■ ポケモン小説投稿記念杯

1 :管理人 ★2005/03/22(Tue) 14:24:39
投稿スレッドです。

2 :Sign2005/03/30(Wed) 16:29:47 ID:wEVkaaT6
ごめんなさい。物凄く多いです。六話分もあります。許してorz

『あのまぼろし島へ』

(1)

 辛うじて夏の日差しが残る、陽気。
季節は秋に変わる頃なのに、一向に涼しくならない。時は九月末。

――何かが起こる。

 少女が、木の家の中から望遠鏡を覗く。
「ねえねえおばあちゃん!これって珍しい事なんだよね!
 こう云うときにはいつまぼろし島がでてきてもおかしくないんだよねっ!」
彼女はにこにこと笑顔を振り撒きつつ、舌ったらずの口で言う。同じく傍らのパウワウが鳴く。
それを窺いつつ、少女の祖母だと思われる初老の女性は、こういった。
「そうだねえ、まぼろし島には、何かがあるんだよ、カナイ」

 次の日、少女ことカナイは家を飛び出し、
あるところへ足を運んでいた。
「ニライくん、いますかあっ?」
 小柄な身体にワンピース。そしてサンダルという夏真っ盛りな風貌で、彼女はそこにいた。
 ニライ、というのはここキナギタウンに住むカナイにとって唯一人の友達だ。
因みに彼女より一つ上で、十二歳。
昔ここに住んでいた家族も、殆どが本土と呼ばれるホウエン地方へいってしまったのだった――。
「ニライね、居るわよ」
 出てきたのはまだ若さを感じさせる女性、ニライの母だった。

 暫くして暖簾をくぐって出てきたのはまさしくニライ。
「なんだよ……」
彼は少し青が混じった髪をかきわけ頭をポリポリと掻きながら面倒そうに言った。
 カナイは今日何かおかしいと思わない?と告げる。
「は?――……そういや少し涼しいな」
「でしょでしょ!今日みたいな日にはまぼろし島が現れるんだよ!」
「へえ、それで?」
「一緒にいこう!」
「――は?」
彼女はそういうと彼の腕を引いて走り出したのだった。

3 :Sign2005/03/30(Wed) 16:32:05 ID:wEVkaaT6
(2)

 水面には沢山の水ポケモンが群れを成して移動する場面が映えている。
「なあ、お前さあ、なんで見事にイカダまで作ってんだよ」
 二人は、砂浜にいた。ニライは全力で抵抗したが、怪我している右足のせいで
引き摺られてここまでやってきたのだった。
 カナイのパウワウが彼の周りで飛び跳ね、全く鬱陶しかった。
「だって、昔のご先祖様は子供の時まぼろし島が出る兆候がきたら皆で行ってきたって言うじゃない」
「だからってさあ、この町の子供も俺らしかいないんだぜ?そこまで衰退したこの町にまぼろし島なんてあっても関係ねえよ」
 カナイは黙々と下準備を終えると、帆を高く掲げた。
「いくよ!ニライ!」
 彼女は海に乗り出すと、ニライの手を掴んだ。
「ッッッ!てめえ俺が足怪我してんの知ってのか……っておい!」
ニライは見事にずっこけ、カナイに引き上げられた。

 二十分後。
「見つかんないな」
「そうだねっ」
「元気だな」
「そうだよっ」
「…………」
「どうしたのっ?」
「いや、言わないでおくよ」
 ニライはそう云えば食料が無い事に気付いた。
ある物といえば、ポケットに入っている菓子パンとチョコレートだけだ。
(何も考えてなかったしな……まあいい、直ぐ帰ってこれるだろ)
 ふう、と深く吐息をつくと、カナイが立ち上がった。パウワウもバランスをとり立つ。
イカダが揺れ、胡座をかいていたニライがこけた。
「カナイ!お前……!」
「あれかなっ?」

 今、二人の視界には台形状の山が見えていた。

4 :Sign2005/03/30(Wed) 16:35:18 ID:wEVkaaT6
3)

 太陽は綺麗に輝いているのに、まぼろし島は少し霧がかっていた。
 時折島内からガサゴソと音が聞こえている、それくらい近くへ二人は来ていた。
「ニライ、恐いよー」
「何言ってんだよ、勝手だな」
 それでもやはり女の子を前に歩かせることができるような器ではないので、
ニライはジュゴンのボ−ルを片手に進みだした。

 道は何故か綺麗に草が刈られている。
時々木の根の辺りに何かが打ち付けられたような跡があった。
薄暗い、というわけではないがそういうような恐怖をかきたてる要素がそこにはあった。
その時、突然――、

「ソーナノ!」

何か、声がした。慌ててニライは構えるが、
そこにいたのは見たこともないポケモン(?)だった。
 全身が青に包まれており、小さい体躯。ずっと笑っているようだ。
「なんだこいつ、気持ちわりいな」
「可愛いね」
「? さわんなって、毒か何か持ってるかも」
「あ、そっか…、じゃあ捕まえようよ」
「はあ……?、あー、もうッ。気ぃつけろよ」
 特に止める必要もないので、傍観していることにする。
何かあった時の為でもある。
 彼女は飛び跳ねている標的に狙いを定め、ボールを放った。
ころり、ころり、ぽうん。
「――お。パウワウ、友達が増えたよー!」
カナイは飛び跳ね、パウワウにそれをみせる。パウワウもきゅう、と鳴いたのだった。
…凄いあっさり捕まるなあ。
 ニライは鼻で笑ってしまった

5 :Sign2005/03/30(Wed) 16:38:47 ID:wEVkaaT6
(4)

「名前わかんないねー……、とりあえず耳が二つあるから『ミミ』ちゃんね」
「それ手だと思うぞ」
 取り留めのない会話を交えながら、ニライとカナイは歩く。
先ほどまでの霧がかった様子も今は微塵もなく、陽光のみがそこを照らしていた。
 だが、『何かに打ち付けられたような跡』は奥へ入っていくごとに多くなっていた。
「でさ、カナイ。この島には何があるんだよ」
ニライは目を忙しなく動かしながら、訊ねる。
 カナイは小首を傾げ、うん?と小声で呟き、
「わかんないねー。おばあちゃんも何かがあるとしか言ってなかったよ。
 でもなんかいい匂いがするから食べ物だったりしてねっ」
「訊かなきゃよかったかもな」

 途中、草原であるはずのそこが、草が吹き飛んだような箇所を見つけた。
「…………」
 流石にこう大きく面積を取られていると炎系か飛行系のポケモンでもでるのか焦ってしまう。
「戻ろうぜ」
「やだよ」
「戻んぞ」
「やだって!」
「…………」
 全く、聞き分けのない娘だ。気苦労が絶えねえよ。
彼は溜め息を吐き、奥の道へ歩いた。

「――お」
 突然、ニライが足を止める。
カナイが余所見しながらニライの背にぶつかった。
「いった〜い……――わお」
「静かにしろ、何かいる」
間違いなく、そこにはなにかがいた。

6 :Sign2005/03/30(Wed) 16:43:41 ID:wEVkaaT6
(5)

「――アブソルだ」
 アブソル。災いポケモンだ。頭部の鋭利な刃から釜井達を繰り出せる。
「へ?」
「お前に言うだけ馬鹿馬鹿しいっつの。恐らく木の実でも食べてるんだろうな。
 やっぱり戻っといたほうがよかったかもな」
「いやなこと言わないでよ……」
 その時、音が鳴った。――カナイが枝を折ってしまったのだ!
「アーヴー?」
 アブソルがこちらに視線を送る。
「見つかったな、くそッ!」
「アヴー!」

ザッ、と。

ニライがアブソルの前に飛び出た。
「災いポケモンなんかとやりあいたくないけど、ここは危険だからな。
 カナイ、隠れてろ」
「う、うんっ」
 彼は頭を掻き毟りながら、懐のハイパーボールを取り出す。
「いけっ、ウインディ!」
ニライの最高のパートナー、ウインディだ。
実は彼は一度ホウエンリーグでBEST8に選ばれた兵だった。十二歳にしては異例の、である。
「ウインディ、電光石火、そして炎の渦!」
 ウインディは言われた通りに相手を錯乱しつつ相手の懐へ滑り込み、大きな口から炎を放った。
アブソルの足元に炎が渦巻き、草原が焦げ鼻を突く。
「アヴー……ッ!」
 ニライは手を休めることなく命令を続けた。青い髪が風に靡く。
「ウインディ!最後に突進!」
「ガウー!」
ウインディは渦に囲まれ身動きが取れないアブソルにその身を思う存分ぶつけた。
 白い体躯は見事に木へ吹っ飛び、気を失う。
「よし、ウインディ、戻れ」
「わあ、凄……ニライ」
 カナイが木陰から頭を覗かせる。ニライはアブソルの元へ歩み寄り、頭をくしゃくしゃと撫でる。
「もうこんな所に迷い込んじゃ駄目だぞ。どうやって来たのかしらないけど、お前のせいで迷惑している
 ポケモンは沢山いるんだ」
ニライが鳴れた手付きで未使用のボールを取り出し、放ろうとしたとき――。

7 :Sign2005/03/30(Wed) 16:48:29 ID:wEVkaaT6
(6)

「ソーナノっ!」
 カナイのミミが、ボールから出てきた。
「どうしたのっ、ミミ。危ないよっ!」
 ミミはアブソルの前に立ち、ニライの手を止めさせる。
耳じゃなくて、やはりそれは手らしい。
「捕まえるな、っていいたいんだな?」
「ソーナノ、ソーナノ」
解かりやすッ。思わず笑えてしまった。
「――そうか。それにしても、疲れた。座る」
ニライは、座り込んでしまった。
「もう」

「大丈夫?ニライ」
「大丈夫じゃねえよ」
 災難だ。この野郎。もう死にたいよ、俺。自虐的に嘯いた。
「ねえねえ、これってチイラの実だよね。持って帰ろうよ」
「それ食ったらてめえの攻撃力があがるよ馬鹿」
「じゃあおうちに持って帰ってパウワウにあげよっと。ミミにもあげるよ」
ふふふー、とカナイが笑う。
「ナノ〜♪」
「勝手にしろよ……。てか
 もうこれ以上座ってたら眠りそうなんですけどー。帰るか?」
「そうだね」
「ガウー」
 全員の賛同を得て、ニライはよろよろと立ち上がる。
最後に、寝込んでこちらを力強く睨むアブソルにじゃあな、と告げた。


去っていく、去っていく。

夏から秋への、まぼろしの一日。

そして思い出。

まぼろしの思い出。

8 :Sign2005/03/30(Wed) 16:50:09 ID:wEVkaaT6
一日で書き上げたためあまり推敲されていないです。
浅墓です。ごめんなさい。○| ̄|_
それにしても疲れた。そろそろ眠ります。○|_| ̄クルッ

9 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 09:47:09 ID:SO0u9Lz.
えっと・・・ここ・・・で良いのでしょうか・・・?
恐れ多くも失礼しますね。

