ6WQ
- どうもお久しゅう。司馬と申しますー
今回は本当に久しぶりな感じの投稿です。
自分の、跳梁跋扈という作品は、
主人公とアクア団が正義、マグマ団が悪みたいな感じで書いているんですが、
今回はそのスピンオフなノリで、マグマ団視点で、本編より少し前の、
カントー地方にマグマ団が根を張るきっかけになった事件についてです。
まぁこれをきっかけに、だいぶ無茶苦茶な設定の作品を自認している
跳梁跋扈本編の方も読んでいただければ光栄ですなんて宣伝もw
それでは、お邪魔いたしましたー
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Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。