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我らロケット団!
- 1 :ルビー :2004/10/16(Sat) 11:11:11 ID:WJ26rGQs
- 「みーつけたー♪」
女は小さな女の子がかくれんぼをしているような、わざとらしいかわいい声を出した。
そして、ターゲット発見、と改めてつぶやくと、
今まで自分が隠れていた茂みからぬけだした。
ここは七宝渓谷。
レベルの高い野性ポケモンやエリートトレーナーたちが集う場所。
故に有名な修行場所としても知られる。
そんな場所で、連戦連勝しているトレーナーがいた。
まだ子供だ・・・傍らにはよく育ったエーフィがいる。
「こんにちは〜♪すてきなトレーナーさん」
茂みから現れた女に声をかけられて、トレーナーは驚いたが、冷静に挨拶を返した。
「こんにちは・・・お姉さんもトレーナー?だったらバトルしようぜ」
目が合ったトレーナーにはバトルを申し込む。
なかなかいい性格をしているじゃないか、と女は思った。
「いいわよん。1対1のシングルよ!」
「オッケー・・・ネイ!」
ネイというのはエーフィの名前だったようだ。
傍らで静かに座っていたエーフィが素早く前に躍り出た。
「それならこっちは・・・ウツボット!」
女が投げたボールから飛び出したのは草・毒タイプのウツボット。
エスパーのエーフィには不利なタイプだ。
「面白い人だね、お姉さん。・・・スピードスター!」
「つるのムチでたたきおとせ」
冷たい声で、女は指示を出した。
ウツボットがのばしたつるが、スピードスターを打ち消す。
できるトレーナーだ、とトレーナーは悟った。
「今度はこっちからよ。どくどく!」
「サイコキネシス!」
どくどくがエーフィにおそいかかる。
エーフィはサイコキネシスでどくどくを巻き返した。
ウツボットにどくどくはあたるが、毒タイプのポケモンに効果はない。
「やるねぇ・・・きみ、名前なんていうの?」
「俺はルダ。お姉さんはなんて?」
女は笑みを浮かべて、こういった。
「私?私はね・・・ロケット団のラフレシア姫・レイ!」
ロケット団・・・この言葉が響き、一気に緊張が走った。
- 2 :ルビー :2004/10/16(Sat) 19:52:34 ID:5jSpf.fc
- 「ロケット団のラフレシア姫・・・だって?」
ルダはレイにききかえした。
ロケット団といえば、ポケモンを悪いことに使う有名な組織だ。
有名でありながら、その実態は謎につつまれている。
「そう。ルダくん?きみすごく強いわ〜。この七宝渓谷で連戦連勝とかやっちゃって!
それで、私はきみをスカウトしたいの♪どう?この話」
レイは甘ったるい声でいった。
正直なところ、断る、と即答されると思っていたが、意外にも返事は挑戦的だった。
「俺に勝てたらな!ネイ、サイコキネシス!!」
「かわせ、ウツボット。」
ウツボットは軽く念力をかわした。
「勝てたら・・・っていったわね?私に勝とうっていうのは少しおろかな発言よ。
ここらで連戦連勝しているからって調子に乗りすぎかな。剣の舞だ!」
ウツボットの攻撃力がぐーんとあがった。
打撃攻撃に備えて、エーフィはリフレクターをはった。
「ゆけ、やつあたり!!」
きぃーっとウツボットは叫び、エーフィに突進していった。
リフレクターをつきやぶる勢いで、エーフィを攻撃し、倒した。
「なっ・・・一撃で!?」
ルダは、驚きのあまり言葉も出なかった。
倒れたエーフィをボールに戻すことも、かけよって声をかけることも忘れていた。
「いったはずよ。私はラフレシア姫と呼ばれるロケット団・・・。
草と毒の扱いなら誰にも負けないのよ。」
レイはウツボットに視線で合図した。
ウツボットはつるをのばして、エーフィとルダをからめとった。
・・・・身動きができない。
「さーてと。このままついてきてもらうわよ?