  * * *

暗闇の中で生きてきたと


愛なんか求めていなかったと


孤独のみを望んで生きてきたと


哀しみだけを手にとって 幸せは見えないフリをしてきたと


そう 信じていたんだ


本当は、こんなにも愛して欲しかったのに


  ***

 −ALICE−

第一話「過去」

  ***

私は雲母(きらら)。
もとは飼いポケモンだったのだけれど、今は違う。

私は非情な人間に、捨てられた。
もともと人間なんて愛してはいなかったけれど。
忠誠を誓い、命を賭けて戦ってきた分、やはり酷い仕打ちであったと思ったのだった。

飼い主は、少年であった。
少々乱暴な性格だったけれど、なにかと私と遊ぶのが好きだった。

いつからだっただろう。
ポケモンは私一匹だったあの家庭に、もう一匹、新しい家族がやって来た。
水の上を滑るポケモンで、たしか・・・彼は、少年は、
それのことを「アメタマ」と呼んだ。

私は、いつのまにか除け者になっていた。
構ってもらえなくなっていたし、ただ餌をもらうだけだった。

私の方がアメタマよりもレベルが高かったので、
バトルには頻繁にかりだされた。
少年はまだ幼く、無茶な戦いをした。
そして、私の身体はそんなメチャメチャな戦い方についていけず、
よく瀕死状態になった。
そんな私を、少年は弱い弱いと罵った。
“自分の実力の招いた結果だろう”
叫びたかった。
しかし、残念ながら私は人間の言葉はしゃべれなかったし、
少年もまだ幼いのだから仕方がないのだと、自分に言い聞かせた。

そのうち、餌さえも忘れられるようになった。
それどころか、家に上がることさえ許されず、
汚い、汚いと言われた。
私はその時・・・なぜだか、冬の冷たい川で必死になって身体を洗ったのを覚えている。

それでも、私はそれから二度と家に上がることは許されなかった。

10 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 10:04:19 ID:SO0u9Lz.
暗闇の中で


私は何を叫んでいたのだろう


開いた口から漏れ出すのは


孤独を叫ぶ声ばかり


周りをひたすら拒絶する


嗚咽にも似た悲鳴ばかり

 ***

 −ALICE−

第二話「出会い」

 ***

「おい」
突然の声に、私は不意に顔を上げた。
真っ黒なポケモンがそこに居た。
私に似た身体付きをしていて、それでも色は正反対だった。
私は、銀色の毛に薄紫が混ざったような白に近い色なのに、
そのポケモンは真っ黒だった。
耳や顔、手足、尻尾にある黄色いシルエットが、
黒い身体の中で唯一ひたすら自己主張を続けていた。

「おい、大丈夫か?聞いてんのか?」

登っていた塀から降りてきて、
私の顔を覗き込むようにそっと見る。

ここは空き地。
捨てられてからは、始めて来たなあとぼんやり思う。
今までは、少年の子と来たからだった。
身体の、朝露に濡れた部分が冷たい。

「・・・?」

あえて声を出すでもなく、私はクエスチョンマークを表そうと、
鼻をすんすんと鳴らした。

「・・・捨てられたのか?」

少し戸惑いながらの問いに、
私は少しも迷わずに、はっきりと頷いた。
自分でも不思議なほどに、傷は浅いようであった。

「・・・そうか。
お前、エーフィだろ?名前は?」

私が答えを言おうとした瞬間、彼が、それを制するように言った。

「あ、人に名前を聞くときは、まず自分から、か」

うんうんと、自分で納得するように何度か頷いてから続ける。

「俺は、ブラッキーの或兎(あると)。
まあ何とでも呼んでやってくれや〜」

「・・・私は、雲母」

「きらら?じゃあきららって呼ぶな」

始めはそのきりっとした目つきに恐怖心さえ覚えていたのだが、
彼は予想外にも朗らかな性格のようである。

やがて、彼は淋しそうに、そっと切り出すように、言った。

「俺も・・・捨てられたんだよ」

大体予想はついていたと、呟いて私は頷いた。

「・・・なんか面白いなあ、お前!」

何が面白いのか聞こうとしたが、どうでも良いか、と思い直した。
彼はいつの間にか淋しさを顔から消していた。
あのあと、彼は何を言おうとしたのだろうか。
『俺も・・・捨てられたんだよ・・・」

たしかに口が動こうとしていたのだけれど、私が遮ってしまったのだった。

「じゃあさ、俺と一緒に来る?」

唐突に彼が言った。
似たような奴らの溜まり場があるんだぜ、と嬉しそうに言う彼を見て、
何故か私もすごく嬉しくなってしまって。

頷いた私を促すように、彼は私の先に立って、軽やかに歩き出した。

11 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 10:35:10 ID:SO0u9Lz.
何を探していたのかと言うと


それは俺にも分からないけれど


彼女は何かを探していた


たぶんそれは


その答えは


俺と同じように 永遠に見つからないのだろうけど

 ***

 −ALICE−

第三話「哀しみ」

 ***

空き地で新しい捨てポケモンと出逢った。

あ、捨てポケモンって略して捨てポケじゃん!
・・・って、それじゃ2文字しか略せてないか!意味ね〜

そう言ってひとり淋しく反応を待つと、彼女はくすくすと、
本当に可笑しそうに笑った。

どんなに寒いことを言っても、
そうやって嗤う彼女の表情が心地よかった。

彼女は自分が捨てられた経緯を俺に語った。

彼女は、はじめ会ったときから、ずっとどこか他人を寄せ付けないような
雰囲気を纏っていた。
俺さえも拒絶しているようだったけれど、
昔の俺もそうだったので、きっと大丈夫だと思った。

彼女と俺の共通点は無かった。
黒い身体、白い身体。
♀と、♂。
エーフィと、ブラッキー。

あえて挙げるとすれば、それは、少年に飼われていたと言うことだった。
俺も乱暴な時期の少年と共に暮らし、そして・・・捨てられたと言うこと。
そんなところにしか共通点を見出せない自分が悲しく、
そして哀れだった。


俺は、彼女を溜まり場に導いている最中だった。

「どこまで行くの?」

不意に、彼女が俺に問うた。
ずっと歩き続けていたからだった。

「もうすぐつくさ。
ほら、ここだよ」

タイミングよく、目的の場所が見えてきた。
そこは、俺たちと同じように捨てられた者達が集う場所。
人間達の言葉で言えば、そう、“レストランの厨房の裏のゴミ捨て場”
ってところだろうか。
そこには人気(ひとけ)がなく、いや、ポケモン気かな。
とりあえず、人っ子ひとり・・・いや、ポケっ子一匹見つからなかった。
まあ、いつもの事だけど。

「おーいみんなー!」

俺は大声で呼びかける。
何をしてるの、と不思議そうな顔できららがこっちを見た。

「・・・あ?」

野太い声。

「グラさん、俺だ!」

もう一度強く言うと、ゴミ箱やゴミ袋がゴゴゴ、と動き、
中からグランブルが現れる。

「グアアァァ・・・」

彼が低く腰に響く声で雄叫びをあげたので、
横できららが小さく飛び上がった。
襲われるとでも思ったのだろう。
やがて、グランブルが再び声を出す。

 * * *
行が多すぎるらしいので、一度切ります。

12 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 10:36:49 ID:SO0u9Lz.
***続き。

「グラさんって呼ぶなって言ってんだろォがァ・・・
サングラスみたいだろォ!
てめー俺ぁタモさんじゃねェっての!」

きららが少し安心したように座り直した。

そして、それを合図にするように、たくさんの捨てポケが飛び出す。
・・・ああ、俺はやっぱし捨てポケって呼ぶわ。

「新入りか!?アルト!」
「仲良くしようぜ〜」
「ヨロシクなァ!」

どこからかそんな声が聞こえて、
・・・彼女は幸せそうに微笑んだ。

拒絶のオーラが消えたかと思ったが、
俺に確かめる術べは無かった。

「グ・・・グラさん・・・おも・・・ッ」

なんか、俺の腹から声が・・・でるんですが。

「久しぶりだなァ、オイ!
ちゃっかりスケなんか連れちまって!」
「ムリ・・・ギブ・・・」

13 :Sign2005/03/31(Thu) 16:59:59 ID:wS9Zkj1k
>>1-8
言い訳。さ、Signが仮ハンドルですよーん。
畜生もうそれしかないんだよごめんデュルーorz

14 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 22:09:07 ID:SO0u9Lz.
怖かった


幸せになることが 何よりも


幸せがいつか消えてしまうことが


だから常に哀しみの淵にいて


絶望に浸っていることを選んでいたんだ


 ***

 −ALICE−

第四話「幸せ」

 ***

「幸せに育てられていた人が、ある日突然にそれを全て奪われるのと、
生まれたときから幸せを知らずに生きていくのと・・・どっちが不幸なんだろう」

不意に、私はアルトに問うた。

私とアルトが出会ってから、3ヶ月が経過したある日のことだった。
今ではすっかり、(アルト曰く)“溜まり場”の人達にも慣れて、
すっかり仲間入りを果たした。

「え?どうしたんだよ、いきなり・・・」

少し間をおいて、彼はそう答えた。
あとは、ただただ空虚に笑うだけ。


そんなとき。

「きゅうぅー」

突然、背後で声がした。

「・・・え?」

私とアルトがほぼ同時に言って、振り返る。

そこには、小さなアメタマがいた。
見間違える訳は無い。
額あたりにある、小さな藍色のアザ。
そう、私の後にあの少年の家に飼われ始めたあのアメタマだった。

「きゅうう」

また、小さく鳴き声をあげる。
私は自分でも訳が分からないまま、そっとアメタマに歩み寄る。
そして、弱く呟くように、言い聞かせるように言った。

「あなた、あの家にいたアメタマでしょう?」

そうなのか!?そう言いたそうな顔で、
アルトがこっちを向いた。

「・・・そうだよ」

始めて、声を聞いた。
鳴き声ではなく、成立した文章。
細いソプラノの声。

「・・・捨てられ、たの?」

再び問う。

「・・・・・・そうだよ」

同じように答えた。
アルトは、だまって見守っている。

私には分かっていた。
アルトは、私の時と同じようにこの子を仲間に迎え入れるだろう。
私は・・・ずっとこの子の側に居なければならないのだろうと。

私には、憎むべき存在だった。

15 :ジーブ2005/03/31(Thu) 22:17:01 ID:.oblE6BQ
仮HNです。僕はヂーブですよ(あっそ
一応記念杯投稿させて頂きます。というか、ちょっとポケモンから脱線してるかも(駄目じゃん
まあ、駄目元で投稿します(汗


〜狭間〜


「…リク!!」

 その声が僕の耳の届いた時…僕は初めて気が付いた。運命の瞬間が訪れるということに…

…ガシャァァン…


 目を開いた。不思議と、痛みは感じなかった。
交通事故。僕はトラックにぶつかった。あくまで先程までの記憶なのだが、大きな黒い物体が、自分を遠くまで突き飛ばした。
死んだかと思った…いや…もう既に死んでいるのかもしれない。
 空は、蒼かった。雲一つない。あるのは、この地球――ここがそうであるかは不明だが――を照らしている、太陽だけ。
暖かい。寧ろ、暑い。もうそろそろ夏だった。初夏、だった…だが、今の僕に、そんなこと関係あるのだろうか?
 手に伝わる感触。道路のアスファルトではない。草、そして花…
首筋を、柔らかい草花が刺激する。たまらなく、くすぐったい。僕は思わず跳ね起きた。周りは…一面の野原…
 僕は驚いた…が、その感情以上に…とても嬉しかった。
何故なら、僕はもう都会の暮らしにうんざりしていた。一度でいいから、こんな場所、野原に来てみたかった。
それが今、実現した。だが、何故?…やはり、僕は…

