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40号が物凄くない勢いでひたすら書き続けるスッドレ
- 1 :40号 ★ :2004/03/19(Fri) 17:56:39
- ひたすら書き続けます。
感想もここにヨロシクねー
- 2 :40号 ★ :2004/03/19(Fri) 18:29:32
- しまった、書き忘れがあった。
ここは1,2レスほどで終わる、いわゆるSS(しょーとすとーりー)が中心となると思います。
長編は…他にスレッドを立てるかもしれません。そのときもヨロシクです
- 3 :40号 ★ :2004/03/23(Tue) 11:15:42
- 一人の少女がヤマブキに住んでいた。
頭は良く、運動もでき…そしてアイスが好きな完璧な少女。
そんな少女が11歳の頃の事だった。
ある日、親子そろって、シオンタウンに新しく出来たポケモンの為の塔――ポケモンタワーへ、お参りに行くことになった。
「私、怖いの苦手だな…。――終わったら、タマムシデパート行こうね!約束だよ!」
そんな事を云いながら、仲良く入っていく様は、誰が見ても普通の親子にしか見えなかった――。
全部で四階建てのタワーの中は、どこか懐かしい感じがした。
懐かしい、というより古ぼけた感じ、といった方が正確かもしれない。
――ケケケケケ。
二階へ上った途端、そんな声が聞こえ、彼女は慌てて振り返った。
しかし、そこにはどこか怪しい雰囲気を感じさせる墓石が置いてあるだけだった。
…きっと、気のせいだ。空耳ってやつだ――。
そう無理に自分に言い聞かせ、彼女はわざとらしくコクンと頷いた。
――ヒヒヒヒヒ。
またさっきと同じ、地の底から聞こえてくるような声に、彼女はまた振り返った。
すると、そこには紫色の何かがフワフワ浮いていた。
体があるようで無いその「何か」は、少女を見るとニタッと笑って見せた。
「ア、ア…アレ…」
父と母を突っつき、それを指差してみせる。
しかし二人とも、何も見えない様子で首をかしげる。
「あそこにいるじゃない!フワフワ浮いてる!」
二人は目を凝らすが、相変わらず何も見えないようだ。
演技とも思えないその様子に、彼女は怖くなってきた。
――バア!
そんな声がした途端、彼女の目の前にさっきよりもハッキリした何かが現れた。
「ファ…ファ…ファ…」
声を出そうにも声が出ない。
彼女の意識は、そのまま薄れていった――。
- 4 :40号 ★ :2004/03/23(Tue) 11:16:11
- 「ファックション!」
大きなクシャミと共に、彼女は静かに目を開ける。
目覚めたそこは、タマムシシティのポケモンセンターの椅子の上だった。
母が心配そうに、顔を覗き込んでいる。
「…大丈夫?」
やや青ざめた顔の母の言葉に、彼女はゆっくり頷く。
…あれは幻覚なんかじゃない。本物の幽霊だ――。
そんな事を考えながら起き上がる。なぜか体が痛かった。
窓からなんとか見えるポケモンタワーは、遠くにあるにも関わらず、入る前より大きく見えた。
「じゃあ、このままデパート行こっか!」
母は元気付けてくれようとしているのだという事はわかっているのだけど、なぜかそんな気になれなかった。
「ごめん。そんな気分じゃなくなっちゃった。私は先に帰るから、二人で行って来て」
それだけ告げると、足は家へと向けて走り出していた。何もかもが怖かった。
家に入り、急いでドアを閉める。靴を脱ぐと、気持ちを落ち着かせようと、冷蔵庫からアイスを取り出す。
食器棚の引き出しからスプーンを取り、自分の部屋へ駆け込む。
「いただきまーす!」
アイスを一口食べると、心が落ち着いた。
夢だったんだ、何もかもが。幽霊も、声も――。
そんな事を考えながら、スプーンを見つめる。
スプーンをジーッと見つめていると、自分が逆さまに映っていて面白い。
そして――気付くとスプーンは曲がっていた。
………………。
彼女は黙り込んだ。そして、暫しの沈黙の後、こう確信した。
…私は超能力者――エスパーなんだ。人に見えないものが見えるんだ――と。
- 5 :40号 ★ :2004/03/23(Tue) 11:17:04
- ――あれからどれだけの時が経っただろう。
彼女は、ヤマブキジムのジムリーダーとなっていた。
エスパーポケモンを扱う、完全無敵のジムリーダー。名はナツメ。
「……挑戦?」
ナツメが黙って見つめるその先には、一人の少年がいた。
「マサラタウンから来たのね」
少年は少し驚いた様子でナツメの顔を見る。
「何気なくスプーンを持ったら曲がって…。それから私はエスパーなの」
そう言うと、ナツメはモンスターボールを投げた。
中から出てきたのはユンゲラー。
続いて、少年もボールを投げると、言った。
「いざ、勝負!」
- 6 :40号 ★ :2004/03/24(Wed) 12:16:32
- 【キョウ&アンズ】
彼は、部屋に戻ると、机に置いてあった封筒の封を破いた。
一枚の紙がヒラリと抜け出てくる。
それを素早くつかむと、書いてある文字をゆっくりと読み上げる。
「四天王の一人としてあなたを迎えます…」
そこまで読んで、セキチクジムリーダーのキョウは深くため息をついた。
キョウが読んでいる手紙は、ポケモンリーグからキョウへ宛てられたものだ。
その内容は、近いうちにキョウを四天王の一人として迎えたい、というものだった。
キョウは、もう一度ため息をつくと、頭を抱えた。
確かに、実力を認められた事は嬉しい。
しかし、自分はまだまだこのジムを守っていかねばならない。
後を継げるものといえば――。
キョウは、頭にジムのトレーナーを思い浮かべる。
トレーナーこそ多いものの、実力のある者は少ない。
それに、キョウが信頼しているのは、死に別れた妻と、もうすぐ15になる娘だけだ。
どちらにせよ、信頼していない者にジムリーダーなど任せられるわけがない。
「…そうか!」
キョウは、思わず声を出していた。
そして、急いでその手紙への返事を書くと、布団を敷いて早々と寝てしまった。
- 7 :40号 ★ :2004/03/24(Wed) 12:20:24
- まだ日も昇らないうちに、キョウはジムの裏にいた。
そこへ、一人の少女がやってくる。
「おはようございます、父上。…私に御用とは?」
そう礼儀正しく言うのは、キョウの一人娘――アンズだ。
キョウが厳しい忍者修行を教え込んだ唯一の人物でもある。
「こういう事だ」
短く言って、昨日の手紙を見せる。
「父上が…四天王に?」
コクンと頷くと、アンズの目を見て聞く。
「拙者の後をついではくれぬか」
アンズは、少し考えたあと大きく頷いた。
「私にお任せください。セキチクジムを立派にして見せます」
「そう言うと思っておったぞ」
朝日が昇り、小鳥が囀り始めた――。
あっという間に数ヶ月が過ぎ去っていった。そして、ついにキョウの旅立ちの日となった。