どうせ、断ったところで帰れるわけがないんだもの・・・。
私に目をつけられたのが運のつき。いえ、バトルを申し込んだ時点でね。」
「俺は・・・っ!」
ルダは何かを言い返そうとした。しかし、急に眠気にさそわれて、言葉がでなかった。
「(眠り粉・・・か・・・)」
ルダが気がついたとき。まだウツボットに巻きつかれていた。
目の前には、レイという女がいる。下を見ると、エーフィもまだ眠っていた。
・・・いや、眠っているというよりも、やつあたりをうけたダメージが残っているのだろう。
「さーてと、ウツボット!」
レイが指示すると、つるがとけた。ルダは床にどさり、と落ちた。
ここはどこだろう・・・? まわりは何もないただの壁。
下も、何もないただの床。窓も扉もなく、出入り口は見当たらない。
「わかってるわよね、ルダくん。私は」
レイが言いかけているのを、ルダの言葉がさえぎった。
「いいよ。俺はロケット団に入る。」
いきなりいわれて、レイは目を丸くした。聞き返すと、同じ言葉を言った。
意外である、としかいいようがない。
「いいの?あなた。もちろんそれは喜ばしいことだけど・・・」
「ああ。俺は強くなるためにネイと旅立った。
強くなりたいと思って、いろんなことをした。
旅の途中でロケット団をこらしめたこともあったな・・・。」
「それがなぜ?」
「いったはずだぜ。俺は、強くなるために旅立った。
ロケット団にはいって強くなれるならそれも悪くない。
お姉さんのような強いやつはもちろん、ロケット団にはむかう勇敢なトレーナーにもであるかも。
そんなやつらと戦えば・・・強くなれる」
ルダはただレイを見つめた。
これは本音なのか・・・? 経験から、レイはそう思った。
- 3 :ルビー :2004/10/26(Tue) 10:33:42 ID:CWPFDiwE
- レイは迷った。ここまでうまくいくなんて思わなかった。
自分は目的を忘れていたのだ。
・・・・ただ、反抗する子供を見ておもしろがっていただけだったのだ。
「いいでしょう。あなたをロケット団として認めるわ」
「いっとくが、俺は下っ端なんかやたぞ。強いやつと戦えるような仕事をしたいんだ」
「・・・・ちょっと待っていなさい」
レイはノートパソコンをとりだした。
ピッピッピッピッピ・・・・・。
二人しかいない部屋に、キーをたたく音が響いた。
『・・・レイか?何のようだ。』
画面に男が現れ、声が聞こえた。
その人物は、ロケット団のボス・・・サカキだ。
「はっ。さっそくですがサカキさま。有力な人材を見つけました。」
『有力な人材・・・どんなやつだ?』
実は、といってレイは今までのことを話した。
罠かもしれないのに、入団させてもいいのか、ということも。
『ふむ・・・いいだろう。ルダの入団を認める。あとで詳細を知らせよ。』
「了解いたしました。」
そこで、通信はとだえた。
「ボスからOKがでたわ。これで正式に入団したことになる。」
ルダは薄く笑んだ。
「それで?これからどうすればいいんだ?」
レイは背中を向けていった。
「これからロケット団の訓練場にむかうわ。そこで、自分のレベルを知ることね」
ウツボットが、エーフィをつるから解放した。
エーフィは弱弱しくだが、立ち上がった。まだできる、ということだ。
「準備はいいわね?・・・いくわよ」
レイは懐に隠していたボタンを押した。すると、たちまち床が割れた。
下には・・・暗くて大きな部屋がある。
「さぁおりるのよ。そして・・・いってらっしゃい。健闘を祈るわ。」
ルダはパートナーを顔を見合わせ、うなずいた。
そして、下の部屋に飛び降りた。
- 4 :ルビー :2004/10/30(Sat) 19:55:05 ID:HD93USK.