「…パムッ?」
 ん?何か聞えた。パムッ?…何だ?
 僕は周りを見渡した。しかし、誰もいない。そんな鳴き声を出せる動物すら、いない――いるのは、飛び回る蝶だけ――
「パムッ!」
 僕は驚いた。いや、寧ろ恐怖だろうか。そんな感情を覚えた。
頭に…僕の頭に突然…何かが乗りかかってきた。生物、だろうか…鳴き声を出している時点でそうだろうが…
だが…僕は恐怖で、そのまま動きを止めた…何か、危害を加えられるのではないかと思って…
 だがその考えは、単なる取り越し苦労にしか過ぎなかった。

…ドサッ…
 痛っ。生物に蹴られた。というより、その生物に僕の頭はジャンプ台として利用された。
正直、痛みなあまり感じなかった。いや…目の前に現れた生物に見とれ、それどころではなかったのかもしれない…
 頭の上から降りてきた、その生物…新種、だろうか…いや、こんな“猿”見たことない…“紫色”の猿なんて…
 手から、足から、尻尾から…とにかく全身を使って忙しなく動き続ける、その猿――と思われる生物――。
全身の色は、先程述べたように、紫色。しかし、一番の特徴は…身体と同じくらい長い尻尾。
耳は大きい。目も大きく、丸い。一般的に言う“猿”と同じくらいの大きさ。だが全く違う、この生物…
「パム、パムッ!」
 そういえば…先程からパムッとしか鳴かない。特殊な鳴き声…パムッ?…
不思議と、恐怖感は消えていた。それと引き換えに、好奇心が湧いてきた。
「きっ…君の、名前は?」
 我ながら、恥ずかしい。動物が、人間の言葉を理解するはずないのだが…しかし…
「エイ…パム!」
「エイ…パム?」
 そこで生物…いや、エイパムは頷いた。そしてにっこりと、頬を寄せて笑った。
 …実に不思議だ。人間の言葉を理解している、この生物は。
エイパム…聞き慣れない名前だ。やはり新種だろうか?僕はそんなことを考えながら、ゆっくりと腰を持ち上げた。
 立ち上がってみると、エイパムは僕の腰くらいしか身長がなかった。それでも…
「パム!」
 なんとエイパムは、尻尾を地面につけ、自らの身体を宙に浮かせた…凄い。
それにより、エイパムの顔は、僕の肩くらいまでに近づいた。エイパムはそこで、また笑った。
面白い奴だな…僕は、エイパムを両手で抱きかかえた。
 正直、重かったけど、それほどでもなかった。柔らかいエイパムの体毛。ぶらぶらと、エイパムは尻尾を揺らす。
可愛い奴。頭を撫でてやった。嬉しそう。とても、嬉しそう…

「…うっ…」
 不意に全身を貫くような痛みに襲われた。僕はそのまま、野原に倒れ込んだ…
「…パムッ?」


 苦しい…いや、痛い…寧ろ、それどころではない。痛いの領域ではないかもしれない…
口には、酸素マスク。手には…冷たい感触。おそらく金属の管が、僕の血管を貫いている。
そしてなにより…ここは野原ではなくなっている…
 倒れた。そして、目を閉じた。だが目を開けると…ここにいた。
周りには、忙しなく右往左往する…白い服を着た女性数人と、一人の男性。
そしてここは…暗い――本来は――。だが今は、天井から降り注ぐ、人口の光。おそらくここは…病院。
「…あっ!先生。リク君が目を!」
 一人の女性が、僕の顔を覗き込んだと思ったら、急に大声を出した。そして、一人いた男が物凄い勢いで僕の方へ向かってきた。
「…起きた、か…リク君、大丈夫かい?」
 リク…僕の名前…そういえば…僕は…交通事故に遭ったんだ…
そして僕は、再び目を閉じた…
「…また目を閉じた、か…やはり、駄目かもな……」


 エイパムの顔が、おかしい。んっ?…僕は倒れているのか…
再び、野原に来た。やっぱり…これは……夢……

↓に続きます…

16 :ジーブ2005/03/31(Thu) 22:21:05 ID:.oblE6BQ
 あまり受け入れたくはない…が、仕方がない。本来ならばこんなこと、有り得るはずがないのだから…
僕は今、夢の中にいる。そしてエイパムも、単なる幻想。
 そして現実では…交通事故に遭った。そして今、病院にいる。
最後に聞いた、医師の言葉…駄目…命が尽きる、という意味だろう……

「……っ」
 目から、雫が零れた。流す気じゃなかったのに…でも自然と、涙が零れる…
こんな…こんな終り方、ありか?…夢の中で、人生の終焉を見送るなんて…そんな…
 止めど無く流れ落ちる…雫が、涙が…悲し過ぎる…怖過ぎる…
「……パ、ムッ?」
 不意に、エイパムの悲しそうな声が聞えた…僕の頭に、手が置かれた。無論、僕のものではない…エイパムの、柔らかい手…
それで、僕の頭を撫でてくれた。優しく、優しく…
 僕は、潤む目を開けた。エイパムが、悲しそうな目を此方に向けている。そして手は、頭を撫でている…
何で…僕に構ってくれるの?…何で、僕の為に悲しんでくれるの?…ねぇ、エイパム…
 このまま、死んだ方がマシかもしれない…でも…生きなければいけない、気がする…

 僕は、手の甲で涙を拭った。そして、作り笑いを、エイパムに見せてやった。
頬を吊り上げ、誰が見ても、おそらく作り笑いだって分かるだろう…
でも、エイパムは笑ってくれた。そして…勢いよく僕の頭に乗っかって来てくれた。
嬉しい。もう、数時間もないかもしれない…でも、僕はエイパムと、残りの人生を…


…ドゴォォン…

 えっ?何?…不意に聞えた、何かが爆発するような音…エイパムが、僕の頭の上で飛び上がった。
僕も思わず跳ね起きた。エイパムは上手く、僕の頭の上に乗り続けている。
しかし、今の爆音は…僕は辺りを見回したが、あるのは…生き生きと咲き続ける花と、太陽の光を浴び続ける草だけ…
「パムッ!」
 エイパムが突然大声を上げた。僕は驚いた。エイパムが頻りに僕の頭を尻尾で突つく。
僕は振りかえった…煙が、上がっていた。
遠く…遠くまで続く野原だが、その果て…灰色の煙が、蒼かった空を、その上空だけ黒く、闇に染めていた。
火…何者かが火を放ったのだ。この、雄大な野原に…

「エイパム……行くぞ」
 何故、こんな言葉が僕の口から放たれたのかは、分からない。何時の間にか、という感じだ。
膝に手を当て、僕は立ち上がった。勝手に身体が動いた。信じられない…
そして、エイパムを頭に乗せたまま、僕は走り出した。目指すは…出火現場…

↓に続く…

17 :ジーブ2005/03/31(Thu) 22:27:26 ID:.oblE6BQ
「ハァッ…ハァッ…」
 流石に頭にエイパムを乗せたまま走るのは、辛い。でも、今そんなことに構ってはいられない。
この世界を…僕の夢を破壊する、悪夢を…排除せねば…
 出火現場、周りの草花の火が燃え広がり、徐々に火は大きくなっていく。空が、黒くなっていく…
酷い。何が起きたんだ?…誰が、放火なんかしたんだ?…

「…ガルルッ…」
 全身に鳥肌が立った。その鳴き声を聞いただけで…何者かが、僕に威嚇しているのだろうか…
無論、僕も、エイパムもそんな声を放ってはいない。背後から、その声は…
僕は、恐る恐る振りかえって…いや、振りかえろうとした…
「パムッ!…」
 エイパムが飛び出した。それは、頭を蹴り上げたことと、その声で分かった。怒りに満ちた、今までに聞いたことがない、エイパムの声で…
「エイパムッ!」
 僕はそれに気付いた瞬間、振りかえった。エイパムが…黒い生物に立ち向かっていっていた…
速い。今まで気付かなかったのだが、エイパムは物凄い勢いで放火犯――人間以外であるが――に立ち向かっていた。
その軽い身のこなし。一般的に言う猿ともまた違う。これは…戦闘に長けているのかもしれない…
だが…
「…ガルッ」
 あの生物が、嘲笑したように見えたのは幻想だったかもしれない。だが…それだけの余裕はあったであろう…

…ボンッ…
「エイパムッ!避け…」
 遅かった…

…ドガァンッ…
 奴――黒い放火犯――の口から放った炎が、エイパムを直撃した。そんなに火の玉は大きくなかったが、エイパムは数メートル飛ばされた。
僕は目を丸くしながら、エイパムの元へ走っていった…エイパム?…大丈夫か?…
「…パッ…」
 大きな傷や火傷は負っていなかったようだが、ぐったりとエイパムは倒れていた。
僕はエイパムを抱きかかえた…正直、そうすることしかできなかった…
「…ガルルッ…」
 と、その時…僕の心の奥に、何かが芽生えた。言いしれぬ、感情…物凄い勢いで、その感情に僕の心は支配されていく…
「…おいっ!!ヘルガー!!貴さ…」
 怒り、怒り、驚き?…えっ!?僕、今何て…
奴…いや、ヘルガーは、突然名前を呼ばれ一瞬退いた。そしてその表情は、更に僕とエイパムを威嚇していた。
 ヘルガー…何故、僕はこいつの名を…怒りが現れ、だが再び驚きに掻き消され…数秒間僕は、ヘルガーを見つめながら佇んでいた。
 でも…こいつも見たことない生物だ…
全身黒で被われているが、それほどまで黒いとは言い難い。というのも、背中、そして頭の角…白い骨で一部構成されているからだ。
尻尾の先は三角で尖がっており、そしてなにより、頭の角が恐ろしい。これほどまで…恐ろしい生物が存在するのか?…
 …そんなこと、考えてる余裕などなかったことを、後になって後悔した…
 ヘルガーは、威圧するような表情のまま、僕達に立ち向かってきた。右、そして左…
素早いステップ。…エイパムより少々劣るものの、そのスピードは速かった。
 向かってくる…そして、突撃体制に入る…もう、駄目だ……

「パムゥッ!」
…ズガァン…
 エイパムが僕の両腕から離れたことが分かったのは、数秒後のことだった。
エイパム?…僕は目を開けた。目の前に倒れ込むエイパム。そして、その数メートル先に、よろけながら佇むヘルガー。
エイパムが…ヘルガーに突撃していった…もしや…僕を救う為?…
「エイパムッ!!」
 再び走った。ヘルガーは僕を恐れた――のだろうか――ように数十センチ退いた。
「パ…ム…」
 尻尾を左右に振りながら、元気さをアピールしているのだろうか。しかし僕は、エイパムの心中を痛いほど理解していた。
僕の為に…エイパム…
 力が抜けた。僕はそのまま、地面に両膝を付いた。目頭を濡らしながら…
「…パッ…」
 優しく、エイパムは尻尾の先で僕の目頭を拭いてくれた。その目は…どこか闘志に満ち溢れていた。
やるか?エイパム?
…うん…そんな声が聞えた気がした。

 エイパムは勢いよく起き上がった。それに釣られるように、僕は両膝を地面から突き放した。
そして…その眼光をヘルガーに向けた…戦うしかない…この野原を破壊し…エイパムを傷つけたこと…許すわけには、いかない。
 ヘルガーも、こちらに睨み返した。正直、怖かった。でも…僕にはエイパムがいる…怖いことなど、ない。