ジムの前の看板も、キョウの名前が書かれたものは処分され、新しい看板を立てるばかりとなった。
「頑張ってください、父上」
震える声でそう言うアンズは、目が少し潤んでいた。
「ああ。後は任せたぞ」
大勢のセキチク市民が見守る中、キョウはピジョットに乗って旅立っていった。
そして、アンズの名が書かれた看板がジムの前に立てられる。
どこからか自然と拍手が起こる。
カントー地方の歴史に、新しいページが刻まれる――。
- 8 :40号 ★ :2004/04/06(Tue) 11:41:16
- 【キキョウジム ハヤト】
「ハヤト…あとを頼む」
その一言とわずかなお金…そして、十四歳のハヤトを残して父が死んでから、もう五日が経っていた。
キキョウジムの入り口には、「ジム戦休止中。バッジが欲しいならどうぞ」と書かれた紙が吊り下げてある。
父が死んだ今、小さなこのジムのジムリーダーを務める事の出来る者はいないからだ。
夜。誰もいないジムの中、ハヤトは一人で、以前は父が立っていた場所に座っていた。
とても広いとはいえないジムだったが、以前は、次々と挑戦しに来る新人トレーナーで、活気に溢れていた。
しかし、今は――。
壁は汚れ、床には埃が落ちている。まるでジム全体が泣いているかのようだ。
「……ちくしょう!」
ハヤトは叫んだ。声が虚しく反響する。
「何で死んじゃったんだよ!」
そう言うと、ハヤトは声を上げて泣いた。ジムと共に泣いた。
- 9 :40号 ★ :2004/04/06(Tue) 11:41:38
- 気付くと朝になっていた。
泣き疲れて眠ってしまったのだろうか。
「……あれ?」
壁には、昨日は無かった袋が立てかけてあった。
慌てて袋を開けると、父の文字で書かれた手紙と、モンスターボール二つが入っていた。
――ハヤトへ。
私が居なくてもお前ならやって行ける筈だ。
そんなお前にキキョウジムを継いで欲しい。
この二匹を使いこなすのだ――。
そこまで読むと、今度はモンスターボールを手にとってみた。
モンスターボールからは、ポッポとピジョンが出てきた。
それを見て、ハヤトは全てを理解した。
これは、父が自分に残してくれたポケモンだ、と。
小さい頃、よく父のポケモンを見せてもらった。
その中でも、一番ハヤトが関心を示したのが、額に傷のあるポッポだった。
このピジョンはあの時のポッポだ。額の傷があのポッポと同じだもの――。
ハヤトは、二匹の頭を優しく撫でると、ジムの入り口の紙を丸めると、ゴミ箱に捨てた。
キキョウジムリーダー、ハヤト。此処に有り――。
- 10 :40号 ★ :2004/04/22(Thu) 20:24:05
- 【ミナキとスイクン】
その出逢いは、暗い夜道だった。
看板が光るだけの壊れた自動販売機には虫が群がり、ゴミ袋にはニャースが陣取っている。
「…どこかに…どこかに必ず、私を必要としている場所がある筈だ!」
青年、ミナキはその道を歩いていた。
今の仕事は自分には向いていないんじゃないか――そんな事を考えながら。
「…くそっ!」
そう言って、足元の石を蹴る。用水路に落ちたらしく、ポチャッと音がする。
…自分の思い描いていた夢はこんなものだったのか――?
子供の頃の作文には、「珍しいポケモンを集めたい」と、原稿用紙で四枚分も書いてあった。
自分が珍しいポケモンを手に入れた姿を夢で見たりもした。
しかし、今は――。
大きなため息をつくと、服が汚れるのにも構わず、ヨロヨロとその場に座り込む。
どこでどう歯車が狂ってしまったんだろう――。
その時だった。
前方から、何やら大きく青い獣のようなものが走ってくる。
そのポケモンは、子供の頃に何度か夢に出てきたあのポケモンにとてもよく似ていた。
そのポケモンは、ゆっくりと走りながらミナキの方へ近づいてくる。
ミナキは、口をぽかんと開けたまま、すっかりそのポケモンに魅入られていた。
そのポケモンは、まるで幻のようにミナキを通り越し、ミナキが来た方向へと駆けて行った。
「あれは…一体…」
数年が経った。
あれからミナキは、未だにあの青い獣のようなポケモンを追っていた。
神話にも載っているあのポケモンの名前は、スイクン。
そして、「スイクンはジョウトへと渡った」という噂を聞き、ミナキはジョウトへと向かった。
そして――。
- 11 :40号 ★ :2004/04/22(Thu) 20:25:25
- >>10は掲載しないでね。なんか微妙だから>デュルー
ということで、要望、りくえすと、何でもござれ。
- 12 :40号 ★ :2004/04/23(Fri) 19:30:16
- 【マツバ】
真の実力を持つトレーナーの前にそのポケモンは現れる――。
代々言い伝えられているその言葉を信じ、彼は修行を続ける。
父の夢を受け継いで――。
彼は、エンジュジムの後継ぎとして生まれた。
言葉がわかるようになってからは、毎日のようにこの言い伝えを聞かされた。
――エンジュの塔の最上階に、伝説のポケモンがいる。
真の実力を持つトレーナーの前にそのポケモンは現れる――。
喋られるようになってからは、その言葉を毎日言わされた。
「マツバ。これは、父さんのそのまた父さん…お前のお爺さんが言っていた言葉だ。
お前もいつか、この言葉の意味がわかるときが来るだろう…」
そんな父の言葉を、マツバは黙って聞いていた。
ただ言葉を聞いているだけで良いわけは無かった。
何度も、効率的なバトルの方法、心を落ち着かせる方法…そんなような物を教えられた。
町から出ることも禁止され、マツバの遊び場といえばエンジュの中だけだった。
それから、春が来て、秋が来て、また次の夏が来て…それが何回と繰り返され、マツバは青年となった。
マツバが17の時に父が死んでから、ジムリーダーにもなったマツバは、よりたくましく見えた。
…父さん。あの言葉の意味、わかったよ――僕が父さんの代わりに夢を叶える――。
たまに、父の写真にそう語りかける。
その度、写真の父の顔は喜んでいるように見えた。
また何度も春が来て、過ぎ去っていった。
人には見えないもの――ゴーストが完全に見えるようになったが、まだ伝説のポケモンはマツバの前に姿を現さなかった。
しかし、その気配を薄々と感じ取ってはいた。
夢に姿が出てきたこともあったし、エンジュの空をそのポケモンが飛んでいるのを見たような気もする。
ある日、マツバは帽子をかぶった少年とジム戦をした。
その少年の腕はかなりのもので、油断していたマツバはあと一歩のところでやられてしまった。
少年の姿を見て、マツバは考えた。
もしも自分が、ジムリーダーとしてじゃなく、ワカバタウンかどこかの普通の少年として生まれていたらどうだったろう、と。
一瞬だけ、それに魅力を感じたが、もう後戻りはできない。
こうして生まれた以上、このまま最高のジムリーダーになってみせる――。
真の実力を持つトレーナーの前にそのポケモンは現れる。
代々言い伝えられているその言葉を信じ、彼は修行を続ける――。