- 「っと。着地!・・・ここは・・・?」
ルダとエーフィは暗い部屋に着地した。
上を見上げると、かすかな光が、だんだん閉ざされていく。
おそらく割れた床が閉まっていくところなのだろう。
もう、自力では戻れない。こうなれば、レイのいうとおりにするだけだ。
ルダはバッグから回復の薬をとりだし、エーフィに飲ませた。
この全回復の状態からどこまで進めるか。
「もともと、強い相手と戦いたくて入団を決心したんだ。
だったら、ここでレベルを知るというのはいい機会だよな?」
傍らにいるエーフィも力強くうなずく。
目が慣れるのを待ってみたが、あまり意味はない。真っ暗で何も見えない。
とりあえず、少しずつ進んでみることにした。
一歩一歩、慎重に、慎重に・・・。
がつん。
「いたっ!な、なんだ?」
何かにぶつかった。油断はできない。もしかしたらポケモンかもしれない。
ルダは即座に、そのぶつかった何かから離れた。
案の定、それはポケモンだった。
「どどどおー!」
雄たけびとともに、急に目の前が真っ白になった。
・・・フラッシュだ。
まぶしい中うっすら目を開くと、目の前にいたのはオドシシだった。その数、3匹。
3匹はルダとエーフィをとりかこんだ。
「オドシシ3匹か。このくらい・・・!いくぞ、ネイ!それにチャン!ディス!」
エーフィがオドシシの前に立ちはだかった。
ルダはさらにボールをふたつ投げた。その中から出てきたのはワカシャモとジュゴンだった。
彼らもまた、ルダの相棒である。
「ネイ、サイコキネシス!チャン、火炎放射!ディス、冷凍ビーム!」
ルダは一気に指示を出した。
ルダを中心として3匹は背中合わせに体勢を整え、同時に攻撃を放った。
サイコキネシスは1匹目のオドシシを宙にうかせ、そのままたたきつけた。
さらに力でぎしぎしとねじふせ、戦闘不能にさせた。
火炎放射は2匹目のオドシシを火傷させた。オドシシは抵抗しようとしたが、
火傷のダメージで戦闘不能となった。
冷凍ビームは3匹目のオドシシの角に命中した。オドシシは催眠術をかけようとしていたが、
つのを封じられたために技を使えず、さらにとどめをさされて戦闘不能。
「いいぞ!よくやった!」
ルダは自然とガッツポーズした。オドシシが使ったフラッシュの効果はまだ残っていた。
明るくなったその場所は広々として、通路が何本もあった。
「よし・・・先に進もう!」
ルダは3匹とともに、ダンジョンを進んでいった。
レイは、別室から隠しカメラを通してルダの様子を見ていた。
「ワカシャモにジュゴンか・・・。いいポケモンね、よく育っているわ。
でも・・・あの部屋を抜け出すことができるかしらね。」
そうつぶやき、モニターの画面を切った。
- 5 :ルビー :2004/11/05(Fri) 20:04:13 ID:M8N/pxjU
- 「はーあ・・・どこなんだよ、出口は」
1時間もたっただろうか。
オドシシをはじめとしたポケモンたちを倒したルダは、ダンジョンの中をさまよっていた。
いくら進んでも、どれだけ現れたポケモンを倒しても、まったく出口にはたどり着けない。
特に変わったところもなく、手がかりもないまま途方にくれていた。
「横に進んだって、だめってことかな・・・?」
ふとそう思ったルダは、天井を見上げた。
もとはといえば、別の部屋から降りてきたのだ。
だとすれば、突破口は上にあるのかもしれない。
「よし。ためしに・・・ネイ、チャン、ディス、戻れ!で・・・セラ!」
ルダは3匹をボールに戻した。
そして、新たにバタフリーをボールから出した。
ルダはバタフリーにつかまって、上まで飛んでみた。
上昇してみて、天井を調べてみた。
すると、四角い少々切れ目があった。きっと、ここが出口なのだろう。
だが、押してみたものの、まったく手ごたえがない。
人の力じゃ無理なのか・・・しかし、やってみる価値はありそうだと、ルダは思った。
そしてバタフリーに技の指示を出した。
「セラ!この切れ目に銀色の風!!」
バタフリーは羽をゆっくりと動かした。それと同時に、すごい勢いで風がまきおこる。
銀色に輝く風が、天井を直撃する。
それでも、出口は開かれなかった。
しかし、あきらかに手ごたえがある。天井が少しきしみ、そして動いたのだ。
「いけるかもしれないぜ、セラ。ソーラービーム発射準備だ!」
バタフリーの触覚に光が集まった。
「エネルギー補給完了・・・ソーラービーム発射!!」
光のエネルギーが一気に放出された。
バシュッ!!