「ガルッ!」
 先に仕掛けたのはヘルガー。黒い身体を軽快に揺らし、こちらに向かってくる。右足を蹴り上げるだけで、数メートル進む。敵ながら天晴れ。
「エイパム、高速移動!」
 何故僕が、こんな指示を出したのか…そんなことに一々構っていられない。だが、僕は別のことに驚いた。
一瞬にして、エイパムの姿が目の前から消えたのだった。これが、高速移動。それにしても、速過ぎる。
「…?」
 ヘルガーは急に立ち止まり、見えなくなったエイパムを探していた。右を見、左を見…だが、見つからない。
僕も、見つけることができない。速い…

「……うっ…」
 痛い……なんで、こんな時に……しかし僕は、その痛みに抵抗することができなかった。
力が…入らない……意識が……遠退いて……いく……

↓に続く…

18 :ジーブ2005/03/31(Thu) 22:32:04 ID:.oblE6BQ
…ピッ…ピッ…ピッ…
 何の音だろう…幾何学的な、機械音。再び、現実の世界…
「……」
 目を開けた。目の前にはやはり、先程と同じで眩し過ぎるライトが光っていた。
そういえば…先程より妙に静かだ。忙しなく走る看護婦もいなければ、喋る声も聞えない。
ただ…誰かの鳴き声、であろうか、それが聞える。
「…お父さん、お母さん…リク君の意識が…」
「…えっ……」
「リク!!」
 大声と同時に、見たことある顔が視界に飛び込んできた…母だ。
目は充血していて、両方の瞳から赤い筋が顎まで伸びていた…泣いているのだ。
そして、視界の隅には…父がいた。目頭が潤んでいた。父のこんな表情、見たことない…
「リク…お母さんねぇ…貴方とずっとずっと一緒に居たかった…でも…」
「…おい、これ以上言うな!」
 父が母を怒鳴りつけた。母は、思わず口を閉じたという感じだった。
 僕には充分過ぎるほど、父と母が言おうとしたことは分かっている。だが…やはり悲しい…
声で出ない…最早、死を待つばかり…
再び、目を閉じようとした…が…
 母の手…だろうか。僕の手を握り締めた。両手で、僕の右手をぎゅっと…
手の甲に、冷たい雫が零れた。母の涙であろう…震える、母の手…
「あぁぁぁぁん……あぁっ……」
 母の呻き声。どんなに悲しいときも、泣かなかった母…だが、今回ばかりはそうもいかないようだ…
僕も、泣きたい。けれど…泣けない…これが、人間が死ぬということなのだろうか…
 何もできず、抵抗もできず…迎えを待つだけ…これが、これが…
僕は目を閉じた…ゆっくり、と…
「…あと、数十分です…」


 目を開けた。僕の傍らには…倒れ込んでいるエイパム…
ヘルガーは、再び嘲笑していた。僕が目を開けたことに、気付いてはないようだ。
ゆっくりと、倒れ込むエイパムに近寄るヘルガー。エイパムは…まだ息がある…
すなまい、エイパム…僕が、こんな状況でなかったら…だけど…
もう少しだけ、戦ってくれ…奴を、ヘルガーを…きっと一撃で倒せる技が、一つある…
「…ガウッ!!」
 大きく息を吸い込むヘルガー。おそらく炎を放つ。ならば…隙がある!
「…エイパム!立て!立ってくれ!そのまま高速移動だ!」
 僕は起きあがり、エイパムに指示した。ヘルガーも、急に起き上がった僕を怪訝そうな目で睨んでいた。
…立たない…エイパム……
「立て!立ってくれ!頼む、エイパム!!」
「…ガウゥゥッ!!」
 無駄だ、とヘルガーは言ったのだろうか…遠吠えと同時に、紅蓮の炎が、ヘルガーから放たれた…
「エイパムッ!!」

…スゥッ…

 炎がエイパムに直撃した…んっ?…

「…パムパムッ!」
 僕の頭に感じられた、ずっしりとした感触。その瞬間聞えた、嬉しい鳴き声。
ヘルガーは驚き、僕の頭を凝視している。その表情からは、威嚇というものが消えていた。
「…ありがとう、エイパム…高速移動!!」
 一瞬にして消えたずっしり感。その速さ。ヘルガーは為す術がない。

「エイパム、瓦割!!」
 僕の指示は、確実にエイパムに届いたようだ。ヘルガーの背後。飛び上がるように現れたエイパム。
その尻尾の先端をヘルガーの背中に向け、思いきりヘルガーに叩きつけた。

…ズドォォォン…

 勝負は、ついた。地面にのめり込むようにして倒れたヘルガー。その上に、ちょこんと乗っかったエイパム。
ふらつきながらも、その表情には満面の笑みがあった。
「勝った!」
「パムゥッ!」

↓に続く…

19 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 22:34:46 ID:SO0u9Lz.
何かが 崩れ始めて いた


何かが 歪み始めて いた


何かが ズレ始めて いた


何かが 壊れ始めて いた


確実に 何かが


薄れて 暈やけて 割れて 壊れて 壊れて 壊れて


ゆっくりと 幸せを道連れに

 ***

 −ALICE−

第五話「憎しみ」

 ***

自分の中の気持ちには気付いていた。
ナユと名乗ったアメタマを憎んでいることも。
ナユと名乗ったアメタマを捨てた少年を憎んでいることも。
アルトを、愛している、ことも。

自分の中の気持ちには気付いていた。
気付かないふりをして、逃げていた。

私はナユに優しく接した。
ナユはまだ幼く、小さな少女だった。
でもそれは全て、アルトの気を引くためだった。

アルトはナユに優しく接した。
私の時と、同じように。
人はその感情を、嫉妬と呼んだ。

ある日、いつものように散歩をしていた。
ナユをつれて。
いつも通る道を通っていたら、ナユが突然に飛び出した。
モンシロ蝶を追いかけて、車道に飛び出したのだった。


突然の出来事に身体が反応しない私の目の前で。
車のヘッドライトが、彼のシルエットを映し出した。
私の頭の中には、ぽつんと一つの疑問が浮かぶ。
私の脳は、それを“アルト”だと判断した。

・・・え?

一瞬、喉が「くっ」と音を立てて、息を静止させた。


* * *
一度切ります。
長すぎるようです;すみません。

20 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 22:35:11 ID:SO0u9Lz.
続きです。

 * * *

事は全て突然に。
突然に動き出す。
今までの形を無視して。
愚者の気持ちを無視して。
何もかもが突然に。
動き出し、壊れ出し、崩れ出し。
そして、また新しい形を作り始めるのだ。
人はそれを運命と呼んだ。

そう、事は突然に。

アルトは運命の歪みに巻き込まれた。
小さな、それでも明るく輝くその命は、
運命にいともあっけなく 握りつぶされた。

人はそれを、事故と呼んだ。

「消えないで、消えないで、消えないで、死なないで」

まるで

「死なないで、死なないで、死なないで、逝かないで」

まるで呪文

「逝かないで、逝かないで、逝かないで、置いて逝かないで」

まるで呪文のように

「置いて逝かないで、私を置いて逝かないで」

まるで呪文のように言う。

 ワタシ ヲ オイテ イカナイデ

 シナナイ デ

涙が一筋、頬を伝わって落ちた。

車は何事も無かったかのように走り去る。
ガラスの向こうに見覚えのある顔を認めた。

私を捨てた少年。
ナユを捨てた少年。
アルトを轢いたことにさえ好奇心以外を抱かない少年。
アルトを捨てた少年。

ふと、一つの記憶が思い浮かんだ。

21 :ジーブ2005/03/31(Thu) 22:36:47 ID:.oblE6BQ
…ピッ…ピッ…ピッ…
 不意に頭に響いた、幾何学的な機械音。目の前の光景は、一切変わっていないのに、何故…
「パムッ?」
 首を傾げながら、僕を見つめるエイパム。
もう、時間はない…

 走った。必死で、エイパムに向かって…
僕は悟った。命が尽きる時が、人生の終焉が…あと数分で訪れるということを…
もう、夢と現実が繋がりつつある…その前に…エイパムにお別れを…
「パムッ!」
 と…エイパムが僕へ抱きかかって来た。僕は驚きながらも、両手でしっかりとエイパムを受け止めた。
「エイパム…短かったけど、ありがとう…僕、もう時間がないんだ、ごめん…」
「パムパムッ!」
 首を振るエイパム。行かないで、と言いたそうな顔。そして、悲しそうな顔…
「…本当に、ごめん…でも、またきっと来るよ!うん…“約束”だ」
「パ、ム、パ、ム?」
 約束、とエイパムの中で言ったのであろう。悲しそうな目が、少し、和らいだようにも見えた。

…ピッ…ピッ…ピッ…

 少し霞む、エイパムの顔。もう、始っている…時間が…
「…絶対、来る。だって…夢はどこでも見られるのも!」
「…パムッ!」
 弾むエイパムの声。僕も必死で、泣かぬよう努めた。しかし…
限界だ…瞳から雫が零れ、エイパムの額に当った。だが、霞んでよく見えない…
「ごめん…ちょっとだけ、離れるだけだから…ちょっとだけ……」
「パムパムパムッ!!」
 首を振る…原型しか見えない。エイパムの表情が……見えない…


……ピッ……ピッ……ピッ……ピィィィィィ………


 力が抜けていく。目の前が真っ白になっていく。意識が、遠退いていく……


 人は生まれ、生きて、死んでいく……いや、全ての生物に共通する。
形あるものいつかは壊れる……こうなると、もう全て、この世にあるもの全てに言える。
当然、ポケモンも、だ……ポケモン?……


 軽い小鳥の囀り。いや、ポッポ達の鳴き声だろう。
はっきりしない意識の中、僕は目を開けた。
 ここは……あの世?…にしては、何か…
自分の部屋…ここは、僕の部屋だ…何?……


「…パムッ!」

 声が聞えた。聞き覚えのある声…エイパム……
エイパムは僕の頭に乗っかり、いつものように尻尾で頭を掻いていた。
このずっしり感……夢、じゃないはず…


 そう、全て、夢。交通事故も、ヘルガーとの一戦も、全てが、夢。
だから…僕は夢の中で、ヘルガーを知っていて、エイパムの技を的確に思い出せたのだ。
単純過ぎた。でも、怖過ぎた。でも……


 僕の一日が始まる。また、エイパムと……


 今日は、何をしようかな……


 完


こんな駄作、出して頂けるのであれば出して下さいorz

22 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 22:57:32 ID:SO0u9Lz.
私の心は何を求めていた?


私は心の底で何を探していた?


ずっと ずっと


大切なものを失って始めて 何に気付いた?