- 13 :副管理人 ★ :2004/05/17(Mon) 20:25:34
- 【カツラ(1)】
あの噴火から三年が経った――。
横穴から、ヒソヒソと話し声が聞こえてくる。
中には二人の男。
「何の用かね?」
カツラの言葉に、グリーンは首を振って答える。
「用は無いよ。ただ、近くに来たからよっただけさ。それにしても――」
「ここも変わっちまったな、とでも言うんだろう?」
これにはコクリと頷いた。
「そうさ。そして…あんたもな」
「年には勝てんさ」
そう言って、寂しげに笑う。
「そうだ、ついさっき珍しくトレーナーが来た。実にいい目をしていたよ」
「…勝てたのか?」
グリーンは、少し期待しているような声だった。
「想像にお任せするよ。でも――」
一旦言葉を切り、グリーンを見つめる。
「――あいつは伸びる。間違いない」
「…なんでわかるんだ?」
グリーンの問いに、フッと笑い、頭を撫でながら答える。
「あの子――レッドと同じ目をしていた」
そう言うと、思い出したように呟いた。
「お前と戦ったのはいつだったかな。まさか、お前が仲間になるとはな――」
言葉を遮るように立ち上がると、ズボンのお尻の部分を叩く。
黒いズボンは、埃でお尻の部分だけ真っ白になっていた。
「じゃあな、もう行くぜ。ジムをいつまでも留守にしとくわけにもいかねえからな」
「そうか。…さっきの少年、まだいるかもしれないぞ。なんにしろ、いつかお前も会えるだろう」
グリーンはその言葉に微笑むと、ウィンクしながら出て行った。
そして、また時が経つ――。
- 14 :副管理人 ★ :2004/05/18(Tue) 19:47:05
- 【ライバル】
少し乱れた呼吸で、その赤い髪の少年はニューラに命令する。
ニューラが素早く動いたかと思うと、凍り漬けとなったゴローンが床に転がる。
年齢にしてはかなりの腕前だ。通りかかったピジョットを連れた青年が羨ましげに彼を見る。
ニューラに向かってわずかに微笑むと、少年はまた歩き出した。
わかってきたような気がする。あのマントの奴が言った事――。
ポケモンと一緒に床に寝転がりながら、そんな事を考える。
「愛情、か…」
ポケモンに愛情なんて必要無い――そう考えていた昔の自分が恥ずかしくなる。
まるで、ロケット団みたいじゃないか――と。
ゴルバットの進化系のクロバットがいると知り、進化するようにビシビシ扱いていたあの日。
無理に戦わせ、戦闘不能にしてしまったあの日。
結局は進化しなかったが、今となってはもうそんな事はどうでも良かった。
ポケモンと楽しく過ごす。それもトレーナーとしては大切だと気付いたからだ。
「さてと…そろそろまたトレーニングするか?」
ポケモン達が頷いたのを見て、少年は立ち上がった。
すると…そこへ、サイホーンの群れが突進してきたのだ。
少年は、慌てる事無く命令した。
「ゴルバット、吹き飛ばせ。ユンゲラー、サイコキネシスだ。ニューラは…ふぶきだ!」
命令通りに次々と動く三匹のポケモン。
あっという間に、サイホーン達は洞窟の向こうへと飛んでいった。
「良くやったな、ユンゲラー、ニューラ。それに、ゴルバ――」
少年の目は、ゴルバットに釘付けになった。
ゴルバットは、明らかに様子がおかしかった。
だんだんと変形し、体は薄紫になっていく。
三十秒ほどすると、変化は止まった。
「ゴルバットが…進化した?」
少年は、強くゴルバット…いや、クロバットを抱きしめると、心から嬉しそうに言った。
「よろしく、ゴルバット…いや、クロバット!」
ゴルバットがクロバットに進化するのに必要なもの。少年はそれを知った…。
- 15 :40号@副管理人 ★ :2004/05/18(Tue) 19:50:14
- 言わずともわかるかもしれませんが、>>13-14は自分なのです。
ちょっとイロイロ忘れてました。
それにしても、二日連続で書くなんて我ながら珍しいです。雨降りそうです。
今後も、40号をよろしくー!
- 16 :40号@副管理人 ★ :2004/05/19(Wed) 20:42:24
- あ、すみません、台風来ましたね。
沖縄の人、ごめんなさい、怒らないで下さい。
ネタも無いのに投稿(´・ω・`)
- 17 :Sain :2004/05/23(Sun) 12:40:41 ID:vztTxn2U
- 40号様リクです〜
トレーナーと勝負するポケモンの心境、みたいな物を見てみたいです。。
最終的には捕獲、と。心境描写も細かく書いて頂けると嬉しいです〜w
#自分も書かせて頂こうかと思っておりますので宜しくお願いします。
- 18 :40号@副管理人 ★ :2004/05/29(Sat) 18:38:39
- 【マチス】
季節は、冬。
錫色の空からは、真っ白な雪が、まるでじょうろで水をやっているかのように降ってきている。
「雪か……」
窓から見える景色がだんだんと白く染まっていくのを見て、マチスはつぶやいた。
戦場――。
錫色の空からは、雪と共に無数の爆弾が降ってくる。
いや、空が降らせたのではない。敵軍の飛行機が降らせたのだ。
誰かが死ぬたび、敵軍の兵士の言葉が聞こえる。
異国の言葉なのでほとんどわからないが、確かに喜んでいるようだった。
たくさんの軍人の苦しみの声が聞こえる。
家族の名を呼ぶ者、大声で泣く者。
しかし、そう苦しみ死んでいった者は、降り積もる雪に隠されていく。
一体、何の為に戦争をしているのか――そんな事は、もう忘れていた。
とにかく、敵を倒さなければならない――それだけだ。
「皆、狂ってる――」
そうつぶやいたのは、あろう事にカントーの陸軍の将官――マチスであった。
側に居るビリリダマは、ストーブの代わりだろうか。
その横で、短い茶髪の男もうなずく。
「この戦争はカントーが負ける。……間違いない」
雪は、止まない……。
そして、また、次の冬が来た。
マチスは、鞭を持った金髪の男たちに囲まれ、ただひたすらに働いていた。
一日十五時間。少しでも手を休めると、男たちはすぐに鞭を振るう。
そして、その金髪の男たちの中に、短い茶髪の彼も居た。
同じ軍服を着て、同じ鞭を持って。
彼は、少し怯えたような目でマチスを見る。
裏切ったんじゃない……しかたがなかったんだ、とでも言うように。
ポケモンさえも奪い取られた。
マチスの電気ポケモンは、発電に使われた。
すでに、あの時のビリリダマはマルマインに進化していた。
また、ちょうどこの頃、カントーがようやく降伏し、戦争も終わりを告げた。
しかし、マチスはそれを知らない。
春は思ったよりずっと遠くにあった……。
そして、また冬が過ぎ、ようやく春が来た。
マチスは、船に乗ってカントーへと帰ってきた。
しかし、隣には誰も居ない。無事に戦場から帰ってこれたのは、マチスだけだった。
「春とはいえ、まだまだ寒いな……」
マチスはつぶやいたが、それは気のせいだったのかもしれない。
また冬が何度も過ぎ去っていった。
そして、今の季節は、冬。
だが、あの地の冬とは比べ物にはならない。