ソーラービームは、そのまま一直線に進み、天井を突き破った。
「ビンゴだぜ!出口だ!!」
ルダは、そのまま天井を通り抜けた。その場所は、下っ端らしいロケット団員が数名いた。
団員はなにかの話し合いをしていたようだった。
ルダを視認すると、すぐさまポケモンを繰り出し、戦闘不能とした。
「何者だ!我がロケット団の超大事な話し合いを盗み聞きしようとしている輩は!」
「さてはスパイだな。このアジトに進入するとはいい度胸だ!」
「俺たちでこらしめて、さっさと幹部につきだしてやる!」
ルダは説明しようとしたが、相手は聞く耳を持っていなかった。
「(ま・・・ちょっとぐらい遊んでも、いいよな?)」
説明しても無駄だとわかるや否や、ルダも戦闘態勢をとった。
- 6 :ルビー :2004/11/11(Thu) 19:12:18 ID:w.7UkAbI
- 「ここには腕を磨きに来たんだ。だったら、ちょっとぐらい・・・」
ルダは笑んだ。セラに加えて、ネイ、チャン、ディスを繰り出した。
相手は・・・7人だ。
「何をぶつぶついっている!ラッタ、必殺前歯!」
「ガラガラ、ホネこんぼう!」 「ゴルバット、吸血!」 「ベロリンガ、舌でなめる!」
まずは4人がしかけてきた。
ラッタ、ガラガラ、ゴルバット、ベロリンガがいっせいにルダに迫る。
ポケモンが直接自分を襲おうとしているのに、ルダは冷静だった。
「リフレクター!」
ルダが言う前に、ネイは動いていた。
光り輝く壁が、ロケット団のポケモンたちの前に現れる。
バシッ! 襲い掛かった4匹はいとも簡単にはじきとばされた。
「そんなレベルの低い攻撃じゃ・・・ネイのリフレクターはやぶれないぜ?」
ルダは余裕綽々の表情だった。
「な、ならば全員で一斉攻撃するぞ!ドガースいけっ!」
先ほどの4匹にドガース、コイル、ゴローン、ワンリキーが加わって、
一斉に先頭に立っているネイにむかった。
「遅いぜっ!」
・・・あっという間だった。
目の前には、こげた床や机。水浸しになった部屋団員。そして倒れたポケモン。
なぜこうなったのか、というと・・・ルダチームの連係プレーだったのだ。
まず、ネイがサイコキネシスで飛び掛ってくるポケモンたちを制止し、
そこへチャンの炎の渦とセラの銀色の風を同時に放った。
この合体技で7匹は戦闘不能になったのだが、団員たちが悪あがきのつもりかルダにつかみかかろうとしたとき、
ディスの波乗りが決まった。
団員たちは波にたたきつけられ、部屋は水浸しとなったのだ。
「ふっ。この程度か・・・あのラフレシア姫とは大違いだ。」
『ルダくん、お手並み拝見させてもらったわよ!』
部屋のどこらか、レイの声が聞こえた。
- 7 :ルビー :2004/12/05(Sun) 15:47:07 ID:nOaR8OkU
- 部屋のドアが開き、レイが入ってきた。後ろには下っ端が控えている。
「やるじゃない。本当に脱出するなんてね。」
「上下が無しだなんて聞いてないからな。
・・・まったく、俺のレベルもなめたもんじゃないって思えたぜ?」
そう言いながら、ルダはネイ以外のポケモンたちをボールに戻した。
それで、とルダは改めてレイと向き合った。
「条件は果たした。俺はこっから抜け出した・・・このあとはどうする?」
レイは従えた下っ端にアイコンタクトを送った。それを受けた下っ端が、ルダに近づき、何かの書類を渡した。
ルダはそれを受け取って目を通してみた。
「・・・これはロケット団の?」
「そうね。まぁ、きまりというか・・・目を通しておくといいわ。今日はもう休みなさい。」