本当は知っていたんだ


知っていたんだ 全て


 ***

 −ALICE−

第六話「別れ」

 ***

黒いブラッキーがいた。
私と同じような格好をしていたけれど、
私とは正反対の色。
漆黒をその身にまとっていた。

私が少年に飼われ始めた頃から、ブラッキーは何かと家族からはみ出していた。
自分は幸せだったから気付かなかったけれど。

そのうち、ブラッキーはその姿を消した。
今思えば、そのころから彼は家に入ることを禁止されていたのだろう。

そして、そのうち彼の匂いも、消えた。

私が追い出した。
私の存在が彼を追い出した。

      *

「なんで?私を憎まなかったの?」

涙を流しながら彼に問う。
彼は私の正体を知りながら、私を助けてくれたのだ。

彼はもう虫の息で、生きているかさえ判らなかったけれど。
それでも私は話し続けた。
ナユは・・・そばにいるようだったけれど、私の意識はそこからは完全に離れていた。

「ごめんね・・・気づけなくて、ごめんね・・・」

私は呟き続けた。

「ずっと・・・ずっと・・・好きだったわ」


私はずっと叫んでいたのだ。
愛して欲しいと。
孤独の側にいるふりをして、望んでいたのだ。
愛して欲しいと。
あの少年にさえ、私は愛を求めていたのだ。
気付いて。
私はここにいるから。
私を見て、愛して下さい。

もしも生き物に、他者を愛する力が10あるのだとしたら。
私はそれの100分の1でいい。
それだけを私に向けてくれれば、それでいいから。

私に居場所を下さい。
あなたの心の中に、私という記憶を住まわせて下さい。

私はほんの小さな寂しがり屋のポケモンの一匹に過ぎなかったのだ。
孤独を恐れて、愛を求めて。
自分だけが不幸なのだと、逃げていた。
君はずっと側にいてくれたのに。
ずっと私を見守っていてくれたのに。

23 :ちょむ2005/03/31(Thu) 23:03:35 ID:SMoBQ8WU
みんな仮ハンドルとか言っときながら、誰だがちゃんと公表してんじゃんorz
これこそまさしく本末転倒だねッことちょむですこんばんわ。
他の皆様方の小説には絶対勝てる気がしないのですが投稿します。どぞ。

24 :ちょむ2005/03/31(Thu) 23:04:00 ID:SMoBQ8WU
ーアメノチハレー

ここ1週間、ずっと雨が続いていた。ずっと1人で雨宿りしている。
他の友人もいつもの場所で雨宿りしていだろう。
僕は逃げ遅れたのだ。雨雲が近付いていることを忘れて遊んでいたから。
あの時はすぐに止むと思っていた。しかし現実は厳しい。
ここからいつもの場所に行きたいけど、こんな雨の中を走ったら、
尻尾の炎が消えて命も無くなる危険性もある。
やはり、どうすることもできないのだろうか。

いつも友人から言われていた。「お前は鈍感だなあ」って。
普段はただ周りから少しずれているだけだと思っていた。
別にどうってことないとも思っていた。
でも、今になってみるとそれは深刻なことだったのかも知れない。
ずれていたんじゃない。遅れているのだ。
だからここにいるのかも知れない。そうだろう。そうに決まっている。
多分、みんな僕のことなんて知らずに成長していくんだろう。
大袈裟だろうか。1週間雨が続いているくらいでそんなこと考えるなんて。
ずっと1人だけという孤独感からこれが来るんだろうか。
よく分からない。けど、これだけは分かる。
僕は怖い。僕は孤独が怖い。

雨は一層激しくなった。人間の成れの果ての天井はガタガタと怯え始めた。
はたしてこの天井は持つのだろうか。
また一つ僕の不安は増えていく。だんだんとこの雨が永遠に止まないとも
思い始めていた。こんな時はいつも父さんの翼に守ってもらっていた。
あの時は別にどうってことないと思っていた。
けど、今の翼は怯えている。それが僕にも伝わってくる。
分かったような気がする。今まで父さんの翼のおかげで雨なんて
どうってことないと思っていたんだ。父さんに感謝しなくちゃ。
「ガサッ」
奇妙な音がした。すかさず音の出た方向を見る。
ガサガサガサ、草むらが動いている。こちらに近付いてくる。
僕はすぐさま身体を伏せる。草むらの中から何か飛び出してきた。

25 :ちょむ2005/03/31(Thu) 23:04:23 ID:SMoBQ8WU
「ガウッ」
僕は恐る恐る顔を上げた。動く草むらの正体はガーディだった。
僕はほっとした。ここで凶悪な水ポケモンにあったりでもしたら、
それ以上に恐ろしいものなど無いからだ。
ガーディはハアハアと、どうも疲れているようだった。それに少し雨にやられている。
僕はガーディに近付いた。ガーディは僕を威嚇した。しかし、身体が震えている。
「ガッ」
僕は尻尾の炎をガーディに向けた。すると彼は少し戸惑ったが、
状況を理解すると、僕に向かって微笑んできた。
どうやら、僕にも雨宿り仲間ができたようだ。

僕にはガーディの言葉が分からない。他種族なのだから仕方ないと言えば仕方ない。
けど、それがもどかしい。どうもガーディが僕に向かって目で語りかけているように思えたのだ。
彼はこの雨宿りで唯一の友人(あちらはどう思っているか分からないが)だ。
できることなら話したい。どうしてここに来たのかが知りたい。だが、それができない。想像するしかない。
僕らの集落の近くにガーディ達の集落があることは知っていた。
ガーディも僕と同じで水に弱い。1人で雨宿りしていたらその場所が壊れて、ここに逃げてきたのだろうか。
よくわからない。けど僕と同じ境遇だということだけは分かる。
だんだんと雨の音に慣れてきた。

僕はずっと雨を見ていたせいで、ガーディが寝ていることに気づかなかった。
いや、雨を見ていたというより、彼について考えていた。
結果、余計な詮索はやめようということ結論づいたが。
そういえば、彼がここに来て以降、変な不安は消えていた。
彼が救世主でもなく、むしろこちらに助けを求めてきたのに。
どうしてかは分からない。けど、これだけは言えた。雨なんてどうってことない。
いつもの自信が戻ってきた。何故かは分からないけど。
もしかしたら、彼のおかげかもしれない。変なものだ。
彼は助けを求めにきたのに、むしろその相手を助けるとは。
旅は道連れ、世は情け。別に旅をしている訳でもないが、今、この言葉がピッタリはまるような気がする。
1人では何もできない。何もすることがなくても1人では生きていけない。
常に僕らは繋がっている。生きるという綱を互いにひっぱりあっている。
そして、それが続く限り、僕達は生き続ける。

どうも雨は止んでくれる気配が無いようだ。僕も寝ることにしよう。

ーアメノチハレー【完】

26 :ちょむ2005/03/31(Thu) 23:15:07 ID:SMoBQ8WU
ハイ、コレで終わりです。とてつもなくみじけえよorz
小説内の「僕」が何かは皆さんお分かりですよね。そう、オー木戸さんちの(略
構想10分、書くのに3時間と明らかに時間の使い方が逆ですけど、
この小説からでるメッセージ、いかがでしたでしょうか。
あっ、ありきたりなんて言わないでー。
ということで、僕はこれで消えます。後の皆さんも頑張って下さい。

(´ー`)。oO(残り45分で新規投稿して下さる方いるかどうか微妙ですけど)

27 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 23:31:04 ID:SO0u9Lz.
思えば君はずっと側にいてくれた


側で笑っていてくれたのに


いくら記憶を遡っても


わたしは後悔することしかできない


いくら記憶を彷徨っても


わたしの中には哀しみしか生まれない


だって私は生きているから


私の時は進んでいるから


 ***

 −ALICE−

第七話「追憶」

 ***

『何してんの?』

私はそのとき、始めて彼の声を聞いた。

私が、飼い主の庭でテントウムシを眺めていたときのこと。
私はテントウムシを始めて見たので、
記憶にない奇妙な虫に好奇心を覚えていた。

不意に、テントウムシが飛び立った。
反射的に慌てて追いかける。
しかし、幼い私の身体能力は脳に付いていくことはできなかった。

勢いよく転ぶ。
右足の関節に血が滲んでいた。
恥ずかしいところを見られたので、少し赤面しながら振り向くと、
彼はそこにはいなかった。

何処に行ったのだろうと、少し疑問が私の頭を過ぎったが、
それは私に行動を興させるきっかけには成り得なかった。

ふう、と溜息をついて再び歩き出そうとする。
右足に擦るような痛みが走った。

「おい」

彼の声。
慌てて振り向く。
彼は、少し息を切らせながら、口に銜えていた深緑の葉を私の前に置いた。

「これ、なに?」

ぎこちなく問うた。

「傷に塗ると良いんだ」

そういって彼は無邪気に笑った。
彼は私の中では本当に他愛ない存在だったけれど、
その笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。

私もいつかあんなふうに笑えたらと。

そして、彼は私の前から姿を消した。

28 :如姫羅こあ2005/03/31(Thu) 23:36:52 ID:SO0u9Lz.
単調な一本の線の上で、踊る事も無く、止まる事も無く、ましてや走る事もなく。

時は過ぎてゆくから。

君が愛したこの世界で、私は生きていくよ。
ナユと共に。

死んでしまった人をとり残して、世界は明日へと歩いてゆくから。

私は贖うことなく、明日を受け入れるよ。


君が愛した青い空の下。

君が愛した光るような緑の草の上で。

君が愛した仲間達と共に。

君が愛したこの世界の中で。

君が愛してくれた私は。


ずっと歩んでゆける。
素直に愛を叫べるから。

待ってて、私もそっちへ逝くわ。
でもそれは今じゃない。

あなたができなかったこと、あなたがしたかったこと。

私の使命を生きるエネルギーに変えて。

アルト、見てる?
私は生きているわ。

あなたが愛した世界は、今日も。


この世界には寂しがり屋な人が多すぎるから。
だから生き物は寄り添って生きていくんだよね。
ずっと、そっと、永遠に。

あなたが愛した世界は、今日も。


一定の早さで明日へと向かう。



     Fin.

29 :如姫羅こあ2005/04/01(Fri) 09:05:00 ID:2agIgXAk
終わりです・・・すみません、時間が無くて最後の挨拶が期限切れの今日になってしまいました;
どうでしたか?「−ALICE−」こと、アリスは即興で考えた話ですので、
底が浅い話になってしまっています;;
最後の方は本当に時間もなくて、(期限だけではなく、諸事情で・・・)とにかく急いで
勢いに任せて書いたので、少しいそいそしているというか、
悪く言えば手抜きに見えたかも知れませんが、
時間の限り一生懸命書きましたので・・・!!(所詮言い訳
判りにくいかも知れませんが、一応一話目は飼われていた頃の回想、
第七話はずっと眠っていた記憶の話。
本当はもう少しサブイベントを考えていて、
全部で20話くらいに成る予定だったんですが、
あ、これじゃ今の2倍以上だよ。
サブイベント少しじゃないじゃn(もういいよ黙れよお前
最後のは、第何話とかつけなくていいなと思ってそのまま投稿しちゃったんですが、
やっぱエピローグと付けて頂けると嬉しいです^^;
御迷惑をお掛け致します。
そう思って頂くだけでも十分結構なんですが。
言い訳たっぷり、詰め詰めに詰めて訳の分からない脈絡のない文章、
失礼しました。
未熟者ながらベストを尽くしました・・・よね?(聞くな
ではでは。
有り難う御座いました。
 +++こあ

30 :管理人 ★2005/04/01(Fri) 11:33:45
ぎりぎりで投稿が爆発的に増えたのは素晴らしかったです、はい。
予定では少し期限延ばそうかなー、なんて思っていたのですがもういいですね。

31 :Sign2005/04/01(Fri) 21:11:11 ID:ti3ts9bc
>>7のアレですが、なんでアブソル捕まえるんだよ!とその辺が不透明なので、つけたし。
 迷い込んで、一旦つかまえて後に逃そうとした、ってなことで、宜しく。

推敲しろよ、僕……orz

32 :運営委員長代理2005/04/10(Sun) 12:43:37 ID:zcOmTKZk
全ての人にありがとう、としか言いようがありません。
5月までにログ化します。もうしばらくお待ち下さい。