やっぱり、カントーの冬は暖かいな――マチスは、改めてそう思ったのだった。
- 19 :40号@副管理人 ★ :2004/05/29(Sat) 18:44:14
- …無駄に長い(´・ω・`)
Sain様(>>17)のリクエストには、その内答えますです。
- 20 :40号@副管理人 ★ :2004/06/06(Sun) 20:44:25
- 【モノマネむすめ】
その少女は、もう何年も外に出ていなかった。
学校になんか行かない。――友達が居ないから楽しくない。
別に、友達なんていらない。――すぐ裏切るから。
そう考えた後、少女は部屋を見回した。
――その点、このぬいぐるみ達は裏切らない。
自分勝手な都合で離れて行ったりもしない。
……部屋を見回していた少女の目が、ピッピ人形をとらえた。
この人形――。
黄色い帽子を逆にかぶった、無口な少年。
前にきている帽子の穴から、前髪が飛び出している。
その少年は、少女にやさしく、ピッピ人形を手渡す。
「あの――」
少しうつむきながら、リニアの定期券を少年に渡す少女。
その少年は、ニコリと笑うと、初めて少女の前で口を開いた。。
「ありがとう!」
透き通ったような声。――少なくとも、彼女にはそう聞こえた。
少女は、その笑顔に何も言う事が出来ず、ただうつむいていた。
あの人に、また会いたいな。
私からの二つのメッセージを、あの人に届けたい。
「ありがとう」――そして、「友達になろう」の二つの言葉を――。
- 21 :40号@副管理人 ★ :2004/06/07(Mon) 19:30:20
- 【ツクシ】
「虫ポケモン博士」――それが、友達との間でのぼくのあだ名。
でも、それが思い込みだ、って事に気が付いた。
所詮、井の中にいた蛙は大きな海では泳げない。
ぼくだって、それと同じ。
でも、それならそれでいい。
ぼくは、井戸の中でのんびりと泳ぐから――。
ぼくが、そう思い知ったのは、今から二時間前。
一人の少年が、2vs2の公式バトルをぼくに申し込んできた。
その少年はなんと、ぼくに挑む人としては珍しく、ぼくと同じ――虫ポケモンを使ってきた。
「ぼくに虫ポケモン同士の戦いを挑むなんて――」
余裕の笑みでそう言ったぼくを、その少年は複雑な表情で見ていた。
その少年はまず、コンパンを出した。
そのコンパンのレベルは、ぼくの一番手――トランセルとだいたい同じのようだった。
そして――審判の笛と共に、勝負が始まった。
素早さは相手の方が上だったようで、少年のコンパンは激しく地面を蹴り――そして、跳んだ。
トランセルの真上に来たところで、コンパンは粉を撒き散らす。
「トランセル、避けろ!」
しかし、広範囲に撒かれた粉を避ける事はできない。
粉を浴びたトランセルは、転がり――そのまま、起き上がらなかった。
「トランセル!」
「……一撃か」
少年が、ややつまらなさそうにつぶやく。
「まだ次がある。――行け、ストライク!」
ストライク。頼りになる、ぼくの切り札。
「はじめるよ!」
ぼくの言葉と共に、ストライクが空気を切り裂く。
「ストライク、れんぞくぎり!」
ストライクが、何度もコンパンに斬りかかる。
相手は、何も言わない。黙って、コンパンを見ている。
と、その時――ストライクの動きが止まった。
「ストライク……?」
「コンパン、サイケこうせん!」
少年の指示で、コンパンの目からレーザーのような光線が――と思うと、ストライクはジムの壁に叩きつけられていた。
「ストライク、戦闘不能。よって、挑戦者の勝ち!」
予期せぬ事態に少し焦ったように、審判が言った。
「ストレート勝ちか。――ボーリングで言うと、ストライクってやつだな」
ぼくは、彼に、ポケモン勝負では負けたが、ユーモアのセンスでは勝てる、と確信した――。
今まで、試合に負けることはあっても、相手が悪かった、と思い込んできた。
でも、今回は違う。相手は虫ポケモン。そして、レベルは同じ。――完全なる敗北だ。
――考えてみれば、ぼくの知識は書物で得たものでしかない。
虫ポケモンと触れ合う――それを前にやったのはいつだっただろうか。
「ストライク――」
ぼくは、ストライクをボールから出した後、言う。
「遊びに行こうか。――森なんてどうだ?」
「シュワッ!」
ストライクのこんなに嬉しそうな声を久々に聞いたような気がする。
ごめんね。もう、無理しなくてもいいんだよ――。
- 22 :40号@副管理人 ★ :2004/06/13(Sun) 18:38:58
- 【アオイ】
「あ……」
久々の日曜日。
人気のDJであるアオイは、思わず立ち止まった。
溢れんばかりの人の中に、見覚えのある顔を見つけたような気がしたからである。
しかし、向こうは、こちらに気付く様子もなく向こう側へと歩いていく。
「クルミ……だったのかな……」
そう、アオイが見たのはクルミだった。
「クルミ……」
アオイは、ポケットに入ったハンカチを握り締めた。
クルミは、アオイにとって良きライバルであり、尚且つ、良い友達でもあった。
以前は、よく二人で遊びにいったりもしていた。
百貨店の屋上で安売りがあると聞けば無理してでも予定を空けたし、休みは、たまにゲームコーナーへも行っていた。
それが今は――。
今やクルミは、10作以上の映画、テレビ番組を掛け持ちしていると聞いた。
「困る事も色々ある」と言っていたが、そう言う目はキラキラ輝いていた。
アオイは、それと同時にクルミからのメールを思い出した。
最後にメールを貰ったのが、もう数ヶ月前。
アオイから出した遊びの誘いの返事だ。
しかし、そのメールさえも、「ごめん、忙しいんだ」の文面が踊っていた。
その前のメールも、その前の前のメールも……。
気付けば、受信トレイの半分はそんなメールで埋まっている。
――仕方ないよ。仕事だもんね。
毎度、そんな風に返信してはいた。けれど――。
やりきれない気持ちになったアオイは、コガネゲームコーナーへと向かった。
方向音痴のアオイでも、ゲームコーナーの場所は忘れていない。
あの良く出る台、空いてるかな……。そんな事を考えると、足が速まる。
「久しぶりだな……」
そのつぶやきと共にゲームコーナーの扉を開けたアオイは、目を疑った。
あの良く出る台には、クルミが陣取っていたのだ。
クルミは、アオイに気がついたようで、驚いたような顔を見せた。
「どうしたの、一体?」
「久しぶりに休みを取ったの。アオイちゃんにも連絡しようと思ったんだけど……」
「そうなんだ……」
今日は日曜日。特別な事が起こる日――。
- 23 :40号@副管理人 ★ :2004/06/13(Sun) 18:41:54
- >>22
伝えたい事もないのにテーマだけで書くとこうなっちゃうんだね。
デュルーのクルミに対抗しようとしてました、ごめんなさい。
- 24 :デュルー@管理人 ★ :2004/06/13(Sun) 20:06:41
- >>23
いいじゃん。微妙に繋がってるやん!