ルダは、レイに案内してもらった部屋に入った。
「・・・ルダくん、また明日。」
レイはドアを閉めた。ドアには取っ手がなかった。
「なるほど。こっから出るなってことか。」
そこは華美なところではなかったが、牢屋のようにみすぼらしい部屋でもなかった。
とりあえず生活はできるような地味な部屋。
ドアには取っ手がなく、開くことができない。そして、窓はない。
光は、天井に3つある電気だけである。
「きっとこの部屋もカメラとかついてるんだろうな・・・まぁいいや。とりあえず、これに目を通しておこう」
ルダはいすに座って、さっきもらった書類を読むことにした。
「ええと?・・・ロケット団は世界を征服することを目的に活動している。
・・・団員は我らのボス・サカキ様の命に従順に従うこと・・・。
珍しいポケモンや道具、研究資料などを献上した者は昇進させる・・・。
・・・なんかつまらないことばっかりだな。」
長い文章を読んでいるうちにあきてきたルダは、読むのをやめようとした。
そのとき、ある文章が目に入った。
「!!・・・・ロケット団の敵、パズ。
幹部を倒した実力者。茶髪で灰色の瞳が特徴の推定15歳の少女。
この者をとらえ、ボスのところまで連れてきた者は幹部へ昇進させる。
さらに賞金・・・100万ポケドル・・・・。」
ルダは読み上げた。
その書類には何人か同じようなロケット団の敵が載っていた。
パズという少女よりも高値の者もいたが、ルダの目にとまったのはこの少女だった。
「パズ・・・か。」
ルダはつぶやいて、しばらく何かを考えていた。
- 8 :ルビー :2005/01/08(Sat) 13:13:57 ID:jSh1slRI
- 翌朝、ドアが開いた。
「おはよう、ルダくん。一緒に朝食でもどう?」
「おはよー・・・んじゃ、お言葉に甘えさせていただくよ」
ルダがいた部屋には、台所も、食料が入っている冷蔵庫もあったのだが。
ふたりは、廊下を歩いて、食堂のようなところまで来た。
「あんなの使えねぇよ。俺、料理とかそういうの苦手だし・・・」
「あらら。それじゃあここで生活するには大変そうね。一応、この食堂使えるわよ?有料だけど」
「・・・あのドアからどうやってぬけろって?」
ルダは恨めしそうにレイを睨んだ。
「それもそっか。じゃ、自分でがんばるしかなさそうね」
適当に答えたレイは、近くのウエイトレスに朝食を頼んだ。
レイのおごってくれた朝食は、トーストにミルク、目玉焼き、そして野菜サラダという、
朝食の定番メニューだった。
とりあえず、お腹が減っていたのでルダは何も言わずに食べた。
「・・・そうだ。もらったこの資料にのっていた、パズ・・・って奴のことだけど」
「ええ・・・その子がどうかした?」
「俺、こいつを捕まえたいんだよ」
前置きもなく、ルダはレイに話した。
「いきなり?だけど、それは・・・」
「だめだってのか?」
「なんでパズなの?他にもいたでしょう、もっと高値が付いた輩とか」
「・・・パズは・・・俺の知り合いだ」
少し間をあけて、ルダは小声で話した。
さらに、レイにいろんなことを話した。
それをきいたレイは、うなずいた。
「なるほど?それはわかるわね。わかった。サカキ様には私が連絡しておきます。
自由に行動しなさい。ロケット団員・ルダ!!」
ルダはうなずいた。
部屋に戻ったルダは、準備をはじめた。
食料、連絡用の通信機、ポケモンの回復薬などなど。
「いいわね?タイムリミットは一ヶ月後。それまでに、できるわよね?」