33 :デュルー@書記 ★2005/05/05(Thu) 16:04:06
↑ 第一回 投稿された小説

↓ 第二回 投稿された小説

34 :40号@副管理人 ★2005/05/05(Thu) 17:13:07
↑ これを凡人――否、愚人の付けるレスと云わずして何と云おう。

↓そう……これこそがレスポンス。最強最高の、一言。

35 :デュルー@書記 ★2005/05/06(Fri) 18:56:00
>>34 れ す ぽ ん す

↓ ここから本当に第二回。

36 :あ、お ◆PXPHB5eCOM2005/05/07(Sat) 09:15:16 ID:JMwZyXq2
いっちばんのりぃ。今回はかなりポケモン主体。

『皐月の祭典』

<1>

 少し風が、木を揺らして合唱しているような気がする、夜。

 その木陰から、一匹のポケモンが出てきた。
レディバ、レディアン。
彼らは尻先から淡い光を放つ。
森は、緑の光と月の光でとても豊かに見えた。
 続いて、ヨルノズクは微かに囀ると、擦れた声で更に大きく鳴く。
「――オーン――」
夜の闇を切り裂いて、幾匹ものポケモンがその姿を露にしてゆく。

一年に一度、この皐月にのみ執り行われる夜の祭典が、始まろうとしていた。

37 :あ、お ◆PXPHB5eCOM2005/05/07(Sat) 09:18:51 ID:JMwZyXq2
<2>

 この夜の祭典を知るものは少なかった。
五月も始まりを告げたばかりで、人間達もこんなちんけな森ではなく大型連休を利用して旅行や観光に行くものが多いからである。

 黄金色の月の明かりを遮るように鳥ポケモン達が空を交差している。
地面ではレディバ等の緑の妖艶な色のみが浮かび、この森や他の地方から遥々やってきたポケモン達は輪を創りはじめていた。
 イシツブテやらフシギダネやらの器用なポケモンは、ストライクが切り裂いた木々をその中心に運び、
キャタピーやビードルが糸を吐いて、それを固めてゆく。
 手際よくこなして行くポケモン達を仕切るように、デルビルが前に歩み出て、大きく広げた口から大量の炎を出した。

ボッ

糸に火が灯る。間も無くポケモン達が作った木へと火が移っていく。
 ポケモン達はざわめく。
――夜の祭典が始まったことを肌で感じ、この場に居れることを誇りに思っているのだ。

「わあ、すげえ……」
「静かにしててよ」
 思わず口に出す俺に、師匠が静止をかける。
「すみません。…でっでも、凄いですって。これフラッシュで写真撮ったら絶対博物館に展示されたりする位のアレですよ」
「フラッシュで撮ったらポケモン達が逃げてしまうし、
 もしこの写真がどこかに流出したらポケモン達はこの行事を止めざるを得ないじゃない」
「……うーん、……そッすか、そッすね。うん。だったらフラッシュ炊かないで一枚とっておきます」
「今のうちに死ね」


 小脇に抱えたスケッチブックも、手に収めるハンディカメラも、実を言うと撮る気も描く気も出なかった。
ただ、見ていたかっただけ。
それでも少し、心が踊っちゃうんだ、俺。

38 :水菜2005/05/07(Sat) 21:43:37 ID:SWtF4/JQ
あら?
募集は20日からではと思うのですが・・・
違うのかな・・・?
違ったらすみません。

39 :あ、お ◆PXPHB5eCOM2005/05/08(Sun) 16:40:41 ID:xbUaGWOg
>>38
うえっ。あーそうですね。うん。

畜生ごめんよでる男くん、二回続けてルール読んでないとこがあった(ry
#それまで推敲しますッ

40 :沖縄帰りの男@ちょむ2005/05/20(Fri) 23:42:03 ID:RRWT5wHw
えと、もう5/20だから投稿開始だよね?
えっt、私?中間テストで投稿できんかも。
まあできるだけ努力はしますけど。
というわけで、管理サイドの許可も糞もなく勝手に
第2回交流記念杯の投稿を開始します。

#やっぱ書いとかないとみんな始めにくいでしょうに。独断スマン。

41 :デュルー@管理人 ★2005/05/20(Fri) 23:55:50
>>40
勿論。てか今回ぐらい私も書かないと洒落にならない。

42 :亀井さんの苦悩2005/05/22(Sun) 09:54:42 ID:wGX6eL7w
1/2


「今日はここで夜を明かそう」
 そう言って僕等が腰を落ち着けたのは港のようなところだった。静かで汚れず心地良さそうな場所。地図を持っていないのが、悔やまれる。
「海が、綺麗ですね」
 僕の唯一の相棒――ムウマが、呟くようにそう言った。うん、と僕も海に目を遣る。
 夜の海を眺めるのは、良く考えると初めてだった。時折吹く風に、水面に写った月がすうっと揺れる。
「――ねえ、兄貴」
 ムウマが、不意に僕に声を掛けてきた。「うん?」とそれに応じると、少し間はあるものの、目が合う形になった。
「兄貴は、死を意識――いや、覚悟でもいいですけど――した事って、ありますか」
「死、か……記憶に無いなあ」
 ……私はね。――ムウマは視線を海の方へ遣って、そして言う。
「私は、ありますよ。ただ一度きりですが」
 ただ一度。されど一度。きっと、生きている中で死を意識するのは当然の事なのだろう。だからきっと僕にもその時が来るかもしれない。

「――その一度きりで、私は死にました」

43 :亀井さんの苦悩2005/05/22(Sun) 09:57:04 ID:wGX6eL7w
2/2


「――その一度きりで、私は死にました」

「え?」
 口をついて出るのは、間の抜けた声。
「私は海で、溺死したんですよ。兄貴」
「………………」
 どうしようもなく沈黙を強いられる。言葉を発することなど、出来ない。
「それも――前の御主人に、殺されたんです」
「……そんな」
 何かの間違いなんかでは、無いだろう。本人がこういう以上は、きっと確実に。
「殺された、のか」
 ええ、とムウマはそこでようやく僕に視線を戻した。
「ねえ兄貴どう思いますか私は殺されたんですよ実の御主人に。ただ一度の過ちから夜の海に沈められなすすべも無く死んだんです」
「………………」
「――だから」
 早口だったムウマは、またいつも通りの口調に戻った。
「私は成仏しませんでした。……といっても出来る訳ないですよね。そして私は、ゴーストとなってその御主人を呪ってやったんです。結果――御主人は海に落ち、溺れ死にました。事故という形で」
「そうか」
 当然の報い、なのかもしれない。
 ……あれ?
 だとしたら、今もこの世に居続けているのは――何故なのだろうか。
「それが今から十五年前の十月の事でした。上旬でしたかね」
「それって……」

 僕が生まれたのは、十五年前の十一月の終わり。

「しかし私はそれでもまだ怨み足りません。これでは成仏できません。そこで私は、生まれ変わった御主人を呪ってやろうと考えました。それも、人生で一番楽しいところで」

 ある光景を思い出す。
 僕が七歳くらいの頃。このムウマは気付いたら僕の側に居たのだったか。
 そして僕は、見たこともないこのポケモンを見て、どういう訳か、恐怖を感じたのだった。初めて感じる類の感情であった事を憶えている。

「もう判りましたよね兄貴――いや、御主人。私が貴方に着いてきた訳が、吐いてきた嘘が」
 ムウマの首の辺りの赤い球が、鋭く光る。僕の肉体に、別の精神が宿り。

「楽しかったよ、ムウマ」
「生まれ変わっても一緒ですよ、御主人」

 他人事のように聞こえる、ばちゃんという水音。
 夜の海は、これ以上無いほどに幻想的だった。

44 :Don't remember me2005/05/26(Thu) 17:33:38 ID:BVD9xaJo
『かわらにて』

「なんだか、変なの、この頃」
 彼女は川原に腰を下ろし、いった。
傍らのラジオの周波数を合わせながら、そういった。
「…ふむ。そりゃどんな感じなんだい?」
 僕はといえば、彼女の三歩前で小石を摘み上げ、澄んだ川にそれを投げていた。
レディバが木の実を齧りだす。

「――例えばねえ、」
 ラジオの周波数が合う。
 そして彼女が言う。
「自分が、枯れてきてるような気がするんだ」

「……枯れてきてる、か」
 少し神妙に顔を顰ませ、ぼくが大振りに石を投擲する。
木陰に座る彼女に木漏れ日が射して、眩しかった。
「うん」
「自分が厭になったら、唄を歌えばいいのよ、って、君が前言ってただろ」
川のせせらぎをバックに、聞き覚えのある洋楽が流れ出る。
「そうよ、だけど、その唄を歌う為に、一番大切なのはなんだと思う?」
「作曲能力だな絶対」
 レディバがモモンの実を持ってきて、彼女が受け取る。
「ありがと、ヨヅキ」
「ディーっ」
「いや、聴いてる?」

「――うん。聴いてるよ。でも、作曲能力とは違うかな。凄い近いわ」
 彼女が麦藁帽子の唾を上げる。
レディバはここらのポケモンと戯れているようで、時折せせらぎと共に可愛らしい鳴き声が聞こえた。
「じゃあ、なんなんだ?」
「詩。なんだか上手く浮かばないの」
「即興でいっつも唄ってるんだから、その上で歌詞なんて声を現す弦じゃないのか?」

「――違うわ。なにか、違うの」


あっ。

飛んでゆく。

 レディバが。





 確かにその日は、少し苦いコーヒーがよく似合った。
「それじゃあ、今から一緒に喫茶店に行こう」
「うん、今ならいい詩が浮かびそうよ」
 田舎道を歩く。
――思い出した。こえがぼくと彼女の、出会いだった。

45 :Don't remember me2005/05/27(Fri) 17:00:33 ID:NV.Qzq4Q
そして、夜。

僕の傍らには、眠る彼女が寝息を立てていた。

これからも、よろしく。

そんなことを、


思いながら、






――眠りに就いた。

そして、いつまでもいつまでもポケモンの鳴き声が夜空に響いていた。

46 :Don't remember me2005/05/27(Fri) 19:53:14 ID:NV.Qzq4Q
一日空けたのは夜明けとかそういう意味も含めて、です。

序でに訂正させて貰います。
(1話目)
最終行

――思い出した。こえがぼくと彼女の、出会いだった。

――思い出した。これがぼくと彼女の、出会いだった。

では、貴重なスペース有難うございました。

47 :2005/05/29(Sun) 17:26:28 ID:2tB6.7H2
初の参加です。よろしくお願いします。

タイトル『Light of the Moon』

記憶喪失になった少年タツマ
その少年を思うピカチュウのピリ


少年が記憶喪失になってから12日目の夜
2つの体と2つの心
それぞれのうちに秘められた何かが動き出す。

今夜もピリは祈り続けた。あのこと(記憶喪失になってしまった少年に見捨てられたこと)があったがきっと思い出してくれると信じて。

記憶の断片がめぐる頭の中でさまよい続け、未だに正しい答えが得られない。
「どうしてあのポケモンは僕のところに来るんだ?」自問自答を繰り返すタツマ。
”これでいいのか?”
タツマはその一言で目を覚ます。まだ真夜中である。
誰が話しかけたかわからない、もしかすると消えてしまった記憶の中にいた自分なのか?
”君の命を救ったのは誰だ?”
まただ、しかし今度は違う、落下時の映像が浮かび上がる。僕に必死に声をかけている。助けを呼んでいる。
”「あのポケモンだ!そうピリだ!」”
誰かの声と自分の声が重なる。やはり記憶の中の自分…
断片になっていた記憶がつながり始めた。…すべての記憶がよみがえったのだ。
自問自答の答えが出た。ピカチュウ、あのピリに謝りたい。そう思った時、体が自然にトキワの森へ向かおうとする。