これはいいですなぁ。
- 25 :40号@副管理人 ★ :2004/06/19(Sat) 18:31:23
- 【ガンテツ】
冬――。
ひんやりと、室内に冷たい空気が流れてくる。
一心不乱に作業机に向かっていた男は、その空気にブルリと体を震わせた。
「お爺ちゃん、見て!」
窓の外を指差し、興奮を抑えるような声で、少女が言った。口振りから見て、彼の孫娘だろう。
その言葉に、立ち上がった男――ガンテツは、窓へと向かった。
見ると、銀色の雪が、見事な舞いを見せ付けるように降っている。
「冬なんだな――」
その言葉に、少女が嬉しそうにうなずく。
私の名は、ガンテツ。このジョウトで唯一のボール職人だ。
もう、この地で冬を迎えるのは何回目になるだろうか。
数えるのも面倒くさい。何しろ私は、生まれた時からずっとこの地から出ていない。
その事で、現在、私は困っている。
私は、いつでも自分の腕を上げる事を目標にボールを作っている。
新しいものが作れるなら作りたい。だが、このジョウトには、ぼんぐりの種類は少ない。
私は、ぼんぐりから、ボールを作っているのだが――。
私の知らない地――ホウエンの奥深くには、かなりの種類のぼんぐりがあるという。
それを使えば、新たなるボールを作ることができるだろう。
しかし――。
私は、この地から――いや、ヤドンや虫ポケモンの沢山いる、この小さな町からさえ離れるのが嫌だ。
私の孫娘は、決まってこう言う。
「いいよ、お爺ちゃんの好きなようにすれば。私は、どこに行ってもお友達、できるから――」
それで、私はいつも悩んでしまう。
見ると、孫娘は、まだ、雪に覆われていく風景を見ながら、微笑んでいる。
――その笑顔を見て、私はついに決めた。
この風景は、まだまだ捨てはしない。そして、この家を離れはしない――と。
- 26 :40号@副管理人 ★ :2004/06/19(Sat) 18:35:14
- 祝、十本目
ってやろうとしたら、数え間違えてたよ。
どうやったら二本も間違えるんだろうね。あはは。
笑って下さい。
- 27 :40号@副管理人 ★ :2004/06/21(Mon) 19:45:25
- 【曜日兄弟&ワタル】
ポケモントレーナーに協力する事。――それが、彼女にとっての「喜び」だ。
もちろん、それには理由がある。
思い出したくない、理由が――。
夜――。
人通りの少ないこの場所で、一人の少女が黙って座っていた。
「お腹がすいた」「寂しい」――そんな様々な思いが、彼女の中を巡る。
まだ彼女には、事がよく呑み込めていなかった。
無理も無い。――まだ幼い七人の子供を残し、両親が二人揃って旅立ってしまったのだ。
そうなると必然的に、最年長――ツキコが、兄弟を養う事になる。
――遊びたい盛りの年頃であるツキコには、重すぎる荷であった。
「バカ……」
ツキコの目から、涙がこぼれる。
兄弟の前では、決して見せない涙。今の内に、全て流してしまおう――。
運の悪いことに、気付くと、朝になっていた。
更に運の悪いことに、彼女は、無数のラッタに取り囲まれていた。
――こういうのを泣きっ面に蜂、っていうんだな……。
ツキコの心は落ち着いていて、こんなことを考える余裕さえあった。
それというのも、ツキコにはもう生きる気力は残っていなかったからだ。
「殺して――」
待ってましたとばかりに、ラッタの牙がツキコの喉に突きつけられる。
牙が、ツキコの喉を貫こうとした時――前方から、大きな声がした。
「カイリュー、破壊光線!」
その言葉と共に、ラッタの体がツキコの膝へと倒れる。
ツキコは、呆気にとられたまま、声のした方を見た。
見ると、マントの青年が、汗を拭っている。その青年は、ツキコの側に来て、言った。
「危ない所だったな。――俺の名前は――」
ワタルの言葉が止まった。ツキコが、感謝というよりも憎悪の感情を浮かべていたからだ。
「何で……何で助けるのよ」
その言葉に、青年が不思議そうな顔をする。
「私は……もう、生きるのが嫌なのよ」
そう言うと、彼女は、青年に洗い浚い事情を説明した。
話し終わったときには、もう流しきった筈の涙が、また頬を伝っていた。
「君の言いたい事は良くわかったよ。だけど――死んではいけない」
青年が、静かにツキコに言う。
「君が死んだら、兄弟たちはどうなるかわかるか?一度に三人が居なくなって……」
その言葉に、ツキコの目が見開かれる。
「君は生きなければならない。こうして生まれた以上、ね」
ツキコはもう、青年の言葉を聞いてはいなかった。
彼女の頬には、今までとは違う涙が、静かに伝っていた。
それは、悲しみの涙ではない。生きる喜びの、あたたかい涙。
「じゃあね。――俺の名はワタル。また、どこかで会おう」
ウインクを残して去っていくワタル。その姿に、ツキコは心から思った。
――トレーナーって、素晴らしいな……。
ポケモントレーナーに協力する事。――それが、彼女にとっての「喜び」だ。
そして、その喜びは、悲しみの何倍も大きい――。
- 28 :40号@副管理人 ★ :2004/06/21(Mon) 19:50:01
- >>27
テスト前なのにかきかき。…うん、テストなんて、気にしない。
ワタルと曜日兄弟という組み合わせの微妙さには目をつぶりましょう。
個人的に、結構、気に入りました。ワタルも出せたし。
- 29 :五教科合計440の40号@副管理人 ★ :2004/07/04(Sun) 08:33:42
- テスト終了。ぐーっと更新頻度も上がるかもっ……。
にしても、これでテストの結果が前回よりいいんだから、自分の勉強ってなんだったのやら。
- 30 :40号@副管理人 ★ :2004/07/15(Thu) 19:49:58
- 【カスミ】
――泣ける場所は、風呂場しかなかった。
恋人には振られ、バトルは不調――自然と流れ出す涙を、カスミは拭おうとはしなかった。
悲しみの混じった涙が、汚れの無い風呂のお湯に溶け込むのを、ゆっくりと待っていた。
「……だって、ちっとも会えないじゃないか」
恋人から最後に聞いた言葉が、ふと脳裏に浮かんだ。
二人は、遠距離恋愛だった。忙しさのせいで、電話さえ満足にしていられなかった。
――彼は、バトルに興味は無かった。最後まで、自分の腕前を理解してはくれなかった。
止まりかけていた涙が、また溢れてくるのを感じた。
自分で天職だと思ってきたジムリーダー業も、スランプ続きだった。
恋人との仲も、スランプの大きな理由だったのに、彼はそんな事を理解もしてくれなかった。
ポケモン自身が、自分への信頼を失いかけているのではないだろうか。――そんな不安まで抱いてしまう事さえあった。
風呂場の中、カスミはゆっくりと目を閉じた。
「ハナダジムリーダー、カスミ。――おてんばにんぎょ、か……」
彼女は、幼き頃に読んでもらった「人魚姫」という童話を思い出した。
人魚姫は、声を犠牲に陸へ上がる為の足を手に入れる。
――その時、頭の中で何かが繋がった。
そうだ。自分は人魚姫だ。そして、自分にとってのバトルとは「声」だ。
今まで、わざわざ「陸」へ王子様に会いに行くために、大切な声を失いかけていた。
――そこまで考えたカスミは、もう泣いてはいなかった。
わざわざ、陸まで上がって傷つく事は無い。私は、海の底まで潜ってきてくれるような、趣味の合う王子様を待とう――。
温かく広い風呂場の中、カスミはゆっくりと足を伸ばした。
辛い事、嫌な事――そんな事が、少しだけ溢れたお湯とともに流れ出たような気がした。
- 31 :40号@副管理人 ★ :2004/07/15(Thu) 20:01:42
- >>29に関しては、「前言撤回!」みたいな。
…いや、ちゃんと書きたかったんですけどねえ…。
部活は忙しかったし、推理物を書きたいし…。
とりあえず、推理物のタイトルは「殺人を演じた男」で決定しました。
さて、念願の(?)カスミです。
今回、ビックリするほど短く仕上がりました。
でも、一応まとまっていて…結構お気に入りの作品です。
追記:
遠距離恋愛にしたのは、理由があります。
どこかで、「このハナダの岬は絶好のデートスポットでカスミもあこがれてる〜」って台詞があったと思うんです。
でも、カスミにデートの相手が居ないって事は無いと思うし…。
…そんな事を考えていたんですが、多分誰も気付かないだろうから、自分で言っちゃいました。
- 32 :40号@副管理人 ★ :2004/08/06(Fri) 13:50:14
- 【シバ】
どれだけの間、こうして座っていればいいのだろうか。――四天王の一人、シバは考える。
この前にシバの元へトレーナーが来たのは、二日前。そのトレーナーさえも、シバの前へ散っていった。
「畜生……」
シバは、その言葉と共に、固く組んでいた足を真っ直ぐに伸ばし、傍らに置かれた「いかりまんじゅう」と印刷された、小さな紙袋に手を伸ばした。袋の中から掴み取った饅頭を食べ、大きな溜息を吐く。拳を固く握り締め、また考える。
――俺は、こんな事をする為に四天王になったのか……?