「当然だ」
ルダの返答は短かった。
そして、ルダは「打倒・パズ」を掲げて、旅に出た。
- 9 :ルビー :2005/06/25(Sat) 17:31:14 ID:SAkxxDDc
- 広い草むらの中、ふたりのトレーナーが向かい合い、にらみ合って立っていた。
「・・・・やっと見つけたぜ、パズ。タイムリミットぎりぎりで。」
ルダが、口を開いた。
もう一人の少女、茶髪に灰色の瞳をもったパズも、また口を開く。
「どういうこと?久しぶりにメールが来たと思ったら、急に・・・。
しかも・・・こんなバトル腰で。目的を言ってくれない?」
「やだね。俺は、パズ・・・おまえと勝負する、そして勝つ」
ルダはきっぱりと言い切った。
風吹き、草がゆれる。
「勝ったら、理由を教えてくれる?」
「・・・いいぜ。1対1のシングルバトル。使えるのは1匹だけだ」
パズは、静かにうなずいた。
ルダの目的は達成されるのか。
パズとの関係はなんなのか。
彼らの何かを賭けたバトルが・・・はじまろうしている。
「クエェェーーーッ!」
上空で、野生のオニドリルが高く鳴いた。
それを合図に、両者はボールを二つずつ投げる。
ルダはエーフィ。パズはチャーレムを繰り出した。
「サイコキネシス!」
「目覚めるパワー!」
念力と光の波動がぶつかりあう。力は互角だ。
「つっこめ電光石火だ!」
ものすごいスピードでエーフィがチャーレムにつっこんでいく。
が、チャーレムは動じずに動かなかった。
一瞬ルダは、見切りか、と思ったが、電光石火はチャーレムに直撃した。
「・・・・。」
が、パズはチャーレムに何も指示を出さない。
エーフィは連続でチャーレムにつっこんだ。何度も電光石火が直撃した。
「(おかしい・・・パズは、何もしないでやられるなんてことは・・・。)」
ルダはエーフィを制し、攻撃をやめさせた。
チャーレムは目を閉じ、力をためている。
「それで終わりなの?もっと攻撃してもいいけど」
「・・・何を指示したんだ、パズ」
パズはフッと笑んだ。
「我慢、よ。・・・リダ!」
チャーレムはカッと目を見開き、凄いスピードでエーフィに迫った。
防御態勢に入っていたエーフィなら、見切って交わせるはずだった。
「何っ・・・!」
「さらに飛び膝蹴り!」
解かれた我慢がエーフィに直撃し、さらに追い打ちのように飛び膝蹴りが決まった。
「体勢を立て直せネイ!朝の日差しで回復するんだっ」
「リダ、ヨガのポーズよ」
朝の日差しを使って、エーフィは体力を回復した。
その隙に攻撃せず、チャーレムはヨガのポーズで力を上げる。
「さらに、心の目」
「すきを与えるな!サイコキネシス!」
「サイコキネシスにつっこんで!」
・・・スピード勝負だった。
心の目でエーフィをとらえるチャーレムに、サイコキネシスがつっこんでいった。
が、そのサイコキネシスを打ち破るようにつっこんでいくチャーレム。
攻撃を出した直後で回避できなかったエーフィに、必中の飛び膝蹴りがクリーンヒットした。
ルダは、パズを睨んだ。
彼女の灰色の瞳に、強い色が浮かんでいた。
- 10 :ルビー :2005/07/16(Sat) 18:14:33 ID:CJGnJp6A
- 「・・・戦闘不能、よね?」
「・・・・。」
たたずむルダは、無言でエーフィをボールに戻す。
対するパズも、チャーレムを労いながらボールに戻した。
「約束は守ってくれない?私にいきなりバトルを仕掛けた理由・・・・」
ルダは静かにその場に腰を下ろした。
どんなことをしてでも強くなりたい・・・!