ピリも何かを感じたのか祈ることをやめる。もうだめなんだと思う気持ちが大きくなりすぎた。
”これでいいのか?”
周囲に敵意を感じるような逆なでするような感じ。声の主は誰か。小さな頭がフル活動する。

ガサガサ

殺気、いや違う、暖かな優しい何かを感じる。一人と一匹が今近づこうとしている。

出て来たのは…タツマだった。こんな夜に?ピリは少し焦った。また何かされるのではないかと思ったのだ。
しかし、そんなことはなかった。
「ピリ、ごめんよ。僕が悪かった。今、記憶が戻ったんだよ。」
半分泣きながらやってくるタツマ、そしてピリもつられて涙が。
抱き合う一人と一匹、泣きながら心のつながりを感じた。
泣き疲れた一人と一匹、美しい夜のトキワの森の中、月明かりを浴びながら静かに眠るのだった。

48 :ヂーヴ2005/05/30(Mon) 22:52:33 ID:NqBIIMU2
仮HNに関しては、質問はナシということで…(汗


〜夜だけ夢の配達人〜


「……?…」
 マズッ…
「…!…サンタさ……」
 子供が叫ぶ前に、俺は彼を夢の世界へ誘って――いざなって――やった。
無論、俺がやったわけではない。傍らにいる“催眠ポケモン”がやってのけた。
「メリー、クリスマス…」
 小声で囁くと、俺は厳重に包装された箱を彼の枕元へ置いた、夢という名のそれを…

「…スリーパー、窓、開けてくれ」
 疲れきった声で俺は言った。サンタという俺の職には、全くイメージできないような声で…
スリーパーは、無言で大きめの窓を開けた。念力という力で…
…ビゥゥゥ……
激しい風の音が聞える。そして、身を切り裂くような冷たさが走る。
風に乗り、雪が舞う。そう、今夜は何年かぶりの大吹雪なのだ。
全く…都合良くこんな日に大雪とは…愚痴を言っても仕方ないが。
俺は窓枠を跨いだ。先に出した右足が凍てつく。
…ザクッ…
雪に足を埋める。膝の辺りまで雪が積もっていた。正直、冷たいという感覚させなくなったかもしれない。
続いて左足も積もった雪に埋める。左足は、まだ辛うじて冷たいという感覚を感じた。
「…スリーパー…閉めてくれ…」
 スリーパーは外へと出ると、念力で窓を閉めた。
…ギィィィ…バタッ…ン……
雪のせいで聊か閉めが悪かったが、とりあえず窓は閉まった。
俺はそれを確認すると、重い足取りで“橇”に向かって歩いていった…

「デリッ!」
 元気な鳴き声で、俺とスリーパーを向かえてくれる者が…
所持している大きな白い袋からは、“サンタ”を連想するが、一見してその違いは明かとなる。
黄色い嘴と、飛び出ている二本の角――かどうかは不明だが――が特徴的だ。
“運び屋ポケモン”デリバード……赤い橇の上で飛び跳ねている。
「…よし、次は最後の一軒だぞ」
 俺はそう語り掛けながら、赤い橇へ乗り込んだ。少し雪が積もっていた。
スリーパーが俺の後ろへ乗り込む。案外広々とした橇である。
「オドシシ、最後の家まで、お願い」
「…ドシッ」
 橇に繋がれたロープがピンと張る。そして摩擦力と重力が、引っ張る力より劣った時…橇は動き出した。
橇を引くのは、二匹の“大角ポケモン”。その名の通り、二つの大きな角を頭に生やしている。
意外に小柄なのだが、その身体の力はご覧の通り。二匹で軽々とこの橇を運んでいる、雪道の中…
最後の目的地まで頑張ってくれ。

49 :ヂーヴ2005/05/30(Mon) 22:53:40 ID:NqBIIMU2
…何で俺が、サンタなんか……

 一つの疑念が湧いた。別に今起きたわけではない。前から、サンタが決まったときから…

 この町には、一つの掟がある。それも、20歳になる前の男子だけに…

“20歳になる男子で、選ばれた者は、12月24日の夜、子供達に夢を配ることを定める”

 他の町から見れば、かなり馬鹿げているような掟だ。
子供達に夢を与える。つまり、“サンタ”になれ、というのだ。
選ばれた者といっても、単なるくじで決められる。俺は不運にも、“当り”を引いてしまった一人である。
一人…というと、他にニ人程、“当り”を引いた奴がいる。何とも強運の持ち主だろう、俺達は…
しかも、子供に俺達の素性を明かしてはいけない、日が昇る前に配達を済ませる、という条件付。
つまり、“夜だけ夢の配達人”ってなわけだ。

 でも…サンタになると決まってから、俺の心の中は疑問符で埋め尽くされた。
何故、俺が……何故、子供達に……何故……


 暗闇の中でも、雪が月明かりを反射して辺りを仄かに明るくしている。
オドシシ達が走る足音、引っ張られる橇の音以外何も聞えない。
寒さの中、俺の思考は消されることなく続いている。

 俺は、クリスマスを…イヴの夜を楽しみにしていたか?…
サンタがくれる夢を、心の底から欲しがっていたか?……
こんな俺が配る夢を、子供達は本当に嬉しがってくれるのか?……

 この疑念を分かってくれる奴はいないだろうな。
少なくとも、暗闇という名の"夜”以外は…

 俺は橇を止めた。手元にあったロープでオドシシ達に止めるよう指示した。
疑念は確信へと変わり、俺を絞め付けた…

 何を想ったのか…俺にすら分からない。
ただ、無意識のうち、震える手には箱が握り締められていた。
最後に配達する、夢。でも……

…俺の気持ち……この子供にも……

 憎い…俺の少年期……夢も希望もなかった……
ポケモントレーナーに、なれなかった……

 俺は箱を力いっぱい投げた。全ての怒りを込めて……

…ダメだよ!……

 そんな声が、聞えた気がした……


「…デリッ!」
 デリバードは飛び出し、俺が投げた箱を空中キャッチした。
そのままデリバードは、降り積もった雪へとダイブしていった…
「デリバードッ!」
 俺は自我を取り戻した。そしてその瞬間に、俺は飛び出した。
…デリバードは…子供を夢を、守ろうと……
俺は走った。足場の悪い雪の上を…
「…うっ…」
 転んだ。最早赤い服は白へと変わったであろう。
だが、そんなことどうでもよい。俺は必死で起き上がり、再び走り出した。
脳裏に過る、過去の記憶……夢も希望もない、あの少年期……
俺にこの仕事は…夢の配達人は…荷が重すぎたかもしれない…
でも、何か変わったような気がする…

 今宵、俺は自らの夢を、こいつら、ポケモンに運んでもらった。
そう…夢なんて、今から叶えればいいんだ!

50 :ヂーヴ2005/05/30(Mon) 22:54:41 ID:NqBIIMU2
 俺は、降り積もった雪に埋もれていたデリバードを抱きかかえた。
その手――と呼べるのか疑わしいが――には、しっかりと箱が握られていた。
多少濡れてはいたが、潰れているよりはマシだ。
「…デリッ!」
 俺の行為を、許してくれるのか?…デリバードは満面の笑みを俺に見せつけてきた。
震える、俺の手。自分でもよく分かる。これは、寒さだけの震えだろうか?…

「…っ」
 冷たい雫が、俺の頬を伝った。その冷たさは、降り注いでいる雪以上だった。
でも、この雫は悲しみの雫じゃない。俺はそう思った。そして俺は、微笑した。
「…ありがとな、デリバード…俺、何か分かったような気がする」
「…?」
「…俺はお前に助けられたんだ。いや…俺と、この夢を受取る子供もな」
 俺は箱に目線をやった。デリバードは、少なからず箱を助けた、ということは理解したようだ。
「…デリィッ!」
 辺りが明るくなり始めている。俺は微かに、脳裏の隅でそんなことを考えていた。
夜が明ける…時間が、ない。
「…行くぞ、デリバード!」
 俺は言うなり、走り出した。光を反射する雪煙を舞い上げながら……


 その質素な造りの家。サンタの仕事も、ここで終りだ。
俺は最後の一軒へ辿り着いた。辺りは先程より明るくはなっているが、それでもまだ暗い。
でも、早いうちに夢を配らないと…

 橇から一歩踏み出す。最早足の感覚は麻痺していた。箱を持つ手が震える。不安そうな目でデリバードが見つめる。
「心配すんな」
 軽く頭を撫でてやった。そして俺は、家へ向かって歩いていった。

 なかなか大きな窓。俺はとりあえず、手で押してみた…すると…
…ギィィィッ…
 開いた。まあ、前も何軒か窓が開いている家があった。
サンタを歓迎するという意思表示だろうが、ちょっと無用心とも思う。
俺は窓の縁を跨いだ。そして室内に入ると、ゆっくりと窓を閉めた。
…ギィィィッ…バタッ…

 ベッドの上に、少年が横たわっていた。寝息を発てている。
だが、その表情は…何となく不安げだった…
俺は少年を起こさぬよう、そっと箱をベッドの傍らに置いた。
「…メリー、クリスマス」
 俺は微笑みながら、そう言った。これで、配達屋も終り……

「…サンタ、さん?」

 俺は慌てた。寝ていた少年が急に目を開けたから…
スリー………あっ……

「サンタさん、ですよね?」
 少年は起き上がった。だが俺は、少年を夢の世界へ誘うことができない……
…スリーパー、橇に置いてきちゃった……
慌てる……目が泳ぐ…汗が滲む…冷え切った身体に、電撃は走る…

 少年は半ば驚きながら、しかし半ば、不安げな表情を浮かべたままである。
俺はどうしたらいいのか分からない…起きてしまった子供の対処法…スリーパーで眠らせるしか分からない…
「…この箱、もしかして帽子、ですよね?」
 んっ?…更に焦る…とりあえず俺は、返事を返した…
「…んっ…そうだ、ぞ」
「……そう…」
 思っていた返事とは全く違かった、少年の返事。暗く、沈んだ声で、少年は下に俯いた。
「…サンタさん、やっぱこれ、要らないです…」

 この現状。それに追い討ちを掛けるような、全く予想外の言葉。
夢、要らない?……

51 :ヂーヴ2005/05/30(Mon) 22:56:38 ID:NqBIIMU2
「…どっ、どうして、だ?」
 徐々に冷静さを取り戻している――のつもり――。俺は少年の返事を待った。が、部屋には沈黙が流れる。

「…僕、怖いんです…」
「えっ?」
 何が何だか分からぬまま、俺は間抜けな声で返事してしまった。しかし少年は、淡々と語り続けた。
「…僕、来年にポケモントレーナーになるんです。それで、その旅の為に、この帽子サンタさんに頼んだんです……でも、怖くなってきちゃって……一人で旅なんか、出来るはずないよ…」