ここは、ホウエン地方にある、どこかの砂浜。
何匹もの格闘ポケモンたちが、体を鍛えている。
その横には、二人のトレーナー。彼らも、体を鍛えている。
「やはり、トレーナー自身も強さを追い求めねばならん。ポケモンばかりに頑張ってもらうのは、気の毒だ」
腕立て伏せをしながら、まだ若いシバが言う。
その横で、シバよりも更に若くハンサムなトレーナーが腹筋を鍛えながら頷く。
「そうですね。――シバさん、実は俺、この地方のジムリーダーになりたいんです」
その言葉に、シバの腕が止まる。ゆっくりとあぐらをかき、若者を見つめる。
「トウキ……どうしてだ? 何故――」
トウキと呼ばれた若いトレーナーは、ゆっくりと上体を起こし、シバを見つめる。
「強いトレーナーと戦いたいんです。ジムリーダーなら、強いトレーナーと戦う事ができるでしょう?」
シバは、しばらく何も言わなかった。やがて、ゆっくりと腕立ての姿勢に戻った。
トウキは、そんな様子をまっすぐに見つめている。
その眼差しに耐え切れなくなったシバは、溜息交じりの微笑と共に、また口を開く。
「俺も、同じさ。強いトレーナーと戦いたい。だから、強くなってそういう職に就きたい――」
夕焼け色の海が起こす波の音が、ゆっくりと響く。
それと同時に、シバの意識もだんだん――。
気付けば、シバの前には、一人の少年が立っていた。
赤い帽子には、八つのポケモンリーグ公認バッジ。
手に構えたモンスターボールからは、闘いたい、という気が伝わってくる。
久々の名勝負になりそうだ――そんな事を感じつつ、シバはボールを持った。
ボールの中のポケモンが、溢れんばかりの興奮に震えているような気がした。
<Fin>
- 33 :40号@副管理人 ★ :2004/08/06(Fri) 13:52:31
- 久々に赤帽子の少年登場ヽ(´ー`)ノ
でも、四天王だからジムリーダー制覇には近づけない罠orz
- 34 :40号@副管理人 ★ :2004/08/07(Sat) 16:18:03
- 【番外――シオンタウンの夜は更けて】
迷える魂が、今宵もこの街を彷徨う。この世にまだ未練が残っているのだろう。
それを、無理に天上へと昇らせる事など出来ない。それは、私も同じだからだ。
貴方の知らない、忘れ去られた歴史。それが、シオンタウンには秘められている。
数十年前は、この街にもジムは有った。グレンタウンがカントーの領土と認められる以前の話だ。
しかし、ある乾燥した日に起きた火事――。それが、全てを焼き尽くしてしまった。
あっという間に全てが焼け――物凄い数の死者を出し、街は焼け野原になった。
やがて、フジという名の若者がやってきて、迷える魂を成仏させるため、ジムの跡地にポケモンタワーを創った。殆どの魂は成仏していった。だが、別れ別れになったカラカラとガラガラの霊だけは、今でもこの世に留まっている。
そして、私もこの世を立ち去る事が出来ない。
シオンジムリーダーとして、この跡地に立てられた塔で、ポケモンと触れ合い、ポケモンを無事に成仏するのを見守っていたい。
……これは――真実から目を背ける為に良い聞こえの言葉を並べ立てただけだろうか?
現世を生きる死霊――それが、真実の私なのだろうか?
私は、この世の未練を捨てる事が出来ない悲しいゴーストなのだろうか……?
<Fin>
- 35 :40号@副管理人 ★ :2004/08/07(Sat) 19:07:40
- 短時間で纏めた為よくわからんモノに。
全然公式じゃない、勝手な設定です。
多分、私のお話にはこういう感じの設定が多用されると思います。
- 36 :40号@副管理人 ★ :2004/08/07(Sat) 22:23:10
- 【番外――アタタカイトコロ】
目が覚めると、私はどこか暖かく明るい場所に居た。
此処は何処だろうか。――少なくとも、私の知っている場所で無いという事だけは確かだった。
チョウジジムではないし、私が眠りについた自宅でもない。体がポカポカして、無性に気持ち良い。
見ると、相棒のパウワウも隣で日向ぼっこを楽しんでいた。私の体から、妙な緊張感が抜ける。
改めてゆっくりと、辺りを見渡す。
甘い香りと共に、花が私の視界に入ってきた。私は、それで全てを理解した。
<Fin>
- 37 :40号@副管理人 ★ :2004/08/07(Sat) 22:25:06
- 番外を書き始めると、「番外の鎖」に絡まります。
なかなか抜け出せず、駄文とわかっていても書いてしまうのです。
内容的にも微妙なので、いつ削除されるかわかりません。ヒヤヒヤしててください。
- 38 :Sain@べろんちゅ ◆10OLU704SY :2004/08/08(Sun) 01:08:37 ID:BSdxa.L6
- だよねぇ(ぁ
というかネタがなくなるとそれまたハマリ易い。
コレ危険。といいつつも自分も繋がれてますよ(w
- 39 :デュルー@管理人 ★ :2004/08/09(Mon) 18:05:59
- >>36
ヤナギネタは私の特許だって、知りません?(w
- 40 :40号@副管理人 ★ :2004/08/23(Mon) 20:37:48
- 【ハヤト其の二――秋風】
――父さんが死んだのは、秋風が吹き始めた頃だった。
だから、俺は――秋の爽やかな風に、彼の面影を見い出す。
草原。小高い丘に、俺と父さんは立っている。
「ハヤト、鳥ポケモンのスペシャリストに必要な事が何だかわかるか?」
父さんが、口笛でピジョンを呼び寄せながら、俺に訊く。
「……優しさ……かな……?」
俺の曖昧な意見は、優しい秋風に吹き飛ばされる。
「そうか……」
父さんは、複雑な表情でそう言った後、オレンジ色へと近づいていっている空を見上げる。
「まだ、お前にはジムは任せられないな……」
「……ねえ、答えは――?」
俺がせがむ様に言っても、父さんは答えない。
「来年だ――来年、此処に来たときに、その答えを教えてやる。だから、それまではお前が探すんだぞ」
モンスターボールにピジョンを戻し、そのボールを弄ぶ父さん。
「来年、か――」
あれから一年して、秋風が吹き始めた頃、父さんは死んだ。
あの草原に来る前に。俺に、答えを教えてくれる前に。
それでも、俺は答えを見つけてみせる。
その答えが見つかった時、俺は父さんを越える事が出来るだろう。――そう信じて、答えを探し続ける――。
<Fin>
- 41 :でゅるー@管理人 ★ :2004/08/24(Tue) 06:26:22
- はやとそのにはまとめちゃったほうがええですか?<はやとに
- 42 :40@副管理人 ★ :2004/09/25(Sat) 20:24:40
- 【金銀ライバル其の二――対立】