その気持ちだけでロケット団に入ったルダだが、約束は破れないたちである。
「パズ、おまえさ・・・旅に出てから、ロケット団と戦ったんだろう」
「ええ。」
「で、正義の味方ってかんじで勝ちまくったわけだ」
「まあ一応、負けてはいないけど」
ルダは一瞬間をあけた。
「俺、パズを捕まえて、ロケット団に突き出すつもりだった」
「・・・!」
パズは軽く目を見開き、眉をひそめた。
「それだけじゃないさ。俺はもう、立派なロケット団員。」
あっさりと、ルダは言う。
空を見上げた。曇り空で・・・太陽が顔を見せたり隠したりを繰り返している。
「どうして・・・あんな極悪非道な組織に」
「極悪非道?それ、世間から見た話だよな。そんなの関係ない。あそこには、俺より強い奴がいる」
「・・・・ルダ」
「俺は、強くなりたいんだよ。おまえに勝つために」
言って、ルダは立ち上がった。
パズに背を向けて歩き出す。
「おまえに勝つために、俺は旅を続けてきた。旅が終わろうと、ロケット団員になったって、目標はかわらないさ」
「ルダ・・・。」
パズは、昔の出来事・・・。
旅に出る前に、ルダとポケモンバトルをしたことを思い出していた。
- 11 :ルビー :2005/08/06(Sat) 20:36:49 ID:y4IFsROs
- 「イーブイかぁ・・・・じゃあ、名前はネイ!」
「私のアサナンは、リダ!これできまり!」
数年前のカントー、セキチクシティ。
この町にはサファリゾーンという、珍しいポケモンを集めたテーマパークがある。
ルダとパズは、その園長とたまたま知り合いだった。
おかげで、旅に出るために必要なファーストポケモンは、カントーでは珍しい
イーブイとアサナンを選ぶことができたのである。
「なあ、パズ!さっそくだけど・・・。」
「勝負しようぜ、でしょ?」
「・・・うん!」
同じ日にポケモンをもらった幼なじみの二人は、
当然のようにバトルを始めたのだ。
ルダは絶対に負けたくなかった。
小さい頃からパズのことは知っている。
頭が良くて足が速くてかわいくて人気者で・・・おしゃべり上手で公平な目をもっていて。
みんなのあこがれの的だった。
それでもパズは、どんな立場になっても、ルダと対等に接してきた。
「当然でしょ?同い年だし。私のほうが偉いってことはないじゃない?」
パズはそういった。
ルダは、ものすごく「むかつく」という感情がわきだった。
・・・・ポケモンバトルだったら、ふたりともはじめてなんだ。
・・・・絶対に負けない。女なんかに、負けるものか。
ルダはそう思ってバトルをいどんだ。
だが、パズだって負けたくなかったのだ。
男の子の方が強いなんて・・・それを当たり前みたいに話している大人を見て
「むかつく」という感情を覚えていた。
絶対に負けない。あんな大人にはならない。女の子だって、やればできる。
ずっとそう思っていた。
だから、バトルでも、ルダには負けたりしない・・・!
お互い、はじめてのポケモンバトル。
ぎりぎりまで、ぎりぎりまでがんばって・・・・負けたのはルダだった。
「・・・あなたが私に勝って、それからどうするの?」
パズは座っているルダを見下ろし、そう言った。
昔の・・・あのときの、負けてイーブイをボールに戻したあとのルダも、
こんなふうに座っていたような気がする。
- 12 :ルビー :2005/08/06(Sat) 20:45:49 ID:y4IFsROs
- 「・・・俺は、ロケット団のアジトに、戻らないと。」
パズの質問には答えず、ルダは立ち上がった。
「レイってお姉さん・・・に、多分怒られるな。俺。あんなに自信持ってでてきたのにさ。」
「・・・ルダ」
寂しい表情で立ち去ろうとするルダを、パズはそっと呼び止めた。
あまりに小さい声だったのに自分で驚いたが、
それに気づいてくれたルダにも驚いた。
「・・・・なんだよ」
「・・・・また、バトルできるといいね。次も、私は本気で勝負するよ?」
ルダはふっと笑んで、何か呟いて去っていった。
パズには「よけいなお世話」というふうに聞こえた。
そしてここは、次の日のロケット団アジト。
タイムリミットの3日前だった。
「ルダくん?・・・負けたのね?」
「・・・・なんで」
「知ってるのかって?当然、盗聴器で全部聞いてたからよ。強い相手だったみたいね?」
「・・・・」
ルダは黙ってうつむいた。
正直、遊び半分で入団した。強くなるためってだけで。
こんな失敗をしたりなんて、考えてもいなかった。
極悪集団のロケット団での失敗だ、軽い罰じゃすまないような気がしてきた。
「俺・・・」
「気にしないことね。あの子は、ロケット団の幹部でも手こずる相手だから」
「!?」
レイの言葉に、ルダは顔を上げた。
とたんに、ルダは頭をひっぱたかれた。
「いってー・・・」
「今回はこれですませるわ。次から、あの女の子には関わらないこと。
ロケット団として任務遂行に力を注ぐこと。以上よ」
そういって、レイは立ち去った。
ルダは、ぽかんとしていたが、数回瞬きをして、ドアノブのない自分の部屋へ戻った。
「・・・ロケット団に忠誠を、ねぇ・・・」
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Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。