「いや、そんなことはない」
「えっ?」
 えっ?…俺も心の中で、同じフレーズを発した。無意識のうちに、言葉を発していた。
沈黙が訪れる。暗闇の中でも、少年の不安げな目をはっきりと凝視していた。
冷や汗が引いていく…落ちついた証拠だろうか?…それとも……
「…僕……諦めたいんです、ポケモントレーナーになるという夢。だって…旅、怖いもの……」
 少年の台詞。その台詞で、俺の心の中で何かの感情が湧いた。怒りとも、憎しみとも違う、何かが…
俺はまた無意識に動いていた。少年は俺の行動を目で追う。俺はベッドの傍らに置いてあった箱を手にした。
「…俺の分も、夢、叶えてくれよ…」
 俺は箱の紐を解き、そして丁寧に包装されていた紙を剥がした。
少年は呆然とこの光景を見ていた。頭の隅で、何をやっているのか分からなくなっていた。
だが……こうすることしか考え付かなかった…

…ガサッ…

 箱の蓋を開けた。中には、赤色の帽子が一つ、ぽつんと置かれていた。
俺は帽子を箱から取り出し、少年の頭に被せた。暗闇の中で、その帽子だけ何か異彩を放っているように思えた。
「…サンタ、さん?」
「…俺もなりたかったんだよな、ポケモントレーナーに…でも、無理だった…」
 俺は部屋の空虚を見つめた。昔を思い出す…だがその思考を、すぐに追い払った。
「俺の願い…訊いてくれるか?」
「……えっ?」
 間を置き、少年が言った。色々な意味で驚いたのであろう。だが、それは省みない。俺は淡々を続けた。
「…ポケモントレーナーになって…チャンピオンになってくれ」

 窓から日の光が漏れ始めていた。もうすぐ…いや、もう夜が明け切っている。
夜が明けて分かったが、辺りは一面の銀世界。だが俺は、それに見惚れている余裕はない。

 俺は小指を立て、少年の顔の前に出した。そして笑顔で、繰り返した。
「ポケモンリーグチャンピオンに、なってくれ」
「……サンタさんの、お願い?」
 疑問符だらけの少年。日の光で、少年の表情がはっきりと分かる。
しかしそこには…目の奥には、何か輝くものがあった。少なくとも俺は、そう感じた。
「…でも……」
「怖くない。大丈夫…この、帽子に願うんだ…俺が…いや、サンタがあげたこの帽子に…」
「帽子に?」
「うん……暗闇の夜のように、不安が襲うことも、あるだろう…でも…この帽子、そしてなにより…自分のポケモンを信じるんだ。きっと君を、助けてくれる…君は一人じゃない…だから、俺の願いを訊いてくれ…」
「…一人じゃ……ないんだ!」
「…そう」
 俺はこくりと頷いた。少年の表情からは、不安の感情は消え去っていた。輝く目。そして、笑みを浮かべる表情。
そして少年は、自らの小指を俺の小指に絡ませた。小さいながら暖かい小指は、俺の心の底まで暖めてくれたような気がした。
「…指切拳万、嘘ついたら…」
「ハリーセン飲ます!指切った!」
 その瞬間の少年の笑顔は、永久に俺の脳裏に焼き付いた。


 あれから何年経ったであろうか…俺は、あの時約束した少年の名を知った。
何故か…彼は世界中に名を轟かしているからだ。
あの時の俺の願いを、少年は叶えてくれた…そして俺も、夢を追い続けている…

 俺は一人…いや、ポケモン達と共に新たな人生を踏み出していた。
あの夜、俺はポケモン達と、あの少年に“夢”を貰った。とてつもなく大きな夢を…
それを実らせるため、俺は今日も…歩み続ける……


 完



正直、ポケモンという主旨からもズレたかも…orz
所々疑問が生じるところがありましたら、現在僕が連載中の小説まで…(仮HNでもおそらく分かるでしょう(ぁ

52 :ユーロに魅せられて2005/05/31(Tue) 15:52:35 ID:i3EXgZCA
 夜、漆黒の闇。その世界には一筋の光も無い。
 勿論、町まで行けば光はある。――だがポケモンには縁の無い世界だ。いや、『ポケモン』という例えではなく、『私』という名の『ポケモン』に縁が無い、といった方が正しそうだ。

 遠くの町の小さな光が、今消えた。


 ウォオォォォーン。
 私の遠吠えだけが独り歩きする。夜の世界に生きるポケモンは独りであることが非常に多い。いや、進んで独りになったポケモンが多い、というべきか。
 勿論、私もその部類に入る。仲間と一緒なんて……考えたことも無かった。
 僅かな月明かりだけが漆黒の闇を照らす。『夜』の世界は飲み込まれた方が負けなのだ。――この数年、身にしみて感じた。
 弱者は生き残れない世界――、私はそこで生きることを決めていた。

 今日の月明かりは、何時にも増して暖かかった。

「貴方も……独りなんですの?」
 ん、誰だ……? 私に話しかけてくるポケモンなんて居なかった筈だが……?
 そっと振り返って見ると、私とは別種族のポケモン――ヘルガーの雌が座っていた。美しい――ポケモンだ。毛並みの艶を見ればあの獣(ポケモン)が人の手によって育てられたんだ、ということが私には分かった。
「お嬢さん、こんなところに何かようですかな? ここは貴女のような美しい方が来るところではありません、直ぐに元の場所に戻った方が身の為ですよ」
 私は随分と優しくしたつもりだった。それで立ち去ってくれると思っていた。でも。
「いえ、私は立ち去りません――いえ、立ち去れないのです。今晩は貴方の近くに……居させて下さい」
「何があったのかは知りませんが、私に出来ることならば協力しましょう。どうぞ」
 静かに何時も私が寝床としている洞窟へと案内した。この洞窟に私以外のポケモンが最後に足を踏み入れたのは何時であっただろうか、そんなことを思わず考えてしまった。

「ここが寝床です。あまり綺麗ではありませんがこんなところでよければどうぞ」
「ありがとうございます。突然のお願いで――断られるかと思いましたわ」
「貴女の様な美しい方の誘いなど断れませんよ、私は外に居るので」
 それだけ言って、私はそっと彼女の側を離れようとした。だが、彼女は私のボロボロの毛をそっとつかみ、
「隣に……居て欲しいのです。いい……ですよね」
 ――予想外の返事。全ての始まり。




 『夜』は全てを飲み込む。嫌なことも、楽しかったことも、全て『夜』が吸い尽くしてしまう。
 『夜』はそれをエネルギーにし、人の気持ちを昂ぶらせ、自分の感情を制御出来なくさせる。
 ――失敗した。手が……早すぎたか。

 朝が来た。そのまま彼女は、消えた。

 何故彼女は私の前に現れたのか、私には判らない。今の私が唯一理解できることは、彼女が本当に居たかどうか判らない、という根本的に何の解決にもならないことだけだ。

 ただ、彼女は独りになった私に何かを与えてくれたような気がしないでもない。
 今も目を閉じれば、彼女の温もりが――伝わってくる。整えられた毛並み、高く美しい声……、全てが懐かしい想い出だ。

 ――今の私は独りだが何か暖かいものに包まれているような気がした。そして、また今日も夜が来る。

53 :とある小説書き2005/05/31(Tue) 23:00:57 ID:eeINXKfU
「A certain night」

気づけば日は暮れかけてた。一体何時間戦っていたのだろうか。
「どうしたのよ?いつものあなたとは思えなかったよ」
「それはお前が強くなったからじゃないのか?」
俺は少し微笑みながら木陰に座った。
「そういうことかなあ?まあ、私としては勝てたから良かったけど。
これからどうするの?」
「今日はここで野宿だ」
「ふーん、じゃあ私はこれから用事があるから。じゃあね」
「ああ」
そういって、彼女と別れた。

空も暗くなってきた。俺は木に倒れこんだ。
勝てる勝負にも勝てない、いつから始まったのだろうか。
前はそうではなかった。ポケモンの扱いがうまいと周りからよく尊敬された。無論、彼女もそうだった。
それが今はこの様だ。はっきり言って笑うしかないと思う。
・・・俺は一体、何のために旅に出たのだろうか。
ふと、疑問に思った。
よく考えてみた。しかし、浮かばない。
別に旅に出なくても、良かったのではないのだろうか。
そうも考えてしまう。どうしてだろうか。
以前まではこんなこと、全く考えなかった。
自分の思うがままにただ走っていた。だけど、それでよかったのだろうか。
もっと、他に自分に向いているものは無かったのだろうか。
気づけば、空は雲で覆われていた。いつもと同じで・・・

54 :とある小説書き2005/05/31(Tue) 23:01:34 ID:eeINXKfU
それから先、俺は何も考えないことにした。
何かを考えていると、また考えるものが増えるような気がしたからだ。
すると、カタカタ、カタカタと、バッグが揺れだした。
「あっ」
すっかり忘れていた。そういえばこいつだけはバトルに参加していなかったのだ。
「すまないな、ジグザグマ」
そういって、彼をMBから出してやった。
MBから出てきたジグザグマは舌を出しながら、俺のまえに座った。
「はいはい、わかっているよ」
そういって俺は、バッグからポケモン用の食事を取り出した。
そうすると彼はその食事に勢い良く飛びついた。
なんというか、つくづく主の心境を理解できない奴だと思った。まあ、それがいいのかも知れないが。
そう思っているうちに、ジグザグマは食事を全て食べ終え、辺りを見回していた。
「全く、相変わらず食べるの早いよなあ」
俺がそういっているうちに、ジグザグマは突然遠くへ走り始めた。
「おい、ちょっとま・・・」
そう言おうとしている間に、もう彼は見えなくなっていた。
「仕方ないなあ」
いつものことだった。何かあるとすぐにそこへ言ってしまう。まあ、すぐに帰ってくるのだが。

10分後、彼は口に何かをくわえて帰ってきた。とくせいのものひろいである。
「おお、また見つけてきたのか」
ジグザグマは俺に拾ってきたものを差し出した。ただのMBであった。
「よくやったな」
と、彼をほめる。しかし、内心ではもう少しいいものを持ってくるのかと思っていたので少し残念だったのだが。
彼は褒めてもらったのでニコッ、と笑った。心から褒めてもいないのに。
それにしても今のジグザグマが少しうらやましかった。
大したこともないことでこんなに喜んでいるのだ。
それはつまり、自分のやっていることを楽しんでいるのだ。
俺はどうなんだろうか。今、果たして自分のやっていることを楽しんでやっているのだろうか。
でも、ひとつ分かったことがあった。それは彼は、自分の思うがままに走り続けていること。
そして、今、そのことで彼は幸せになっている。
所詮、色々考えても無駄だったのだ。彼は何も考えずにものを拾ってくる。それでいいのだ。
自分も何も考えずに旅をすればいいことなのだ。何故気づかなかったのだろう。
何故旅をし始めたかなんてどうでもいい。その時俺がやりたかっただけなのだ。
他にいいものがあったかなんて、どうでもいい。その時これしか眼中に無かったのだ。
ならば仕方ないだろう。あの時からもう俺は走り続けている。止まる理由なんか無用だ。
ただ、今は走り続けるだけ。そうするしか無いのだ。リタイアなんかかっこ悪い。
もう道は一本しかないのだ。自分の決めたもの、ただそれだけを信じていこう!

気づけば、久しぶりに雲一つない夜だった。月が綺麗に輝いている。

A certain night、とある夜の物語。
【完】

55 :とある小説書き2005/05/31(Tue) 23:04:52 ID:eeINXKfU
うう、なんか形式が以前とあまり変わらないような・・・
そういう不安を持ったとある小説書きです。どうも。
今回の作品、なんだか夜が入ってこなくても良いような。
取りあえず、今回は1人のトレーナーの心情を描いてみました。
果てしなく駄作ですがよろしくお願いします。



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