逃亡。――それが、組織の後を継ぎたくない俺の取った手段だった。
甘かったかもしれない。無茶だったかもしれない。
しかし、それが俺の取った手段だった。
卑怯な手段が許せない。――そんな名目で。
しかし、やはり、遺伝というのはある物だな、と今ではすっかり逞しく姿を変えたパートナーを見つめつつ、そう思う。
卑怯が許せない、と親父の元から逃げつつ、その裏では研究所からポケモンを盗んだ俺が居る。
「矛盾――してるのか、やっぱり」
その矛盾は、あまりにも大きかった。
卑怯が許せない、と親父に対立した癖、卑怯な真似をしてポケモンを捕まえ、道具のように扱い、愛情というものをゴミのように扱ってきたという矛盾は。
知らないものは、向けられない。――これが、今までポケモンを道具として扱ってきた俺の自己への言い訳だ。
与えられなかったものを受け継げ。――無理な話だ。
ただ、一つだけ思う。
親父が俺に愛情を向けなかったのも、その感情を知らなかったから、では無いだろうか。
いや、もしかしたらもう一代前の祖父も、更にその一代前も、愛情を知らずに育ったのかもしれない。
そして――これは確実。
そんな愛情を知らぬものが結集しているのが、親父が指揮する組織なのだ。
しかし、そんなものは最早、戯言。
愛情は決して「無駄」では無いし、恩返しより八つ当たりのほうが強いなんていう言葉も信じない。
そう、今の俺は。
そして、その気持ち――いや、真実をぶつける時が遂に来た。
全てを、終わらせて。いや、生まれ変わらせてやる。
「地下二十階で御座います」
感情の無い機械の声で、エレベータの唸りが消える。
俺はゆっくりと、自分なりのやり方で足を一歩前へと踏み出した。
<Fin>
- 43 :40号@副管理人 ★ :2004/10/02(Sat) 16:10:23
- 【トシカズ】
一億光年。――奴は、それだけの距離を、在り得ないほどにわずかな時間で進んだ。
タケシさんに挑戦するだけでも凄いというのに、奴はもう八つのジムバッジを手に入れたという。
「――すげえなあ」
そう呟きつつ、奴と戦った時の記憶を辿る。
まだ鮮明な映像が、俺の中で再生される。
『タケシさんに挑むなんて、一億光年早いんだよ』
そう言い、俺がボールを構えた。
奴は何も言わず、ゆっくりとボールを投げ、そして。
――完敗だった。
「一億光年は、時間じゃない。――距離なんだな……」
また、呟いてみる。
この言葉は、奴に負けたときに呟いた言葉。
忘れては居ない。これを言った刹那の空気の動きさえも、くっきりと覚えている。
あの瞬間、奴とその周辺は輝いた。――決して比喩的表現などではなく、輝いていたのだ。
「あーあ……」
結局、あいつは光より在り得ないほどに速いスピードで進んだのだ。
光でも一億年掛かるような道のりを、まるで呼吸でもするかのように。
それはいわゆる才能という奴だろう。羨ましいとは思うが、それ以上に尊敬してしまう。
――と、一人のトレーナーがジムへと入ってきた。
俺は、やれる事をやるだけだ。だからこそ、どんな奴にだって本気で挑む。
タケシさんの為、そして自分の為に。
一億光年という地点を目標に、俺もまた、一歩を踏み出そうとしていた。
<Fin>
- 44 :40号@副管理人 ★ :2004/10/02(Sat) 16:12:28
- トシカズ……ニビジムに居るトレーナー。ちなみにキャンプボーイ。「1おくねんはじかんじゃない……きょりだ!」の名台詞はあまりにも有名
- 45 :40号@副管理人 ★ :2004/10/02(Sat) 16:33:21
- 【ロケット団のしたっぱ】
畜生、と俺はその赤帽子の奴の背中に向けて悪態をついた。
あんなに強い少年が居るだなんて、聞いてねえ……。
俺たち下っ端に与えられる仕事の中で、勧誘は一番難しい仕事だといわれている。
大体の強いトレーナーはロケット団の悪さを知っていて関わろうともしないし、下手に誰彼構わず誘うと、足手まといになりそうなのが引っ掛かったりする。もしもそうなると、組織全体のバランスが崩れてしまうのだ。
だからこそ、俺はこの橋で何日も待ったというのに。五人を突破するほどの凄腕トレーナーを待ったのに……。
幸い、持っていかれた金の玉は偽物だったから(といっても、殆ど見分けはつかない。売ろうと思えば本物と同等の価格でイケるだろう。ロケット団の技術は最高だ)、まだ損害は少ないが、残念な事に俺の正体がバレてしまった。
ハナダやクチバの警察に嗅ぎ付けられても困るし、場所を変えなくてはならない。
どの辺りが良いだろうか。サントアンヌ号の中とかが良いかもしれない。
まあ、そんなくだらない事はいつでも考えられる。
今、やる事はただ一つ。
「ヤな感じ……」
俺は小声で呟くと、アーボとズバットの入ったボールを懐に入れ、次の一歩をどちらに踏み出そうか、決断した。
<Fin>
- 46 :40号@副管理人 ★ :2004/10/11(Mon) 20:07:59
- 【コイキング売り】
――お月見山のふもとにあるポケモンセンターに訪れるトレーナーは、殆どが右も左もわからぬ新米だと考えてよい。――だからこそ、「詐欺師」も儲かるのだ。
そして、その男も詐欺師だった。
タイル張りの壁にもたれつつ、通信機をいじっている。
かなり眠そうな顔つきだったが、誰かに通じたらしく、大きく咳をして話し出す。
「もしもし。――ああ、どうもどうも。こんな遅くに申し訳ございませんです、はい」
それは、昼間トレーナーを相手にしている時とはまた別の表情、口調。
いや、別とはいっても、悪っぽい、という点では同じなのかもしれない。
「――はい。本日は、五つ。――二千五百円です、はい」
五つ、というのはコイキングの売り上げだ。――「五匹」と呼ばないのは、「ポケモンをモノのように扱う」という、彼の、そして彼の属する組織のポリシーなのかもしれない。
――と、男の表情が曇る。通信機を持っていない左手の指を口に近づけたかと思うと、いきなり爪を噛みだした。
「うーん……えー、あー、いえ。これ以上高くすると、流石に……ええ」
スラリと長い中指の爪を噛みながら応じる男。
薬指に移ろうとしたところで、相手が何か洒落でも言ったのか愛想笑いしてみせる。
「はい、暫くはこれで頑張ります。――では、そちらもお仕事頑張ってくださいね、はい」
そこまで言うと男は、通信機を傍らに置いていたカバンの中へしまう。
その後、安心したような声を漏らすと、そのカバンを持ち上げた。
せこい詐欺師と世を震わす組織との関わりなど、誰も考えない。
男はがらんとしたセンター内を軽く見回すと、外に出、暗い闇へと溶けて行った。
<Fin>
- 47 :40号@副管理人 ★ :2004/10/11(Mon) 20:09:14
- ロケット団ファンなのです。はい。
まあ、自由に解釈してもらっちゃって結構です。
これからも頑張りますですよ
- 48 :1/2@40号@副管理人 ★ :2005/03/21(Mon) 20:10:26
【素敵なる恋心と敵わぬ大敵】
軽く吹き抜けて行く風を、ぼくは両手で抱きしめる。
揺れる花の魅力。草の良い香り。川の清い流れ。柔らかな土の感触。――そんなものを五感全体で感じながら。
ぼくは、一日を過ごす。
「人間が来たぞ!」
ぼくが一人で木の実を探していると、北の方から誰かがそう叫ぶ声が聞こえた。
この辺りは、トレーナー……とはいってもまあ弱い人が多いのだけど、とにかくそういう人がたまに通りかかる。弱いといっても先手必勝でボールを投げられたら対処のしようが無いので、いつもこの言葉を合図に、ぼく達は様々な所に掘られた穴へと潜るのだ。
いつもの様に穴の方へと向かい走ろうとすると、突如。
「……ねえ?」
――と、声を掛けられた。
ん、とぼくはその声に応じる。ぼくより少し高い位置から聞こえてくる、ニドラン独特の高い声。だけど、同性であるとは思えない。不安そうなその声は、きっとぼくより幼いものだろう。
「どうして、みんな、走り出した、の?」
その言葉に、ぼくは振り向き、そして硬直する。
薄い水色をした傷の無い綺麗な体。白く、ちょこんと小さな牙。くりんとした丸い瞳は、じっとぼくを見つめている。
「あ……」
答えようと、思った。
けれど、言葉が出ない。
彼女の大きな紅い眼に見つめられて。
彼女の体に、目を取られて。
彼女に、心を奪われて。
――初めての体験だった。
「ねえ、どうして、なの?」
言葉の一つ一つが、ぼくを揺さぶる。兄さんにのしかかられた後の感覚のように。
トレーナー用語でいうなら……マヒ、だったっけ。
――そんな事を考えながら、ぼくは彼女に応える。
「――え、と」
トレーナーが迫っているから逃げているんだ、君もそうしたほうがいい。――そう、告げようと思った。
思ったの、だけれど。
ぼくがそれを言う前に、大きな暗い影が、ぼくらを包み込んだ。
それが何か、なんて――考えるまでも無い。
考えたくも、無い。
それに対するぼくの反応は――情けない、ものだった。
視界に捉える事が出来た一つの穴に向け、一目散に走って行ったのだ。
彼女を、残して。
それほどに、恐怖だったのかもしれない。
人間という、存在が。
だけどそれは。
彼女を置いて逃げた事に対する言い訳にすら、なっていない。
ようやく穴の中に潜り込み。
そして。
「あぁぁぁぁぁ!」
ぼくは誰も居ない穴の中で、絶叫した。
懺悔――だろうか。
後悔――なのかも。
慚悔――有り得る。
でもどんな言葉を使ったところで。
ぼくは。
臆病な一匹のニドランでしか、無いのだった。
- 49 :2/2@40号@副管理人 ★ :2005/03/21(Mon) 20:10:58
- 母さんが教えてくれた。
ニドランほどに雌雄の差がはっきりしているポケモンは今現在人間に発見されているポケモンの中でもかなり珍しいのだと。
それが何処からの情報なのかは知らないけど、しかしそれは真実のように見えた。
少し前までこの辺りに居たポッポやオニスズメは、少なくとも雄や雌で容姿が全く違ったり、ということは無かったから。
続けて母さんはこうも言っていた。
外見だけでなく特徴や中身も雄と雌で違うのだ、と。
例えば雌の体内に含まれる毒は雄のそれに比べてかなり強力だと。
例えば雄の聴力は耳の筋肉が雌に比べて発達しているおかげで雌を大きく上回っていると。
そこまで思い出して、ぼくはようやく理解した。
彼女が何が起こっているのか理解できていなかった事。
ぼくには聞こえていた「人間が来た」という言葉が、彼女には聞こえていなかったのだろう。
彼女は知らなかったのだろう。
「く……」
痛悔する。
彼女を置いて逃げた事を。
あれから暫くしてぼくは穴から出たけれど。
人間の姿も彼女の姿も、無かった。
それがどういう事なのかは充分に理解できたけれど。
それがどういう事なのか、ぼくは理解できなかった。
――誰か。
教えないで。
あれから幾日も経って。
ぼくは――想い続けていた彼女に再会した。
その体に傷は無く。
あの日出会ったときのままで。
無事のようだ。ぼくは安堵する。
「――この間は……ごめん」
ぼくは、彼女の目を見ることが出来ない。
「逃げたのは、人間が、来たから、だった、の?」
彼女を見ないままに、ぼくは頷いた。
「顔を、上げて、欲しい、の」
その言葉に、ぼくは彼女の顔へと視線をやる。
澄んだ、朱色の瞳。
ぼくは、一つだけ決意した。
「突然で、悪いんだけど――」
その瞳は、どこか哀しげで。
「――ぼくは、君のことが」
その瞳は、どこか淋しげで。
「好き……なんだ」
……反応は、無かった。
瞳が、更に寂しげに。
変化した、だけだった。
「……ごめん、ね」
彼女の手が、ぼくの手に触れる。
暖かい手。柔らかな手。
そんな感触を感じた瞬間の事。
黒い影が現れて、彼女を抱き上げた。
「行くぞ、チャプ」
その影は、そう言って。
彼女の頭を、その大きな手で撫でた。
彼女はとても――幸せそうだった。
「また、会いましょう」
彼女はそれだけ言うと、その人間の体に身を預けた。
絶望感。
ぼくは一体。
何なのだろう。
確かにあの人間の側にいた方が、彼女にとっては幸せだろう。
少なくともぼくと時を共に過ごすよりは。
快適――なのだろう。
そして結局、ぼくが得た物は何も無かった。
温もりを――貰えると、思ったのに。
なんという笑い種だろう。
ぼくは彼女の残り香の残る自らの手を、足元の柔らかな土に押し付けた。
<Fin>
- 50 :40号@副管理人 ★ :2005/03/21(Mon) 20:22:02
- 語り手がニドランという自分としては異色な作品。
まああれです叶わぬ恋には敵わぬ敵が不可欠という事で。
しかし珍しく資料を見たにしては推敲していないという中途半端な作品。
なんていうか20分で仕上げた所為かストーリーまで中途半端ですね。
でもそんな中途半端の入り組んで出来ているのが恋関係なのだと考えればまあこれは文章全体で恋心を表している良い文なのかもしれないなあ等と戯れに思考する次第であります。
兎に角そんなこんなで中途半端な短編【素敵なる恋心と敵わぬ大敵】でした。
本当は小説コンテストとやらの為に書いたのですがちょっと長いような気がするし短いような気もしたのでやめました。
長さまで中途半端な作品でしたとさ。めでたしめでたし。
109 KB
Colorful Board System Version1.01 by ミライいろ。